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『仮面ライダーストロンガー』感想8

◆第11話「カメレオーン! 悪魔のフィルム!?」◆ (監督:山崎大助 脚本:伊上勝
…………いや、まあ、その、なんだ……もはやあらすじを書く事に疑問を感じる領域で破綻している事ってありますよね?
来日したアラブ某国王(演:大月ウルフ)とその王女の命を狙うブラックサタンの奇械人カメレオンだが、城茂の妨害を受け失敗。すごすごと逃げ帰り、開始3分にして始まるタイタンのお説教。
「申し訳、ありません。今度の作戦は、失敗です」
割り切り早すぎるぞこの怪人(笑)
「今一度国王に近づいて、殺せ!」
「しかし、厳重な警戒をどうやって国王に近づきます?」
なんでそんな弱気なんだ(笑)
だがタイタンは、間抜けな部下が役に立たない時の事を考えて、既に次善の策を用意していた。その指示に従い、カメレオンは執拗に映画監督への憑依を目論む。
どうして映画監督に憑依しようとしていたのか? というと、最終的に、冒頭で茂が国王父娘を助けた際、離ればなれになってしまい捜索中の王女らしき姿が撮影したフィルムに映っているので確認してほしい、と国王の下へフィルムを持ち込む為なのですが、フィルムを渡すシーンで特に映画監督だから信用されるという要素が皆無な為、本編の70%程度の意味が虚数空間に飲み込まれました。
そもそも茂が国王を助けた際、王女と離ればなれになってしまった、というのが全く強調されないので、いきなり王女が映画撮影の現場を一人でフラフラしているというシーンのスペース演出ぶりが物凄いのですが、再びカメレオンを蹴散らしてそれを保護した茂が「今は危ないからお父さんの元へ戻ってはいけない」と王女を藤兵衛に預ける為、状況はカオスを通り越して真っ白な無に。
「城茂、貴様の為に、目的の途中で死んでいった仲間の仇を、討ってやる!」
「なにぃ〜。冗談言うない。そうそう仇を取られたんじゃ、こっちの命が幾つあっても足りねえやい」
という殺伐とした会話は面白かったですが(^^;
そんなこんなで整理不能の紆余曲折の末、タイタンに一杯食わされたストロンガーが「恐るべき相手だ……さすが、ブラックサタンの大幹部」と急な強敵アピールを行い、上映されたフィルムの中からカメレオン奇械人が出現して国王の命を狙うが、すんでの所で駆けつけたストロンガーと戦闘に。
これまでの戦いから、全属性無効ないし抵抗持ちだと思われたストロンガーに《毒液目つぶし》が有効が事が判明し、
「しめたーっ!」
快哉を叫んだ怪人は、ストロンガーを挑発してビルの屋上から落とそうとする(笑)
だが後一歩の所で失敗に終わり、電キックで吹っ飛ばされて爆死。……根本的な所では、ビルから落ちたぐらいでは死なないと思うのですが、それ。
ちなみユリ子/タックルは、話の流れと全く関係ない所でブラックサタン戦闘員と戦っていたが、ラストに出てきたので、何とか勝利を収めたようでありました。戦闘員には勝てるぞタックル!
最後に、部下の頭が悪すぎて駄目です、と報告するタイタンに対し、ブラックサタン最強の奇械人が生まれつつあるので待て、と首領が告げ、不穏な気配を漂わせて続く…………………………不安しかない。
脚本・撮影・編集、の全ての段階で30%ずつ酷くしたら90%酷いものが完成しました、みたいな酸鼻極まる出来で、ここまで来ると、ラッシュフィルムの時点で誰も止められないほどスケジュールが切羽詰まっていたのだろうか、と思いたくなります。


◆第12話「決闘! ストロンガーの墓場!?」◆ (監督:山崎大助 脚本:伊上勝
公園でブラックサタンの危険性を訴える老人を見て同情するユリ子だが、もしかしたら罠かもしれない、とクールな態度で様子を伺う茂。ところがそこへ、悪の秘密結社の存在を知るとテンションの上がる男、立花藤兵衛が通りすがってしまう。
「その通りだ!」と老人と一緒に盛り上がるが、今度は老人が「ブラックサタンに殺された」と言っていた息子が現れて、老人を家に連れ帰っていく。首をひねりながらも、上がったテンションの収まらない藤兵衛は一人で演説を続行しようとするが、そこへやってくる怪しげな救急隊員。
「みなさん、お騒がせしてすみません。この人は精神病院から脱け出してきたんです」
「馬鹿な事言うな! ……そうか、貴様達ブラックサタンの奴等だな!」
リアルすぎてヤバい(笑)
藤兵衛はそのまま救急車で連れて行かれてしまうが、救急隊員達は案の定ブラックサタンの戦闘員で、それを止める城茂。
