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『百獣戦隊ガオレンジャー』感想33

一気に最終回まで。
◆Quest49「鬼洞窟マトリックス、閉じる」◆ (監督:舞原賢三 脚本:武上純希
心拍音をBGM代わりにして他の音を消し、全身包帯で苦痛に呻く仲間達の姿を思い詰めた様子で見つめるガオレッド、という印象的な入り。
「俺は……リーダー失格だな」
ここの真面目な顔は格好いい……というか、この路線で良かったのではレッド。
役者のいい表情をどの時期に引き出せてどう組み込めるのか、というのは作品の出来不出来にそれなりの影響を与えますが、今頃レッドの一番いい顔が見つかった気がします(^^;
3ハイネスが現れる時、今までにない3つの光の反応が見える事をテトムから聞いたレッドは、ハイネス打倒の手がかりを求めて単身そこへ向かう覚悟を決める。
「でも、レッドだって傷ついてるわ!」
「大丈夫。一つぐらい、リーダーらしい事やらなきゃな」
前回から急にリーダーの責任を強調するようになったレッドは天に向かって昇る謎の光を発見するが、出現した3ハイネスに追い詰められて、あっという間に崖から転落。……何しに出かけたのか(^^;
レッドが一人で飛び出してしまった事を知った5人は負傷を押して後を追いかけ、崖下に転がっていたレッドを発見。5人の呼びかけに目を覚ましたレッドは、みんなに夢を掴んでもらう為に早く戦いを終わらせたくて、少しでもリーダーらしい事をしたかったのだ、と謝罪する。
「そこまで自分たちの事考えて……」
そもそもこの“みんなの夢”が前回出てきた要素なのに加え、レッドが急に“リーダーの責任”を積極的に果たそうとしたり、身内に対して献身的になったりと、すべからく唐突。終わりが見えた戦いの後について各自が思いを馳せる、というそれ自体は悪くなかったのですが、あくまで補助的な要素であり、ここで物語を転がす軸に据えるのはいくら何でも強引に過ぎます(^^;
その頃、「ごめんね。僕の読みが甘かった」と、終戦宣言は見当違いだったと亀岩に現れるゴッド太郎。テトムが感知した3つの光の反応は、マトリックスに張られた結界を保持するエネルギー体であり、それらを破壊する事でマトリックスへ進入可能になる筈、と解説。レッドが見た光の柱が解決のヒントになるならまだしも、全く関係なくゴッドが全て説明してしまうので、リーダー決死の単独威力偵察は本当に無意味な蛮勇だった、というパーフェクトに台無し展開(^^;
一発逆転の本拠地強襲を目指し、エネルギー体を破壊する為に3手に分かれるガオレンジャーだが、当然その前にはハイネスデュークオルグが立ちはだかる。ここでシュテン、手が伸びるという新技を披露。
「立ち止まってる時間はねぇんだ!」
「夢に向かって突っ走れ!」
なんか急に、新しいテーマが入ってきました(笑)
赤黄vsシュテン、青黒vsラセツ、白銀vsウラ、という対決となり、各自が名乗りから変身し、3分割の画面で一斉に揃い踏み、というのはバラバラだけど一緒に戦っている、というのが出て良かったです。
だが、オルグ地獄からのエネルギーを受けた復活ハイネスの力は脅威そのもので、一方的に追い詰められる6人。
赤「しっかりしろ!」
黄「俺はいいから!」
赤「でも!」
黄「みんなの夢を、かなえるんだろリーダー!」
戦いに決着をつけ、それぞれの夢を掴む為――不屈の闘志で立ち上がるガオの戦士達……なのですが…………

銀:やる事ねーし、温泉巡りでもしようかなぁ……
白:温泉旅行、ついてっちゃう
黒:目指せ日本一のちゃんこ屋!
青:ついていきます社長!
黄:あ、俺、隊で葬式出てるかも……
赤:獣医師免許持ちなので、割となんとでもなる

