●『定本 徳川家康』(本多隆成/吉川弘文館)
徳川家康の事跡を、軍事・政治の両面から詳細に紐解いた概説本。
「この時、○○はこう考えていたのではないか」といった類の推論をほぼ用いず、資料と最新の研究成果(刊行当時の2009年頃まで)をベースに“歴史のドラマ性”からは距離を置いた、淡々として丹念な記述が特色。
その為、読み物としてのダイナミズムというのは薄いですが、ある程度の流れを知った上で、その背景と歴史的な事実を把握する一助として、面白かったです。
歴史の本は、出来れば同時代を扱った本を何冊も読んで比較検討していかなければいけないのが、沼ですが(^^;
●『写真で見るヴィクトリア朝ロンドンの都市と生活』(アレックス・ワーナー、トニー・ウィリアムズ/原書房)
写真が発明された1839年〜ヴィクトリア帳が終焉を迎える1901年までのロンドンの姿を、豊富な写真と詳細な解説で紹介。
写真もさる事ながら、当時の文化や社会風俗を紹介する解説文が詳しく、ヴィクトリア朝ロンドンに興味のある方には、かなり良い本でないかと。また随所に、19世紀ロンドンの姿を克明に描いた作家ディケンズの文章が引用されるのですが、この文章が、巧い。恥ずかしながらディケンズ1作も読んだ事無いのですが、何か読んでみたくなりました(小説が面白く読めるか、は文章の巧さとはまた別ではありますが)。
●『川の書』『星の書』『存在の書』(イアン・ワトスン/東京創元社)
巨大な川によって、世界がその東岸と西岸に分かれた世界を舞台にした、冒険SF3部作。SFとしての大仕掛けというか中盤からの吹っ飛び方はそれほど好みではなかったのですが、異世界冒険譚として、面白かったです。