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『仮面ライダーオーズ』感想2

◆第3話「ネコと進化と食いしん坊」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
泉刑事の記憶を探り、突然抱きついてきた少女がその妹・比奈だと知ったアンクは、面倒くさいので首を絞めて殺してしまおうとするが、達人に普通に投げ飛ばされる(笑)
その拍子にアンクの腕がすぽっと抜け(手袋……?)、宙に浮いて喋る腕を見た比奈は気絶をし、なんだかんだ、すっかり普通に腕と喋っている映司のちょっと配線ズレた感じを更に補強します。
「消しといた方が面倒がない」と比奈を殺害しようとするアンクに対して、ベルトを海に捨ててやると脅した映司は何とかアンクを思いとどまらせ、比奈をバイト先の多国籍料理店クスクシエへと運び込む。
今回は基本的に、人間の命に頓着せず映司をメダル集めの道具にしようとするアンクと、やや度の過ぎたお人好し感のある映司の、ヤミー退治を巡る押し引きを中心に展開。
何かと「いい加減どっちが命令する立場か覚えろ!」と凄むアンクですが、そこまで有利な立場とも思えず、お互い全力で押し合った末に、迫り来る映司の顔面の迫力に負けてアンクがちょっと引くみたいな事になっていますが(笑) 故に、駆け引きというより、押し引き。
グリード達はセルメダルの補充に動き出し、食いしん坊の男が黄色グリードにコインを入れられると、ヤミーが出てくるのではなく、自らヤミー化して食欲が暴走。外見は人間の姿のまま怪力を得ると、そこら中で食べ物を求めて食い荒らす(今回次回と、この男の食事シーンの映像が汚いのが難)。
「中に居るんだよ。あれは人間に寄生するタイプだ」
映司はオーズに変身するが外に出てこないヤミーに困り、メダル集めを優先しようとするアンクが邪魔に入って居る内に姿を消してしまうが、そこにバイクの人が現れ、タカ缶でヤミーを追跡できるとヘルプ。
「お前達が寝ていたのは800年。その間に、たかが人間も進化したという事だ。お前達グリードに対抗できる程度にはな」
バイクの人の言葉に、泉刑事の脳を探ったアンクは現代文明の情報を得る為に、泉刑事の家に向かうとパソコンを使用。そして、泉刑事が比奈に秘密で購入して隠していたiPhone4を入手する。
……こっそり買って棚に隠していた、てiPhoneの意味無いよお兄さん……!
我慢できずに買ってしまったけど、ボーナスのタイミングまで隠しておくつもりだったのだろうか……。
クスクシエに乱入して食料品を悔い漁る食いしん坊をタカ缶が発見し、外へと誘き出す映司だが、アンクはあくまでメダルの為にヤミーを育てようとする。
「映司、やめとけ、おまえの方が先に死ぬぞ!」
「それでも……それでも、何も出来ないよりは……!」
このままでは食べ過ぎで男の体が保たない、と何度振り払われながらも映司は懸命に男に組み付き、面倒くさくなってきたのか遂に出現するデブネコヤミー。アンクは仕方ないのでメダルを投げて映司は変身するが、デブネコの柔軟ボディには剣もトラクローも通用しない。
戦闘中、いつの間にやら高い所からアンクが見下ろしている、というのは素敵。腕力やジャンプ力など、そこかしこでアンクが人間の肉体能力を引き上げている描写が入ります。
オーズはようやくバッタキックが通用する事を発見し、有効打の度にセルメダルが飛び散る、というダメージ表現は前回に続いて面白い。バッタエネルギーが溜まって足先がバネ状に変形し、スキャニングチャージでスプリングバッタキックを放つオーズだったが、飛んできた石柱に邪魔され、ネコを倒し切る事に失敗。そしてそこに、石柱によって妨害を仕掛けた黄色グリードが姿を見せる……。
「久しぶりだね、アンク」
パイロット版に続き、人外の相棒とヒーローの倫理観の摺り合わせを中心に展開。目的の違いから怪人退治がすんなり行かないというのが独自のアクセントなのですが、同時に物語のペースを落としており、その合間合間に鴻上サイドやグリードサイドの事情を挟み込んでくるという見せ方は、やはりちょっと進行が重く感じてしまいます。


◆第4話「疑いと写メと救いの手」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
「オーズなんか捨てて、グリード同士、僕と組まない?」
黄色グリード――カザリはアンクに共闘を持ちかけ、その間にネコは再び食いしん坊に寄生して逃走。
進行の重さがちょっと気になる今作ですが、アンクがオーズ/映司にこだわる必要はあるのか、という点を早めに突いてきたこの展開は面白い。
人間は面倒くさいがグリードは信用できない、とアンクは解答を保留し、その力を見せつけたカザリは姿を消す。
カザリはコアメダルがトラで風属性ぽく、青は見るからに魚類(2016年現在見ると『動物戦隊ジュウオウジャー』のセラの同族に見えますが、むしろセラはホント悪の怪人ぽいデザインだよなぁと改めて)、黒は前回ゾウみたいに鼻を伸ばしており、緑がオーズのメダルから昆虫系だとすると、オーズの能力と繋げつつ、グリードとヤミーの属性・種別をかなりわかりやすく色で分類している模様。
私は割と、ギミックのこういう“子供っぽさ”って好きなのですが、なんだか『ブレイド』の反省を感じます(笑)
