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『ブルースワット』感想25

◆Volume35「銀河狼(ウルフ)炎の鉄拳」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三
まさかの、上原大先生参戦。
メタルヒーローシリーズでは、『超人機メタルダー』以来6年ぶり)
そして監督には折田至で70年代みたいな布陣ですが、いったい何が起こっているのか。
スペースマフィアの誇るマッドサイエンティスト、死神ドクター・ネロンが地球に招聘され、エネルギー革命の旗手と謳われる片瀬博士とその研究員達にインヴェード。ネロンは博士の研究していた新型エネルギーに自ら持ち込んだ薬品を混合する事で、人間を凶暴化するネロンガスを作り出し、その散布を実験。
ネロンガス作戦の最終目的は、人類の凶暴化により弱い者は死に、強い者だけが生き残った後、生き残った者を懐柔して手を汚さずに地球を……との事なのですが、スペースマフィア、強い者にやられそうな(笑)
なお、軍隊凶暴化のイメージ映像に、レッドマフラー隊(『大鉄人17』)の姿が(笑)
凶暴化事件を調査して、現場付近の樹木から新エネルギーと謎の成分を確認したブルースワットは、まさかネロンがインヴェードしているとは知らずに片瀬博士にその分析を頼むが、そこにかつてネロンが全滅させたワジワジ星の生き残りの宇宙戦士ワジワジが現れ、片瀬ネロンに襲いかかる。
巻き込まれたブルースワットはワジワジを敵と誤解して戦うが、その最中に研究所が既にエイリアンに占拠されている事を知り、スワット1は逆にワジワジに助けられると、戦いの中で戦士の友情を育む事に。片瀬ネロンの講演会襲撃に失敗したワジワジから事情を聞き、やたら明るい挿入歌で化学工場へ突撃するブルースワットとワジワジ。……ドクター・ネロンは次回予告だと大物そうだったのに、あっという間に追い詰められています(^^;
しかし戦わせると普通に強かったネロンはむしろワジワジを追い詰め、ワジワジは最後の力を振り絞ってネロンに一太刀を浴びせるも力尽きてしまう。
「許さねぇぞドクター・ネロン! 許さねぇ! 許さねぇぇ!!」
銀河を渡り歩いてきたゲスト復讐者は、召喚の都合により本懐を果たせないという、どうにも締まらない展開(^^; ハイパーショウは光線銃とドラムガンの二丁射撃で雑魚エイリアンを駆逐すると、瀕死のネロンをファイヤー焼却し、ワジワジはショウとトモダチの握手をかわして息絶えるのであった。
冒頭、ネロンによるワジワジ星掃討作戦の映像は、ベトナム戦争におけるマスタードガスを意識していると思われるのですが、その後、これといって広がらず。ネロンガスの散布が排気ガス(交通問題)と絡められたり、汚される自然にワジワジが反応するシーンなども散りばめられているのですが、それらも最終的に全く繋がらないので少々困惑します(^^;
……これ、脚本段階だともっと暴走気味に重いテーマが投げ込まれまくっていたのを、監督がアクション回に仕立て直したのでは疑惑。
ショウとワジワジの友情エピソードとして見ても凄く雑なのですが、本当はそこに環境問題などか絡む筈だったのでは。突入作戦前に、ショウが善意で光線銃を押しつけようとして、この局面で使い慣れない武器とか渡されても困るんですが、と断られて険悪な雰囲気になるも追いかけて謝罪、という正直あまり意味の無いシーンなど、割と尺稼ぎの匂いがしますし(^^;
そしてサブタイトルから、中身に何か『ジャスピオン』ネタがあったり、元主役の人がゲストで出てくるのかと思ったらそんなわけでもなく、何が「銀河狼」で何が「炎の鉄拳」だったのか全くわからないまま終了し、力強いサブタイトル詐欺。


◆Volume36「脱線僕の(秘)(※○に秘)指令」◆ (監督:折田至 脚本:小林靖子
ザジ少年と一緒に粗大ゴミ行きかと思われていた六角が久々に登場し、「ジスプ様へクイーンの催促が厳しい」というマフィアのせちがらい事情のぼやき。
