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『仮面ライダーゴースト』感想・第3話&第4話

◆第3話「必中!正義の弓矢!」◆ (監督:山口恭平 脚本:福田卓郎
まずい……面白くない通り越して、辛い……。
初対面でため口の変な服を着たわけのわからない年下の男にいきなり自分の重い過去を投げつける女

口を開いた瞬間それに共感を語る男
て、駄目だーーーーーーー!
……えーまあとにかく、“やらないといけない事”が多すぎて、細かい段取りを積み重ねている余裕が無いというのは端々から伝わってくるのですが、それにしても酷い。
話の運び方としては最低の部類で、あまり安易に重ねたくはないのですが、『ブレイド』前半戦に感じた怖気が、一瞬、よぎりました。
で、ギミック見せは仕方ないとしても、全体として明るい雰囲気を押し出したいのかドタバタシーンが非常に本筋の尺を圧迫しているのですが、パイロット版では探り探りの所もあった、仙人、御成、アカリのギアをそれぞれ上げた結果、全員が鬱陶しくて面倒くさい。
この辺りのバランスは物語の進行と作り手の慣れによって修正されていく部分ではありますが、掴みとしては、キャラ配置と造形は大失敗。
せめて御成とアカリの対比関係がもう少し巧く噛み合えばいいのですが、アカリの実証主義はあまりに中途半端で「単なる頭が固くて声が大きい人」にしかなっていませんし、机の上に見つけた小瓶を中身も確かめずに投入してみるなど、全くもって科学の人でもありません。
子供番組とはいっても一応、御成と対応するポジションのわけですから、もう少し科学の人らしく描いていただきたい所。
そして変なデータと仙人の助力により謎の薬品が完成し、
「出来たの! ゴーストが見えるようになる装置!」
……というのは結局、認める事にしたのか。
この後の展開を見るに、態度のはっきりしないまま、なし崩しに眼魔の存在とその引き起こす怪現象を受け入れる方向になっており、もはやアカリの存在意義がよくわかりません。別にタケルに対して特殊効果を発動するわけでもなく。
で、ドタバタコメディを押し出したいのなら、本筋もドタバタにするという方向もあったと思うのですが(根っこのテーマが重くてもやろうと思えば可能だと思います)、本筋だけ妙にシリアスな事をやりたがるので、非常に噛み合わせが悪い事に。
それでも、コメディとシリアスを繋ぐ要素や工夫があれば良いのですが、そういうものがほぼ一切無く、パートの切り替えをタケルのリアクションだけに頼っているのに対し、天空寺タケルというキャラクターの強度がまだそこまでに至っていないので、物語全体がぐにゃぐにゃとした印象になってしまっています。
また、タケルが唐突に正義の正論を語る理由付けを、性格がピュアハートという所に置いており、それ自体は構わないのですが、主人公がピュアハートである事と、それが相手に伝わるかどうか、というのは全く別の要素であるにも関わらず、主人公のピュアハートが相手に伝わった描写が日常においてもクライマックスにおいても完全に欠落している為、タケルが相手を唐突にぞんざいに扱う人&相手と唐突に心が通じ合う人になっているのが、非常に致命的。
「わかっただろ。見えない力は正義なんかじゃない」
……すみません、全然わかりません。
更に今回、何の伏線にもならない犯人の回想シーン(父の死)を映像にしておきながら、犯人のジャーナリストとしての挫折が一切具体的に描かれない為、犯人の言動に厚みが一切生まれず、それに対してタケルがこれまた厚みのない正論をぶつけるので、クライマックスのやり取りがぺらっぺらに上滑り。
挙げ句にタケルが犯人を抱きしめると、リスク無しにゴーストが生じるという、意味不明な展開。
や、なんか、特殊能力なのでしょうが、眼魔の目的(人間をそそのかしておかしくさせ、命を奪ってゴーストを生じさせる)に対抗する主人公の能力なのですから、そこに物語の焦点を合わせて下さい。
ただでさえ眼魔の目的周りの説明が急なのに加えて、主人公が突然、極めて都合のいい特殊能力を発動する為、全てが雑な感じに。
今のところスタートダッシュどころか、発射台が倒れて斜め下に突き進んでいるみたいな。
後これはどこの誰の責任か判然としないのですが、クライマックスのCM前に「この後、意外な人物が眼魔の弱点発見?!」みたいなアホテロップが入り、1分後に御成が弱点を見つけるという奈落の底みたいな構成は、どうしてあんな事になったのか。


