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『重甲ビーファイター』感想11

◆第11話「怒りロボ大暴走」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
雑誌記事で明言されているそうですが、当時の諸事情により鷺山さん名義で発表された、小林靖子脚本との事。
街に、見た目JP配色の歩く手榴弾、怒りメーターが溜まると大爆発を引き越すという戦闘ロボ・イカリボンバが出現。
戦闘ロボの前に立って堂々と抗議する市長など、コメディ調で展開し、ビルや道路を吹き飛ばす爆発の規模も、ちょっとギャグの領域(笑)
立ち向かうビーファイターだったが、爆発被害を恐れる市長により逮捕命令が出され、一転逃亡者に。街はそのまま手榴弾ロボの支配下に置かれ、ジャマールシティとなってしまう。シュバルツの目的は、この街に手榴弾ロボの生産工場を作り、全世界に手榴弾ロボをばらまく事で世界を恐怖によって支配する事にあった!
労働力は現地調達というのはそこまで珍しい事ではありませんが、色々不安の募るジャマールだけに、本当に大丈夫なのか不安が濃くなります。
大作の知己の少年から、ジャマールが公園に工場を作ろうとしている事を知らされるビーファイター。向井博士の分析により、手榴弾ロボの怒りゲージが溜まった際に衝撃波が発生して周囲を吹き飛ばしている事、その起爆装置が首の後ろにある事が判明。それを聞いた大作は今回も暴走して単身突撃してしまい、拓也と麗は、開発中の電子高熱銃を持ち出す。
結局、3人とも判断力があると話を転がしにくいという事になったのか、大作の知力がどんどん低下しており、うーん……。
単身挑んだジースタッグが起爆装置の破壊に失敗した所に拓也達から通信が入り、高熱銃のチャージ時間を稼ぐ為に緑が敵の攻撃に耐える、という展開になるのですが、大作が暴走するというプロット抜きで、普通に囮作戦にすれば良かったのでは……。
「公園の木を守ろうとして暴走する」よりも「公園の木を守る為に体を張る」の方が重みが出たと思いますし、ダメージを受けて転がった所で通信しているのも凄く間抜けで、話の都合で登場人物の頭を悪くした上で無駄なサスペンスに持ち込む、という非常によろしくない展開。
変身解除まで追い込まれた大作は急遽よいしょ作戦に切り替え、手榴弾ロボの命じるままに唄ったり踊ったりして時間稼ぎ。
これもどうせやるなら、最初からこちらに焦点合わせて、もっとギャグに振ってしまった方がスムーズだったような。戦闘シーンを作らないといけないなどの事情もあったのかもしれませんが、大作暴走→バトルで時間稼ぎ→ギャグで時間稼ぎ、という流れがすべからく場当たり的かつ、どこにも軸が無いため、ピントがずっとズレている感じに。
途中で少年が大作の阿呆な踊りを見てショックを受けるシーンで、ヒーローには膝を屈し臥薪嘗胆の心でゲージを溜めなければならない時がある、というのを示したかったのかもしれませんが、クライマックスのカタルシスにはそれほど繋がらず、ただただテンポの悪い事に。劇中の時間稼ぎがそのまま、メタ的に尺稼ぎにしか見えません(^^;
いよいよ手榴弾ロボに抹殺されそうになる大作だが、拓也と麗(ナチュラルに引き金を引く方)が、高熱銃で起爆装置の破壊に成功し、ビーファイター揃い踏み。
イカリボンバを爆発させ、ビーファイターもろとも、吹き飛ばしてやる」
計画失敗を悟ったガオーム様が戦闘機部隊を出撃させ、外部から強制的に手榴弾ロボを爆破してしまおうとするのですが、「吹き飛ばせ」ではなくて、自分で実行する辺り、どうにも暇そうな大ボスです(笑) たぶん普段は、社長室で経理事務とかしている。
