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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第19話

◆第19話「信じるのは誰」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
ジュウオウイーグルにトドメを刺す直前、不意に苦しみだしたザワールドはニンゲンの姿となり、その苦悶の表情を目にする大和。だが痩せ細った男はナリアによってデスガリアン基地へと回収され、ジニスによって再調整を受ける事に。
「大丈夫。私に任せておけばいい。私は君の事なら全てわかっている。私は君の味方だ。君はただ、私を信じていればいい。ふふふはははははは」
回収の際に一撃でサワオ中身を気絶させているナリアは、この後の戦闘シーンでは再びヌンチャクを振り回し、どんどん肉体派になっていきます(笑) 検査機を兼ねていた筈のヌンチャクは、もう完全に基本装備という事でいいのか。
一方、大和はサワオを単純に敵とは思えなくなっていた。
「……ザワールドを、助けられないかな」
「は? 冗談だろおい?!」
「あたし達の事、ぼっこぼこにした奴だよ?!」
「あの時の顔……凄く辛そうで……泣きそうで、もしかして、俺にトドメ刺したくなかったのかな、って。だとしたら、あの人だけでも!」
「大和くん、気持ちはわかるけど……」
「俺らにとっちゃ、超やべぇ敵としか思えねぇ」
ここで全員があっさり右にならえするのではなく、サワオの中身を見た大和と、見ていない4人の温度差をしっかり描くのが、今作の堅実かつ手抜かりのない所で、個々のキャラクターがきっちりと生きていきます。
デスガリアンではサワオに苛立つアザルドがボウリング怪人を地上に放ち、ピンに見立てられて吹っ飛ぶ人々。吹っ飛び方からとても無事に済むとは思えず、相変わらずさらっと被害を出す戦隊です。
ジュウオウジャーの前には調整を追えたサワオが再び立ちはだかり、オオカミモードで5人を叩きのめすが、大和は敢えて変身を解いて、サワオを説得しようとする。
「俺は君とは戦いたくない!」
だがサワオは大和の言葉には一切耳を傾けず、強力な蹴りを放ち、銃を突きつける。
「それでも……やっぱり俺は助けたいんだ!」
気絶した大和を助ける為に白が割って入る→青が大和の身柄を確保→エレファント目くらましで脱出、という連携アクションはスピーディで格好良かったです。
大和は家で治療を受け、ジューマン4人はマリオから、大和が以前にも暴れ馬を取り押さえようとして大怪我を負った話を聞く。
「「またか」か……」
「ん?」
「ラリーさんの心の傷を癒やしたのは、大和くんの一途な熱意だったなーって」
「……そういえば、タスクをここに連れてきたのも」
「それを言うなら君達も同じじゃないか!」
体も、心も、自ら傷む事を恐れずに、大事なものの為に常に手を伸ばしてきた風切大和……4人はその真っ直ぐな想いに助けられてきた事を思い出し、翌朝――目を覚ました大和を待ち構える。
「あたし達、お話があります」
今回の、妙に好きな台詞(笑)
「……ごめん! 昨日は無茶しすぎました! でも俺――」
思わず丁寧語になる大和だったが、その時、白い小悪魔の《唇タッチ》が発動した! 大和は硬直した!
