◆第37話「ライダー捕わる!デルザー万才!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
デルザー軍団は秘密兵器、地震発生機をテストし、特に説明も言及もなくしれっと復活しているヨロイ騎士と磁石団長。地震発生機は期待通りの成果を上げ、団長と騎士は富士ダムを目指す。
会議室の壁に貼られた日本地図の上に、デルザー軍団と書いてあって、凄く気になります。後ろに赤い文字?が見えるので、正確には「デルザー軍団○○○」っぽいのですけど、文字が読み取れず。
不審な地震を調べていた茂は、地震発生機をジープに積んで移動中の騎士と団長を発見してその後を尾行。発生機、車の荷台に積んで持ち運び可能な代わりに現地まで行かないと地震を起こせないのは、高性能なのか何なのか。
デルザー軍団を止めようと飛び出す茂だが、謎の男に邪魔されている内に逃げられてしまい、謎の男は覆面の戦士に変身。
「あいつらは、俺のものだ!」
「デルザーの新しい仲間かっ」
そんな仮面のライダーは居ない! とばかりに口出しの覆面戦士に暴力でお返しする茂。……確かにその人、ロープ軍曹とかに見えない事もない。
茂もストロンガーに変身して激しく戦う両者だが、そこへV3先輩が現れて戦いを止めると、覆面の戦士はギリシャからヨロイ騎士を追ってやってきた戦友ライダーマンであると紹介し、先輩命令でがっちり握手を交わした2人は仲直り。
先輩ライダー登場も3回目という事で変化をつけたのでしょうが、いみじくも、仮面ライダーは元をただせば怪人であるというテーゼが浮き上がり、ここの誤解による戦闘という展開は面白かったです。
デルザー軍団の企みを探る3人だが、茂の前にはゼネラル・シャドウが姿を見せ、随分久々となる直接対決。
「デルザー軍団がマシーン大元帥のものとなった今、俺の目的はただ、貴様を殺すだけなのだ!」
ライバル候補を蹴落として美味しい汁だけいただこうと思っていたら偉い人が出てきて強権発動により窓際に飛ばされました、という悲しすぎる告白(涙) 息をするように適当やっていたツケがまとめて返ってきて、凄く、教育的です(笑)
シャドウの瞬間移動に翻弄されるストロンガーだが、振り回していたパンチがまぐれ当たり(笑) どう見ても、気配を感じて背後を殴ったらクリティカルヒット、には見えないのですが、実際の演出意図がどうだったのかちょっと気になります。
「言え! マシーン大元帥の行方を。そうすればお前を助けてやろう」
「ほ、ほ、本当か……」
「仮面ライダーの、名に誓おう」
先輩達との出会いを経たストロンガーが改めて「仮面ライダー」という名の意味を自分自身に刻み、台詞に合わせてシャドウから奪ったサーベルを振り回すアクションも鮮やかで、非常に格好良いシーンなのですが、対する相手が猿芝居すぎて素直に飲み込めなくて勿体ない(笑)
そこを見て見ぬフリすれば、これまでで屈指の名シーン。
両手をあげて命乞いのポーズを取っていたシャドウは、大元帥の行動をベラベラ喋ると、自ら案内を買って出る小悪党モードを発動。
その頃マシーン大元帥は、地震発生機すら陽動に使って、再び東京を火の海にしようとしていた。……大元帥、田舎から上京して都会で酷い目に遭った過去でもあるのか、何やら東京に対する個人的怨恨を感じます。
盗んだトラックに大量のTNT火薬を積んで基地に突っ込ませるという、人工地震に比べて凄く地味な作戦を手作業で展開する大元帥だが、シャドウに案内されたストロンガーに妨害を受け、捨て台詞を残して逃走(笑)
多分、地震発生機の制作に予算を使いすぎてしまったのです!
戦闘員のバイト代だってタダじゃないんです!
大元帥の妨害に成功したシャドウは、当然のようにしれっと退散。
「城茂、ちょいとおまえを利用したまでの事よ。シャドウは負けたのではない」
結局この人、タイタンおじさんと似たもの同士だったのではないか(笑)
しかも忠誠心の代わりに功名心しか無い分、おじさんより駄目な人のような。そして伊上脚本だと、立場の悪くなってきた幹部の一人称が「(自分の名前)」になるのは何故なのか。
一方、風見志郎と結城丈二は富士ダムに辿り着いていた。
「デルザー軍団でも、俺と風見さんの姿を見れば、恐れをなして逃げるでしょう」
あなた方ホント、体育会系の上下関係だな!
