「聖なる泉涸れ果てし時、凄まじき戦士、雷の如く出で、太陽は、闇に、葬られん――」 (EPISODE23「不安」)
◆EPISODE23「不安」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
- ここまでの被害者総数1389人。
- 一生懸命呪文を唱えていたコウモリ、長野で何かを手に入れる。
- 碑文の解読中に気になるくだりを目にした桜子さん、椿の元へ。紅茶をごちそうしつつ、適当にモーションをかける椿だが、人が真剣な時に何考えてるんだこのすかぽんたんは的な扱いでさらっとかわされる。
- 凄い勢いで好感度ゲージが下がっている上に、致命的に選択肢をミスったみたいで、3時間前のセーブからやり直した方がいいゾ椿。
- 恐らく加減はしているのでしょうが、椿の、まるで最初から井上敏樹が造形したような井上脚本への馴染みぶり(笑)
- 集まる新たな未確認生命体。前回のバイクに続き、ホワイトボード係とグラサンが登場。最後に残ったメとして、ゴへの昇格をかけて高難度のゲゲルを始めるカマキリ。
- 前回「殺人ゲーム」という設定をハッキリさせた事で、ゲゲルのルールにわかりやすいインパクトが必要だったのでしょうが、香を焚きながら電車に乗り込み、一定時間を置いた後、その香りがついた人間を追跡して次々と殺害していく、というのは理不尽な恐怖と展開の面白さが重なって、ゲゲルのルーリングとして非常に秀逸。
- 通りすがりに標的を切断し、「振り向くな」と告げるというのも、ハッタリが効きました。殺害の象徴として子供の麦わら帽子が地面に落ち、赤い斑点の飛び散った母親と握り合った手のアップ、というのはここまででも非常にえぐい1カット。
- 難を言えば、鎌が大きすぎて、女優さんがいまひとつ綺麗に振れてないのが勿体ないですが(^^;
- そしてそのゲゲルの標的の一人となる桜子――物語の主要人物である事と全く関係なく、たまたま電車に乗り合わせた事で未確認に狙われる事になる、という展開は今作の本質にある理不尽な残酷さが炙り出され、お見事。
- クウガ、カマキリと交戦。折った鎌を拾ってタイタンソードにしてしまう(笑)
◆EPISODE24「強化」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
- 久々にゴウラムバイクが登場。
- バイクに轢かれてカマキリ逃走するが、ゴウラム、エネルギー切れる。
- 今作のちょっと弱い所の一つなのですが、基本クウガが自爆プログラムを打ち込んでグロンギ怪人を倒すというシステムの為、セキュリティレベルが高い怪人は必殺技を当てても倒せない、という状況が突然生じて、意味はわかるけど劇的な物語性が薄いのは勿体ない所。びりびり強化展開自体が、どうも強引ではあるのですが(^^;
- 一条は殺人の状況からゲームの特殊性に気付き、被害者の所持品を徹底的に調べる事である共通点の糸口を掴むと、その推測を固める為に動く、と、ありそうで余りなかった、聞き込みによる足を使った捜査シーン。
- カマキリのルールが判明し、危険を報せるニュースを目にした椿は、桜子が危ないのではないかと思い至り連絡。
- 桜子さんが標的になるのは前編から視聴者にはわかってはいるわけですが、ここでニュース報道→(ポレポレでワンクッション)→椿が気付く、というのが物語の波として実に効いています。地味な伏線を丁寧に積み上げていき、前編から散りばめていた登場人物の動きがクライマックスに集約されて盛り上がる、という鮮やかな構成で、合間にしっかりと聞き込みシーンを詰め込む所も含めて、井上敏樹のシンプルな“巧さ”がよく出た前後編。時に奇をてらいすぎたりコース外でアクセルを踏みすぎたりなどありますが、基本的に巧い。
- ただ結局すぐに桜子が襲われ、五代がその危機にヒーロー力でいきなり駆けつけるので、椿の警告自体はあまり役に立っていないのが惜しい所ですが(^^; 椿が桜子の居場所を聞く→一条経由で五代に連絡を回す、までやるとテンポが悪くなるという判断だったか。
- びりびりパワーで武装強化したクウガは、びりびりタイタンでカマキリを撃破。
- ラスト、勝利に安堵する五代・桜子・一条だが、背後で風の音が流れる中、笑みを消した桜子の表情で終わる、というのは面白い部分。
- まがりなりにもパワーアップ回である事と、物語当初からの桜子の不安を合わせて考えると、“「ヒーロー」としての強化”が必ずしも“「人間」としての幸福”に一致するとは限らない、という暗示が見て取れます。
- みのりが髪型を変えて(?)、ちょっと垢抜けた気がする。