と、ねばねば兄弟はともかく、前回から自覚的に夢から除外されている黄(MIA)、衝動アバンチュールな白銀、と最終コーナーで強引に取り付けた燃料タンクですら中の容量がてんでばらばらで、全体の推進力が全く足りていません。
特に割り振りの都合で急接近した白銀は、白は赤・青・銀と適当にフラグを重ね、銀はムラサキ本命の上でテトムと白に両天秤で粉をかけ、と腰の据わらない描き方を続けてきたツケで、注ぐ側から燃料ダダ漏れ
そして、まだしもゲスト女性キャラとの絡みがあった黒に対し、そんなものは皆無な上に白にも相手にされた例しのない黄色は、戸籍も無ければ、女っ気もない!
まあ7年経つまでは辛うじて死亡届は出されていないかもしれませんが、この終盤に、私の中で黄色に対する同情票がこんなに集まるなんて夢にも思いませんでした。
ドリームパワーを発揮した6人は結界の要を破壊し、解放されるマトリックス入り口。突入したテトムとゴッド太郎はオルグパワーの放出口を閉じる事に成功するが、何かを完成させたツエツエには逃げられてしまう。そして再びぶつかり合う、修羅百鬼剣vs破邪百獣剣。
「俺たちは、地球に生きるみんなの夢を守らなきゃならないんだ。どんなにお前達が強くても、負けるわけにはいかない!」
二つの剣が交錯し、至近距離大火薬祭の果て、どろどろに溶けて消滅する3ハイネス。遂にガオレンジャーオルグに勝ったのだ――と思われたその時、不気味な呪文と共に、ツエツエがおどろおどろしい卵のような呪具を掲げる。
オルグの秘宝、見るがいい」
赤・青・緑、のハイネスデュークオルグの体液が秘宝を中心に融合し、3ハイネスが合体。膨大なオルグパワーの塊である、1体のオルグが誕生する……!
何故か、ヤバイバの親戚みたいな顔で。


◆Quest50「百獣、死す」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
のっけから、「これは大変です」緊張感を破壊しにくるナレーションさん。
最後まで、ぶれない見事な仕事ぶり。
「我が名はセンキ。至高を超えた究極のハイネス。我こそは唯一絶対のオルグの王なり」
千年前に、同じくハイネスデュークオルグ達のエネルギーより生まれたオルグの王・百鬼丸を超える存在――すなわち千鬼は、ひとり修羅百鬼剣でガオレンジャーを蹴散らすと、ツエツエの杖を手に集めたオルグパワーで自ら巨大化。
ゴッド太郎はガオゴッドの姿になるとこれに立ち向かうが、当然、百鬼丸以下の雑魚扱いを受ける。しかしその時、今の自分なら千年の友と一緒に戦う事が出来る、とシルバーがガオハンター正義で参戦。
「「ダブルゴッドインパクト!!」」
だが、雑魚に雑魚をかけても雑魚なのであった。
ゴッドとハンターはまとめてセンキに一蹴され、砕け散るウルフ、アリゲーターハンマーヘッドの宝珠。亀岩が禁断のダイレクト体当たりでセンキをよろめかせた隙に全員を回収して一時離脱に成功するが、シルバーは変身能力を失い、力を使い果たしたゴッド太郎は消滅してしまう。
風太郎は死んだんじゃない!」
機能が一旦停止しただけだ!
……じゃなくて、
「そうよ。天から、私たちの戦いを、見続けてくれてるのよ」
子役に泣かせ演技させておけば盛り上がるだろう的なあれなのですが、とにかくゴッド太郎は、実はゴッドでした→人間とかゴミじゃね?→全部ドッキリでしたー♪→後は任せた→しれっと再登場→今までみたいに風太郎と呼べや、と存在と言動と行動が適当すぎる上に、作り手が物語の必然性ではなく、作品の都合でガオゴッドと風太郎を使い分けており、非常によろしくありません。
都合のいい時だけ風太郎にするのではなく、ゴッド人格を貫き通してくれた方が、まだ良かったような。その上でガオレンジャーが思わず風太郎として接してしまう、ならもう少しドラマになったと思うのですが、口を開いた途端にゴッドの方から強制してきたので、見事に台無し。
あまりにも美しい台無しぶりで、逆に凄い。
亀岩を追ってきたセンキが天空動物園に到着し、目覚めたファルコンと怪獣大決戦が始まるかと思われたが、ファルコン十八番の呪いの目玉が通用せず、カウンターの袈裟斬りでファルコンあっさり消滅。5人はガオマッスルを召喚し、《必殺・数の暴力》を発動すると鹿による精神攻撃から分身シュートでセンキを吹き飛ばすが、なんとセンキは核を中心に再生してしまう。マッスルチームとソウルバードも次々とセンキに屠られ、残った初期アニマルチームが自律型ガオキングとなって立ち向かうが、センキに敗れ去り、遂に、百獣全滅!
宝珠が完全に砕け散ったり、Gフォンも失って変身不能になるなど、描写の差別化は図っているのですが、パワーアニマル行動不能という展開そのものは2クール目にやってしまっているのが、クライマックスのインパクトとしては弱い所。
ガオレンジャーとパワーアニマルの関係性の変化や、絆の強化などが描かれていればまた物語としての意味が違ってくるのですが、その部分の積み重ねが足りない為、盛り上がりに欠けてしまいます。この、“ロボットのパーツを戦隊メンバーのパートナーとして交流を描いていく”路線は、03年『アバレンジャー』でも失敗し、00年代戦隊の集大成といえる08年『ゴーオンジャー』でようやく成功する事に。
全ての神体を失い、崩壊していくパワーアニマル教団の聖地・天空動物園。地上へ降り立ったセンキは、人類に宣戦布告する。
「人間ども。おまえ達は心の中の衝動のまま、星の自然を破壊し、物を作り上げ、文明などと呼んでいる。しかし今や人間の時代は終わった。これからは、オルグの時代。我らオルグが、おまえたちの衝動を吸い上げて、パワーとして、この星を、オルグの星となそう」
センキの放出する莫大なオルグパワーにより闇に包まれていく世界――果たしてガオの戦士達は、地球の命を救う事が出来るのか?!


