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『ジャッカー電撃隊』感想5

◆第7話「8スーパーカー!! 超速300キロ」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:上原正三
日本政府の財産保管金庫……というまた豪快なものを狙うクライムは、金庫の壁を破る為に国際科学特捜隊(それにしても気軽に略しにくい名称である)が開発した新型高性能爆弾ジャッカーXを強奪。
爆破試験に参加していた東がクライム戦闘員の銃撃を受け、流血する事と痛覚が残っている事が判明……まあ双方ともカモフラージュ機能でしょうが、痛覚遮断機能がついていないのは、長官の慈悲なのか科学力の限界なのか。
検問を破り、爆弾を手に逃走するクライムライダー(なおこれはジャッカー側からの呼称で、アイアンクローは「クライムボス」と呼んでいるので、やたらアクティブですが立派にボスらしい)の追跡に参加しようと、負傷を押して起きてきた東に対し、
「ジャックぅ……寝てなきゃ駄目だ」
という長官が、サイボーグだから大丈夫とにこやかに送り出すよりもむしろ、この人、自分が非道な人体改造に手を染めているという事を綺麗さっぱり忘れて普段生きているのではないかという、真性キチガイぶりが出ていて面白い(笑)
クライムライダーは力の入ったバイクアクションで次々と検問を突破し、それを空から追跡するスカイエース。そして自らの不始末を取り返そうと、追走するマッハダイヤ号。
ここで、通りすがりのスーパーカー軍団に次々と入るテロップ(笑)
その方面に興味ないので特に嬉しくないのですが、今作放映の1977年当時は日本におけるスーパーカーブームの過熱期であり、スーパーカーというのは少年層にもかなり訴求力の強い題材であった模様。
まあどう見ても、一番凄いのはマッハダイヤ号なのですが……センス的に。
マッハダイヤ号を振り切りきれないクライムライダーは、逃走用にそのスーパーカーを奪おうとオーナーを脅すが、オーナーのおじさん、まさかの
回転からの空中二段蹴り。
思わず巻き戻して三度見してしまいました(笑)
拳銃持ったクライムライダーと普通に互角の戦いを演じるおじさんだったが、スーパーカーマニアの少年を人質に取られ、結局、逃走車の運転をする事に。ライダーを乗せて走るフェラーリを追うジャック、更にその後を追うスーパーカー軍団の仲間達。ライダーの銃撃によりマッハダイヤ号が故障・停車してしまい、これは東がスーパーカーの1台を借りるのかと思ったら、その横をかっ飛ばして通り過ぎていくスーパーカー軍団。
……凄く、カオスな事になってきました。
一方、ジャッカーX入手に成功したクライムでは、デビルエレキが一足先に財産保管金庫を占拠し、爆薬の到着を待ち受ける……が、とりあえず金庫に自分の電撃を試してみるエレキ。
「開けろ」
「……駄目です。ジャッカーXの到着を待った方が」
……駄目だった。
その頃、頑張って損傷したバッテリーを修理していた東は、これもしかして俺のエネルギーで行けるんじゃね、と気付くと追跡に復帰。あの横幅で山道を突っ走るマッハダイヤ号、というのはなかなか凄い映像。スーパーカー軍団の仲間達は振り切られてしまうが、スカイエースのサポートで追いついた東は、フェラーリと激しいデッドヒートを繰り広げる。
途中、東がフェラーリを見失っている間に、再びフェラーリおじさんが格闘戦でライダーを追い詰めるなどあったものの、爆薬で脅しをかけられた隙に結局主導権を奪い返されてしまう。そして東は、傷の痛みと車に供給しているエネルギー消費で、ふらふらに追い詰められていた。
最初、腕の負傷を強調する描写が入るのですが、そもそもサイボーグというコンセプトと微妙に噛み合わず、エネルギー切れのみに焦点を合わせた方が、今作のオリジナリティが出て盛り上がった気がします。負傷した左腕は生身部分なのかもしれませんが。
ボクサー時代の辛い減量を思い出して限界状況を乗り越えた東は、フェラーリを追って財産保管金庫に辿り着くが、エレキ責めを受けて倒れてしまう。金庫の蓋ごと爆弾で吹き飛ばされそうになる東、少年、フェラーリおじさんだが、すんでの所でジャックタンクが突入して爆破を阻止して人質を救出。
そろそろコストの問題が出てきたのかデビルエレキは第二形態の無いままジャッカーコバックの塵となり、残りのジャッカーXを持って逃げようとしたライダーボスは、ダイヤソードに貫かれて死亡。ジャッカーは何とか、クライムの犯罪計画を阻止するのであった。
ラストは、フェラーリをずっと追いかけていたおじさんの奥さんが到着し、数分前に爆殺されそうになった事など完全に忘却する勢いで、夫妻がにこやかにジャッカーに挟まれるシーンを少年が写真に撮って大団円。ジャッカー電撃隊は特務部隊だが、市民からの写真撮影には気軽に応じる、フレンドリーな組織なのだ! そして少年は、スーパーカーにしか興味が無いのであった!
市井に空手の達人の多い今作ですが、体育会系の学生を洗脳してコマンドーに育成しようとしていたぐらいですし、銃火器を所持している事を除くと、クライムの通常戦力の質はそれほど高くないのかもしれません(^^;
全編に、スカイエース何とかしろ感が漂いますが、カオスすぎてちょっと面白くなってくる系のエピソードでした。
次回、

