◆第2話「この星をなめるなよ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:香村純子)
「――多くの命が生きる星、地球。1人のニンゲンと、4人のジューマンが出会い、一つの群れが生まれた。地球を守る為に!」
OPナレーションはいっそストレートに『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)を思い起こさせる上で、今作の特性として“群れ”を強調。王者の四角もとい資格など、今作の言葉のチョイスはなかなか良い感じ。
そんな“群れ”へと至る“繋がり”の第一歩を描いた今回は、第1話がかなり詰め込んでいたのに比べると、だいぶ緩やか。
第1話ぐらいのペースで、一気に〔ニンゲン/動物/ジューマン〕の関係性にまで踏み込むのかと思ったのですが、あくまで大和とタスクという二人の関係に収めてきました。
そんな大和のジューマンへの対応がどういった感じになるのか気になっていたのですが、
いきなりの首輪
そして
おもむろにリンゴで餌付けを試みる
他、「あ、サメだから? あ〜、やっぱり動物ぽいとこあるんだ」など、思ったより動物寄りでビックリしましたよ!(笑)
ナップザックの中に首輪とロープが常備化されているし、大和は野生動物の研究名目で、密猟しているのではないか疑惑も急浮上。
この、ジューマン権に関する倫理的問題というのは、一歩踏み外すと今作における巨大な地雷だと思うので、慎重に扱ってほしい部分ではありますが、率直に、首輪はやりすぎだったのではないかと思います。
幾らキレても常識的には人間相手に首輪は持ち出さないわけで………………まあ、大和先生は人間相手でも首輪を使える人という可能性もありますが。
逆に、普通に人間扱いすればそれで済む所を、敢えて若干動物寄りの対応を描いたのは、今回特に踏み込まなかったのも含め、大和(ニンゲン)−ジューマンの関係性を、序盤の一山に持ってくるつもりなのかな、とも思えますが。
第1話でジューランドにも「動物」は存在し、ジューマンもそれを使役?しているという描写(ゾウonゾウ)がありましたが、ニンゲンの動物観とジューマンの動物観は同じなのか違うのか、という辺りは早めにきちっと描いて欲しい部分です(例えば、ジューマンを動物園に連れて行くとどういう反応になるのか、とか)。
別にジューマンの動物観が、これはこれそれはそれでニンゲンと一緒でも全く構わないのですが、動物に似た別の種族、という設定を持ち込んだからには、それを物語としっかり繋げて欲しい所。
「今大事なのは、これからのメシだ」
と現実的なレオ・セラ・アムは大和の誘いに応じ、大和の動物研究仲間として動物彫刻家である大和のおじ宅に下宿する事になるが、大和を信用できないタスクは一人、森に残る。タスクに対して割とドライなジューマン3人を置いて、翌日、一人でタスクを迎えに行く大和。
「強いて言うなら、恩返しかな……。俺ね、子供の頃、鳥男に助けてもらった事があるんだ」
こじれる前に過去の話について説明し、レオ達にもおじさんの口から同様の説明。
「まあ鳥男っていうのは、大和の幻覚だろうけどな。それで色々、思うところがあったんだろうな」
「一人じゃないんだって思った。俺たち地球の生き物は、どっかでみんな繋がって生きてるんだって。だったら俺も、その繋がった誰かを、助ける人になりたい!」
視聴者目線だと、ジューマンが存在する前提で見てしまうわけですが、子供の頃の大和からすると“得体の知れない鳥頭の生物に助けられた”という事になるわけで、「ニンゲンだって動物だ!」と力強く叫べる大和は、幼少期の神秘体験の影響を受けて成長していた、という形に。
これ一歩間違えると、天狗に助けられたと思って民俗学者とかになっていたのかもしれない(笑)
「……俺たちも、繋がったじゃん」
タスクにリンゴを渡す大和だが、その時、デスガリアンのプレイヤー・槍怪人が地球に出現し、都市を大規模攻撃。タスクに王者の資格を取られたままの大和は、怪人に生身で立ち向かう。
「居るんスよね〜、どこの星にも。関係ないのに首突っ込んできて、無駄死にするばーか」
「関係なくない! この星の生き物はみんな、どこかで繋がっている。支え合って生きている、仲間だ!」
大和はあえなく槍怪人に吹き飛ばされるが、そこに邪悪な気配を感じてレオ達がやってくる。
「俺等が戦ってやるよ!」
「私もああいうタイプ嫌いだし!」
「お世話になるお返し?」
怪人の台詞で普遍的な善良さに言及しつつ、ここで大和にしろジューマンにしろ、戦う/協力する理由が、性格の善良さだけではなく、個人の背景や渡世の義理、それに感情的怨恨(「リンクキューブの恨みだ。行くぞ!」)などの重なりに基づいているのは、良かった所。
「まったく……君達は甘いんだよ」
最後にやってきたタスクは、王者の資格を大和へと渡す。
「……貸してやる」
「え?」
「僕と君も、繋がったんだろ?」
タスク、ジューランドを思い起こすシーンなど見るに、斜に構えたがるけど寂しがり……!
大和を加えた5人は変身し、今回こそ揃い踏み。イーグル剣が非常に強調されましたが、戦闘見るに他の4人は個人武器無しで、その分、イーグル剣押しなのか?
「動物戦隊!」
「「「「「ジュウオウジャー!」」」」」
「へへっ、ま、こんなちんけな星の奴等に、ブラッド・ゲームは止められないっス」
「この星を、なめるなよ!」
この決め台詞は、格好いい。
バトルは今のところ、野生解放からのCG技押し。もう少し生っぽい方が好きですが、ゾウの足とかあるので仕方がないか(^^; 4人が戦っている所に、斜め見下ろしの映像でイーグルが飛んでくるシーンと、合体ブレード攻撃が、獣の5本爪になるのは格好良かったです。
巨大化した怪人に対しては、足技主体の1・5・4合体を早くも披露。……終盤、9・1・3合体はあるのかなぁ(笑)
こうしてタスクも下宿の一員に加わるが、マリオおじさんが用意していた納豆の匂いに倒れてしまうのであった……でオチ。ジューマンはそれぞれ、鋭敏聴覚(セラ)・鋭敏味覚・(アム)・鋭敏嗅覚(タスク)、と特殊能力が与えられているのですが……レオだけ、声が大きい。
……いや、野生だと、声が大きいの、重要ですけど!
鋭敏視覚で良かったのではと思ったら、予告のあおりによると、視覚はイーグルに行く模様。
他、キューブによるニンゲン変身は、興奮したり気を抜くと解けてしまうという描写。役者の露出差に繋がってしまうので、その内滅多にジューマンにならなくなりそうな気はしますが、今回の所は、小刻みに獣と人が入れ替わる演出で見せてきました。
前回気にしたEDダンスの緑が笑顔になっていたら面白いと思いましたが…………そんな事はありませんでした。キャラ付けなのか純粋に余裕が無いのかわかりませんが、他の4人がやたらいい笑顔でノリノリなので、一人だけだるそうなのが凄く目立ちます(笑)
OPの動物ゲーム紹介では、とにかく声を張り上げてみました!感じになっていましたが、色々頑張れ、緑。
第1話に比べると密度もスピード感も抑えめでしたが、及第点といっていい立ち上がり。後は首輪が勢いのギャグではなく、先を見越した仕込みだったらいいなぁ……といった感じ。