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『ブルースワット』感想32

◆Volume43「BSブルースワット最期の日」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一/井上一弘)
見所は、
「シグ……終わった。なにもかも。これがブルースワットの、いや、地球の運命だったのだ」
「プラチナム、まさか、地球がスペースマフィアに」
「これ以上の戦いは無益。さらばだシグ!」
ハイパーショウが地雷で吹っ飛んだ途端に、ギブアップ宣言して帰宅するプラチナム(幻覚)が、リアルすぎて爆笑。
井上一弘の参加は、前年の『特捜ロボジャンパーソン』第34話「激闘にさよなら」以来(この時も宮下隼一と連名)。第33話がシリーズ屈指のキチガイ回(愛・試練ダベ〜)だった為に、ジックキャノン初登場なのに印象が薄い、という不幸なエピソード(^^;
クイーンが送り込んだ刺客、大物エイリアン・ギルガから顔写真つきの挑戦状が届き、エイリアン軍団との戦いに臨むブルースワット、という開始1分で脱力する導入。とにかく今作は、“楽に楽に”物語を作りすぎです。
戦闘中、スペーススワットに殺された弟の復讐を目論むギルガの触手攻撃を受けたシグは、メット内部の映像がおかしくなる描写で倒れ、目を覚ますとショウ達が全滅するシーンを目撃する……演出からは、幻覚(に類する何か)を見せられているのは丸わかりなのですが、しばらく視聴者に対してもシグ同様、これは現実の出来事ですという体裁で進む為、爆死した仲間達を感傷的に振り返るシグ、のシーンなどを見せられる事になり、物凄く苦痛。
児童層がその気になってくれればいい、というのはまあそうなのですが、それにしても、Bパートでクイーンの狙いが見えてくるまで、Aパート丸々虚構の茶番劇というのは、さすがに長すぎたと思います(^^; あと、シルバニアが地雷で倒せるのが疑わしすぎて。
クイーンの狙いは、現実に任意の幻覚を重ねるギルガビジョンによりシグを騙し、ブルースワットのアジトへと案内させる事。ブルースワットが壊滅し、地球が完全にエイリアンの手に落ちつつある世界でレジスタンスの戦士達と出会ったシグは、彼らを秘密アジトへ連れて行くが、それこそ、スペースマフィアの真の狙いだった。
レジスタンス達をアジトへ案内してしまうシグだが、そこにエイリアン軍団が姿を見せる。ところがそのエイリアンに何故かショウ達の姿が重なり、何が真実なのかに混乱したシグは自らの足を撃ち抜くとその痛みで覚醒。レジスタンス戦士の幻覚をまとったギルガらに騙されていた事に気付くのですが……いやなんかもう、ここまで突き止めたら、ほぼスペースマフィアは目的を達しているのでは(^^;
ちなみにギルガビジョンが解けた決定打は、すげー痛い、でしたが、幻覚の効果が薄れてきた理由は「時間経過」で、特にショウ達の呼びかけとか思い出のアイテムとか巧みな伏線とか皆無なのが、『ブルースワット』クオリティ。
「皮肉だギルガ。おまえが巧妙に作ったビジョンのお陰で、私は戦い続ける意志を捨てずに済んだ」
特に金色の人がリアルでしたね……。
のんびり向かい合っているけど、エイリアンさっきロッカーに爆弾仕掛けたような、と思ったら、これはスイッチ一つで素人(セイジ)が解除(^^; そしてお父さんが仕送りに現れ、ギルガは別にシグが倒すわけでもなんでもなく、ドラム缶焼却。
1エピソードにおける因縁すら消化できなくて、完全にもう、作品として壊れてしまっているなぁ……。
そしてエイリアンアジトでは、クイーンの作戦失敗を嘲るムッシュが、エキサイトしていた。
「そんなに欲しいならくれてやろう! ブルースワットの首は勿論、この地球も! 揃えて、献上してやろう。クイーンに! 俺が! 俺の作戦で!!」
いい加減、反乱でも起こすのかと思えば、根が真面目なムッシュですが、全力で言う台詞の内容が泣けます(笑)
次回予告ナレーション
「スペースマフィア・ムッシュJは、クイーンに無断で、最強の電脳エイリアン、パルスを出動させた。パルスは、核ミサイル基地に侵入しようと試みるが、ブルースワットは、この計画を防ぐ事が出来るのか。
だが、
何を間違ったのかパルスは、虫歯の男にインヴェードしてしまい、激痛に襲われる羽目に」
…………あーもう、次回予告が最高に面白かったから、今回は満足(おぃ)
熱いぜ、俺の作戦!
