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『ブルースワット』感想16

◆Volume21「突撃爺ちゃん魂」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
うーん……扇澤さんが冴えないなぁ。元々3回に1回ぐらい大暴投する人ではありますが、何だか今作では嫌らしい部分だけが押し出されていて、それを覆う面白さが見えません。
まあ、宮下さん以外の脚本陣は、参加する度に設定と作風が変わっている事にやや戸惑っている感じはあるのですが……(^^;
なんだかすっかり、悪の組織のアジトみたいな場所にいるザジが宇宙から凶悪な戦闘モンスターを呼び寄せ、功を焦った下っ端エイリアン4人が独断でブルースワットのアジトを探り出そうとして老人にインヴェード。シグがそれを見破ってアジトの秘密は守られるが、送っていった老人が家で邪険な扱いをされるのを見かねて、ショウがしばらく事務所で預かる、と言ってしまう……。
息子夫婦が物凄く嫌な感じで、老人に同情を集める描写なのですが、その老人は老人で事務所に厄介になるやスミレのお尻を触ったりしてしまうので、好感度が氷点下に。約20年前という事もあり軽いギャグのつもりだったのかもしれませんが、この時点で、老人への好感の持ちようが無くなり、見ていて非常に辛い事に(^^;
下っ端エイリアン撃破に役立って調子に乗る老人だが、次の敵は凶悪な宇宙モンスター。ショウ達は断固として老人の同行を拒否し、激戦の末、なんとかモンスターを撃破。厳しい態度を貫いたショウだが、メットを外すと額には老人の書いた「必勝」のハチマキを巻いていた――というのはメット外しの演出を巧く活かして悪くなかったのですが、とにかく老人の印象が悪いので、これといって嬉しくなりません。
また、前半の下っ端エイリアン3体、後半のモンスターとの戦いの両方が、挑戦状が来る→それらしい場所に移動する、と何の工夫も差別化もなく雑に戦闘に突入してしまい、非常に盛り上がりに欠けてしまいました。
息子夫婦はただ嫌な感じに出てきただけでその後は一切関わりませんし、脚本・演出ともにパッとせず。良い所を探すとすると、ショウの気のいい兄ちゃん度が上がったぐらいか。ショウは、気のいい兄ちゃん路線を行くなら行くで、しっかりやってほしいですが(^^;


◆Volume22「シグよ さらば!?」◆ (監督:小西通雄 脚本:小林靖子
かつてスペースマフィアによって母星を征服された宇宙人が、地球人には無害だがエイリアンには猛毒となる宇宙植物J−3000を地球へと持ち込む。100年に一度だけ雌花が開く今ならば、地球上でJ−3000の繁殖が可能である事をシグに告げ、息絶える宇宙人。J−3000を繁殖させれば地球からスペースマフィアを撃退できるが、それは同時に、シグが地球に居られなくなる事を意味する。ショウとサラは、地球人だけが助かって、シグを一人でスペースマフィアとの戦いに放り出すわけにはいかないと繁殖に反対し、揉めている内にシグが誤って雄花の毒花粉を吸い込んでしまう。
ショウとサラはその中和剤となる雌花を手に入れる為に、宇宙人が残した発信器の元へ向かうが……宇宙人が冒頭でJ−3000を植え、そこに発信器を据え付けた理由が今ひとつわからなかったのですが、シグに受信装置を託そうとしていたので、繁殖作業をシグにして欲しかったのでしょうか……?
地球到着時から瀕死の重傷とかだったらまあわかるのですが、花を植えた後でマフィアエイリアンの攻撃を受けているので(追跡は受けていましたが)、演出の解釈が少しズレてしまったのか(^^;
一方、マフィアもJ−3000の繁殖を阻止するべく動きだし、六角が鋭敏聴覚エイリアンを連れて発信器を辿り、その回収を任された地球人の傭兵コンビが現場でブルースワットと衝突。
どうしてこの傭兵達は、巨大なキネを持っているのだろう、と思ったら、火炎放射器の先端でした(笑)
雄花は人間でなくては回収できない、という設定を使ってアクションシーンに変化をつけようとしているのですが、ブルースワットを見た六角が現場判断で作戦を変更して聴覚エイリアンが正体を現すと、傭兵コンビはすぐに逃げ出してしまう為、もう一つ広がりませんでした(^^;
鋭敏聴覚エイリアン・ザイバーは割と格好いいデザインで、その狙撃に追い詰められたショウとサラは雌花を手に入れる為に二手に分かれ、しばらく山中での激しい追跡アクション。ロープアクションに加え、六角エイリアンが川に落とされる所はさらっと凄いジャンプ(川岸の巨石から川の中へダイブ)をしており、今回の見所。
エイリアンの追跡を振り切り雌花を手に入れるショウだが、実は雌花の方は地球人にとって毒であり、その毒を受けてしまう。更に六角エイリアンの襲撃で大ピンチになるがそこへシグが駆けつけ、物凄い感じに崖を落ちていく六角エイリアンの着ぐるみ。
シグは崖から転落寸前のショウの手を掴み、シグとショウの二人がお互いの手を握りながら片方でそれぞれ花を掴んでいるという、何だか凄い絵に(笑)
一方、サラは聴覚エイリアンの攻撃を受けてピンチになっていた。
ショウとシグがそれぞれ中和剤となる花粉の効果で回復し、サラと合流。スワットカーから大音量の音楽を流してエイリアンの聴覚を潰し、撃破に成功。そして残念ながら、とんだ迷惑に終わった宇宙植物J−3000を焼却処分するのであった。
外来植物による生態系の破壊、良くない。
「別に宇宙まで守るなんてでけぇ事言うつもりはねえよ。ただ一人でも死なせたくない奴がいる限り、俺は戦いを止める気はない」
戦いの目的は、地球からスペースマフィアを追い出す事ではなく、この地球でスペースマフィアを殲滅する事――ブルースワットは、誓いを新たにし一層その絆を強めるのであった。
物語が激しく蛇行する中で、チームとしての目的意識の明文化とモチベーションの再確認を行い、合わせてショウの立ち位置をハッキリさせる、というのは後のシリーズ構成作品で見られる“チームとしての一体化”“戦う理由”を物語の中で重視する小林靖子の作風が窺える所。
エピソード単体としてはあまり面白くありませんでしたが、やはりどうにも、セイジとスミレがスワット装備を手にして山の中を走ってくるのは、無理がありすぎます(^^; スミレは先日ブライアンの訓練プログラムをこなしてしいましたし、百歩譲って運動能力の部分では問題ないとするにしても、それが緊迫した盛り上がりに繋がっているかというと、疑問。
既にエイリアンの目の前で実質的な瞬間着替えもやってしまっていますが、スワットスーツを着用するというリアリティが、物語としての面白さになかなか繋がってくれません。
「変身」の排除によるテンポの問題、というのは『特警ウインスペクター』でもぶつかっていましたが、より排除の方向性を進めた結果、更に固い壁に正面衝突しているというのは、いかがなものか(^^;
次回、遂に事務所が大ピンチ。そして――……予告が嫌な予感しかしない(笑)