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『ブルースワット』感想13

◆Volume16「激突!! 暗殺カー」◆ (監督:小西通雄 脚本:小林靖子
……いつの間にかサブタイトルのパターンが変わっている事に今回気付きましたが、第14話(「極悪スター誕生」)からか。第14話からエイリアンがコミカルに喋るようになったりもしましたが、第13話のスミレ参戦とムッシュ覚醒を節目に、明確に、路線修正なのですね……(^^;
セイジを荷物持ちに買い物に興じるサラとスミレ……やはり皆、個人単位ではお金を持っている疑惑(除くショウ)。
ところが、警察に追われるケチな詐欺師の原田の逃走劇に巻き込まれ、サラが人質にされてしまう。更に、逃走用に通りがかった運転手を引きずり下ろして乗り込んだ車の中には、エイリアンの高性能爆薬が!
「相手はあのサラだぜ。酷い目にあってるとしたら犯人の方だろ」
「冷たい! 心配じゃないんだ!」
「心配なのは、むしろ警察」
慌てて事務所に戻ってきたスミレに対し、平然とした様子のショウとシグは、サラが警察に保護されたり、逆に犯人を制圧してマスコミ沙汰になったら、自分たちの身元が割れて爆弾犯として逮捕されてしまう、もとい、ブルースワットの存在を敵に知られてしまう事を危惧していた。
「無駄な心配はしない。それがプロです」
確かにサラ、沈黙の○○みたいな扱いだと思われるのですが、今作ここまでの描写が描写だけに、信頼、というより、ドライに見え、スミレの怒りが正しい気がして困ります(笑)
一方、拳銃を突きつけられて逃走車を運転していたサラは、某国大統領来日の関係で都内に張り巡らされていた警察の検問を強引に突破。
「私も警察とはお友達になりたくないのよ」
サラがあっさりと人質になった理由をショウとシグの推測通りに今作の根幹設定と繋げ、ここからひたすら、サラ格好いい話。拳銃を握る男相手に、終始目が据わっているのがいい味を出しています(笑) ロス時代は、物陰から急に手榴弾を投げつけられたり、週に3回はスナイパーライフルで狙撃されるのが当たり前だったから!
そんなサラの前に、車を返せ、とエイリアンおじさんが現れ、何とかそれを振り切ったサラは車に積まれていた鞄の中に爆薬が収められているのを発見。警察無線を傍受してショウとシグに逃走車の情報を伝えていたセイジが車の持ち主を調べ、おじさんは帝都ホテルの支配人だと判明する。エイリアンの狙いは、大統領爆殺による停戦条約の締結妨害だったのだ!
と、それぞれの分業も確立。
今回、綺麗にメンバーの作業分担がされているのですが、少なくとも、宮下・扇澤・曽田・鷺山の4人にそれが書けないとは思えず、虎の子の新人脚本家の為に、今回は妙な全員集合縛りを外してもらったのでは、とか考えてしまいます(^^;
「あのね、もう人質ごっこをやってる暇はないの」
既に立場逆転気味だった粋がっているチンピラから、あっさりと拳銃を奪い取るサラ、はアクション的にも格好良く決まりました。仲間との合流を図るサラだが……ショウとシグは、検問にぶつかってていた(笑)
ここをきっちり拾ったのはとても良かった所。
ショウとシグが検問を迂回している内に、再びエイリアンの襲撃を受けるサラ。屋根ダイブしたり轢かれたり走行中の車のドアに掴まったりと、今回はカーアクションで大奮闘……エイリアンが(笑) 1エピソードの中で、これだけ怪人役がカースタントを決めるのも珍しいような。この辺り、今作のエイリアンが着ぐるみというよりスーツに近い比較的シンプルな構造なのを活かした展開。
装備も無く原田をかばいながらの戦いで、奮戦虚しく爆弾を奪われてしまったサラは、事務所へ連絡。装備を運んでもらって、改めてホテルで合流する事に。
セイジ「ガバナーじゃ検問に引っかかるから、スミレちゃんお願い」
スミレの意味も作った!
