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『仮面ライダーオーズ』感想17

◆第23話「キレイと卵と眠る欲望」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
今回の3つの見所!
一つ、ドクター部屋にコタツを持ち込む伊達。
二つ、クスクシエにどんどん馴染んでいく後藤店員。
三つ、ネットカフェが似合いすぎるカザリ。
住む所、大事。
ガメルのコアメダルを2枚吸収し、更なる進化を遂げたカザリは、化粧品会社の研究員・佐倉優美にメダルを投入。最初はヤミーの卵からの呼びかけに気付かない優美だったが、旧知の伊達と再会した事をきっかけに、眠っていた欲望が花開く……。
「綺麗になる……私が……麗よりも」
ヤミー誕生→事件発生の流れに大筋を絡めていくのではなく、大筋の諸々を幾つか消化した後にヤミーが誕生して事件が起こる、という少々変則構成。
まずは伊達が映司と語らい、映司にどこか見覚えがあるが結局それを思い出せずという以前の引きから、映司に感じる珍しさを、単刀直入に告げる。
「いろんな事から、一歩か二歩引いてる感じ? わけぇのに」
「え? そうですか?」
この返しが素なのが映司の凄く怖い所で、伊達という存在が、映司の危うい部分に続けて切り込んできます。
「自分からも引いてる」
後藤さんに対するのと同様、どっろどろの欲望まみれと言いつつなんだかんだ年長者として映司も気にする面倒見の良さで、ますます株価を上げていく伊達さん。ところで、おでん屋のオヤジがゴリラ缶の存在を平然と受け入れているのですが、先日映司がクジャク缶でチョコレートを冷やしていたし、鴻上ファウンデーション印と言えば、大抵のハイテクは納得される世界なのか。
そしてヤクザとコズルイが喧嘩。
「いつかは落とし前をつけようと思っていた」
「残念だけど、進化を止めている君は僕には勝てない」
カザリは取り込んだコアメダルによってメズールの水流やガメルの重力制御を用い、これまでカザリの自己申告だった「進化」とは何か、というのが、「他のグリードのコアメダルを取り込む事」・「その能力を自分のものとする事」と具体的に描写。
オーズ(タゴタ)とバースがやってきて、ウヴァはこっそり逃走。2対1の戦いになるも進化を続けるカザリには2人がかりでもあしらわれてしまい、仕方なくタジャドル発動。いきなりおもむろに、手から火をだしてビックリ(笑)
戦いにこだわらずカザリは引き下がり、コンボはまだまだ、進化カザリとそれなりに渡り合える、という位置づけ。アンクが繰り返しコンボパターンの少なさを気にしており、乏しいメダルホルダーの中身の映像と合わせ、前半順調に集まっていたコアメダルが何枚も奪われた事で戦いが苦しくなっているという描写が、“メダルの枚数で物語に緩急をつける”という今作ならではの演出になっており、印象的になりました。
前半オーズが日の出の勢いだったのも、この中盤の停滞&バースにいい所を奪われまくる展開との落差として、遡って上手く機能。肉体の問題も含め、思うにままならないアンクの心情へのシンクロが、上手く誘導されています。
その頃、美貌の女社長として会社の看板を務める妹・麗の影に隠れ続けていた優美は、伊達と再会した事で押し隠していた「美しくなりたい」という欲望に目覚め、ヤミーの卵をその手にする。アンクと映司は卵から孵化した大量のエイに足止めを食い、その間に欲望を拡大していく優美。伊達と共にようやく優美を見つけた映司が目にしたのは、美しく着飾った優美と、魂を骨抜きにされてその足下に転がる人々だった。
「初めて見た……あんな素敵な人。綺麗だなぁ……」
そして、優美を見た瞬間、映司までもが魅了状態に陥って階段を転がってしまう! 年上趣味だったのか、映司!!(多分、そういう事ではない)
ここで映司がチャームにかかるシーンはCGを使って一気にコミカルに描写されており、趣味としては好きな演出ではないのですが、ヤミーの能力という事もあって、敢えて浮かせた感じの方が良いという判断だったか。


