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『ブルースワット』感想

◆Volume51「グッバイ BSブルースワット」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
踏んでしまった地雷を起爆させない為に圧力をかけ、脱出に成功したと思ったら何故かいきなり銃を抜き、爆発せずに済んだ地雷を撃って自ら爆破する、という開幕から愕然とするシーン。
爆発の規模が不明なので、セイジとスミレに病院の人達の避難誘導をさせていた筈なのですが、いったい何をしたいのか。
いやまあ、爆発しませんでした良かった良かった、だと絵的に全く盛り上がらない、というのはわかるのですが、それならこの、シグが地雷を踏んでしまった! という危機状況の設定がそもそも選択ミスだったという事になり、解除した地雷を振り向きざまに速攻で踏みに行く、最終回まで見事な『ブルースワット』クオリティ。
「これで戦士のナイフも消滅しちまったか」
「せっかく、シグに貰ったのに」
「3本のナイフが一つになって戦った。戦士のナイフにふさわしい最後です」
前回ぽっと出のアイテムで強引に盛り上げを作ろうとするこんな時まで、どうしようもない台詞しか割り当てられないサラの扱いは、本当に酷い。
そしていきなり、セイジの台詞でクイーンのアジトが判明し、アジトから彗星に向けて送られている誘導電波を止めるべく、最後の決戦に出撃するブルースワット。各自のモノローグ&回想で一応盛り上げにかかり、シグが広瀬剛の存在に言及した事にちょっとホッとしました(^^; 
クイーンアジトに突入したブルースワット(さすがにセイジとスミレはついてこなかった!)はエイリアン軍団を蹴散らして遂にクイーンの元まで辿り着くが、圧倒的な力を持つクイーンに追い詰められる。ここで、クイーンが重力を操る描写はなかなか面白く、スワット1をぐりぐりと踏むクイーン。
「この星の、新たな支配者クイーンに、許しを請え。そして死ねぇ」
「ざけんじゃねぇ……! てめぇ一人で、何が支配者だ! 何がクイーンだ!」
いつものようにお父さんを呼ぶのかと思ったら、怒りのショウは、まさかのバックブリーカーから大回転投げを決め、クイーンを誘導装置に叩きつける。
「この星は、地球はてめぇの玩具じゃねぇ!」
ラチナム初登場の第23話から数えると、かれこれ半年ぶりに自分の力でピンチを乗り越えたスワット1は、最終回でさすがに主人公らしくなりました。
「クイーン、あの世で自分に仕えな!」
光線銃の一斉射撃でクイーンと親衛隊を巻き込みながら誘導装置もろともアジトは大爆発し、迫り来る彗星にもSS−17から放たれたレーザーが直撃する。……だが、彗星は既に、地球衝突を免れない位置まで接近してしまっていた!
「俺は、俺は信じねぇぞ。地球が、人類が滅亡するなんて、信じてたまるか、信じてたまるかぁ!」
何故かここで、現実から逃避する主人公。
「諦めない」ならわかるのですが、どうして「信じない」になったのでしょうか(^^; Aパートで折角いい所を見せたのに、一瞬で台無しに。
そんな他力本願の叫びに応え、地球へ降り立つプラチナム。……いや、カプセルで降りてこないで、金色宇宙船ビームで破壊すればいいのでは。前回も、シグが地雷を踏む都合で戦闘が終わるとやたらそそくさと帰っていたのですが、帰り道に彗星の一つや二つぐらいあっさり破壊できたと思われ(なにしろ、クイーンの近衛船団を瞬殺したという実績がある)、凄く、挙動不審。
「ショウ、これからは私が居なくとも、おまえ自身の意志でハイパーショウとなるのだ」
「どういう事だよ? まさか?! プラチナム!」
「プラチナム、自分の命と引き替えに?!」
「彗星の衝突阻止を、いや、破壊を?!」
次々と、勝手に煽るブルースワット(笑)
あなた方明らかに、自分達の願望を伝えてますよね。