対するBFはビートマシンを発進させ、挿入歌初使用。レッドジャイロのクレーンにクワガタマシンに収納されているマグネットを付けるという複合ネタで手榴弾ロボを吊り上げ、市街地から離れた所に運んでからカブトメカとクワガタメカの攻撃で撃破、というのは変化をつけて面白かったです。……面白かったのそこぐらいというか。
前作『ブルースワット』では孤軍奮闘に近い形で光る物を見せていた小林靖子ですが、最初から最後までテンポの悪い残念回。あまりに話の流れがズタズタすぎて、脚本書いた時点ではもっとシリアスだったのが、全体の方向性としてコミカル分を増量する事になり、現場で色々差配している内に柱から折れたのではないか、と疑うレベル(^^; 植樹云々が完全に添え物に過ぎなかったり、個々のキャラクター性がほとんど活かされなかったり、ここまでのアベレージでだけ見てもらしからぬ出来なのですが、演出含めて何かあったのか。


◆第12話「やる気を奪え!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:扇澤延男)
「ナマケルゲ、この穀潰しめ!」
日がなぼんやりパイプに捕まっているだけの合成獣を叱責するギガロは、駄目な方向で段々面白くなっていきます(笑)
自分の細胞から生んでしまった給料泥棒をリストラしようとするギガロだったが、そこにガオームが現れ、駄目社員を自ら地球へと放つ……。その頃、アースアカデミアでは今日も朝から大作が筋肉と熱い会話を交わしていた。
「朝っぱらからよくもそう元気だねぇ!」
「なにしろこっちは現場担当ですからね。動いてないと体がなまっちゃって、はは。尊敬しますよ、博士を。毎日毎日ただデスクに座ってて、よくボケないよなぁ」
「ボケる?! 私だってただただあそこに座ってるわけじゃない。胃袋がきゅーっと痛くなるほど、ここを使っとるんだ。ここではなく、ここを。はははーだ」
「それじゃ俺が全然頭使ってないみたいじゃないですか」
どんどん、大作が、公式マッスル脳になっていくのですが、あの肉体がいけないのか。
子供の喧嘩を始める二人のフォローに入る拓也だが、
「仕方ないだろ。博士は現場には出ていけないんだ。僕らと違って、もう年なんだから」
「と、年?!」
にこやかにガソリン投下(笑)
そこへ職員が入ってきて、ビートマシンのオペレーターを務める本田主任が出社していないという連絡がもたらされる。
「君達は、残りたまえ。見せてやろうじゃないか。私がただ座っているだけの年寄りかどうか。麗ちゃん行きましょ」
つむじを曲げた博士は、麗をともなって自ら本田を探しに外出。扇澤さんが得意とする軽妙な会話の中でのキャラクターの個性の塗り重ねに、粉薬など小技を効かせた坂本監督の演出がはまり、今回この一連のやり取りだけで、十分に面白かったです(笑)
本田の家から通勤経路を辿った博士と麗は、複数のサラリーマンと一緒にガード下で飲んだくれている本田を発見。実はビートマシンのセキュリティ強化プロジェクト中で、本田主任が作業を終えないと昆虫メカが発進できないという状況だったのだが、本田は何故か、すっかり働く意欲を失っていた。
「もう俺、働くの一切止めたんですから」
「今日から僕ら、毎日が日曜日ー♪」
調査を続けた博士と麗は、本田らがその朝、いつもとデザインが違う路線バスに乗り込んでいた事を知る。そのバスの運転手こそナマケルゲの変身した姿であり、ナマケルゲは乗り込んだ人間のやる気を吸い取り、自らのやる気にしていたのである!