アンクは一度姿を消し、泉刑事の携帯を所持しているのを比奈に見られた映司、大ピンチ(社会的に)。戦いの負傷から気絶してしまった映司は比奈にクスクシエに運び込まれ、 素直に吐かないと指を一本ずつ握りつぶすと脅され 応急処置を受けてこれまでの経緯を説明する事に。
「でも、諦めたわけじゃないから。いつかお兄さんを……それまでは絶対に近づいちゃ駄目だよ。ね」
「どうやって信じればいいんですか。あなたの事」
ヒーローの根幹を問う、凄くいい台詞。
「どんなに親切な人だとしても、どうやってそれを」
「……親切じゃないよ、全然。だから、信じろなんて言えないな。誰もを助けられるわけじゃないしね。ただ……手が届くのに手を伸ばさなかったら、死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ。それだけ」
それに対し、親切でも、無償の善意でもなく、自分が後悔をしたくないからやっているだけだ、と返す映司。
「どうすれば信じられるのか?」という問いに、「俺を信じろ」と言わない(言えない)映司は、英雄的正義を無意識の前提にするのではなく、個人的正義の背景を構築する事に重きをなす《平成ライダー》のヒーロー像においてもより人間的といえますが、同時に、自分の行為が誰かの信頼に応えられるかさえわからないエゴに過ぎない、と言いながら、そのエゴの為に命を懸けられる姿には、どこか人生を達観したような、自分の命に対する感覚の軽さが見えるような気もします。
主人公にしては謎が多い映司ですが、人生を楽しんで生きているのだろうか? と少々不安になってきました。
どうにも映司の「朝からの長い付き合い」には、“心優しく他者への思いやりが強い”のではなく、“人間、5分後には五体満足かどうかわかりはしない”といった死生観を感じて仕方がありません。
クスクシエ店長から、食いしん坊男が近所に現れた事を聞いた映司は現場に向かい、アンクと再会。
「答は出たのか映司。俺はこれを、すっかりマスターした」
iPhone4を構えるアンク、ちょっと自慢げ(笑)
「答は同じだ。俺はおまえの道具にはならない」
きっぱりとした否定を聞き、カザリが姿を現すが、アンクは映司に迫るカザリを不意打ち。
「馬鹿でも面倒でも、人間の方がまだましだな」
アンクはインターネットの情報サイトで、自分を監視するカザリの姿を確認していたのだ、と前回触れた人類の進化と絡める形で、グリードの猜疑心をクローズアップ。
そして、映司が後悔よりも行動を選択したように、アンクもグリード(欲望)ではなく人間(馬鹿)を選択する。
映司はオーズに変身し、カザリと激突。戦闘中の交錯でカマキリメダルを奪われてしまうも、クロスカウンターでカザリのコアメダルを3つ奪い取り、弱体化したカザリは逃走。グリードはどうやらコアメダルの数によって外観が変化するようで、装甲がより薄くなるという描写は面白い。
第1話の《射撃》に続いて、《スティールアタック》を披露した映司は、土壇場の度胸の良さ・紛争地帯?に居た経験あり・素人とは思えない射撃姿勢・高度なスリ技術・パンツがあれば大丈夫なサバイバル能力……今のところわかっている情報を総合すると、その正体は、戦場に疲れた元工作員なのか。
カザリを撃退するオーズだったが、食いしん坊を飲み込むような形で、デブネコヤミーが再登場。
「欲望に飲み込まれたってとこだ。あの醜さが人間の本性だよ。あんなのに助ける価値があると思うのか」
「……人の価値は、俺が決める事じゃない」
「ふん、俺は決めるぞ。価値なしと見たら、すぐにお前を捨てる」
「俺はおまえの隙を見つけて、比奈ちゃんのお兄さんを助ける。――おまえを倒しても」
「やれたら褒めてやる」
映司とアンクの関係は、心を一つに手を取り合うのではなく、お互いの目的の為の共闘、を継続。アンクが映司にほだされるのではない代わりに、映司もアンクの寝首を掻く宣言をする事で天秤のバランスを取りました。
アンクは台詞だけだと、本当は人間を信頼したいキャラ、みたいになっていますが、さてさて。
オーズは先ほど奪ったカザリのコアメダルでタトチーターを発動すると、高速移動からストンピング連打を浴びせてセルメダルを掻き分け、内部に埋もれていた食いしん坊を救出。残ったネコヤミーは次元断で成敗し、セルメダルの雨が降るのであった。
前年『W』の、初期からフォームチェンジのバリエーションを矢継ぎ早に見せていく手法は継承され、第4話にして3つ目のフォームパターン。代わりにカマキリが奪われてしまいましたが、メダルの出入りとフォームの関係がわかりやすく、これも『ブレイド』の反省を生かしたか(笑)
またこの構造だと、基本的に増えていく一方のフォームを、ストーリー展開に応じて抑制する事が可能でしょうから、よく考えられていると思います。
戦い終わり、救急車に運ばれていく食いしん坊を見送る映司とアンク。
「ほら、一度欲望に負けたって、人間はもう一度やり直せる。あんな目に遭ったんだし、今度は大丈夫だよ」
「……あのー、できればー、病院食が美味い所に」
「フフ、そういう事だ。人間は欲望一つコントロール出来ない。俺の言った通りだろ。俺の勝ちだな」
「……別に、勝ち負けとかじゃねーし」
一気に小学生レベルのやり取りになった二人だが、その行く手を黒塗りの高級車が塞ぎ、ディスプレイ越しに姿を見せる紫の薔薇の人、じゃなかった、鴻上会長。と、メダルを欲するもう一つの勢力がコンタクトしてきた所で、次回へ続く。
歯車の大きさと重さが気になっていた今作ですが、3−4話で、とんとん拍子に各勢力を映司と接触させてくれたのは好印象。