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『ブルースワット』感想1

◆Volume1「ビギニング!!」◆ (監督:辻理 脚本:宮下隼一)
雑踏の映像を握り潰すかのように重なる怪物の手――がマニキュアを塗った女のそれに変わり、怪物の瞳、口、と不気味さを煽る映像から、ヒーローがサイレンの音で出動し、バラード調の主題歌が流れ出す、というOP。
とりあえず前年の主人公(ジャンパーソン)が最初から最後まで最強だったので、今作のヒーロー達の装甲が薄そうなのが、無駄に気になります(笑)
ブルースワットの文字が分かれて、ブルーバックに、シンプルに表示されるサブタイトル。
OP明け、どろどろしたゲル状の生命体に中年男性が体を乗っ取られるシーンから始まり、その男が支店長を務める銀行を訪れる、やたら恰幅のいい髭眼鏡。男は支店長に融資に関する相談を持ちかけるのだが、同時刻、銀行強盗が発生。金を手に入れるも、逃走用の車も用意していなかった間抜けな銀行強盗達は、警察に包囲されて行内に取って返すと、役員室に立てこもって2人と女性行員を人質に取ってしまう!
……どうして、同じ建物の中で強盗事件が発生しているのに、支店長に連絡が行っていないのか(^^;
開始1分で、悪い意味でツッコミどころが多すぎます。
その事件の報道をバックに、どこかで装備を固める姿が部分的に映されるという演出で出撃したヒーロー2名は、アドバルーンに身を隠すと銀行の屋上に降り立ち、二手に分かれて窓と通風口から同時に突入……と、忍者+特殊部隊のハイブリッドアクション。
強盗を制圧した2人は何故か人質の意識も失わせるが、突然、気絶した支店長の体に異変が起こり、中から出現する謎の宇宙生物! 実は彼らの目的は最初から支店長に憑依したエイリアンであり、髭眼鏡も先行して調査任務に当たっていたもう1人の隊員の変装だったのである。
立てこもり事件の解決にやってきた特殊部隊と見せかけて、最初から別の目的を持っていた、というのは面白いひねりなのですが、ヘルメット+ボディアーマーという装備の主人公達、のっぺりしたデザインのエイリアン、おまけに狭い室内、と対決の構図が物凄く地味。
銃撃で薬莢が飛ぶ描写、心臓の鼓動を狙ってくるというエイリアンの習性への言及、敵の弱点を確認して狙う戦法、と作品の方向性を示していて特徴は出ているのですが、どうにも絵が地味。
ウィークポイントへの同時攻撃でエイリアンを倒した3人は速やかに撤収し、本部の隠れ蓑である城南地質学研究所へと帰還する。彼らの正体は、人間の体を乗っ取って社会に潜伏しながら密かに地球征服を目論むエイリアンに対抗する為、警察にも存在を隠された対エイリアンの秘密組織、ブルースワット
なお今回のエイリアンは銀行の偉い人に取り憑く事で、支店長決済で業務上横領をしていた!
「50億! エイリアン達の活動資金ですか」
「そう。地球を乗っ取る為には、それだけの資金が必要だという事です」
……く、ク○イム……?!
エイリアンに憑依された人物がどこに紛れているかわからない為、これまで限定された作戦行動を余儀なくされていたブルースワットだが、遂に上層部(便利用語)が重い腰を上げ、本格的活動を開始する事に。だがその矢先、基地内部に突如エイリアンが現れ、3人の上司である主任が体を乗っ取られてしまう。
エイリアン主任が二丁マシンガンを構えて問答無用で司令室のメンバーを皆殺しにする、というのは、キレていて面白かったです。
「ショウ、サラ、シグ、俺ごと撃て! 命令だ、撃ってくれぇ!」
駆けつけた主人公達を前に、わずかに正気を取り戻した主任は叫ぶが、何故かずーーーーーっとサングラスをかけている3人、
無言で完全無視。
「…………地球を、人類を守ってくれ」
仕方が無いので主任は自ら心臓に銃を向け、壮絶な自死を遂げる…………ヒーロー3人が本当に無言で銃を構えているだけで、サングラスをかけている為に表情も全くわからないまま、主任だけが覚悟を見せて散る、という歴史遺産認定しても良さそうな大惨事シーン。
何が大惨事って、無言だけならまだしも、ヒーロー3人がサングラスをかけっぱなしの為、無言+無表情で一切の感情が示されない事。
ここに限らず、どういうわけかボディアーマー着用時以外、基本的にずっと3人がサングラスをかけていて表情がわからないという意味不明な演出で、何か深い事情があったに違いないと祈りたくなるぐらい。
基地に戻ってきたシーンでは、3人+主任が、全員サングラスのまま延々と会話しており、激しく頭痛が。
もしかして:サングラスかけている間は、JACの人。
倒れた主任の体からまたも地味なデザインのエイリアンが出現し、苦戦している間に、仕掛けられた爆弾で基地は大爆発。
一方その頃、ブルースワットを盗聴していた謎の男の上司である女社長が、これまた地味なインベーダーに体を奪われていた。
この盗聴男は2話以降への引きでしょうし、何か凄い天才とかなのかもしれませんが、警察にも秘密の極秘組織が一民間人に逐一動静を把握されているという、物凄い台無し感(^^; ……まあ同時に、「あの地球人ども最近ちょっと調子に乗ってね?」といきなりエイリアンの直接襲撃を受けて基地を壊滅させられるわけだ、という説得力は生じてしまっていますが。
場面切り替わると、突然の東京タワー。都心に現れたエイリアンを囲み、バイクで襲いかかるブルースワット
ここからマシンと装備を次々と見せてのブルースワットのターンになるのですが、シグとか思いっきり車に投げつけられてフロントガラスに頭ぶつけて大の字に伸びていた上でその車が別の車に叩きつけられて皆を巻き込んで大爆発、というシーンでカット切れていたのに、全く何事も無かったかのように戦闘に参加していて、早くも、この人はサイボーグではないか疑惑が。
苦戦からいきなりヒーロー逆襲に切り替わる、というのは大なり小なり割とありますが、一旦現状どんな人か全くわからない女社長の乗っ取られシーンを間に挟み、更にわざわざランドマークを強調して戦場を飛ばしてしまった為に、盛り上がりの流れが完全に断ち切られてしまい、物凄く唐突な印象が増してしまいました。
これが、どこともしれない採石場とかならまだ良かったのですが、Aパートの秘密の戦いに対して、白昼堂々街の真ん中にエイリアン出現を強調したからには何か物語として意味があるのかと思ったら全くないままブルースワット一斉攻撃が始まってしまう為、見ていて置き去りにされたままクライマックスバトルに強制移行で、物語の流れもズタズタに。
ステルスモードになったエイリアンに対し、シグが指揮車に乗り込んで敵をサーチ、場所を伝えて他の2人が反撃、などは面白い事は面白いのですが、メンバーの1人がおもむろに戦場を離脱して車に乗り込む、という流れには今ひとつ盛り上がりは生じません(^^; シグは更に火炎放射器を持ち出して援護射撃し、トドメはミサイルランチャでビクトリー!