◆Final Quest「百獣、吼える!!」◆ (監督:諸田敏 脚本:武上純希
街ではオルゲットが大暴れし、最後の武器として、ムラサキが遺した護り刀を手にしたガオレンジャーは、オルゲットを蹴散らしてセンキへと迫る。
激しい雨の中、生身で夜戦突撃のシーンは、気合いが入っていて格好良かったです。
「どんな小さな傷一つでも、奴の心の臓にぃ……!」
二段スクラムジャンプで飛んだレッドの一撃はセンキの体に突き刺さるも核にダメージを与えるには至らず、叩き伏せられるガオレンジャー
「こんな事じゃ負けねぇぇぇ!! 獅子走、俺は獣医だぁぁ!! 地球の命を守るんだぁ!!」
「走先生、わかったわ。たとえ、ガオレンジャーの姿になれなくても、あたしは、あたしはガオの戦士! 大河冴よ!」
「ぼ、僕は、鮫津海19歳!」
「自分は、自分は! 牛込草太郎です!」
「我が名は月麿……大神月麿だ」
「もう、色で呼び合う事もないか……俺は鷲尾岳。よろしくな」
結局最後まで引っ張った名前をここで公開するのですが、道中ずぶずぶだった上に、本当の名前を明かす事の意味が、劇中の何とも線で繋がっていないので、急に思い出したみたいな感じに。
初期の過去も名前も捨てた戦士路線、エピローグ近くの白の「やっと仲間になれたのに」発言などを見るに、やはり『ジェットマン』的な事をやりたかった節が見えるのですが、作風と噛み合わず上手く行きませんでした。


「「「「「「やる気満々だぜぇ!!!」」」」」」

絶望的な状況にくじける事なく、6人が心を一つにして叫んだその時――暗雲にぽっかりと穴が開き、地上に光が射し込む。
ナレーション「おやおや、どうした事でしょう。この光の玉は、なんなのでしょう」
最 後 ま で こ れ か。
「百獣の光……。ムラサキお祖母ちゃんから聞いた事があるわ。この世には、天空島に戻ってきてない者達を合わせて、百匹のパワーアニマル達が居るって」
ナレーション「そうなのです。ガオレンジャーの心が、世界に散らばっていた、この世の中のパワーアニマル全てに通じたのです」
次々と降り注ぐ光の玉――パワーアニマルはオルグパワーの暗雲を吹き飛ばしてオルゲットを消滅させ、ツエツエとヤバイバは逃走。乱舞する光球の中でセンキすらたじろぐ中、キングチーム&ウルフも蘇り、復活するガオレンジャー

「命ある所――正義の雄叫びあり!」
「「「「「「百獣戦隊ガオレンジャー!!」」」」」」

ガオレンジャーとパワーアニマル達の心が完全に一つになり、全方位を取り囲んだパワーアニマルによる、森羅万象・天地轟鳴・百獣アニマルハートがセンキに炸裂。前回、天空動物園のアニマル達はざくざくセンキに倒されているので、つまり勝利の鍵は圧倒的な物量です。戦いは数だよ神様!
「センキ、そして全てのオルグよ! 邪気・退散!」
百獣リンチで完全に片付けてしまわないで、最後に残った核を破邪百獣剣でガオラオ、とガオレンジャーに花を持たせたのは良かったです。
破邪の剣が核を両断した事でセンキは完全に消滅し、マトリックスも崩壊。逃げ込んだツエツエとヤバイバを飲み込んで、闇の底へ沈んで消えていく……ここに遂に、現代のオルグは完全に滅び去ったのであった!

