◆第35話「帰って来た男! その名はV3!!」◆ (監督:内田一作 脚本:鈴木生朗)
エジプトから神戸港に一隻の貨物船が到着し、その中に積み込まれていたエジプト風の棺の中から、改造魔人マシーン大元帥が登場。
マシーン大元帥は人体模型をベースにしたようなデザインで、左半身は赤みがかって肉っぽく、右半身は青い装甲、というそこはかとなくキカイダー配色。声が市川治という事もあり、来日魔人の一番手として十分な格好良さですが、今作の市川ボイス怪人は大抵声倒れに終わるので、果たしてどうなる?!(笑)
一方、キガン山の周辺を探っていた茂と藤兵衛だが、開始30秒で、またもヘビに洗脳されてしまう立花藤兵衛(ヒロイン)。
ジープが崖から落ちるのを防ごうとした茂は派手に転落し、負傷した所をヘビ女に猛毒を流し込まれ、更に電気パワーを奪われてしまう。正気を取り戻し、瀕死の茂を看病しながら、その横で祈る立花藤兵衛(ヒロイン)。
血の気の引いた顔で番組史上かつてないピンチに陥る茂だったが、カブトローを使って緊急充電し、割と簡単に復活(笑)
折角、いやらしい感じに立ち回る実力者、といった雰囲気の出たヘビ女の致命的な攻撃だったのに、ストロンガーが例の如く力尽くでねじ伏せてしまったのはちょっと残念(^^;
なおストロンガーに変身した途端に、猛毒の件は忘却の彼方に蹴り飛ばされました。
復活したストロンガーにヘビ女と戦闘員が襲いかかっている頃、マシーン大元帥を追う黒ずくめの青年もまた、マシーン戦闘員の襲撃を受けていた。その青年の正体は誰あろう――
「行くぞ! 変身――ぶいすりゃぁぁ!!」
仮面ライダーV3・風見志郎!
次回予告からサブタイトルまでV3尽くしで、幾らナレーションで「謎の黒ずくめの青年」扱いされても驚きは全く無いのですが、ここで『V3』主題歌インストでマシーン大元帥との戦いが始まると、ついノせられて盛り上がってしまいます(笑)
V3キックを受けた大元帥は、備えれば憂い無し、常に準備してある密入国用の棺桶に入って脱出し、空を飛んでいく棺桶が超シュール。
一方ストロンガーは、ヘビ女の切り札であるマント攻撃を受けて大ピンチ。
「さあいよいよストロンガーの最期だ、覚悟おし。ひーひっひっひ」
「待てぇ!」
「なにものだぁ?!」
走行中のバイクに乗ったまま変身する荒技を決め、高い所に現れるV3!
「V3?! どうして日本へ?!」
「オヤジさんっ、しばらく。日本に危機が迫った時、必ず帰ってくると言いましたよ」
「おぅ。ストロンガーの力になってやってくれ!」
「わかりました!」
なんだかんだここで、ヒーローを繋ぐ男、という藤兵衛の立ち位置は格好いい。
画面手前で風呂敷かぶってピクピクしていたストロンガーはV3に助けられると再びヘビ女に挑み、V3の前にはゼネラル・シャドウが立ちはだかる。
わざわざ助けに来るし、やはり「特別な関係」なのか……。
チャージアップしたストロンガーは超電大車輪キックでヘビ女を撃破し、シャドウは撤退。難敵を退けた茂は、先輩ヒーローにご挨拶。
「あいつを倒せたのは仮面ライダーV3、風見先輩のお陰です」
「はははは、なにを言うんだ。君のパワーが、あのヘビ女を倒したんだ。君の腕前は、噂通り立派だよ」
「いやぁ、僕の腕なんかまだまだですよ。先輩、よろしくお願いします」
さっそく先輩を持ち上げる茂は、そういえば元アメフト部なので、体育会系の処世術が染みついています。
(ん〜……やはり俺が育ててきた仮面ライダーの仲間だ。初めて顔を合わせたというのに、もうお互いの気持ちが通じ合ってる)
そして藤兵衛は折角格好良かったのに、「ワシが育てた」発言で、一瞬で台無し(笑)
風見はエジプトからマシーン大元帥を追ってきた事を告げ、日本を覆い始める不穏な気配。
「ヘビ女……俺の片腕だった女を……。おのれ、ストロンガーめ!」
珍しく感情露わに怒りを見せるシャドウの元にはマシーン大元帥がその姿を見せ、物語は風雲急を告げるクライマックスへ――世界中から日本に集まる改造魔人、そしてそれを追ってやってくる仮面ライダー達、次回、更にヒートアップ!
形としては客演によるブースト構造なのですが、主人公の強さがある一線に到達してしまった所で、敵との関係における“どちらがより強いのか”を繰り返すのではなく、先輩ヒーローの大量投入により戦力ヒエラルキーをまっさらにしてしまう事で、純粋に活劇に視線を誘導する、という凄まじい力技。
また、50年代の時代劇映画を思わせるスターシステム的な作劇だった今作が、オールスターキャストに至るのは、ある種の歴史的必然なのかもしれません。