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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第12話

◆第12話「はなのみじかいゾウ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:田中仁)
セラのコスプレがほぼペンギンで、あれはちょっと、ズルい……(笑)
ジュウオウジャーは新たに鳥男の人相書きを配る事にし、セラがプロ並みの似顔絵を披露。
掲示板に貼り付けて賞金賭けてWANTED!!とかやらない所には、今作の真っ当さを見ます(笑)
皆が新たなビラ配りを進める中、長期戦に備えてこの世界の知識をもっと得ようと考えるタスクは、大和の勧めで図書館に向かう途中、偏屈な古本屋の店主に怪我をさせてしまい、代わりに店番に立つ羽目に……。
大和くんの手元のノートパソコンはインターネットには繋がっていないのか、と思う所ですが、レオやアムに知られると厄介な事になりそうなので、そんなニンゲン文明の利器は存在しない事にしておいた方が無難でしょうか。
ビラ配り組はチーム・クバルのプレイヤー、ハテナ怪人と一当たりするも攻撃が効かず逃げられてしまう。デスガリアン反応に気付かないぐらい古本屋・ひねくれ堂でこき使われていたタスクは、持ち帰ってきた(ページを折ったので買わされた?)絵本『はなのみじかいゾウ』に目を通し、幼い頃、父に絵本を読んで貰った事を思い出す……と、タスク父は第2話の回想にも登場しているのですが、どうやらタスクにとって父の存在が大きそうな事が繋げられています。
ハテナ怪人を演じる飛田展男は、芸達者なのは今更言うまでもないですが、改めて引き出し広い。二又一成怪人みたいな演技も出来るとは。
翌日、本への愛にこだわるあまり次から次へと客を叩き出す店主の姿に、店の経営を心配するタスク……あー、その人ほぼ間違いなく、土地とか持っていて他に固定収入あるから大丈夫だ!
……などジューマンなので知るよしも無く、自らの体験から本の素晴らしさを知る客を増やすには子供に本を好きになって貰うのが一番だ、と考え、公園で読み聞かせを行う事に。最初は上手くいかないも、仲間達のサポートで子供達に喜んでもらうタスクだが、どこまでもひねくれた店主が盛況を認めない所に、ハテナ怪人が再び出現。
タスクが子供達と店主を逃がしている内にハテナ怪人に立ち向かう4人だが、怪人の能力により言葉を奪われてしまう。ハテナ怪人の能力は、生物から言葉と文字を奪うワードハンティング。それにより会話する事も記録する事も出来なくなった文明は崩壊してしまうという、恐るべきゲームであった。
……て、ヤギノイド!


 町中の書店や図書館からあらゆる本が消滅するという怪事件が発生。目的不明のこの変事に世間はパニックに陥るが、 こんな斜め上かつ大規模な悪事を行うのは、もちろん我らがバイオロンしかなかった!
 「動機が掴めぬ? 愚かな人間共の発想の貧しさよ」
 「まさか、この世から一冊残らず本を消滅させる事が、我がバイオロンの目的とは、夢にも思いませんね。あははははははは」
 うんそうだね、思わないね……。
(『機動刑事ジバン』感想17)
という話が、『機動刑事ジバン』(1989)にありまして(笑) (※第23話「マンガを喰いすぎた怪物」)
何が凄いって、文字根絶の為の手段がヤギの怪人にあらゆる本を食べさせるという事なのですが、30年近い時を経て、目的は全く同じなのにあまりの手段の落差に目眩がして、思い出さずにはいられませんでした。
「僕も本が大好きだから。こんな素晴らしいもの、消させたりはしない」
ワードハンティング光線で絵本から文字が消えるのを目にしたタスクは、店主を逃がして取って返すと、ハテナ怪人と戦闘。資格電話の数字が消えて変身不能となった4人は、ハテナ怪人の本体が頭部の帽子部分である事をジェスチャーで伝えようと四苦八苦。最後は、鈍い緑を見かねて飛び出してきたおじさんがジェスチャーの正解を伝え、エレファントが怪人を単独撃破。
巨大化した帽子がジュウオウキングのコントロールを奪ってワイルドと同士討ちになるが、モグラドリルによって引きはがしてワイルドキングになると、アニマル大光線で瞬殺。……赤を制してドリルアタックを決めた緑が妙に格好つけてますが、特に機転を利かせたわけでもなんでもない正面からの物理攻撃で、別に誰でも良かった感(笑) 調子に乗らせるとドンドン自分に酔っていく傾向がハッキリし、川の向こうで沢山の残念達が手招きしています。
SupercoolにPerfect!
ひねくれ堂には子供達が来るようになって店主は満更でもない様子を見せ、世界の壁を越えた本に対する愛情でニンゲンとわかりあったタスクは、《社交》レベルが一つ上がるのであった。
昨季、『GO!プリンセスプリキュア』のシリーズ構成を務めた田中仁は、これが特撮ヒーロー作品初参加との事。最初に軽い戦闘こそあるものの、怪人の能力が中盤まで明かされず、Aパートはほぼ日常パートの延長線上で進む、というのは、《プリキュア》の文法を感じる所ですが、前の仕事が抜けきっていなかたのか、《戦隊シリーズ》として意図的に作劇に変化をつけたのか。
アリバイ的な戦闘の入れ方は演出サイドのバランス取りのような気もするのですが、この辺り、どういう意識と調節があったのか、ちょっと興味のあるところです。
アムを小悪魔系ではなく、他人の心理を読んで気配り出来る人物、という形で広げていったのは、正の面でキャラを立てていった『プリンセスプリキュア』の手法を感じますが。
バランス的にここまで日常パートを重視するなら、もう少し古本と敵能力の間の繋がりが深ければ言う事なしでしたが(古本屋でバイトしていた事で敵の仕掛けに気付くとか)、読み聞かせという現実とリンクの深い要素をギミックに、善意がひねくれた人の心を少し暖かくする話として、悪くなかったです。
予想以上の冴えを見せるメインライター香村純子、きっちりサポートに回るベテラン荒川稔久に続き、3人目の脚本家参戦でしたが、タスクメインで、アムが気配りを見せ、レオとセラは冒頭のイラストでワンポイント、と、毎度ジュウオウジャー各人に見所を配分する丁寧さも怠られず、全体の構造がしっかりしているのが、今作の本当に素晴らしい所。
次回――待望の、大和くんに気のあるニンゲン女子登場?! で、私が俄然盛り上がって参りました! 大和くんは! 1ミリも! 気付いていない感じで宜しくお願いします!!