煽るだけ煽った後、いやらしく形だけ止めようとする面々だが、ゴールドプラチナムの決意は固い。
「忘れてはいけない。この星を救うのは、ショウ、サラ、シグ、セイジ、スミレ、君達だ」
いや、救えてないからお父さんに頼る事になっているのでは。
「私は、平和を願う者達の想いの結晶に過ぎない。悪を許さない怒りが――心があるなら、いずれ次なる私が誕生する。必ずや」
突然、自分は概念的存在であると言い出したゴールドプラチナムは、カプセルに乗って彗星に特攻。
主要キャラの自爆シーンの筈なのですが、すみません、正直、吹き出しました。玩具のギミック的都合ありきだったようですが、あれだけ降下シーンが格好悪い(そして意味のわからない)カプセルを特攻兵器に使われても、話の成り行きと合わせて変な笑いしか出ません。
「救われたのね……地球が」
「プラチナムのお陰で」
「命と引き替えに」
「おまえってやつはよ、プラチナム
最終回、超戦士の自爆を何もせずに見つめる主人公達……という歴史的大惨事が華々しく展開しましたが、これは思えば、第1話の主任自害のメタオマージュ自虐パロディなのかと思うと、徹底して『ブルースワット』らしいとも言えます。
だがその時、お父さんを悼み感傷に浸る5人を、突然の攻撃が襲う。クイーンはまだ、生きていた!
「私は死なん! 全ての生命体に、知性体に、悪の意志がある限り――我が生命は滅びない。甦る!」
ラチナム同様、いきなり、自分は概念存在的だと主張し出したクイーンは、ブルーストライカー、ガバナーに次々インヴェードして5人を攻撃、続けてシグやサラに次々と憑依し、身投げさせる。
残るはショウ一人、だが……
「許さねぇ、俺は絶対におまえを許さねぇ! 叩き潰してやる、叩き潰してやるぜ! クイーン!!」
悪を許さぬ怒りの心――それに応えて時空の彼方から金色宇宙船がやってくると、今ショウは、自らの意志でハイパーショウとなる!
あー……ここでショウが、亡きお父さんの志を継いで新たなヒーローになる、というのは、この最終回、というか、物語全体をまとめるアイデアとしては悪くないのですが、残念ながらこの期に及んで、自力ではない(笑)
まあそこプラチナムも、「おまえ自身の意志で」と微妙な言い回しなのですが、それを言うとこれまでも実質的に自分の意思でプラチナムを呼んでいたわけで別に強制的にハイパー化されていたわけでもなく、台詞もこれまでと変わらない「絶対許さねぇ!」なので、特に劇的な変化が生じていません。この、最後の最後まで劇的なダイナミズムと無縁なクライマックス、というのも実に『ブルースワット』クオリティ。
ショウの怒りをプラチナムが仲介してスターフォートレスを呼ぶ事でハイパー化する……といった設定だったなら、仲介なしでスターフォートレスを呼ぶ事が出来るようになった、という変化とショウ自身の意志の力を強調できますが、そもそもハイパー化するのにスターフォートレスは必要なかったわけで(^^;
そう考えると、そもそもスターフォートレスとはプラチナムの移動用ではなく、万が一の時に自分が居なくてもショウがハイパー化できるようにプラチナムが用意していたという事になりますが、どれだけ過保護なのかお父さん。
その辺りを置いておくにしても、今作全体にこれといって統一したテーマが無いので、“悪を許さぬ怒りの心”に収束しようとしても、当然綺麗にまとまりませんでした。特に、ショウの私怨に反応してプラチナムが来ちゃう、とかネタでやっていたのは致命的(^^;
ただまあ、手元の具材で何とか、最後に話の大枠を作ってまとめようとしたセンスというか誠実さは、一定の評価をしたい所です。
最近のインタビュー記事によると、この時期の宮下連名脚本は、宮下さんがプロットを書いて若手や弟子筋が第1稿として膨らませたものを更に宮下さんが改稿していたそうですが、『ジャンパーソン』の最終回なども考えると、着地はちゃんとさせよう、というのは宮下さんの意識の出た所か。
