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はじめての『プリキュア』感想28

◆『GO!プリンセスプリキュア』#36◆
久々登場のわたるお兄様の操縦するクルーザーで、海藤家の巨大母艦へ向かうプリキュアご一行。道中さりげなく、みなみ様の貴重な友達のイルカがゆいちゃん(前回、呼ばれなかった)に説明されているのが、涙を誘います。
「みなみさんのご両親に会えるなんて、嬉しいです!」
と頬を赤らめるはるかは、みなみ様のご両親に、いったい何をご挨拶するつもりなのか(待て)
そして、クルーザーには何故かカナタ様が同乗しており、今ここに、イケメンお兄様頂上決戦が勃発する!
さんざん引っ張られたみなみ両親は割とさらっと登場し、妹との熱々ぶりを見せつける、わたるお兄様。
「可愛い妹の為なら、いつでも駆けつけますよ」
わたるお兄様はイケメンポイントを1獲得した!
一方、みなみ両親からの挨拶に、完璧に一礼してみせるカナタ様。
「この度はお招きいただき、ありがとうございます」
カナタ様はイケメンポイントを1獲得した!
序盤から激しいラリーの応酬!!
はるか「こんな素敵な家族、初めて見たよ」
きらら「凄いセレブオーラ……」
母はトップモデル、父は国際的超有名俳優のハイブリッド娘が、何か申しております。和菓子屋の本格派ド庶民は挨拶を噛むという自爆覚悟の滑り芸で、お母様から「ほほほ、これだから労働者階級の娘は何をするわからなくて面白いわね」的な好感度を得る事に成功。やはり、革命するしかないのか!
「あなたが海藤グループに入る事を望んでくれる。こんな嬉しい事はないわ」
そんなお母様とみなみ様のやりとりで、はるか達がやってきた豪華客船は、どうやらみなみ様の本格的な経営参画前のご挨拶、という事が判明。空き時間に豪華客船を楽しんでいた一行は、北風あすかという獣医と知り合い、彼女が仕事をしている水族館に誘われる。
「僕が、君のお父様達に伝えておこう。行っておいで」
カナタ様はイケメンポイントを1獲得した!
パーティーの準備を考えて渋るみなみを「みなみ様と一緒じゃなきゃイ・ヤ」みたいな感じで強引に誘ったのに、みなみ様そっちのけで水族館そのものに夢中な籠絡系主人公はるかと他の3人だが、みなみは魚介類よりも、その生き物たちを細かく観察する、あすかの仕事ぶりに興味を引かれる。
「とても、やりがいのある仕事ですね」
「興味ある?」
「え?」
「みなみちゃんも、どう?」
あすかが、メインキャラ内では年上ポジションのお姉様キャラであるみなみ様に「ちゃん」付けで接し、身内以外でみなみ様を子供扱いする初めてのキャラ、というのはこの後に効果的に繋がってくる部分。
舞台は変わって、みなみ様の財界お披露目パーティー
しれっと白いタキシードを着こなすカナタ様はイケメンポイントを1獲得した!
ばっちり黒いタキシードで決めるわたるお兄様はイケメンポイントを1獲得した!
みなみは会場であすかと再会し、あすかが実は、海藤グループがスカウトをかけるほど高名な世界的海洋学者であった事を知る。研究への援助には心を揺らされる、と冗談めかしながらも、海藤グループからの誘いをきっぱりと断るあすか。
「自分の心に、忠実でありたいので」
「自分の、心……?」
「会社の中で力を尽くすのも立派な仕事だけど、でも、そういう中にいると、いろんな事に縛られて、自分の夢を見失ってしまう事があるから」
「夢……」
「私は、海を知りたい。何にも囚われず、自分の目で見て、自分の心と体で、感じたい。だから、いつでも大海原へ飛び込めるように――自由でありたいの」
お父様も認める能力を持った者(高貴なる者)が、その責務の果たし方に対し自分とは違う価値観を持っている事を知り、衝撃を受けるみなみ様。
これまで、「家」というものを軸に物事を捉えていたみなみ様が、「海」を通じて知り合ったフリーダムな人に別の物の見方をぶつけられる事で、遂にその立ち位置を揺らされる、というのは面白いですが、あすかさんはあすかさんで、恐らく一種の無敵超人であり、影響を受けたら駄目な人、の予感がひしひしと(笑)
まあ、みなみ様もみなみ様で天然ハイスペックなノブレスオブリージュの人なので、お互い同じ波長を感じているのかもしれませんが。
その後、パーティーを辞したあすかからストップとフリーズによってイワトビペンギンゼツボーグが生み出されてしまい、立ち向かうプリキュア
「先に逃げなさい。私には、この船を守る、義務がある」
お父様はイケメンポイントを1獲得した!