◆第4話「驚愕!空の城!」◆ (監督:山口恭平 脚本:福田卓郎
見所は、髭の中年を躊躇無く抱きしめる主人公。
若い女性だけでは無かった、これは偉かった!
美女も中年も命の差別をしない主人公、という表現としては良かったと思います。その後おじさんが、「本当は信長は残酷ではなかったんだ!」とか叫び出すので、遠い目になってしまいますが……。
3話と同じパターンで来たのでこれが今作のフォーマットになるのかと思われますが、この構造の場合、今回の被害者の命を救いたいというタケルの感情に視聴者を共感させるのが肝要であり、まず描くべきは、まともだった頃の社長の姿や、依頼者である社員との信頼関係――それを取り戻したいと思うタケルの姿、だと思われるですが、一切皆無。
見るからに共感要素の薄い小太りの依頼者をギャグっぽく描いている場合ではないと思うのですが、表向きの面白そうな感じに引きずられて、肝心の部分を全く映像にせず雑に台詞だけで済ませて、視聴者の為の共感の種が全く播かれない中、タケルが「この人も信長が好きなんだ!」でスパークするという、4話にして安定してきた視聴者置き去り展開。
で、必要な事は描かないのに、御成とアカリのドタバタなどには尺を割くので、何ともちぐはぐ。
大体、何が悪いかの中心点が見えてきましたが、“純粋で共感力の高い”天空寺タケルという主人公の設定に話の進行が寄りかかりすぎて、劇中の出来事に「タケルだけが共感」してしまっており、視聴者を共感させる為の描写がことごとく欠落しています。
せめてタケルの「偉人・英雄好き」という設定が、日常シーンの言動や行動でもう少し肉付けされていればいいのですが、現在のところ物語を進行する為の道具にしかなっておらず、そこも前向きに物語を受け入れるフックになっていません。
で、本来そういう肉付けに使うべき時間を、仙人の悪ふざけと御成&アカリのドタバタで潰してしまっているという、非常な悪循環。
そしてこれはもう一つの根幹設定である「ゴースト」にも言え、タケルがゴーストであるという部分が、便利な潜入スキル程度の扱いしかされない為、肝心のタイムリミットがまるで真に迫りません。
これならホント、迫り来る死のタイムリミットも鷹揚に受け入れるC調キャラのドタバタコメディとかの方が良かったような。その癖、唐突にタケルが「命」に対してシリアスになるので、作品世界が非常に不安定。
ギミック見せのノルマが厳しいという事情はあるにしても、全体的に、やるべき事を無視して悪ふざけしている、という印象は強くならざるを得ません。
そのギミックの方ですが、剣・剣・銃・弓という謎の被りに加え、近接攻撃な敵にロビンフッドになって苦戦するなど、タケルの使い分けの基準がとんちんかんな為、もう一つ盛り上がりません。前回で言えば、バリアの穴をピンポイントで貫く為に弓矢、とかならわかるのですが、そういう戦闘の流れが一切なし。アクションの動きなど見てもタケルは“戦いに慣れていない”という設定のようなので、戦闘の不器用さはそれを言い訳にするのでしょうが、そもそも“戦いに慣れていない主人公”と“頻繁なフォームチェンジ”の相性がコンセプト段階で悪いような。
この辺り、当然同じ事をやるわけにはいかないのですが、“主人公が戦いに慣れていない”からこそイマジンの力を借りる必然性が生まれ、フォームチェンジによる戦闘のスタイルでキャラクターの個性を見せる、という『仮面ライダー電王』のコンセプトは実に巧かったな、と思う所。
今回唯一良かったのは、信長ゴーストを入手するか、街を救うかで、余計な事を言わずに街を守る選択をした事。変な台詞を入れずに、行動でヒーローを示したのは良かったです。
そして早くも新ライダーが出てきましたが、ここまでデザイン被りで、今後ちゃんと差別化できるのか……。
現状、今作に期待できそうなのが構成の妙でしかないので、次回どう転がしてくるのかを、一応待ちたいと思います。
色々と問題の多い仙人はどうやらコスプレ路線で行くみたいですが、もう既に我慢できないレベルで鬱陶しいなー(^^; これを面白がれないと今作を楽しめない、というのは個人的に非常にハードル高い。
更に、劇中での説明不足&話の都合を全て仙人に集約するという、誰が見ても安易な悪手を用いている為、鬱陶しさがうなぎ登り。ユルセン含め、ご都合キャラの使い方が余りに酷いのですが、キャスティングで誤魔化すという段階を現時点で越えている気が。まあ、主要な市場にウケるのならば、それはそれで良いのですが、いきなり「仙人なりきり写真コンテスト」とか展開しているけど、巨大な不発弾にならないか不安です。