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『重甲ビーファイター』感想5

◆第5話「重甲ジャック!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:宮下隼一)
見所は、バイクでジャマール戦闘員をはねる拓也。
今日も朝から、筋肉の育成に余念がない大作と麗。一方、拓也は向井博士らとビートマシンのを整備しながら、麗と大作の経歴に言及。
麗は家庭の都合で幼い頃から各国を転々とする海外暮らしをしており、「戦争などで、自然が破壊され、多くの人々や動物が犠牲になるのを目の当たりにした」というイメージカットでキノコ雲が発生したり街が廃墟になったりやたら強烈なのですが、本当に戦場帰りだったようです。
大作は10代の頃から日本全国を放浪しており、「開発という名の不必要な工事、埋め立て、森林伐採、人間の身勝手さを痛感」して マッスルを育てた 樹木医になったのだった。
「2人とも、一度は人間に絶望した。だが、今、改めて、人間を信じようとしている。拓也、お前も含めて、いいチームだよ」
誰もそこまで言っていないと思うのですが、物凄く大きな話にしてまとめる向井博士。
ジャマールでは新たな侵略計画が立案され、超光子プラズマ破壊作戦を3人でプレゼンする幹部達、仲良し。
「問題は、研究所を覆う防犯用の強力バリア。残念ながら、我らの手で、破る術はない」
大丈夫かジャマール。
既に人類の科学力に押され気味なのですが、今後の侵略活動に大きな不安が漂います。
(かつて俺は、脆くて弱い異次元生物だった)
作戦指揮を任された幹部緑・ギガロは、1人語りで自らの設定を解説。
(だが今は、様々な生物から、優秀かつ凶暴な遺伝子や細胞を採取、合成した)
ギガロは自らの体に薬品を打ち込むと、その細胞から合成獣を作成。虫歯菌のイラストのような合成獣は、生物の体内に入り込む能力を用いてレッドルとジースタッグの制御を奪うと、虫アーマーの力で研究所のバリアを破壊する!
一種の洗脳展開なのですが、ジャマールの科学力では突破不可能な防犯バリアが、レッドルとジースタッグが徒歩で突っ込んでいくと圧力に耐えかねて砕けてしまい、ジャマールの戦力にますます疑念が募ります。人類科学とジャマール科学のジャンルの違いなのかもしれませんが、ただでさえ虫アーマーだと突破可能という説得力がこれといって無いのに、徒歩で破壊してしまう為、映像的にも非常にガックリ。
一方、レッドルとジースタッグの攻撃を受けて変身が強制解除された拓也は一度基地に戻っており、自己修復機能があるなんて凄いね虫アーマー、と笑顔(地顔)で博士と盛り上がっていて、緊張感ゼロ(^^; 虫アーマーが復活する際も「メンテナンス完了」とどこかズレた発言で、戦力の3分の2が敵に操られているという危機感がさっぱりありません。
ブルービートは冷凍弾でレッドルとスタッグを凍らせ、たまらず合成獣が飛び出した所で、火炎弾で2人を解凍。合成獣のピンチにガオームはジャマール要塞を突入させるが、ビーファイターはビートマシンを召喚し、更に追加装備を投入。
前回に引き続いての気合いの入った特撮で、昆虫メカが大活躍。追加装備であるクワガタのドリルがカブトの中、カブトのマグネットがクワガタの中に、それぞれ収納されているという仕掛けは面白かったです。……テントウのクレーンは結局内蔵になってしまって、貫ききれませんでしたが(^^; また追加装備に関しては、マニュアルがゴーグルに表示される、という形でリアリティを補強。
掴んだ岩石で戦闘員を圧殺するのも、マニュアルに記載されていたのです。決してレッドルのアイデアではありません。たぶん。きっと。まちょっと覚悟はしておけ。
昆虫メカが戦闘機部隊を蹂躙している間に、ギガロは麗の友人の少女に合成獣を憑依させると、時限爆弾を研究所に仕掛けさせる。阻止に向かったビーファイターは立ちはだかる合成獣をスティンガーウェポンで瞬殺し、起爆寸前の爆弾は、向井博士が物理で解除するのであった。
合成獣がピンチなのにガオームゾーン発動ではなく要塞を突入させるという、“昆虫メカを活躍させる”という話の都合丸出しの展開に始まり、ビートマシン活躍・合成獣との戦闘・爆破解除、の3要素が全く連動しておらず、特に爆破サスペンスは完全に余計な要素になりました(^^;
「ビートマシンを呼べ!」と何故か現場まで言いに来たり、時限爆弾をコード引っこ抜いて止めたり、と第4話まで出番の少なかった向井博士増量キャンペーンを兼ねていたのでしょうが、博士も出番増やしただけで別に個性を描いたわけではないので、特に面白くなっておらず、虻蜂取らずの空中分解。
第1話からの傾向である、話の流れと関係なく設定説明シーンをねじ込む手法でキャラクターの背景を次々と説明したのも、まとめて台詞にしてしまうと却って流れてしまい、むしろわかりにくく(印象に残りにくく)なってしまっています。
小西監督の引退にともなってか坂本監督がメタルヒーローに参戦しましたが、原点回帰と古典オマージュとヒーロー作品いいとこ取りが、こんがらがって思いの外手探り感の強い今作の、悪い部分がまとめて出たようなエピソードでした。