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『ブルースワット』感想9

◆Volume11「イエスタディ・・・」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:浅香晶)
悪夢にうなされて跳ね起きるサラ……起きた瞬間に装着したままのホルスターから拳銃を抜くし、ベッドには偽装でぬいぐるみを寝かせて本人はソファの陰で寝ているし、ロサンゼルスはどこまで危険地帯なのか。
サラ、常に用心を怠らないプロフェッショナルというより、明らかに、もはや普通にベッドで寝られない人、わかりやすい?所で例えると『フルメタル・パニック』(著・賀東招二)の相良宗介みたいな、一般社会に適合できない戦闘機械になっているのですが、ロス市警は戦争しすぎです。
2年後――東京。
朝から射撃訓練に勤しむサラの姿に「サラはああして一日一回はぶっぱなさいと気が済まないんだぜ。本当は、ただのガンジャンキー……」とショウが軽口を飛ばすのですが、多分、笑い事ではない。
サラが射撃訓練に使っていた古い拳銃に目を止めるシグ。
「こういう稼業長く続けてると、手放せない銃の一丁も出てくるのよ」
ロス市警は、内戦で人を撃ちすぎです。
「いや、戦士にはそういう銃の一丁ぐらいあるものです」
混ぜっ返すショウに対して、シグも変な宇宙銃を取り出す。それは、スワット銃の原型になった、スペーススワット仕様のビームガンであった。そこへ突然、ブルースワットの秘密回線に送り込まれてくる挑戦状。送り主の名はTRー99。世界中で要人暗殺を繰り返す国際的テロリストにして、サラがエイリアンの存在を知るきっかけとなった仇敵であった。
2年前、サラの所属していたチームはテロリストTR−99を追い詰めるが、反撃を受けて壊滅状態に陥る。サラ自身は、TR−99に憑依していたエイリアンに殺されそうになった所を同僚のジョンに助けられ、ジョンは自爆特攻でエイリアンもろとも爆死。ただ一人生き残ったサラはジョンの形見の銃を手にロス市警を退職する事になるが、TR−99とエイリアンは死んでいなかったのだ!
以前に明かされたサラの「戦う事が虚しくなって放浪していた」という背景があんまりだと思われたのか、矛盾をきたさない範囲で設定が盛られましたが、全部まとめて回想シーンでどさっと見せてしまう為、キャラクターを掘り下げたというよりも、露骨に設定を追加しましたといった具合に(^^;
また、冒頭の悪夢にうなされて跳ね起きるシーンは“2年前のサラ”の筈で、2年後の東京で急に古い銃を持ち出す(シグが、初めて気付いたという反応をしている)理由に繋がらないのですが、そこで時制を分断する必要はあったのか。恐らく、サラの少々狂った起床シーンを描くに際して、ロス時代の家にしないと広さが不自然という演出の都合だったのかと思うのですが、無駄に話の流れを悪くした気がします。
そんなサラの背景云々はまだいいとして、今回最大の問題は、ブルースワットの秘密回線がエイリアンテロリストに知られている事。
スペースマフィアの指揮系統は恐らくセル組織型で、内部の功績争いでもあるのか、縦はともかく横のセル同士の情報交換は全く為されていないようですが、それにしても、これはアウト。暗殺エイリアンという役割を考えても命令なしで単独行動しているとは考えにくいですし、根本的に、都合良く秘密回線を知った暗殺エイリアンが単独で戦いを挑んでくるという成り行きがエイリアン視点で意味不明にすぎます。
ここまで来ると、スペースマフィア内部に敢えてブルースワットを泳がせている一派が居ると考える方が自然ですが、それはそれで、どうして情報を握りつぶしている一派が暗殺エイリアンを送り込んでくるのかわからず、この点があまりにもまずくて、ここから先の話全体に乗れなくなってしまいました(^^;
挑戦状に応え、TR−99と対峙するブルースワット。2年前にジョンの自爆特攻によって木っ端微塵にされたTR−99は、肉体をサイボーグ化して再生していた。