「貴様、何者だ!」
お父様はイケメンポイントを1獲得した!
巨大なペンギンの化け物に正面から問いかけるお父様が格好良すぎます(笑) プリンセスプリキュアの存在に真っ向から疑問を呈すのもかなり珍しく、さすが、世界に冠たる大実業家は精神力が常人とは桁違い。
ペンギン魚雷からお父様を守ったマーメイドは、海に投げ飛ばされたゼツボーグに追いすがり、主戦力であるフローラ、防御力の高いトゥインクル、派手に爆破するスカーレット、と比べると、若干戦闘における活躍度の低いイメージがある中、得意フィールドの海中で、魚雷より早く動く! というのは格好良かったです。
「この船には、みんなの幸せを願う、お父様とお母様の夢が詰まっている! 決して壊させはしないわ!」
基本的には、“誰かの夢を守る為に戦う”プリンセスプリキュアのテーゼなのですが、今回のエピソードの内容を考えると、みなみ様が海藤グループに入る事を喜んでいる母親の夢を守るという行為には、誰かの夢を守る事が、自分の夢を狭めるならば?という問いかけを含んでいるようで、結構きついボール。
マーメイドは海属性を最大限に活かして実質1人でペンギンゼツボーグのHPバーを赤くし、最後はプリキュアコバック。あすかを絶望の檻から解放する。
「無事で良かった……」
あすかを抱きしめるマーメイドの視線が海へ向けられ、夕焼けを照り返すキラキラした海面と「私は、海を知りたい」と言うあすかのキラキラした瞳が重ねられつつも、それはどこか不安定さを思わせる黄昏の風の中で描かれ、心ここにあらず、というマーメイドの表情からカメラを海の方に流してブラックアウト、という演出は、マーメイドに生じる揺らぎを描きつつ、しかし、それを単純に全肯定するわけでもないというバランスで良かったです。
そして事態が一段落し、沈みきった夕陽の朱がわずかに海面に残る海を背景に、甲板で言葉をかわす、みなみとあすか。
「またお会いできて嬉しかったです」
「あたしも。実は、あなたにもう一度会いたかったから、パーティに来たんだ」
「え?」
「海や、海の生き物たちに惹かれてしまう。知りたいと思う。なんていうか、ちょっと、似てる気がして……あたしと。だから、もし、その気があるなら、いつか、あたしと一緒に…………」
強張って握られる、みなみの拳に気付くあすか。
「……なーんて、ちょっと思ったんだけど。海藤グループで、家族と一緒に働く。それが、あなたの夢なんだよね」
わずかに、虚を突かれたような表情になるみなみ。
「……はい」
「素敵。立派な夢だ。そのドレスも、よく似合ってる」
「ありがとうございます」
「じゃ、行くね」
「はい。ご機嫌よう、あすかさん」
「ふふっ」
2人が背中合わせで反対方向に歩き出す姿がロングのカットで強調され、しかし、しばらく歩いて、みなみはあすかの背を振り返って見つめる――……。
ところで終わり、盛大に事故った第16話以降、今作にとって鬼門になっていたみなみ様の家族と夢テーマを再浮上させつつ、大きく修正。


「第一、私は生徒会長が大変なんて思った事もないのよ。私のお父様とお兄様は、私よりずっと凄くて、会社でたくさん立派な仕事をしているわ。私はいつか、2人のような大人になりたい。その為には、このぐらいの仕事はこなせないと駄目なの」
「それが、みなみさんの夢ですか?」
「夢……? …………そうね」
(第6話)
元来みなみ様は、身近な存在(父と兄)への憧れと、大会社の経営者ファミリーという生まれ育った環境から、基準が自己よりも「家」にあり、更に“仕事をする”と“多くの人の役に立つ”が等号で結ばれているのを目にして育った事で、能力ある者の責務として他者の役に立つ、というのが“当たり前の事”として処理されている為、面と向かって「それが『夢』なのか?」と聞かれると返答に間があるという、初期3人の中では、「自分の目標を本当に『夢』と呼んでいいのかわからない」というテーマ性を有したキャラクターでした。
ところが第16話で、みなみの思想の前提であり基準となっている「家」との関係を掘り下げず、今、当然の義務だと思っているものは「夢」なのか? という重要な部分を見つめないまま、父と兄への憧れ→お兄様大好き→家族への愛、と安易に昇華してしまい、更に一切積み重ねの無かった、動物と自然が大好き→海への愛、という要素を付け加えて、
みなみの夢=家族への愛+海への愛(そして海は海藤家と関係が深い)
で、本来どれもこれも別々の話の気がするけど愛だからOK、という形で強引にまとめてしまい、みなみに関するそれまでの積み重ねを無視し、全く積み重ねていなかった新要素を足して今作の最重要キーワードである「夢」に繋げてしまうという大事故が発生。