物語の積み重ね不足のまま吼えると起こる奇跡・肝心な所で緊張感を木っ端みじんに破壊するナレーション・テトムが忘れていた事を思い出す・純粋にして至高なる数の暴力・心臓に突き刺した刀が急所になるのかと思ったら特にそんな事はない

一から十まで『ガオレンジャー』で、短所もここまで作風として貫かれると、いっそ凄い(笑)
「百獣戦隊」だからパワーアニマルは百匹存在する、というのはある程度の説得力がありましたし、話の規模が広がった点は良かったのですが、結局最後まで、“どうしてこの5人+1が人類代表なのか?”という点が補強されなかった為、地球の命が結集してくれる、という話の広がりに繋がりきらなかったのは残念。
今作は他の戦隊シリーズとの差異の一つとして、明らかに、パワーアニマルと連結できる5人+1が“人類代表”として描かれているのですが、その理由付けが「パワーアニマルに選ばれたから」という以上に書き込まれず、また肝心のパワーアニマルそのものが深く描かれない為に、ガオの戦士がパワーアニマル教団の狭いサークルの中で人類代表だと“思い込んでいる”ようにしか見えなくなってしまっており、本来この物語が指向していた地球規模のスケールと、上手く噛み合いませんでした。
ガオレンジャーには、別の価値観との対決、ないし外部からの肯定による正当性の補強が必要だったと思うのですが、それらが描かれなかった為、視野は狭いが気宇壮大・行動指針に疑問を持たない、という非常にカルト性の強い戦隊になってしまったと思います。
パワーアニマル達は再び世界中に散らばっていき、巫女であるテトムもまた、ガオズロックと共に眠りにつく事になる。一応、お伴を申し出るシルバー……ほんと、腰が据わらないな!
だがテトムは、シルバーは普通の人間だから無理、とそれを断り、メンバーのジャケットとGフォンを回収すると、月へ向けて飛び立っていくのであった……。
テトムは結局ヒロインとして攻めきれませんでしたが、別離を前にわざと他人行儀な口調になる、というのは感情が滲んでいて良かった所。
そしてエピローグ……
幸い死亡届はまだ出されていなかった孤高の鷲こと鷲尾岳は、墜落後逃走行方不明の汚名を背負いつつも、自衛隊に復帰。パイロット候補生として再び厳しい訓練の日々を送っていた。
武術学校で修練に励む麗しの白虎こと大河冴の元にはゲスト回で好演だった父が姿を見せ、「一年間よう気張りやした、麗しの白虎どの」と強烈なボールが飛んできて、若気の至りを黒歴史に葬り去っていた。
鮮烈の銀狼こと大神月麿は、21世紀の冷たい風を感じながら、渋谷の街の人混みに紛れて消えていく……。
鋼の猛牛こと牛込草太郎はちゃっかり19話に登場した詩織と付き合い始めたようで、夢の為に牧場で働いていた。……男の友情? 何それ、何の価値があるの?
ねばねば兄弟を解散した怒濤の鮫こと鮫津海は、プロボウラー、ではなく、何故か海岸でサーフボードを磨いていた。
そして灼熱の獅子こと獅子走は、獣医として動物病院に復帰。今日も動物とおばさま方に囲まれていた。そこへ運ばれてきた次の患者は、世話を忘れられがちだというインコ。その飼い主として顔を出したのは……鷲尾岳。
ナレーション「おやおや……戦いの物語は終わっても、別の物語が始まっているようです」
戦いが終わってメンバーそれぞれの新たな進路を描きつつ、人生は長く別に今生の別れというわけでなし、友達付き合い続いていてもいいよね、というのは嫌いではないのですが、なぜ! 赤と黄のシーンで! そのナレーション!!
二人にいったい、どんな物語が始まっているというのか?!
番組史上最大威力の爆弾を投下し、ここからエンディング。ガオレンジャー6人にテトムと風太郎を交え、皆でピクニック、というイメージ大団円で、最後はガオライオンに投げた卵焼きのアップでエンド。
描くべき別離は描いた上で、今作らしく陽性に締めました。各人の後日談エピローグは、それぞれ納得の行く形で良かったと思います。自衛隊の上官や牧場長など、過去ゲストではないけどそこそこ台詞があって絡む人たちは、スーツアクターの皆さんでしょうか。
良くも悪くもやる事は全部やった最終回で、好き嫌いとはまた別に、『ガオレンジャー』としては、まとまったと思います。全体的に最後までノリきれませんでしたが、商業的な成功で後のシリーズに大きな影響を与えつつ、今作から継承されたもの・継承されなかったもの、今作を踏まえて発展したもの、が見えたのは興味深かったです。
とにかく、ナレーションさんによる無慈悲な破壊活動は、継承されなくて本当に良かった。
後は何か付記する事があれば総括でまとめて。以上、『百獣戦隊ガオレンジャー』感想でした。