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『仮面ライダーストロンガー』感想20

◆第29話「魔女怪人ケイト血ののろい!」◆ (監督:山崎大助 脚本:村山庄三)
そういえば根本的な所で、OPの歌詞が「ブラックサタンを倒すまで」だという事に気付いて、どうすればいいのかわからない表情になる。歌詞を確認したら、3番までばっちり、「ブラックサタン」と入っていた……。
キャンプ中に子供達が失踪し、助けを求める声の元に向かうと、咲き乱れる赤い花の中から子供達の声が響く。そしてそこに現れる、デルザー軍団の深紅の魔女、毒の体を持つドクターケイト。
やたら高い所に置いたカメラの映像で、豆粒サイズで茂と戦闘員が戦うカットがしばらく続き、助けを求めていた少年が素手で鮮やかに戦闘員を蹴散らすのですが、やはりデルザーは戦闘員の質が低いのではないか。
ケイトと戦うストロンガーは、マントにくるまれ、ナイフで滅多刺しにされるという、衝撃アクション。
……こういう作品の武器は、嘘っぽいぐらいで丁度いいのだなぁ、としみじみ思いました(^^;
拾った杖でそれをガードするも、ケイトガスを浴びて筋肉の弛緩したストロンガーは、棺に収められてアジトへ連れて行かれるという、本日も悲惨な扱い。だがそれを、邪魔する気満々の鋼鉄参謀が見ていた。
電気エネルギーで地熱を吸収して棺から脱出したストロンガーはケイトに子供達を人質にされてしまうが、そこに乱入してきた鋼鉄参謀が、「すてぃーーる!」の叫びも高らかに、ケイトの後頭部を鉄球で思い切り殴打。なおケイトも戦闘中に「けーーー!」と叫び、児童層へのわかりやすさなのでしょうが、造形から微妙に怪人が抜けません(笑)
鋼鉄は他人の集めた人質を強奪するとストロンガーに戦いを要求し、デザインも声も格好いいのに、とことんセコい(^^; わかりやすく悪役ではあるのですが。
ケイトのアジトを逃れた茂は、呼び出しの場所へ向かうと今日もチェーン軍団の攻撃を受け、何故か茂だけがやたらにデルザーの戦闘員に苦戦するのですが、デルザー戦闘員、対ストロンガーに特化しすぎなのでは(笑)
茂は変身して鋼鉄と激突し、いっけん性能差にものを言わせたパワーファイターだが、相手の弱みを見逃さない戦士の嗅覚に優れるストロンガーは、電気技を捨てて打撃戦に持ち込み、鋼鉄参謀と互角の勝負。投げ飛ばされた鋼鉄は、岩の間から漏れてきた毒に包まれて超もがき苦しむと逃走するが、それは勿論ケイトの意趣返しによる嫌がらせであった(笑)
「そうか、奴はケイトの毒ガスに弱いんだ。よーし、奴の弱点がこれでわかったぞ」
そうこうしている内にユリ子と藤兵衛が鋼鉄組に捕まり、アジトへ潜入するストロンガーだが、鋼鉄参謀が再登場。
「あの時の毒ガスの影響が少しも残ってない……」
弱っている所を襲う気満々でした。
再びの一騎打ちでしばらくプロレスが続き、漁夫の利を狙ったケイトが配置した毒花トラップに気付いたストロンガーは、それを利用しようとするもちょっと目を離した隙に花が移動してしまって慌てるが、川岸に咲いているのを確認すると、毒花をチョップで川へ。
おいこら。
盛大に噴出するガスで泡立つ川に鋼鉄参謀を投げ込み、右手が麻痺して弱った鋼鉄の後頭部を思いっきり電キックで蹴り飛ばすと、蓄積ダメージの影響か電気エネルギー反射が発動せず、鋼鉄参謀は大爆死。
え? あれ?????
てっきりシャドウと並ぶ後半のライバルになるのかと思われた鋼鉄参謀、まさかの、ドクターケイトの踏み台として死亡。
電キックの通用しない鋼鉄を新必殺技で打ち破るぐらいの事は期待していたのですが、実質、内ゲバで引きずり殺されてしまいました。先に後頭部に鉄球を投げつけたのは鋼鉄なので自業自得ではあるのですが、何だか前回死んだ荒わし師団長までまとめて浮かばれません(^^;
(余談ですがこの、己の欲望に振り回されるという「悪」の在り方を、「悪」とはなにゆえ「悪」であり、いかにして「悪」は敗れるのか、とロジカルに物語に組み込んでテーマの一つとして描いたのが後の『鳥人戦隊ジェットマン』で、『ジェットマン』がヒーロー物の基本構造を丁寧に掘り起こそうとしていたのが、わかりやすい部分)
強者同士の三つどもえ、という構図は面白かったのですが、単純に格好良かったので鋼鉄参謀の早期リタイアは残念。あまりに雑な最期だったので、タイタンおじさんのように復活の可能性もゼロではなさそうですが……。
次回――「だけどタックルは」とか「必殺技をかけるんだ」とか、ナレーションの口調がいつもの説明的な早口と違い、子供への語りかけ口調なのが、ちょっと染みます。


◆第30話「さようならタックル! 最後の活躍!!」◆ (監督:山崎大助 脚本:鈴木生朗)
前回、「ケイトの花」という台詞があってちょっと調べたら、ドクター・ケイトはモチーフがまんまケイトウの花なのですね。
今日もデルザー軍団のアジトを探し回る茂の前にデルザー軍団のドクロ少佐が現れ、一当たり。翌日、ドクロの用意した「城茂ここに眠る」という石碑の裏側に秘密の出入り口を発見した茂が地下に降りていくと、そこはドクター・ケイトのアジトであった!