スターフォートレスからエネルギーを受けたハイパーショウが放った超凄いビームによりクイーンはブラックホールに飲み込まれて消え、喝采をあげるブルースワット
「だが、最後の最後までブルースワットの戦いが人々に知らされる事はなかった」
と、初期設定を守り通したようなナレーションを被せ、後日談エンドへ。
シグはザジと親子として地球人として生き始め、スミレは大学に戻り、セイジはパソコン教室の講師となり……そしてショウとサラはスターフォートレスに乗り込み、プラチナムの意志を継ぐ者として宇宙へ旅立っていく――
「だが、その喝采なき勝利を、地球も、宇宙も記憶に留めるだろう。死力を尽くして戦った戦士達の伝説を、永遠に。さらば、ブルースワット!」
……さてここで、ゴールドプラチナムの“目的”を、思い出してみましょう。


「ハイパーショウ。今日からお前も装備するのだ。私の同志として。地球を、宇宙を守る戦士として」 (第33話)
そう、ゴールドプラチナムの真の狙いとは、お気に入りの地球人ショウを、自分の同志として迎える事にありました。
そしてまんまと、ショウはゴールドプラチナムの意志を継ぐ者として大宇宙へ旅立つ事になります。

第50話における妙に急ぎ足での帰還と地球へ迫る彗星の無視。
衝突間近の彗星を素通りして地球へ降下してからのわざとらしい別れの会話。
スターフォートレスを使わずカプセルで特攻。

これら数々のゴールドプラチナムの不自然な行動から導き出される結論はただ一つ――ゴールドプラチナムは生きており、自己犠牲は偽装工作に過ぎない。
恐らく宇宙へ飛び出して三日後ぐらいに、しれっとショウ達の前に姿を現します。
「プラチナム! 生きてたのか!」
「そうだショウ。これからは、私と一緒にこの大宇宙で戦い続けよう。あ、その余計な女は地球に帰還びーーーーーむ」
ぐっばい! ぶるぅーすわぁっと!!
というわけで、最終回にして「真のヒーローに導かれた男が二代目を継承する物語」に仕立て直された今作、上ではそれを誠実さと評しましたが、意地の悪い見方をすれば実は主人公はヒーローではありませんでした、という自虐的なちゃぶ台返しであり、ブルースワット』はヒーロー物として未完成だったという敗北宣言とも取れます。
既存のヒーロー物の約束事を取り除き、新たなリアリティとそこから生まれるヒーロー像の構築を目指した今作でしたが、地盤作りの不足から建物が根こそぎ倒壊。蛇行を繰り返した挙げ句に自虐と自爆の底なし沼にはまってしまったのは非常に残念でした。ヒーローとは何か? をこねくりまわして袋小路に詰まってしまったのならまだともかく、ヒーローとは何か? という入り口に辿り着けすらしなかったと思えます。
別に何でもかんでも「ヒーローとは何か?」を問わなくても良いのですが、新たなヒーロー像を模索していた筈の今作が、インヴェード被害者の無視や脳死した人体の乗っ取りなどの蛮行の末に、最後に辿り着いたのが“自己犠牲による彗星衝突の阻止”では、正直お粗末。
とにかく第23話以降、ゴールドプラチナム関連においては作り手の諦念や嫌悪感すら随所に感じられ、作品として“壊れてしまっている”今作ですが、もう一踏ん張り、作品を壊さない為に戦って欲しかったです。
問題は、ゴールドプラチナムで何もかもおかしくなったのではなく、ゴールドプラチナム登場以前から壊れかけていた、という所でありますが、土台から基礎を全て抜く→地盤の再整備をしていないのに建物を建て始める→柱の寸法から歪んでいるのに無視して建築を進める→当然丸ごと倒壊→更に隕石が落ちてくる→何かも虚無の泥濘へ沈んでいく……そんな作品でありました。
具体的な問題点のまとめは、やっているときりが無くなりそうですが、その内、総括ないし反省会で。
終盤、あまりの壊滅ぶりにかえって文章が長くなってしまいましたが、長々とお付き合い下さった皆様、ありがとうございました。
来週から、『ビーファイター』だといいなぁ(ここまで来たら、メタルヒーロー扇澤脚本をコンプリートしたい勢い)。