シグがビジョン世界で共闘するレジスタンス戦士達はJACの皆さん、全体的にエキストラと火薬も多めだったのは、小西通雄監督の引退を意識して、予算多めだったのかなぁ……。


◆Volume44「虫歯の電脳戦士」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一/荒川龍)
ここに来て、全く初見の脚本家が連名で登場しましたが、ブラックホールのような出来。大きな物語がカタストロフしているのとは別に、個別のエピソードのクオリティをここまで下げられる、というのはある意味凄い。
前回ラストの宣言通り「俺の作戦」に熱く盛り上がるムッシュは、独断で電脳エイリアン・パルスに命令を下し、米軍の核施設のコントロールを奪わせて地球全土を核の炎に包もうとするが、それを察したクイーンに怒られ、「マドモアゼルQにいえクイーンに」ネタ再び。台詞回しなどを見ると、クイーンはムッシュの勝手に怒ると同時に、パルスを出撃させた事そのものに怒っている様子なのですが、その理由に関しては最後まで特に触れられず(^^;
不審な電気信号を追っていたブルースワットはネットワークに潜入しようとしていたパルスを妨害し、衝動的に自殺でもしたなくなったのか狭い地下空間でミサイルランチャーをぶっ放すスワット1だが、ミサイルは何故かパルスの体内に吸収されてしまう。逃亡したパルスが通りがかりの歯痛のサラリーマンにインヴェードし、スワット1は得意の《挑発》で追い立てようとするが、歯痛の影響で憑依解除できないままパルスは更に逃亡。
「1人で先走らないで! 単独行動は厳禁よ!」
合流するや否や、スワット2が女教師モードでスワット1を叱るのですが、これまで43話の諸々を考えてくると、突然何を言い出しているのか凄まじく意味不明であり、台詞と言いやたらなオーバーアクションといい、今回サラがずっとおかしい。
元々ブルースワットは、コミカル要素と、プロフェッショナル戦士の余裕みたいな表現として、エイリアン相手にオーバーな身振りを見せる事はあったのですが、それを身内相手にやっていると、凄く馬鹿っぽいです。
話数一桁台で演出も役者も手探り気味の頃ならまだわかるのですけど、小西監督もどうして今頃、こんな演技をつけているのか(^^;
ショウは仲間達にパルスの状況を説明し、「奴は俺が撃った砲弾を、不発弾のまま腹の中に抱えて」いるそうで、ブルースワットはシグのアイデアで不発弾の反応を追う。冒頭のパルスの電気信号を追えるのも謎でしたが、不発弾の反応とか都合が良すぎて、幾ら何でも、1エピソードにご都合が満漢全席すぎます。
ところがパルスがこうらくえん遊園地にコンクリート片(不発弾と同様の反応をするので、ミサイルの欠片なのか)をばらまいて反応が多数出現してしまい、手当たり次第に捜索中、ショウは歯痛サラリーマンの彼女にからまれる羽目に。
「パルスはまだその人の中に?!」
「やはり攪乱作戦。しかしなぜこんな手の込んだ事を。他の人間にインヴェードし直した方が早いのに」
「確かに変ね」
……ええと、ショウの情報により、パルスが憑依を解除できない、という前提で探していた筈なのですが(ショウが似た男を勘違いするシーンまであり)、変なのは君達だ。
彼女の発言から男が歯痛で苦しんでいた事がわかり、憑依が解除できない原因が推定されるのですが、視聴者しか知らない情報→ブルースワットが疑問を抱く→真相が判明する、という過程において、ブルースワットの行動に劇的な変化が一切無いので、視聴者との情報共有が全く面白くなっていません。
本来なら、憑依解除できない事を知らないまま不発弾の反応だけを探し、ここでサラリーマンの体も危ない(&彼女の思い)を知り、巻き込まれた命を救う為にテンション上がる、という劇的なダイナミズムが発生する筈なのですが、ショウの発言と行動で前提条件が崩壊している為、壮絶に離陸失敗。
また、気の弱い彼氏が、企画会議に出席するストレスから歯痛を起こした上に歯医者からも逃げ出すのを立ち直らせたい、とゲストの人情要素を持ち込んでくるのですが、企画会議に出席する当日に歯の治療で外出そして逃走という設定が突飛すぎて感情移入しにくい上、そんな彼女の姿に「愛してるのね」とコメントするサラさんは、昨夜ジャンボイチゴチョコレートパフェ練乳がけでも食べたのか。