シャドウとドクロが密談し、ドクロがケイトに協力するような会話をしているのですが、この時点ではケイトの許可を取っていないので、他人の基地の出入り口に盛り土した上で勝手に茂を呼び込むドクロ、超迷惑。
ただ初登場時は物凄い小物っぽかったドクロが、ストロンガーを翻弄するなど、多少強そうな雰囲気が出たのは良かったと思います。
ケイトのアジトで囚われの子供達を見つけたストロンガーは、牢屋にエレクトリックファイヤーを放つが、突然エネルギー切れを起こしてしまう。茂が子供達を逃がしている間に、駆けつけたユリ子と藤兵衛がケイトを相手に時間稼ぎするが、ユリ子は全身にケイトの毒を浴びてしまう……。
ユリ子が致命傷を負う原因が、ストロンガーの唐突なエネルギー切れ、という締まらない展開(^^; 恐らく檻自体にストロンガー対策の吸電トラップなりが仕掛けてあったのでしょうが、レギュラーキャラの退場劇に繋がる要素だけに、もう少し納得の行く描写が欲しかった所です。
「お願い……決してこの事は、茂には言わないでいてね……」
猛毒による死期を悟ったタックルは藤兵衛に口止めすると、苦痛を隠して茂との最後の時間を過ごす。
「ユリ子とは長い付き合いだけど、コーヒーなんかいれてもらったの、初めてだぜ」
「……ねえ茂」
「ん?」
「いつか、悪い怪人達がいなくなって、世の中が平和になったら……」
「平和になったら?」
「2人でどこか遠い、美しい所へ行きたいわ」
「いいね〜。俺も行きたいよ」
「…………本当に約束してくれる?」
「ああ、約束だ」
何故か遠ざかって明後日の方向を見ながら約束するのが、照れてるのか雑なのか微妙だ茂(笑)
藤兵衛とユリ子の様子に異変を感じる茂だが、そこにドクロ少佐が現れ、挑発に乗った茂がドクロを追いかけている内に、ユリ子と藤兵衛にはドクターケイトが襲いかかる。戻ってきたストロンガーが立ち向かうもケイトガスを浴びて大ピンチとなり、覚悟を決めたタックルは決死の突撃を敢行すると捨て身の超必殺技「ウルトラサイクロン!」を発動し、ドクター・ケイトは大爆死。だが全ての力を使い果たし、タックルもまた絶命するのであった。
「ユリ子……なぜ死んだんだ」
「茂……ユリ子はな…………ケイトのアジトで戦った時、ケイトの毒でやられたんだ。もう長く生きられない事を知ってたんだよ」
「……それを、なぜ黙って」
「ユリ子は……足手まといになる事ばかり気にしていた。だから苦しくとも隠してたんだ。この事は決して茂には言わないでくれと、俺に頼んでた」
「ユリ子…………。すまん……俺の力が、足らなかった……! ユリ子!」
茂は冷たくなったユリ子の手を握りしめて男泣きにくれ、その亡骸を抱き上げて立ち上がる。
ナレーション「束の間の青春を、ストロンガーの協力者として、人類の敵との戦いに捧げ、儚く散っていったタックル――岬ユリ子。限りない悲しみと怒りを胸に、茂は、今こそデルザー軍団に対する復讐を、固く心に誓うのだった」
茂の戦う動機が再び復讐に戻り……
次回予告「電波人間タックルをなくした城茂は、岬ユリ子の墓に、デルザー軍団の改造魔人を、1人残らず倒す事を誓うのであった」
墓の前に死体とか首とか積みそうで危険な雰囲気に……
「元ブラックサタンの科学者、マサキ博士に助けられ、改造手術を受ける」
そして、手段も選ばなくなった。
構図としては、親友の復讐の為に悪の秘密結社で改造手術を受ける、という今作の原点に意図的に戻した、といえそうですが、次回、超電子人間ストロンガー誕生!
というわけで、電波人間タックル退場編。さすがにこれは知っていましたし、コーヒーのシーンはマンガ『仮面ライダーSPIRITS』で村枝賢一が素晴らしい名シーンにして描いていたのを既読でしたが、全体の流れとしては、タックルはもう一つ上手く使い切れなかったなぁというのが正直な印象。
今作自体が50年代の東映時代劇映画黄金期のフォーマットが色濃いので、スター(城茂)と脇役、という作劇になるのは致し方ないのですが、ロードームービー形式における藤兵衛の存在との相性が悪く、ユリ子と藤兵衛の役割がどうしても重なってしまう事で、結局中盤以降は藤兵衛とほぼセット扱いで茂との距離感が離れてしまったのは残念でした。
もう少し、前半に散見された、茂とユリ子、というコンビに焦点を与えたやり取りは見たかったな、と思う所です。
次回、ユリ子の不在が茂にどんな影響をおよぼすのか、それが描かれるのかは、ちょっと期待したい。