「貴様は城茂!」
戦闘員は覚えている辺り、ますます、奇械人への改造手術にともなう脳の一部への深刻な影響が懸念されるので科学班は再来週までにレポートをまとめて総務課まで提出するように。
「オヤジさん逃げろ!」
と救急車の中の手を引くと、出てきたのはなんとタイタンおじさんという絵は非常に面白かったです。そしてハンカチで手をぬぐうおじさん(笑)
タイタンの口から、ユリ子が追った老人の息子はブラックサタン最強のクモ奇械人だと知らされる茂。
「クモ奇械人にとっては、相手が違うんで不足だろう」
「なんだと? ユリ子だって電波人間タックルだ。そうむざむざやられてたまるか」
そこは、信頼しなくていい(笑)
ストロンガーとタイタンの戦いが始まるが、悪の秘密結社の幹部を目撃してテンションが限界値を突破した藤兵衛、タイタンに背後からの組み付きを敢行。
「ストロンガー、早く行け! タックルを助けろ! 俺は死んでもいい!」
テンション上がりすぎです。
急ぎタックルの元へ向かう茂だが、時既に遅く、タックルはクモ奇械人に敗北していた。クモ男の後を追った茂は墓地に誘き出され、用意されたストロンガーの墓に対して「その墓を見ろ」と言われて思わず見たところを。背後から襲撃を受ける。……最強の奇械人、いきなりの小物臭全開。
クモ奇械人のデザインは、中身の入ったメインの腕から、その下についた左右2本ずつの腕にヒモが繋がっており、メインの腕を動かすとそれに合わせて計4本の腕が動く事でクモ脚を表現しつつ、そのヒモに蜘蛛の巣の意匠を組み込んでおり、秀逸といえば秀逸なのですが、間抜けといえば実に間抜け。
“最強の奇械人”という触れ込みでなければ、これはこれで有りだったとは思うのですが(笑)
クモ奇械人は、冒頭でタイタンのパイロキネシスを防いでみせた蜘蛛の巣ガードを用いるが、あっさりと電ショックでダメージを受ける(笑)
ブラックサタンは本気で、地方統一モードからやり直した方がいいと思うのですが。
そこへ現れたタイタン怪人が、ユリ子と藤兵衛を人質にしている事を告げるとクモを引きずって退却し、今回もサポートが大変そうです。
「口ほどにもない。なにがブラックサタン最強の奇械人だ」
毒づくタイタンだが首領命令で強化手術を行い、今度こそクモとストロンガーに決着をつけさせるべく、茂を埠頭の貨物船へと誘い込む。そこではクモ奇械人が、輸出される食料に毒ガスを注入するという作戦を行っており、ガス装置を起動させてデッキへ出るクモだが、なぎ倒されている戦闘員を見てまあビックリ☆
「やられてる?! い、いったい誰が」
……貨物船におびき出すって言ったでしょう。
相変わらず奇械人の電子頭脳はメモリが不足しすぎですが、タイタンもタイタンで、どうして大事な作戦実行中の貨物船を誘導ポイントに設定したのか。そしてそもそもクモ怪人を“最強”と自慢げに語っていたのは首領その人という所から始まり、もう何度書いたかわかりませんが、駄目すぎるぞこの組織。
ガス装置を破壊し、ユリ子と藤兵衛を救出したストロンガーは、クモ奇械人と激突。「パワーが倍になっている」とか言った割に、苦戦したのは5秒ぐらい(笑) タックルは戦闘員を相手に藤兵衛を連れて戦闘する事により、一般人より遙かに強い事をアピール。演出努力の方向が後ろ向きすぎる上に、露骨に比較対象にされた藤兵衛がまたコメディに寄り過ぎてしまい、互いにとってあまり良くない形になった気がします(^^;
一方、本日もはめ技と名高い弱キック連打でクモ奇械人を追い詰めるストロンガー。
「ストロンガー、上がってこい!」
「よーし」
高い所から挑発されたので、おもむろに辺りを見回すと、「エレクトロ・ファイアー!」で電流を流し、落ちてきた所に電キック。クモ奇械人は哀れ海の藻屑となって大爆死するのであった。
ホント容赦ないよこの人。
「パワーを2倍に上げてもストロンガーは倒せなかった。……奇械人をもっと強化せねば」
頭脳をな!
前回よりはマシでしたが、わざわざ引っ張った“最強の奇械人”が案の定すぎるというか、もはや案の定すぎて予想外レベルでしたが、あまりに弱すぎて何の盛り上がりも生まれませんでした。タイタンおじさんと茂との会話で「今回の奇械人はものが違うからタックルが危ない」みたいなニュアンスがあるのですが、タックルが奇械人に勝てないのは平常運行ですし。11−12話と今作初参加の監督でしたが、急に呼ばれてこれまでの本編を一切見ずに急遽1週間で2話撮影したのではないかぐらいの勢い(^^;
次回、おじさんラストバトル?