後輩を遠くて面倒くさいダム上方の探索に向かわせた風見先輩はダム湖を見つめて佇んでいたが、デルザー軍団の姿は見つからない。報告に戻った結城丈二、「人っ子1人見当たらない」と言うのですが、ダムに人っ子1人見当たらないのはむしろ凄く怪しい気がしてならず、知力が物凄く下がってませんか。いったいギリシャで何をしていたのか。
デルザー軍団の狙いを見誤ったのか……と考え込む風見と結城だが、ヨロイ騎士と磁石団長はもっと高い所に陣取って2人の様子を窺っていた!
思えば相手より高い位置を取る事を基本とするヒーロー戦術において、むしろ高い位置に居る相手に強いというストロンガーは、異端のヒーローなのかもしれません。
騎士と団長は地震発生機をスイッチONし、局所的に発生した地震により富士ダムは崩壊、風見と結城はダムの崩壊と水流に飲み込まれてしまう。
事前にわざわざ台詞で、ダムが崩壊したら「下流にある3つの都市が全滅する」と強調した上でダムを崩壊させるという衝撃の展開でここに来てデルザー軍団が立て続けに凶悪な戦果を上げ、これはライダー皆で立ち向かわなくては感を盛り上げてきます。
下流に流された風見と結城を探すヨロイ騎士だが、ここは先輩の貫禄を見せ、変身して姿を見せるV3とライダーマン。だが磁石団長の下へ向かったV3は地震発生機で作り出された地割れに飲み込まれてしまい、ヨロイ騎士に立ち向かったロープ軍曹、じゃなかったライダーマンは、普通に敗北してしまう。
茂を妨害・デルザーを発見できない・特技を見せるシーンさえ与えられないとライダーマンの扱いが酷い……(笑)
仮面ライダー2人を捕まえて意気上がるデルザー軍団は祝杯をあげるが、つまらなそうな窓際が1人。
「俺の乾杯はストロンガーが死んだ時だ」
という台詞だけは格好いいんですが。
「その、ストロンガーを殺ってもらうぞ、シャドウ」
「まだその時ではあるまい」
「嫌とは言わさん。おまえがストロンガーに、俺の作戦を邪魔させたのは、わかっている」
裏工作バレてたーーー。
「黙れ! 殺せというならいつでも殺してみせる」
裏切り者扱いを受けいよいよ立場の悪くなってきたシャドウは手元を狂わせ、愛用のトランプが散らばると、表になったのはスペードのA。
(死のカード……馬鹿な……!)
「行け、シャドウ」
(俺が死ぬ……? 馬鹿な……死ぬのはストロンガーだ!)
身から出たサビに埋もれ、自分の蒔いた種でトリックの海に溺れつつあるシャドウは、先輩を助けに向かうストロンガーの前に立ちふさがる。
「今度こそ最後の勝負だ。貴様を殺らねば、俺が危なくなった。行くぞ!」
なんて切ない決闘理由(笑)
ストロンガーとシャドウは向かい合って構え、そして、キガン山に浮かぶ巨大な顔――次回、ライダー軍団大ピンチに、いよいよあの2人が帰ってくる!
◆第38話「出現!ライダー1号2号!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
「シャドウの生き甲斐は貴様の死だ!」
生き甲斐さえその場のノリという、ある意味で哀しい男ゼネラル・シャドウは、ストロンガーの電キックを大量のトランプで回避すると、トランプ分身で翻弄し、必殺の爆破大魔術を発動。だが《範囲爆発耐性》持ちのストロンガーはこれを凌ぎきり、チャージアップ。超電ドリルキックからの超電稲妻キックと、シャドウパワーによる必殺の突きが交錯し……拮抗した戦いの軍配はストロンガーに上がる。
「デルザー軍団、ばんざーーーーい!」
ストロンガーに深手を負わせるも、ゼネラル・シャドウ遂に大爆死。
最終的には相手が悪かったという感じの呆気ない敗死となりましたが、末期の台詞まで心にも無い事を叫びながら散るというのは、トリックスターの面目躍如といえそうです。
重傷を負った茂は、両者の決着を高みの見物していたデルザー軍団の3人に捕まってしまい、「ゼネラル・シャドウの仇を討ってやる」と剣を抜くヨロイ騎士が、意外にいい人(笑) だがマシーン大元帥はそれを止め、茂を人質にXライダーとアマゾンを誘き寄せようとする。
磁「Xライダーと、アマゾンも捕まえれば、仮面ライダーは全て、生け捕り!」
ヨ「いや待て。仮面ライダーには、1号と2号というのが居たそうだ」
マ「そんなものは伝説だ」
残り2人のライダーへの伝令役として、ストロンガー、V3、ライダーマンを捕らえた事を藤兵衛に告げるデルザー軍団。
「信じられなければ、証拠をその目で見るがいいぜ!」
荒野に立つ藤兵衛を三段階でズームアウトしたと思ったら、画面手前にバイクのタイヤがフレームインし、改造魔人軍団デルザー3が3ライダーのバイクに乗って登場という絵は、ここに来て素晴らしく面白かったです(笑)
動かぬ証拠を見せつけたデルザー3は奪ったバイクで走り去り、日本占領計画を着々と進行していく。
「この2カ所を押さえれば、日本占領は、90%成功だ」
地図上の指の位置を見るに、大阪……と八王子?なのですが、八王子にいったい何が。
磁石団長とヨロイ騎士が重要制圧目標に向かい、滝に吊った茂を餌にXとアマゾンを待ち受けるマシーン大元帥。だがそこに、ヨロイと磁石がXとアマゾンに妨害された、と報告がもたらされる。仮面ライダーの後輩を後輩とも思わぬ非情な態度(なおこの場合、滝に吊るのは風見先輩にするべきでした!)に憤るマシーン大元帥は茂をマシンガンで蜂の巣にしようとするが、目を離した瞬間に忽然と消失している茂。
「ぬぅ?! 誰だ、ロープを切ったのは!」
「俺だ! ――仮面ライダー1号!」
「なんだと?! ん、おまえは?!」
「仮面ライダー2号!」
茂を救い出したのは伝説の戦士、アメリカとインドからそれぞれ日本へ戻ってきた仮面ライダー1号と2号であった!
