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『コンレボ』第19話「推参なり鐵假面」感想

のっけから本編と関係ない話で入りますが、<メタルヒーロー>シリーズ中期以降の主要監督である三ツ村鐵治監督の「鐵」ってなんと読めばいいのか長らく疑問だったのですが、「鉄」の旧字だったのか。
「剣士ビーム!!」
「ビームとか、ありか?!」
時制はまたも飛んで神化48年3月――南極の神化基地付近で氷漬けになった300年前の少女が発見される。同年9月、日本に移送された氷塊は帝都広告の手で買い取られ、解凍。300年の眠りから覚めた スティーブ・ロジャース 少女・影胡摩は時の首相・立花の思惑に利用され、かつて戦ったデスサタン一味の残党だと吹き込まれた人吉爾朗の命を狙う。お伽噺や絵本に語られる鐵假面剣士……その正体は、神の使いと合身した美少女剣士だったのだ!
「おまえの客だろ?!」
「はぁ?! あんな女知るか」
「俺はいきなり襲われる覚えなど」
斬りかかられたからとりあえず撃つし、駄目すぎる2人(笑)
飛び散った新聞紙の記事を目にした鐵假面剣士は突如として飛び去り、爾朗&ライトは探偵事務所を訪れたジャガー&輝子と行動を共にする事に。4年もちょっかいかけあっている内に、すっかりぐだぐだの馴れ合いになっておりますが、爾朗センパイは少々、モラトリアムが長すぎやしませんか。
そしてそのぐだぐだの内に、爾朗とライトにジャガーさんの素性バレ。
(本質を失った星の子は、もはや女王候補とはなれまい。おまえは人として老いていくだけだ……)とウルの口から輝子の魔女っ子卒業もさらっと口にされ、足早に色々と処理されていきます。
前半戦ラストで輝子の女王人格が切り離された際、虎のぬいぐるみの形で具現化して分離していたので、何かの伏線になるのかと思っていたら今のところチラリとも出てきませんが、このまま終わった話になるのか、笑美さん辺りが隠し持っているのやら。
「もう私に許可を取る事もあるまい。大人は自分でチャンネルを変えるものだ」
「はい! 魔女力チャンネルセット・メテオテール!」
というネタは面白かったですが、ウルが輝子に付き従っている理由が二つ無くなり、ウルはそれでも輝子に忠実に行動するのか、それとも何か別の動きをするのか、というのは気になる所。
今回全体的にメタ台詞などが直球すぎて私の好みからするとやり過ぎなのですが、同じく物語としての面白さよりもテーマ部分の押し出しが強すぎた感のあった第2話における“大人になれない”風郎太と、今回“子供のままではいられなくなった”輝子の姿が重ねられて対比される構造の話になっているのは、“大人と子供”というのが、今作における最も柔らかい部分をつつくテーマな為に、生の部分が剥き出しになりがちという事なのか。
爾朗センパイはアレだし、ライトは内にかなり子供っぽい所があるし(特に今回、鐵假面剣士への憧れめいた反応が強調されている)、ジャガーさんは子供の自分から目を逸らして露悪的にオトナをやろうとしている人だし、孫竹はアレだし、大人になっていくのは女ばかり、みたいなのも感じますが(^^;
胡摩の目的はデスサタンを甦らせる事……ではなく、自らの命を用いてデスサタンを封印した、かつてのライバル・竜神アサヒの復活。
「俺を生かせば、おまえの正義は失われる」
お互い想いを寄せ合う仲であったにも関わらず、アサヒが元デスサタン党の一員であったが為、2人は共に道を歩む事が出来ず、最終的にアサヒはデスサタンの封印に命を捧げたのであった。
「戦って戦って……最後の一匹まで倒したその先には、輝かしい幸せな日々があると思っていた。だが、戦は終わらなかった。私はただ、大切な人を失っただけだ」
「だが、こんな事しても、アサヒは帰ってこないだろう。あいつは、自分の命を封印にしたんだ」
「そんな事はわかっている!」
旧知であったジャガー之介の言葉と、爾朗の体を張った説得に封印の破壊を思いとどまった胡摩は、立花首相の奸策を知って手を切ると、300年前に帰すという勧めを断り、いずこへか姿を消すのであった……。
「私はまだ、旅の途中だったんだ」
ガンバレみんなガンバレ 月は流れて東へ西へ――。
表向き、“あの頃はわかりやすかった”という、時代に取り残されてしまった帰ってきた超人のエピソードのようで、本当のテーマは、雑に一括りにされがちだけど“あの頃もそんなに簡単ではなかった”というエピソードかな、と。
輝子に対して「おまえも女心がわかってない」と言ったり、「この時代じゃ、正義も悪も見分けがつかないだろ」「あんたは、善悪がハッキリしていた時代が似合っている」「何故だ。正義の鐵假面剣士が、悪の怪人をバッタバッタと、なぎ倒す時代に」と、ちょっと上から目線で“簡単な世界観”への帰還を勧める男どもに対して、「その時代は、本当に素晴らしかったか……?」と疑問を呈す胡摩の姿には、メタ的なストーリーテリングの複雑化の肯定以上に、むしろ現代に生きる超人達の方が物事を単純に見たがっていて、過去の超人が人生の普遍性を持ってそれを否定する、という皮肉な構図が浮かび上がって見えます。
勿論、今居る場所が複雑だからこそ、懐旧としての単純化を望んでしまう、というのは自然な感情ではある、という部分も否定はされないのですが。
裏舞台では、佐藤栄作田中角栄+もろもろ、みたいな総理大臣が登場しましたが、これを失脚させる種を蒔く里見の思惑は相変わらず今ひとつ掴めず。今回、里見顧問の出番が多かったのは、いよいよ最終盤へ向けた布石でありましょうが。
そしてアースちゃんに奪われたままだったというジャガーさんの時計が取り戻され、アースちゃんに組み込むとタイムマシンに出来る、とかさらっと恐ろしい発言。また、OPで背中にくっついているとおぼしいエクウス支援用ジェットが登場。ミサイルはついていないそうですが、本当なのか。