……どうしても、死の商人「これが対戦車ロケットランチャーだ!!」とヒーローに向けてミサイルぶち込んでくる『ウインスペクター』を思い出します(笑)
特殊車両から次々と武器を取り出して手数で勝負のチームバトル、というコンセプトはわかるのですが、上述したようにクライマックス手前で物語の流れが無残に分裂してしまった事と、敵味方のデザインの問題が加わり、とにかく地味。
地味なりに物語の精緻さで勝負する、などすれば別の面白さも生じますが、開始早々の事故に始まり、あまりそういった魅力を押し出せているとは言いづらく(^^;
ショウが撃墜マークをヘルメットに貼り付けるのは洒落ていて良いのですが、銀行のはカウントされていないのか。
そして3人はバイクで走り去り、To be Continued...
えー……
地球は狙われている・人間の体を乗っ取ったエイリアンは既に社会の様々な場所に潜伏している・そんなエイリアンを極秘に刈る秘密組織がブルースワット
という基本設定に加え、
軽薄で金にうるさい元スポーツ大会荒しのショウ・本場ロス市警のSWAT部隊に所属していた過去を持つ元エリート刑事のサラ・堅苦しく丁寧語で話す元国連で色々やっていたというシグ
のヒーロー3人の個性も描き、必要な要素はだいたい入った第1話で、スタートとしてはむしろわかりやすくまとまっていると言っていい内容の筈なのですが、出来上がったものは事故感満載。
メタルヒーロー>シリーズ過去5年で、小西通雄〔18/12/18/14/14〕・三ツ村鐵治〔8/12/13/16/16〕・簑輪雅夫〔0/0/2/15/16〕と、メイン演出陣が固定化してきていたので、空気を変える意味もあっての『ジライヤ』(1988)以来の辻理監督の登板かとも思われる所ですが、サングラスを中心に、どうも空回りした感じに。
ショウがちょことまかと基地の女性隊員をナンパしている、とかは良かったのですけど。
前年リセットの要素もあってインパクト重視が基本になる第1話という事で、シリーズ枠としてここ数年無かった要素である不気味な宇宙怪物を押し出したのかと思われるのですが、とにかくそのデザインが地味かつ面白みがなく、強盗事件の現場に突入して宇宙人の業務上横領を止めるヒーロー達と相まって、右も左もさすがに地味になりすぎました。
物語の入り口がわからないまま、3重の窓ガラス越しに、細かい字でびっしり書かれたモノトーンのマニュアルを眺めている感じ。
まあ次回、「エイリアン軍団の総攻撃・最強最大のエイリアン・戦場は今修羅場」とか煽っているので、宇宙エイリアン軍団は第2話にしてフォージャスティスされる可能性もありますが!
もう一つのインパクトであった基地爆破ですが、東映ヒーローに限っても3年前の『ジェットマン』が第1話で基地爆破やっていますし、けっこうな頻度で前年の終盤に基地爆破があるので、リアルタイム視聴者にとっては2ヶ月連続だったりする都合上、実のところ「基地爆破」イベントそのものに、あまり強いインパクトは無いのでは疑惑。故にそこにどんなドラマを乗せるのかが鍵になるのですが、ドラマが無視されるという恐らく史上稀に見る大惨事。
そんなクールな奴等が地球を守る熱い心を手に入れていく……という物語ではなさそうだしなぁ(^^; 本当は5話ぐらいまで引っ張ってから基地爆破、というのが一番ショッキングなのでしょうが、そういうのはキャスティングなどの都合上、やりにくいのか。
とりあえず第1話の印象としては、何を思い出すかといえば『ジバン』を思い出す、滅多打ちの立ち上がりですが、扇澤脚本を目当てに出来る限り見守ろうと思います。メタルヒーローシリーズという括りで考えると、実のところあまりパイロット版のアベレージが高いシリーズ枠ではないですし(鼓舞)。