この、人間関係やキャラクター性を無視して、脈絡無くセンシティブなノーガードの殴り合いが始まる展開に何か既視感あるなぁ……と思ったら、くしくも今作から10年後の『仮面ライダーブレイド』前半戦的なヤバさ(笑)
せめて彼女を好感度の持ちやすい造形にすればいいのに、「なによもぅ!」的な口調できゃんきゃん騒ぐ突っかかり系で、ショウでなくても好感度上がらないし、彼女の好感度が上がらないと彼氏への好感度も上がらないという、無間地獄。
更にそこへ、パルスの身体構造や現状をどうやって把握したのやら、「(ミサイルがパルスの)神経組織に突き刺さってるのがわかったんだよ!」とセイジが駆けてきて、エピソードが発狂状態。
監督も演出段階で話の辻褄合わせる努力は当然しないといけないわけですが、脚本があまりにも意味不明なのでそのまま撮った、という忘我の境地を感じないでもありません。
懸命に努力した結果、これが限界だった可能性もありますが。
まあそこを抜きにしても、歯痛に苦しむパルスが放つ電波で無駄に出る街の被害とエピソード内容のバランスの悪さ、「歯がー!」と騒ぐサラリーマン@パルスを繰り返し見せられても何も面白くない、終始おかしいサラ、など演出面もかなり酷いのですが。
ブルースワットは、パルスリーマンが米軍のコンピューター施設と勘違いしてゲーセンの筐体をハッキングしようとしているのを発見し、ショウが得意の《挑発》で、どうせだったら俺にインヴェードしてみろと煽るが(不発弾ミサイルを撃ち込んでしまった責任を取る、というスタンスは一貫)、パルスを消そうとするクイーンの刺客の邪魔が入って失敗。
パルスが米軍ネットワークへの侵入を諦めていない事を知ったブルースワットは罠を仕掛け、散々大騒ぎした末に、麻酔弾をサラリーマンに撃ち込んだらあっさり外に出てくるパルス。信号化してケーブルの中に入り込むパルスだがその回線はセイジの手で既に遮断されており、パソコンから飛び出すとそこは荒野。
「ミサイル基地じゃない!」
「その通り! ここは俺とおまえの、バトルフィールドだ!」
気取った台詞を言わせようとしたら斜め上に転んだこの感じが、また厳しい。そしてどうせシルバニアでロンリーバトルするのだから、一騎打ちにもつれ込むのかと思いきや、すぐにスワット2と3が駆けつけてしまい、格好つけようとした台詞の一つすら機能しません。
更に「電気信号化してケーブルの中に入ったら腹の中の不発弾は液状化して爆発の心配はなくなる」から敢えて一度パルスをケーブルの中に入れた筈なのに、ショウがパルスに捕まると「あと5分で爆発します!」とか言い出し、途中で別のフィルムに代わっているのではないかと不安になってきました。
〔パルスの中に吸収される→不発弾だった→パルスの神経組織に突き刺さってる→信管が起動してあと2時間で爆発してしまう→パルスが電気信号化したら液状化→パルスが実体化したら一緒に実体化〕
……特殊なのは、パルスではなくて、ブルースワットのミサイルの方なのかもしれない。
トドメに、ショウがピンチに陥ったらプラチナムがやってくるのは全視聴者が知っているので、ここで爆弾を持ち出してもスペクタクルは一切増加しないのですが、一つ騒ぐ為ごとに一つ前のシーンを無意味にしていくという悪夢のドミノ倒しの果てに、騒ぎそのものが無意味、という凄惨な着地。
勿論、ショウがピンチなので呼ばれもせずにお父さんがやってきて、パルスは大宇宙ジャッジメント
最後はサラリーマンと彼女が再会して歯医者の前でドタバタして、オチだけ楽しげな雰囲気で終了するのですが、もちろん今回のエピソードのどこにもサラリーマンが成長する要素は無かったので、2人の関係性は何も変化せず彼氏は歯医者から走って逃げようとし、本当にただドタバタしているだけで終わる、という徹頭徹尾、虚無しかないエピソード。
“物語の面白さ”というのがどういった要素で発生するのか、逆に何を壊すと“面白さ”が発生しなくなるのか、というのがよくわかる反面教師サンプルとしては参考になりますが、閑話休題コメディ回で済ますにはムッシュの立場が悪化しすぎですし、第42話の更に下をくぐってくるとはさすがに思いませんでした。
次回、まさかのあのキャラ復活。