その為、他のプリンセスに比べて、本人−夢−家族の関係性が非常に雑な扱いのまま、なし崩し的に「夢」を抱えて進行してしまっていたのですが、今回、家族への愛と、海への愛を、一度分解する事で、みなみの夢を問い直す、という凄まじい力技を発動。
第16話をまとめる為に持ち出してしまった海と生き物への愛を今更なかった事にするわけにもいかないので、今回、「海」に関係の深いキャラクターを出す事で、みなみと「海」の関係を深めて劇中における地位を逆に補強して引き上げ、第16話ではお兄様を触媒に家族への愛と海への愛を一緒くたにして夢だと思い込んでしまった(思い込ませてしまった)けど、それは本当に一緒のものなのか? と問う事で、融合していたものを分解して今度は対比に使い、計算式の解答であった、みなみの夢そのものを解体してしまう、という、ウルトラC。
「海藤グループで、家族と一緒に働く。それが、あなたの夢なんだよね」
と言われたみなみの返答に間が空くのは、明らかに、第6話を意識してやり直していると思われますし。
面白いのは、大事故だった第16話の脚本が成田良美で、今回もその成田良美という事で、ある意味、自分の不始末の責任を自分でつけているといえます(^^;
基本的には力技もいいところなのですが、このまま、海藤グループの為に働きます、というのがみなみ様の「夢」として一件落着、というのは納得しがたい所があったので、ギリギリ修正を入れてきてくれたのは良かったです。
逆に、あっさりと自分の本当にやりたい夢を見つけました! とみなみ様が転向する展開にならなかったもバランスを守った所。
ラストシーンで、「ご機嫌よう、あすかさん」の時点では既に表面装甲を取り戻しているみなみに対してあすかが微笑み、遠ざかる2人の姿がロングのカットで強調されたのが非常に良かったので、このままお互い振り返らない、というのも一つの美しさで良いかと思ったのですが、最後の最後でみなみ様が振り返ったので、この要素はもう一回扱いそうでしょうか。定例ラストカットのドレスアップキーが斜めに一つだけ、というのも暗示的ですし(あすかも今作あまりないメジャー声優のゲスト起用ですし)。
ただ個人的には、第16話の流れのまま「家族と海への愛がみなみ様の夢」という事にはしてほしくない、という部分が回避され、みなみ様にとっての夢とは何か、という部分に揺らぎを突きつけてくれたので、このまま投げ飛ばす形で終わってもそれはそれで有りか、と思います。
逆に、もう一度この要素を扱って、みなみが「自分の夢」を見いだすという展開を描くとすると、新たな事故を引き起こす、という可能性も結構あると思いますし(^^;
もう一つ言うと、今作の主題からいってそういう展開にはならないと思いますが、必ずしも「夢」を絶対化しないで、自分の揺らぎを認めた上でなお、夢より責務を取るみなみ様、というのはそれはそれで格好良いと思うのです。だから、最後にお互い振り返らないまま道は分かれて終わる、というのも美しかったかな、とは思ってみたり。
まあ、「そのドレスも、よく似合ってる」のドレスが、みなみ母が今回のパーティの為にあつらえさせた物=親から与えられた物を暗示している以上、物語の針はそこからの脱皮に振れそうですし、今作の作風を考えれば、子の道を縛る親、という絵図はなさそうですが、上手い着地に期待したい所です。
……と見せかけて、そこからむしろ、「私はこのドレスにふさわしい女になる」という展開もこうなると少し期待していますが(笑) 本来あった筈の惑いが突然無かった事にされてしまったのが引っかかっていたのであって、海藤グループの一員として働く事自体が「夢」でも全く悪くはなく、みなみ様が自分の「夢」とは何かをしっかり掴んでくれれば、その答はどれでもいいわけで。
色々と上手く仕込まれたエピソードでしたが、せっかくカナタ様をやや強引に同行させたのだから、みなみとわたる――海藤家の家族――の姿に複雑な思いを抱くトワ、といったような描写は欲しかった所。実際、カナタはわたると対比する意図もあったと思うのですが、それが特に活かされなかったのは残念だった部分。
なお、イケメンお兄様頂上決戦は、
カナタ様:3ポイント
わたるお兄様:2ポイント
お父様:2ポイント
で、終盤のお父様の猛追を振り切り、カナタ様が見事に王子パワーを見せつけました。いずれ、ホープキングダム国王も交えて、異世界交流イケメンチャンピオンシップの開催が待たれます。