マフィアは人間を材料にするエネルギー転換装置を開発し、生物の内臓のようなグロテスクなデザインで、捕らえた人間を消化してエネルギーに変えてしまう場面が描かれ、インパクトのある導入。外に助けを求める為に小柄な少年・裕太が牢屋の通風口から外に出る事になり、それをサムズアップで送り出すお兄さんが男らしくて格好いい。
だが裕太は両親に助けを求めるも見事に病院送りにされ、単身で再び研究所に戻ると、格好いいお兄さんの服が裏で焼却される現場を目にする事になる……と遠回しにお兄さんの運命を匂わせる描写も良く、掴みは折田監督が好演出。
研究員エイリアンに捕まりそうになった裕太は通りすがりのサラに助けられ、サラのフルネームが「サラよ、ミスギ・サラ」と判明。サラの腕っ節を見込むも、助けを求めても信じて貰えないだろうと考えた裕太は、サラの後をつけて仲間の存在を知ると、主にショウをあおってブルースワットを研究所へと向かわせ、その間に自ら内部で侵入。捕まった弟と妹を助け出すがエイリアンに察知されてしまい、インヴェードされた2人はエネルギー転換装置と共にトラックで連れ去られてしまう。
自分たちを囮にした裕太にショウは怒りを向けるが、大人達の反応から誰も信じられなくなった少年に、サラは大切な事を伝える。
「1人ぼっちじゃ出来ない事も、仲間となら出来る事だってあるわ。信頼できる仲間とならね。私たちを信じて」
その後の活躍を知った上で見ているというのはありますが、今作の芯になる部分を捉えて物語の中に組み込んでいて、やはり小林靖子は書けます。
「来いよ」
そして、裕太を怒鳴りつけたショウが、指揮車に乗り込む直前にきびすを返して裕太をブルーストライカーに乗せる、というのも美しい。
逃げたトラックを追うブルースワットだが、ドラム缶攻撃で食い止められてしまい、つくづく役に立たないブルーストライカー(笑)
「おまえも裕太に教わったろ。追跡に最適なのは必ずしも車やバイクじゃねえってな」
車両での追跡を諦め、ショウがローラーブレードを装着し、街の裏道を知り尽くすと豪語する裕太がそのナビゲーターを務める事に。
「サラ、俺、今度こそ、ケイスケとマイコ助ける。1人でじゃない、サラ達と一緒に」
「よし! 追跡開始だ!」
「OK。面倒見てる余裕ないからね。ちゃんとついてきてよ!」
「上等だ!」
前半で子供相手にむきになっていたショウと裕太のやり取りも活き、ここからローラーブレードで走り回る追跡シーンで、挿入歌がかかるのも格好いい。……というか今作で初めて、挿入歌の使い方を格好いいと思ったかもしれません(笑)
コミカル分を供給しようとしてショウがコケすぎたのは余分だった感はあり、素直に格好いいシーンで通してくれた方が好みでちょっと勿体なかったですが。
懸命の追走の末に2人はUFOの格納庫に辿り着き、サラとシグも合流。
「てめぇら、人間を何だと思ってんだ! 人間は石ころじゃねぇ! 許さねぇ!!」
ここまでテンポ良く来ていたのに、スワット3に手渡されたヘルメットをすぽっと被らないと気軽に怒る事も許されない、この間抜けな召喚シークエンス(^^;
ハイパーショウはばったばったとエイリアン軍団をなぎ倒し、ドラム缶ファイヤーでUFOを焼却。六角は基地を爆破して逃亡し、裕太の弟妹はブルースワットの活躍によって無事に助け出されるのであった。
最後は裕太からの好意に「ありがとう」と告げ、ほっぺにキスして立ち去るサラが大人の女の余裕を見せ、ゲスト少年に対し、精神レベルの近いショウと、綺麗なお姉さんを貫くサラと、対比を鮮やかにする事で2人のキャラクター性も引き立つという構造……話数考えると、何もかも色々と遅きに失している感ですが。
第16話以来となる小林靖子脚本がキャラクターを生き生きと描いてくれましたが、普段の今作の水準の低さが目立ちます(^^;
ブルースワットは指揮車で立ち去り、裕太との会話などからも、どうやら現在アジトを固定せずにあちこちを転々としている模様(少なくとも今回はそういう設定の模様)。自然といえば自然ですが、スミレはもう、大学休学ぐらいまで覚悟決まっているのか。或いは、事務所燃えた時に戸籍も一緒に燃えているのか。
次回、なんだかまた色々出てきて、ジスプさんの立場はどっちだ?!