「ドレスが爆発した。またしてもクライムか」
「カレンの友人、クミコの、悲惨な最期」
「桜井の体が放射能反応を示す!」

予告の破壊力が高すぎる……。


◆第8話「6ターゲット!! 爆発する花」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:押川国秋)
クライムの攻撃を受け、いきなりスローモーションでど派手に倒れるジャッカーの4人。
「このようにジャッカーを倒すには、一人一人を分断し、確実に消していく事です」
……全部、ボスの妄想プレゼンだった。
「いかにジャッカーといえども、根気よく狙えば、それくらいの隙はある筈です」
打倒ジャッカーに必要なのは、根気!
今回の作戦を立案したボスの真の狙いは、山陰の原子力発電所から輸送される核物質の強奪にあった。
「それはいつだ?」
明後日です。目的を完遂する為には、その前にどうしても、ジャッカーを倒しておかなければなりません」
…………根気?
開始数分でコンセプトが崩壊している気がしますが、今回、終始アイアンクローがボスに対して不審げなので、あまり査定がよろしくないボスなのかもしれません。
そんなボスがまず標的にしたのは、カレン。友人が勤めるブティックにドレスを頼んでいたカレンだがクライムはそれに爆弾を仕掛け、仕立ての仕上げをする際に試着した友人、爆死。
悲しみにくれるカレンに告別式の連絡が入り、まっピンクのブラウスと真っ赤なホットパンツ姿で向かうカレンだが、今度は花屋に扮したボスに爆殺されそうになるも回避。
当初は怪人と戦闘員に指示を下す作戦指揮官めいていたクライムボスですが、老人に扮装して女スパイを自ら脅迫した第5話辺りから、どんどん現場工作員と化していきます(^^;
逃げた花屋ボスを追うカレンは東と大地と合流し、それを待ち受けるクライムの戦闘員部隊。
「ジャックとクイーンが来た。これで3人一緒に始末が出来るぞ」
……一人一人を分断、とは。
その頃、カレンが狙われた寺を調査していた桜井は、放射線の反応を感知し、ゴミ捨て場で焼却されていたクライム戦闘員の服を発見。クライムの狙いが、原子力関連施設にあるのではないか、という推測を立てる。
この辺り、悪玉が堂々と今回の作戦を発表するのでなく、善玉サイドで徐々に真相に迫っていくという段取りが意識的に行われてはいるのですが、個々の段取りそのものが杜撰な為、面白みとリアリティを創出するには至っていません(^^;
前回も後半までジャッカーはクライムの真の目的がわからないまま進行しており、同じ戦隊シリーズというくくりでも、80年代以降の作品とは、プロットの基本構造自体が違う事が見えるのは面白い。……あまり上手く行ってはいませんが。
集合した4人は、赤と青の入ったこれまでにない派手な配色の怪人デビルフラワー(なお、クライム内部では「戦闘ロボ」と呼称)のバズーカ攻撃を受け消し飛んだかに見えたか、サイボーグジャンプでこれを回避。邪魔者は消した、と輸送される核物質を狙うクライムの前に立ちはだかる。
ジャッカーの妨害を受けた花屋ボス、勢い余って核物質を積載したトラックを撃とうとして、東に本気で止められる。
デビルフラワーは毒ガス攻撃でジャッカーを苦しめるも、ジャッカーハリケーンで毒ガスを跳ね返されつつ連続パンチを浴びて崖を転がり落ちた所に追撃のジャッカーコバック。逃走をはかっていた花屋ボスは、墜落してきたフラワーの下敷きになり、共に壮絶な爆死を遂げる。
かつてなく惨い死に様のボスでしたが、間接的にカレンの友人を殺害した報いを強調したと思われます。
なお、最初のシーンでアイアンクローが花屋ボスから「最強の戦闘ロボを派遣してください」と言われ、「どうしようかな〜」と答えているのですが、多分、派遣していない。
信用しないで正解でしたね、アイアンクロー!
次回……『燃えよドラゴン』?