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はじめての『プリキュア』感想32

◆『GO!プリンセスプリキュア』#41◆
久々の通常OP。気がつけば、空に浮かぶ人々が随分と増えていました。キミマロまで居るし。
見所は、さらっと一人レジスタンスに戻っているカナタ様。
ロイヤルキーの効果により、炎の城を通して、自由にホープキングダムに行き来できるようになっているとの事。
カナタ様が「調べたい事がある」と言う一方、ディスピアからは「我々にもう猶予は無い」という発言があり、何やら、ホープキングダムとディスダーク周りで、もう一ネタありそうな気配。
はるか達に背中を押されて絵画コンクールへの参加を決めたゆいだが、考えすぎるあまり、モチーフどころか画風から悩みだしてしまう。悩むゆいと対比する形で、久々にプリンセスレッスンしたり、夢へ向かって進む学園サブキャラ達が描かれたり、メンターとしての望月先生が登場したり、と前回に続いて諸要素を拾っていく展開。
周囲の無責任なキラキラした瞳とコンクールに感じる重圧から筆が止まってしまったゆいは、望月先生の青空絵画教室にばったり遭遇。
「絵、描くの好きなの?」
「大好き」
「どうして?」
「だって、楽しいんだもん!」
子供達の自由な絵に触れて、大切な事を思い出す。
「コンクールで入賞する事ばかり考えて、それで……大切な事が見えていなかった。忘れていたのかもしれません。絵を描く、楽しさを」
迷える者が見失っていた原点を見つめ直す、という非常にオーソドックスな話なのですが、そこにコンクール(評価される場)という関門を置く事で、「結果を出す」(夢を達成する)事は確かに大切だけど、その為に歩む道のりそのものにも価値がある、だからそこにある「楽しさ」、そして得られた幸せを忘れてはいけない、と第39話の転換と繋げて補強、物語としての厚みを加えました。
再び筆を取るゆいだが、そこに現れるストップとフリーズ。子供達をかばったゆいは絶望の檻に閉じ込められてしまう(通算3度目)が、夢を守りたいと願う想いで強く抵抗……したせいで、やけに強いゼツボーグが生まれてしまったのでは(笑)
「ゆいちゃんの夢は!」
「「「「私たちが守る!」」」」
ゆいボーグガンマに立ち向かうプリキュア達の姿に、自分が描きたいものを見つけ出すゆい。
「私の、描きたいものは……私にしか描けない、強く、優しく、美しい、プリキュアの姿……! ……出なきゃ! ここから!」
ここでやたらヒロイックな音楽で絶望の檻を内側から破ろうとするゆいの図は、いいシーン通り越して変な笑いがこみ上げてしまいました(笑)
「ゆいちゃん……?」「意識が?!」
そしてフローラとマーメイドが、ちょっと引いた。
「出てみせる! 私は描かなきゃ、いけないの!!」
そうだそれが、正しい作家魂だ!!
絶望の檻に閉じ込められた被害者の心象という珍しい描写(初?)を入れる事で、外で戦うプリキュアと内側で戦うゆいの姿を対比。
プリキュアは確かに夢を守るヒーローだけど、夢をかなえる為には一方的に支えられたり守られているだけではいけない、人は迷ったり悩んだり立ち止まったり躓いたりくじけたりするけれど、夢の為に必要なのは自分で立ち上がろうとする事なのだと、プリキュアでも無ければ「笑おう」イズムの体現者でもない一般人のゆいを通して描き、これがはるかだと結局「主人公だから」に着地してしまうので、そうではない事に意味があるゆいの位置づけも巧く収まりました。
同時に、あくまで内と外の双方があってゼツボーグを撃破する事で、ヒーローの意味と、転んだ時に手を伸ばしてくれる存在(今回でいえば望月先生も入る)の大切さも描いており、「自ら立ち上がろうとする事」と「誰かに支えてもらっているという事」の今作の両輪がうまく盛り込まれています。
「自分にしか描けない物語を描いて、夢の力と、夢を守る事の大切さを、伝えたい……」
解放されたゆいのイメージシーンで、プリンセスプリキュアの4人が後ろ姿、というのはちょっと面白いと思った所。フローラが振り返って微笑みますし、単純にゆいの立ち位置なのかもしれませんが、何となく今作は、旅立ちと別れを匂わせている感はあります。
まあ、肝心のフローラどこに旅立つんだ、というのはあるのですが。
現実的にはカナタ様に嫁入りするのが名実ともにプリンセスになるベターな手段かと思われますが、この世界ではるかの夢のプリンセスになろうとすると、行き着く先は「通りすがりのプリンセスプリキュア」な気がするのですが……まあ、それはそれで、はるからしいか。
個人的には、ゆいのモノローグで綴られる10年後の七瀬ゆい先生サイン会エピローグとか見てみたかったりもしますけど。
子供達を避難させた後に助けを呼んで戻ってきた望月先生がやってくるが、既にプリキュア達は退散済み。
「もしかしたら、噂の、プリンセスかもしれませんね」
「噂?」
「夢を守って戦うプリンセスが居るという噂が、生徒達の間であるんですよ」
今作の世界観でプリキュアと一般人を絡めるとややこしい事になるのですが、今回敢えて望月先生と会話をさせた上でプリキュア都市伝説に振ってきたのは、最終盤への布石でしょうか。あと、何かと素っ頓狂でホープキングダムの存在ぐらい知っていそうだった望月先生の疑惑払拭の意図もあるか。
ちなみに望月先生が連れてきた“助け”が、白銀さんとテニスのコーチと男性もう一人なのですが、白銀さんはニンジャなのでゼツボーグと互角に渡り合えるのです。
その後、コンクールで佳作を取ったゆいの絵を目にする望月先生、でエンド。
ゆいを中心に学園関係をひとさらいし、「夢を目指す少年少女達の集まる学舎」という今作の土台を再確認。……正直、学園関係はもう一つ活かし切れなかったかなと思う所ですが、こだわりすぎるとそれはそれで“わざとらしく”なりすぎてしまったかもしれず、今となってはこれはこれで良かったのかな、と、第39話に到達してくれたので、割と全てに寛容な気持ちになっています(笑) 今回の感じだと、最後の最後でもう一度、スプリングボードに使いそうですし。
あと、前々回:凄かった、前回:けっこう頑張った、でこれから最終盤に向けてどこで作画の一休みを作るのかと思ったら、ゆい回が綺麗に挟まり、ゆいちゃん、色々な意味でナイスサポーター。