いよいよ満を持して1号と2号が登場し、それを招くほどの茂の大ピンチは、宿敵シャドウ最後の一撃によるものだった、という形にする事で、シャドウの退場が伝説の呼び水として機能し、劇中の存在ウェイトに帳尻を合わせたのは良かったと思います。
1号と2号はあっさりと大元帥を取り押さえてアジトへ案内させ、V3とライダーマンの監禁場所を白状させる。「うっかりあげてドカンとも限らない」という判断から、「おまえが開けろ」と指し示した扉の方へ乱暴に投げつける姿には、歴戦の勇士の心の荒み具合が良く出ています(笑)
だが大元帥は、扉を開けるフリをして仕掛けを作動させて床から緊急脱出。
「馬鹿め! 裏の裏をかいたのだ! アメリカやインドからはるばるくたばりに来るとはご苦労な事だな、ふわははははは!」
毒ガスが噴出し、アジトに閉じ込められる1号と2号だが、外からストロンガーがドリルキックで壁をぶち破り、主人公が一方的に助けられる形にならないように、ここでバランス取り。
「こんな事だろうと思いました!」
これが、せこい敵と戦い続けて磨かれた、現役の勘!(笑)
1号は掲示板に貼り付けてあったデルザー軍団の作戦計画書を入手し、次なる標的へ急ぎ向かう3人だが、マシーン大元帥が途中の吊り橋を大爆破。その程度の事では死ななかった3人はしばらくマシーン組と戦うが、気がつくと2号だけが置いていかれ、1号とストロンガーは磁石団長の元へと向かう。そこにヨロイ騎士が立ちはだかって1号はヨロイを担当し、茂は以前に用いた気絶した戦闘員のなりすまし作戦で磁石を不意打ち。
この辺りで尺が余ってしまったのか、爆破作戦を決行中の磁石団長と戦闘員のコミカルなやり取りが思いっきり緊張感を削いでしまったのはかなり残念(岩石男爵の際の二番煎じになってしまいましたし)。また、一番大物の筈のマシーン大元帥が作戦現場から最も離れた地点でライダー2号とマッチアップするなど、位置関係と力関係がちぐはぐになってしまいました。
地震発生機は恐らくXとアマゾンによって破壊されたのかと思うのですが、キャスティングの都合か、そういった一方その頃シーンを挟めなかったのも勿体なかった部分。前々回までは、ライダーとデルザーの増員を対応させられていたのですが、ここに来てライダーの方が多くなるとどうしても戦力バランスが悪くなってしまい、最後の調節をするラスボス一歩手前という事もあり、話のまとまりが悪くなってしまいました(^^;
ストロンガーvs磁石団長、ライダー1号vsヨロイ騎士、ライダー2号vsマシーン大元帥、3局の戦いが続き、そして口がパカパカするキガン山の謎の顔……。果たして自由と平和を守る戦士達の、戦いの行方は如何に?!
次回――
「さて次回、デルザー軍団の大首領が、いよいよその姿を現す。巨大な手足は、7人の仮面ライダーを踏み潰し、そして、投げ飛ばす。ゆけ! 7人ライダー! 力を合わせ、世界平和の為に戦おう。次回、仮面ライダー、最終回。「さようなら! 栄光の7人ライダー!」に、ご期待下さい」
いわゆる、第一期仮面ライダーの完結という事で、それを意識した予告ナレーション。予告の映像も格好良く、いよいよ、最終決戦。