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『仮面ライダーゴースト』感想・第1話

◆第1話「開眼!俺!」◆ (監督:諸田敏 脚本:福田卓郎
主人公は、ピュアハート18歳。
一言でまとめると、“パッとしない”という感想になるのですが、何が悪いかというと、恐らく存在したであろう“第1話でフォームチェンジをする”というノルマだと思います(^^;
ゴーストへの変身と怪人との戦闘をクライマックスの1回のみにまとめられれば、それほど悪くない第1話になったのではと思うのですが、フォームチェンジまでする都合上、戦闘を2回に分け、「死にたくない」から仮面ライダーゴーストになる、「戦う意思を持って」武蔵フォームになる、と分割してしまった為に、物語の流れと武蔵フォーム入手が巧く繋がりませんでした。
フォームチェンジ自体に新奇さがない以上、そのギミックに如何に物語上の意味を持たせるか、が重要なのですが、一応、敵ゴーストは宝蔵院と佐々木小次郎モチーフだったようですが物語としては絡みませんし、アイコンの霊体には特に個性はなく、アイコンの元となる英雄ゆかりのアイテムと主人公の関係も描く時間が足りなかった為、武蔵フォームの登場自体に大きな盛り上がりを生めず、結果として基本のラッパーファームと武蔵フォームの双方が食い潰し合う事に。
第2話で早くも次のフォームが出てくるようなので、玩具展開の都合と言ってしまえばそれまでですが、1話は仮面ライダーゴーストの基本アクションを、集中して格好良く見せる方向で良かったのでは。
今回見る限り、ゴーストのアクションの個性は空中浮揚になるようですが、これも戦闘を2分割してしまった為に当然それぞれに取れる時間が減り、インパクトが薄れてしまったように思えます。
また、特撮ヒーロー物の経験が薄い脚本家に“第1話でフォームチェンジまでする”というノルマは結構ハードル高かったのではないかと思うのですが、その結果、主人公の見せ方として「1話で2回、“初めての変身をする”」という屋上屋を重ねるような構造になってしまい、戦闘と一緒にクライマックスの盛り上がりも分割されてしまいました。
実質、説明シーンなど除いて2話分の内容を1話に圧縮しているといっていい作りなので、これは恐らく脚本家ではなくて、その上の人たちが悪い。
まあ、ころころフォームチェンジするのが基本で、ラッパーフォームはさしたる戦闘力が無い、という設定なのかもしれませんが。……それならそれで見せ方があるので、そう考えても不満。
ところで、フォームチェンジ時にゴーストが一旦のっぺらぼうになったのを見ると、郵便で送られてきたアイコンにはラッパーの魂が入っているようですが、ラッパーの偉人、て誰だ……? 或いはお父さんは、表の顔は寺の住職、裏の顔はゴーストバスター、二重生活でDJカズヒコを名乗っていたのか。
あ、馬っぽさのあるバイクのデザインは格好良かったです。
バイクの登場シーンは、凄く強引に挟み込まれていましたけど!(笑)
補完関係である敵を含め、肝心の仮面ライダーの見せ方に“『ゴースト』ならでは”という個性とインパクトが薄い為、どうにも新しい作品が始まったという高揚感に欠けるのですが、日常のドタバタパートは悪くない出来。主人公の両サイドに、オカルト坊主と理系幼なじみを置き、更にその周辺にサブキャラを散りばめる、という構造にする事で、各キャラクターの個性とポジションも巧く見せました。
「英雄ってさ、命を燃やして、生ききった人たちなんだよなぁ」
「残念ながら、命とは概念だから、燃えないわ。そもそも燃焼には、可燃性物質と酸素と温度が必要で……」
というのは特に面白かったです。残念ながら、この後は「非科学的」とか「私は信じない」連発で、全く面白くなくなってしまうのですが(^^; 一度凝った台詞を言わせたからには、どんなオカルト現象や修辞学的言い回しにも物理学の見地から理屈を並べるキャラクターを貫いてほしかった所で、詰めが甘い。
愛読書:世界偉人録
好きな人物:宮本武蔵
「俺も命を燃やして、武蔵のような強い男になるって、この、宮本武蔵の刀の鍔に誓ったんだ」と平気でのたまう主人公のやたら子供っぽい感じは少々引っかかりますが、日常のドタバタ描写のノリも含め、これは明確に、そういう路線という事か。
リアル18歳については何とも言えませんが、特にアニメや特撮ヒーロー作品の場合、10代の主要キャラクターは設定年齢よりも精神年齢が高めになる傾向がありますが、その観点で見ると、この主人公は、フィクション的には12歳ぐらいの精神。
メインキャラが揃いも揃って精神年齢14歳だった某『ブレイド』前半戦の悪夢が脳裏をよぎったりもするわけですが、『ブレイド』は表向き社会人なのに心は中学生、というギャップが物語として大問題だったのに対し、今作はハイティーンだけど心はさくらんぼ、というのを自覚的にやっているように見えるので、そこまで大惨事にはならないと思いたい。
ただこの主人公の子供っぽさは、「みんなの命を守る為に、俺は戦う」(それを、純粋に言えてしまう)という戦いの動機付けにも繋がっており、今後もいろいろな局面で“理由”として顔を出しそうで、描き方次第では致命的なダメージにもなりそうです。ピュア路線ならピュア路線で、しっかり腰を据えて描いてほしい。
動機付けといえば、基本的に主人公は、ゴーストバスターだった亡き父親を引きずっている、という設定で細かい理屈付けを省略しているのですが、この父は70年代だったらきっと、ド畜生なのだろうなぁ(笑) まあ現代でもド畜生な可能性はありますが。多分、あの謎の基地のどこかには、緊急時に再生される、どん引きビデオメッセージが仕込まれています。
あと主人公が、やたら独り言めいて自分の気持ちを説明するのは気になるので、これは改善していってほしい。
役柄に関係なく作品を食ってしまおうとするので、キャスティング発表の時点で警戒していた竹中直人ですが、思ったよりはマシだったかなぁ。何でもアリの万能飛び道具になってしまうので、スタッフも自制を効かせて使ってほしいです。さっそく同居始めたのが凄く不安ですが。
仙人がさらっと「仮面ライダーゴースト」と口にしていたのは、後から劇中定義づけをするのか、それともきっぱりしない、という宣言なのか。敢えて「仮面ライダー」という言霊を劇中に盛り込むなら、劇中定義づけをしてくれる方が好きなのですけれども。
とりあえず2話以降、幽体の主人公、死ぬほど痛いけど死なないゴースト、という辺りの今作ならではなという特性の部分を巧く押し出していってくれる事に期待したいです。