連絡を受けたショウとセイジも、車を諦めてメットを抱えて自分の足でホテルまで走る事に(ショウが妙に嫌そうなのは、アーマーがちゃんと重いという設定なのか(笑))。
……どっちにしろ、検問には引っかかりそうな格好だけどな!
「あんた怖くねえのか! 殺されるかもしれねえのによ!」
「――怖いわ。泣き出したいぐらい」
エイリアンに驚愕する原田の言葉に、表情は変えぬまま返すサラがまた格好良く、サラは今回、非常にいい話が回ってきました。
「……代わるよ。俺が運転してやる。さあ!」
負傷をおして車に乗り込むサラの姿に、運転を買って出る原田。
ここ、いいシーンなのですが、ショウとセイジがマラソンを決意する所から流れ出すマーチ風の音楽が場面と非常に合ってなくて、毎度の小西演出です(^^;
サラを乗せて車を走らせる原田だが、警察の網にかかってしまい、覚悟して車を止める。
「ここからならホテルまで走れる。行けよ! サツの狙いは俺だけだ。……俺よ、ガキん時から、切羽詰まるとすぐ腰抜けちまう根性無しでよ、それを、ツッパって誤魔化してきたんだ。けど……自分から逃げてたって始まんねえや。あんた見てそう思った。だから行けよ。強がってんじゃない。俺、本気でやり直そうって思ってんだ。本気であんたを行かせたいんだ! 行け。行くんだ! ……行くんだ!!」
虚勢を張って拳銃を握り、でっかい事をしてやるんだ、と粋がっていた男が、ここで地球の為に(自分が思っている以上に)本当にでっかい事をやる。毎年のようにちんぴら役で登場している気がする若き日の小山力也が、熱演でクライマックス前を引き締めました。
原田は警察に捕まるが、ホテルへと走る3人、サラの装備を運ぶスミレ……支配人エイリアンは鞄を手にホテルへ到着してしまうが、地下駐車場でその前に立ちはだかるスワット1号と3号!
逃走したエイリアンの透明化からの触手攻撃に武器を落としてピンチになる二人だったが、そこにスワット2号の銃弾が炸裂。
「私が居ないと駄目ね、二人とも」
「うわぁ言ってくれんじゃねえの!」
3人揃ったブルースワットは見事にエイリアンを撃破し、爆弾の回収に成功。
(ツッパリくん、やり直せるわ、きっと)
サラは心の中で、間接的に地球の、少なくとも戦争に苦しむ二つの国の苦難を救う事になった原田にエールを送るのであった。
シグ「今回は我々ではなく、人間がエイリアンに勝ったともいえますね。戦争をやめるという事で」
ショウ「おまえその台詞、俺が今決めようとしてたのによ!」
セイジ「早いもん勝ちでしょ」
スミレ「早いもん勝ち……?」
サラ「バーゲン!!」
停戦条約の締結を知って喜ぶ事務所、忘れていた大事なミッションを思い出した女二人が飛び出していったのを呆然と見送る男三人、でエンド。
今作の設定上の問題点(死んだ事になっている筈だけど何だかあやふやとかスミレの扱いとか)をしっかり取り上げてシナリオに組み込み、冒頭から必要な伏線もさりげなく盛り込んで、エピソードの重要ギミック(大統領来日と停戦条約)から派生した事柄(検問)を全編に活用、秘密の戦いを知ったゲストキャラがそれによって得た「変化」が物語に影響を与えてヒーローを勝利に導き、冒頭と繋げた笑いでラストを締める、と完成度の高いシナリオで、今回は面白かったです。
これは小林靖子が、さすがの片鱗を見せてお見事でした。
デビュー3本目でこれだけ書ければ、それは外されそうになった時に現場が誤魔化してでもかばうわけです(※後に東映サイドからの体制変更があった際、鷺山京子名義の小林靖子脚本回があったりするとの事)。
プロット自体は、前回参加した第10話と同じく、人間の犯罪事件にブルースワットとエイリアンが巻き込まれる、というものなのですが、この辺りやはり《レスキューポリス》フォロワーの部分なのか。
次回、なんだかまた、不安を誘う予告(^^;