「殺人ビーム……もしかしておまえは、皆殺しのザイバー!」
ようやくエイリアンに個体名がつき、TR−99にインヴェードしているのもまた、凶悪無比の宇宙テロリストであった事が判明。しかもザイバーは、スペーススワットを全滅させた宇宙暗殺者であり、怒りのシグと突然の宇宙格闘開始。
「地球のテロリストにインヴェードして、次々と暗殺を繰り返していたのはやはりおまえか!」
つい先ほど「もしかしておまえは」とか言っていたのに、いきなり「やはりおまえ」に変わったり、そもそもTR−99(ザイバー)とサラ&シグが対決する事になったのは全くの偶然だったり、物語として因縁を付けたいのか付けなたくないのか、そしてバラバラになったTR−99の肉体をサイボーグ化して復活させたのは地球の技術なのかエイリアンの技術なのか、そこにTR−99の精神は残っているのか、それはもはや有機体ではなく無機物にインヴェードしているのではないか、と色々な要素がぐっちゃぐっちゃ(^^;
一つ一つの要素が整理されないまま“当然の事”のように進んでしまい、おまけにサラとシグの過去の因縁をいきなり一人の敵に集中した上で、その因縁は回想シーンでまとめて投げつけられるだけなので、こちらの整理が追いつきません。
トドメに、憑依を解いた後にTR−99ボディが独自にスワットに攻撃を仕掛けてくるのですが、それは元々のテロリスト魂で攻撃してきたのか、サイボーグだから遠隔操縦可能なのか、描写からさっぱりわかりません(^^; 後半の映像を見ると、憑依を解かれたTR−99には意識が無いようなのですが、そうするとそれはやり無機物にインヴェードしているのではないか。それが可能になると物語の基本条件が全然変わってくるわけなのですががが。
……といった具合で、とにかく全編ぐっちゃぐっちゃのどっろっどろ。
スワット銃の通用しないテロリストエイリアンの攻撃を受けて3人は吹き飛び、逃走するサラとシグ。瓦礫の下から自力で這い出したショウはセイジと合流し、ここでスワット銃の仕組みが唐突に解説され、銃を強化する事に。一方、逃走中の二人は過去のトラウマに震えるサラをシグがひたすら励まし、かつての戦友ジョンの言葉を思い出したサラは立ち直ると、トラップを仕掛けてテロエイリアンに痛手を与える事に成功。二人はそれぞれの思い出の銃を分解合成する事でテロエイリアンに対抗できる武器を作り上げ、「撃つんだサラぁ!!」と踏ん張りながら叫ぶシグさんが、超面白かったです。
サイボーグボディを破壊した二人は憑依を解いたエイリアンの反撃を受けるが、そこにショウとセイジが駆けつけ、セイジが改造した銃でザイバーを撃破。サラとシグは思い出の銃を失う事になったが、仇敵を倒す事で過去に決着を付け、明日を掴む為の新しい力を手に入れるのであった……。
今作らしく銃をキーアイテムに置き、思い出の銃を「過去」、新装備を「未来」になぞらえ、過去を乗り越える事を強化イベントに絡めて肯定的に描こうとした意図はわかるのですが、根本的に〔サラの過去の因縁・シグの過去の因縁・武器の強化イベント〕を一度にまとめてやろうとしたのが、大失敗。
諸事情あったのかもしれませんが、明らかに「物語」という入れ物に対して「要素」という具材がキャパシティオーバーしており、蓋の閉まらない弁当箱のような事になっております。その上更に、過去のトラウマが重ねて描写されるサラに対し表面上そういう様子は見せないシグとのバランスの悪さ、首をひねるテロエイリアンの設定など、各種味付けにも失敗しており、得体の知れない和洋折衷幕の内になってしまいました。……内容としては、残念以前の出来。
――次回、ヤツが帰ってきた!
「ショウと鳥羽、宿命のライバル、最終章!」
……て、100%、『エクシードラフト』の時の失敗パターンだーーーーー!
しかも、最初の一言で嫌な予感はしたけど、予想以上にばっちり予告で殺されるし(^^;
いや、見たら内容は面白い可能性はありますが、ありますが。歴史はかくも繰り返す、のか……?