「どうしても、ザワールドを助けたい。でしょ?」
「あいつを救えるかどうかは僕たちにもわからない。でも……君が信じるなら、僕たちも信じる」
「乗っかってやるよ、おまえの賭けに」
「一人で無茶されるより、よっっぽどマシ」
「みんな……ありがとう」
大和を信じ、サワオを助ける――心を一つにする5人だが、再びボウリング怪人が出現。
アザルドはサワオの乱入を拒むも、ジュウオウジャーはボウリング怪人を撃破し、コンティニュー。巨大戦で追い詰めた所で今度こそサワオが出撃し、トウサイジュウオウvsワイルドキングに。今回も苦戦するワイルドキングだったが、突然、マサカリが、パンダに、そして金色に。
サワオ含めて皆が仰天している間に、勢いでトウサイジュウオウにダメージを与えるパンダ。
「パンダつよっ!」
「でもなんでいきなりピカピカパンダさんに?」
「ん? 根性見せてくれたって事だろっ」
物凄く強引に販促キャンペーンネタを突っ込んできましたが、後年に見ると意味不明になりそうです(^^;
もはやパンダに操られている感のあるワイルドキングは猛然とサワオロボに連続攻撃を浴びせ、その隙にコックピットに突入したイーグルはサワオを外へ引きずり出すと、押して押して押しまくる。
「ジニスの望みなんて、君には関係ないだろ!」
「ジニス様は俺の理解者だ。俺の、全てを、わかっている!」
説得ロールに精神抵抗したサワオの攻撃を受けて変身が解ける大和だが、それでもまだ、諦めない。
「やっぱり、ジニスはわかってないよ……」
「なに?」
「だって、君にこんな酷い事させてる」
大和はジニス/ザワールドの望みである「暴力」そのものを否定し、その事に激しく動揺するサワオ。
「俺達は君が誰なのか、本当はどんなやつなのか全然知らない! でもこれだけはわかる! 本当の君は、俺達と戦いたいなんて思ってない。それだけは絶対に信じられる! 俺達は君を信じる!!」
……これはあれだ、ザワールドへのロイスをタイタスにして起き上がった後に、ザワールドの中の人をロイスにしたんだ(突然の『ダブルクロス』解釈)。
サブタイトルは「信じるのは誰」でしたが、ここで、ジニスの「私を信じろ」に対するのが、「君を信じる」だったのは面白かった所。冒頭で如何にも悪魔の囁きめいていたジニス様のイメージ映像がサワオの心象風景の中に浮かび上がる一方で、大和の声もサワオを揺らし、脳内天使と悪魔の綱引きのような映像も面白く、つまり、大和くんは天使。
エンジェル大和の「君を信じる」、すなわち、暴力を肯定しない「君を信じろ」という言葉に自分自身を取り戻したサワオは絶叫と共に体内のジニスメダルを吐き出すと、近づいてきたナリアに一蹴り入れ、訣別を宣言。
「俺はもう、おまえらには従わない」
ジニスの言葉でナリアは引き下がり、狂戦士ザワールドは今、デスガリアンの呪縛を逃れるのであった。
「「初めまして」なのかな。俺は、風切大和。君の名前は?」
「門藤……操だ」
本名「サワオ」だったらどうしようかと思っていたのですが、「ミサオ」でした。
ミソサザイ! サバ! オカピ! ミ・ミ・ミサオー! ミ・ミ・ミサオー!
(そろそろ離れなさい)
しかしジニス様のサワオ修理シーンがセルメダル投入に見えたのは私だけではないと思いたい。
実にバイオレンスな見た目から、もう少し引っかき回すかと思われたサワオですが、大和くんの攻撃力が高すぎて、3話で陥落してしまいました。恐るべし、エンジェル大和の《貫通説得》(※どんな心の装甲も無効化)。
サワオが正気に戻る際に、黒いオーラと共に大量のメダルが噴き出したので、弱体化するとしたら、この辺りが理由付けにされそうでしょうか。今のまますんなりパーティインだと、パワーバランス悪すぎますし(逆にジューマン4人のパワーアップ展開で全体を底上げしてくるかもですが)。
サワオロボvsワイルドキングも、パイロットが一人しか居ないという弱点を突いての奇策でドローに持ち込んだり、戦力ヒエラルキーの描写には気を遣っている様子なので、上手い調整には期待したいです。
一種の洗脳状態とおぼしきサワオに自我を取り戻させるアプローチが「君を信じる」というのは面白かったのですが、少々引っかかったのは、ここでサワオの事を何も知らない大和が何を信じているかというと、好んで他者の命を傷つけるものは居ない、という“善”を信じているという事。
結果として、サワオの中の善がジニスという悪に打ち勝ち、その土台には信じ合う命の繋がりがある、という形で綺麗に収まってはいるのですが、この台詞に至る大和の積み上げ、というのはこれまでの物語ではやや足りなかったように思えます。
大和が今回口にした善への信頼が何かというと、遊戯として好んで他者の命を傷つけるデスガリアンに対するカウンターの思想なわけですが、それが大和の積み重ねから出てきた自然な言葉というよりも、デスガリアンに対するカウンターとして置く必要性ありき、という構造的な事情優先に見えてしまったのは残念。
その点、ギフト編ほどの爆発力を埋めず、少々物足りなく感じてしまいました。
次回、二大幹部揃って出張から新戦士覚醒、という盛り上がりそうな展開の中でサワオの人となりが見えてきそうなので、どういう位置づけに収まるのか、大和の言葉とどう繋がっていくのか、物語としての融合と一跳ねを期待したいです。……それにしても今回地味に生き残ったボウリングに、登場の余地はあるのか。