◆第24話「思い出と恋と海のコンボ」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子
見所は、どこからともなくハリセンを取り出す後藤さん。
正直、初めて後藤さんに感心しました(おぃ)
「おまえは美しい……だがもっと欲しがれ。美しさはそれを認める者があってこそ。妹のように」
チャーム無効の伊達を前にエイを放って姿を消した優美は新作化粧品の発表会場である水族館にヤミーの卵を運び込み、弾けた卵の中から、サイの顔の意匠がボディ部分となり、背中にエイを背負っているというなんだか凄いデザインのエイサイヤミーが誕生。
クラゲライオンに引き続き、進化カザリのヤミーは、キメラ的な異形感を増す為に敢えてあまり洒落ずにモチーフ動物を融合しているのでしょうが、不自然なグロテスクさが引き立って印象的です。
その頃、映司は口からハートを吹き出し、湯だった脳みそでくるくる回転しながらアンクの頭をはたき、後藤にハリセンで襲いかかられ、アンクにバケツの水をぶっかけられそうになっていた……と引き続きギャグ時空に旅立ったまま帰ってきません。
もともとギャグ時空と親和性高めなので、このまま不思議の世界へ行って戻ってこないのではないか、と心配が募ります。
一方、セルメダルの収支−523枚という散々な営業成績だった伊達は、優美が新社長としてTVに登場したのを見ると、後藤店員を連れて水族館へと急ぐ。
「知世子さん、ちょっとすいません。ディナータイムまでには戻りますから!」
後藤店員、目の前の幸せの為に、大義を忘却しそう。
なお伊達が部屋を出て行った後に、机の上に置かれたクスクシエの割引券を見てドクターが絶叫する、というシーンあり。何らかの伏線なのかドクターのいつもの奇行か判然としませんが、割引券に自分の顔写真をアップで載せる知世子さん、魂が太い。
そして、ヤミーの親になる事で魂の太さを手に入れた優美は、妹を水族館のバックヤードに監禁していた。
「綺麗になるって、気持ちいいのね。みんなが注目して、私の言いなりで……このままずっと」
「やめとけ佐倉」
そこへ現れる伊達。
「伊達くん……」
「目ぇ覚ませよ。こんなのおまえらしくない」
「これが私よ。前より断然綺麗でしょ。どうしてあなたは平気なの? 他の人はみんな……」
「そりゃ…………昔のおまえの方が好きだったからじゃない?」
圧倒的な、大人の男の強さ!
さすがにスルリと口には出さず、ちょっと間を置く照れがまた、それでもハッキリ言うという格好良さになっています。
主に戦隊ダメンズ達に、見習わせたい!
「今のお前は、俺にはひっとつもよく見えねぇし」
伊達と優美はかつてアフリカで一緒に働いていた事があり、その時の優美の持っていた輝きを率直に告げる伊達。
「今のおまえは、欲望って酒に酔っ払ってるだけだ」
「伊達くん……私……」
あっさりと《交渉》ロールに成功し、またも男を上げまくる伊達さん。映司がギャグの世界へ行ったまま帰ってこない一方で、全く株価の下がる気配が無いのですが、1億円の為にラスボスになるのではないか、と不安になってきました。
正気を取り戻す優美だが、そこにエイサイヤミーが出現。後藤の援護射撃を受けながら、伊達はバース変身。
一方、映司をひきずっていくアンクと比奈の前にはカザリが現れ、それでも脳が燻製されたままの映司に炸裂するWツッコミ。2人は主に比奈の一撃により気絶した映司を、二人羽織状態で強引に変身させる――
「変身!」
変身しないヒロイン立ち位置キャラが、この台詞を口にするのは、さすがに史上初でしょーか(笑)
強制変身させられた映司は、仮面ライダーであった事を思い出してギャグ時空から帰還。言われた通りにこの一連の成り行きを見守って肩をすくめるカザリなど、ここまで映司パートはひたすらコメディ。カザリまでギャグ時空に巻き込んだのは少々やりすぎたかとは思うのですが、面白いか面白くなかったかと言われると、正直割と面白かったです、ハイ。
水族館ではバースが強化ドリルでエイサイに大ダメージを与えるが、巨大エイに姿を変えたヤミーが外へ飛び出した際に天井が崩れ落ち、妹をかばった優美が負傷。変身を解いた伊達は割れた腹筋を披露すると、手早く優美を治療する。
「俺、医者のチーム組んで、世界回ってたのよ」
伊達明は、かつて“戦う医者”と呼ばれ、世界各地で医療活動に従事していたのだった。
引っ張っていた伊達さんの過去が、“1億円の欲望”とは随分とギャップを感じるものだったと明かされ、その理由がどんなものになるのか、興味を繋ぐ形に。この治療中に、姉に対する素直な気持ちを妹が告白して姉妹は仲直りし、伊達さんメインだと色々丸く収まる展開。
外では巨大エイがビームを放ちながら暴れ回り、アンクの《挑発》により、流れ弾がカザリに直撃。アンクの指示を受けたオーズは、その隙を突いてカザリから1枚のコアメダルを奪い取り、カザリは撤退。そしてオーズは、奪ったコアメダルを使って青いコンボを発動する!



『シャチ! ウナギ! タコ!』
『シャ、シャ、シャウタ! シャ、シャ、シャウタ!』


オーズシャウタは、スピード感あって格好良いCGでの水中戦から、タコ足ドリルよいやさーーーで巨大エイを撃破。腕からうにょうにょが伸びる、はギルス(『仮面ライダーアギト』)がやっていた気がしますが、足に吸盤のついたヒーロー、はさすがに、初、か……?
タジャドルの直後に新コンボ発動、というのは、前作からの流れもあるのでしょうが、あくまでフォームチェンジの手数にこだわる、という作品としての方向性が窺えます。シャウタ→タジャドルではなく、タジャドル→シャウタという順番にしたのも、どれが最強ではなく個々の属性がある、という要素の強調になり、前半に見せなかったのはそういう段取りがあったのかしら。
応急処置を受けた優美は無事に救急車で運ばれていき、優美の想いに気付きながらも、伊達は敢えてその言葉を遮る。果たして伊達の抱える1億円の欲望の裏にはどんな理由があるのか――次回、鳥のヤミー、出現?!