立ち向かうビーファイターだが、青と緑がやる気を吸い取られてしまい、怠け者に。ナマケモノ怪人はまんまとバスで走り去り、街に広がっていく毎日が日曜日。
「もう二人の回復を待ってはいられません。私一人でも、あの怪物を」
単独で出撃するレッドルだが、その前にはギガロも現れ、追い詰められてしまう。その間、研究所では博士が2人に電気ショックを浴びせたり『アリとキリギリス』を読み聞かせしたりするが、効果なし。
「そんなに言うなら、博士がジャマールと戦えば?」
「それいいな〜。現場で活躍できるチャンスじゃないですか」
2人は博士にコマンダーを渡し、ネタはネタなのですが、前半の会話からしっかり繋がっている辺りが、上手い。
「……そうだな。選ばれた戦士であるおまえ達が戦わないならば……――じゅうこぉ、むん!」
二つのコマンダーを構えた博士は変身…………できるわけなかった。
その光景に2人は爆笑し、頭を抱える博士だが、その時、ビーコマンダーが光を放つと拓也と大作を強制的に変身させ、更に雲霞の如き昆虫の大群が研究所に集まってくる。
「なんだこの体の震えは……」
「なんなんだ。体中に溢れるこの熱い息吹は」
「そうか! やっぱり、おまえ達は選ばれた戦士なんだ。何億、何十億という昆虫の想いが、命あるものの全ての祈りが、願いが、今、お前達に、新たなるやる気を、吹き込んでくれているんだ!」
こえぇーーーーーーーーーーーー!!
研究所の窓ガラスにぶつかる虫の群れはヒッチコックの『鳥』を思い起こさずにはいられず、「やる気を出せ。さもなくば死ね」という数十億の昆虫の魂の声が実にホラー。
恐怖の外付けやる気充填機構によりやる気を強制補充された拓也と大作はレッドルの危機を救い、ビーファイター再び揃い踏み。
「使命に目覚めた時、我々ビーファイターには、無限のやる気がみなぎるんだ!」
「見せてもらおう。その無限のやる気とやらを」
愛とか勇気とか希望とか美しいマジックワードが入りそうな部分に「やる気」という、ある種俗な単語をはめ込む事で笑いを生みつつ、その実態は、本人の意志と関わらず、ヒーローの動機付けを外部から強制供給するという、凶悪なブラックジョーク。
「やる気」への置き換えは坂本監督のギャグセンスという気もしますが、大作の一時離脱を描いた扇澤さんが「選ばれた戦士」とは何か、という要素をギャグにくるみながら抉った結果、挺身と特攻精神が中核を成す『ビーファイター』の暗黒面が大・噴・出。
もちろん作品全体のスタートとしては、3人の地球を守る心を昆虫魂が認めた(3人の心ありき)、という形にはなっているのですが、“力を与えられる”という事とは真正面から向き合っておかないと、いつか強烈なしっぺ返しが来るかもしれない、という危うさが活写されていて、黒い。
ガオーム様が戦闘機部隊を発進させ、爆撃を浴びるBFだが、緑が新技スティンガーブーメランでナマケモノのやる気袋を破壊し、本田主任復活。発進したビートマシンで戦闘機部隊を迎撃すると、残ったナマケモノはスティンガーコンボで撃破。……青が剣を敵に突き刺した後、回転機能を発動して内蔵をかき回すのが、凄くえぐい。昆虫魂×やる気=無限の殺意!!
かくして社長自ら立案したやる気があれば何でもできる大作戦は失敗に終わり……
「ガオーム様、これは一体!」
詰め寄られた社長、無言で退社(笑)
ギガロが作戦失敗をシュバルツに笑われているのですが、幹部の仲良しトリオ路線はやめてしまうのか……個人的には好きだったので、続けて欲しかったのですが。
一方地球では、申し訳なさそうな拓也と大作に向井博士が笑顔で握手を求めるのであった、でオチ。
相変わらず専門分野が不明など、背景に謎の多い向井博士ですが、3人との関係性を描く形でキャラクターを肉付け。演技の出来る役者さんを配している割に個性が薄すぎたので、今後広げていく為の土台が示されたのは良かったと思います。
次回――ようやく拓也に本格的な見せ場到来?!