「蝶野さん、生きてますか。生きてるなら、生きてる事を、自分で楽しくした方がいいと思うけどな」 (EPISODE14「前兆」)
◆EPISODE13「不審」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
- 井上敏樹が参戦。内部で色々あったようですが、「人生自棄気味の男がタトゥー彫って未確認生命体に共感して愚かな人間め、とか言い出す」というのは、凄く井上敏樹っぽい。
- 登場人物の増加に合わせる形で、OP映像とクレジットがやや変化。これまでひとまとめだったレギュラークラスのキャストがようやく役名と一緒に表記されるように。また、謎のごついバイクが追加。
- 新しいソロバンをはじくピラニア男。バラのタトゥの女の「二日で、180人か」という台詞、カメレオン男の「おまえにゲームの権利はもう無い。ズからメへ、時代は移ったのだ」という台詞などから、どうやらグロンギが何らかの殺人ゲームを行っている事がわかってくる。
- カメレオンと一緒に、カマキリ女もちらっと怪人体が登場。
- 長野で新たに、リントの古代文字が刻まれた遺物が発掘される。
- 桜子さんの本業の話が出るが、ナチュラルに「あなたの修士論文とかどうでもいい」ノリの一条さん。
- 一条さんは思いやりが無いのではなく、自分の信念が他人の優先順位を既定しているだけなのです!(駄目だ)
- 一条さんからの着信を見た桜子さんの、「多分、五代くんによ」が怖い。
- 椿先生に軟派属性が加わったのは、井上敏樹の仕業か(笑) さっそく一条さんにデートを邪魔され、ぶつくさ文句を言いながらも捜査協力に来る、という一連の流れで、椿のキャラクターを補強しつつ、仕事に対するスタンスと、一条との友人関係まで見せているのは、さすがテクニカル。
- クウガの戦闘に反応する謎の古代遺物……で続く。
◆EPISODE14「前兆」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
- ピラニアの攻撃でクウガの装甲が裂ける描写。タイタンに変身した所に一条さんが援護狙撃で何とか退け、強化ガス弾が一定の有効性を見せる。
- 前回の大量惨殺に続いて今回は解剖シーンと、なかなか映像も攻めてきます。この「死」の強調が、後半、今回のテーマに繋がっていく形に。実際の解剖室がこうなのか知りませんが、水に浸された解剖室、というのは印象的な映像。
- 「ま、毒をもって毒を制す、て事もある」……毒のナイフを気取る青年(蝶野)に、天然の猛毒(五代)をぶつけてみる椿。
- 「おまえも、死ぬって事の意味を真剣に考えてみろ」……蝶野に対し、医者としての怒りをぶつけるなど、椿先生がこの2話で、ただの変態から、大幅にキャラ立ち。
- 囮作戦中、今回も呪いの電話で死にそうになる一条さん(笑) 初めての水落ち。
- 「お、俺は……」「獲物だ」
- 生きる、というのは他者と繋がるという事であり、死、とはそれを失う事。他の人間との繋がりを否定し、死にたがりを気取りながら、未確認生命体となら繋がれると感じる蝶野だが、未確認生命体が人間と向き合うのは死と暴力を持ってしてのみであった、と、今作における怪人――グロンギとは如何なる位置づけか、を描いたエピソード。
- 主人公・五代雄介に象徴される「生」という繋がりと、グロンギが体現する「死」という断絶の対比が、今作の一つの基本構造といえます。
- ゆえに作品全体が、五代くんが周囲の人々と繋がっていくという流れの中に、その周囲の人々の物語が繰り返し挟み込まれていくという造りで、この辺り、良く出来ています。
- 例えばここ数回、最悪の出会いだったジャンとミカちゃんがすっかり仲良くなった姿が描かれていて、これが今作における「みんなの笑顔」であり、それを守りたいという個人のヒロイズムが、人と人の繋がりの中で拡散していく、という今作の志向する所が見て取れます。
- この、“正義の背景”を個人の体験に落とし込んだ後で、内側に閉じこもるのでも自己満足に浸るのでもなく、その拡散を描いていく、というのが『クウガ』という作品の優れた所。
- 出来上がりが遅かったのか、2クール目から使用していく予定通りだったのか、ある種の路線修正なのか、戦闘シーンに盛り上げBGMが入るように。
- 輸送途中に合体してトラックから離脱し、東京へ向かって飛んでくる巨大なクワガタの正体はいったい? で、続く。