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『仮面ライダーオーズ』感想22

◆第33話「友情と暴走と残されたベルト」◆ (監督:石田秀範 脚本:毛利亘宏)
いきなり、バースとプテラノドンヤミー紫の戦いからスタート。それを見つめるカザリの前で、駆けつけた映司はオーズに変身。
(紫のメダルの力を借りれば、俺の体を取り戻せるかもしれない。その為には、映司をもう一度あのコンボに)
オーズはまたも無欲光線を受けて変身解除してしまい、アンクは防衛反応で映司の体から飛び出してきた紫のコアメダルを横からかっさらおうとするが、紫のメダルの力に負け、失敗。発動されたプトティラはヤミーを瞬殺するが、やはり暴走状態で、振り返るや否やバースへ突撃してしまう。
ここでは後藤さんがカザリを巻き込む頭脳プレイを見せ、プトティラはスタミナ切れで変身解除。
映司の、白目剥く感じで倒れる演技がなかなか強力です。
「私とオーズ。どちらが終末を呼び込むのにふさわしい存在なんでしょうねぇ」
瞳を妖しく輝かせるドクターもまた、この戦いを見つめているのであった……。
前回を受ける形で、ポンポンと強力ヤミーを送り出せるドクター、物凄く強いけど敵味方の区別が無いプトティラ、映司を心配する伊達&後藤、紫の力を利用しようと考えるアンク、それらを見つめるドクター&カザリ、と現状を整理。整理は良いとして、同じパーティみたいな位置で、普通にバースとヤミーの戦いを見物しているカザリの存在はちょっと不自然になりましたが(^^;
気絶した映司はクスクシエに運び込まれ、知世子から手紙を受け取る。その中には、高校時代の親友・北村雄一、を名乗る男から送られた、レジャーランドのチケットが収められていた。
「お友達?」
「北村……誰だっけ?」
素っぽいのですが、映司!!!(笑)
よくわからないまま、つるんで遊びに行く5名(映司・アンク・比奈・伊達・後藤)。伊達さんはともかく、後藤さんは現在、里中の部下ではなかったのか。
レジャーランドで待ち受けていたのは、怪しいセミナーの勧誘……ではなく、背広姿の青年・北村。自称映司の親友である北村は、高校時代は引きこもりで、面倒見のいい映司によくプリントを届けてもらっていた関係であり、映司はほぼ記憶に無かったが、一方的に、深い感謝の念を抱いていたのであった。
今や急成長中のベンチャー企業の社長であり、このレジャーランドのオーナーでもある北村のはからいで早速遊びに繰り出す5人だが、その途中、比奈が姿を消してしまう。比奈を探して散る男達を何故か双眼鏡で見つめる北村。
「映司……これは君への復讐なんだ。もう君達は、ここから出る事は出来ないのさ……」
……なんて事はなかったが、アンクを追ってかレジャーランドに姿を見せた子アンクにメダルを投入され、ヤミーを生み出してしまう。カザリに何やら吹き込まれた北村は映司に接触し、映司の手をぎゅっと握りしめると、激しくチャージされていくヤミーの欲望ゲージ。
えーーーーーーーーーーーーーーー。
成長したシロフクロウヤミーに拘束された伊達はベルトを残して連れ去られてしまい、一方、比奈を探そうと映司を連れ回す北村は、熱心なアタックを仕掛けていた。
「なあ映司、うちの会社来ないか? 世界の子供達を救う事業を立ち上げたいって、ほら、高校時代からそれが夢だって言ってただろ」
あのクジャク頭とか遊園地にネクタイとか無精髭のおっさんとか、友達というには取り合わせが謎な上に若い女の子が1人だけ混じっているのが異常に不自然だけど何してんだよ映司?! コスプレサークルのオフ会なのかよ!? 姫かよ?! むしろ僕が姫だろ?! と熱弁をふるう北村。(※若干の誇張表現を含みます)
「映司がより映司らしく居られるために、全力を尽くしたいだけだ!」
「どうしてそこまで」
「利害関係とか無しに、なんでも出来るのが本当の親友だろ?」
興奮状態の巧みな演技なのか、単純に滑舌が悪いのか判断つかないのですが、まくし立てる際の早口で微妙にろれつが回り切っていないのが、絶妙に気持ち悪い。
タカ缶に呼ばれた映司は一旦北村と別れ、アンク達と合流。ヤミーが出現し、伊達がさらわれてしまった事を知る。
「それでも比奈ちゃんを助けるのが先だ!」
映司とアンクはまたも人命か赤いコアメダルかで仲違い。比奈ちゃん最優先は心理としては当然なのですが、赤いコアメダルの方に居る筈の伊達さんが、どの天秤にも乗っていなくて酷い(笑)
確かに伊達さん人質にされても、複数の意味でモチベーション上がらないけどさ……!(何より勝手に帰ってきそう)
「映司の前から、消えてくれないか。おまえに映司の何がわかる。おまえに映司を支える事ができるのか」
北村に挑発されたアンクはまんまとブービートラップで吊り上げられる羽目に。
「おい、何の真似だ?!」
「おまえ邪魔なんだよ」
ひたすら気持ち悪いよ……。
アンクを行動不能にした北村は素知らぬ顔で映司と後藤に情報を伝えて比奈を発見するが、そこへシロフクロウヤミーが姿を現し、大ピンチになる2人。
「じゃあ後藤さんがバースに!」
「俺がバースに…………いや、今の俺じゃ無理だ!」
結局、後藤はプテラノ缶で時間稼ぎするもヤミーの拘束攻撃を受けてしまい、あれだけ煽っておいて、予告から罠か! むしろもう、映司がバースで良かったのでは!
プトティラ発動寸前、ネットを破って脱出してきたアンクが横からメダルを投げ、久々のサゴーゾ変身。サゴーゾの攻撃を受けたフクロウは後藤を拾って逃走するのであった……。
モノトーンのカラーリングと、シルエットは結構好きなのですが、パワー系な為か出番少ないなぁサゴーゾ(^^;


◆第34話「親友と利用とその関係」◆ (監督:石田秀範 脚本:毛利亘宏)
北村の欲望は「映司に頼られたい」であり、比奈をさらってその捜索に協力する事で映司といちゃいちゃしたかったのだと白状。宙づりにされた復讐に燃えるアンクは未だかつてない邪悪な笑いで映司にそれを暴露するが、映司は北村をかばい、自分と北村で仕掛けた悪戯なのだと比奈に謝罪。北村の記憶を頼りに向かった植物園で伊達と後藤を発見する映司達だが、北村の欲望を察知したシロフクロウヤミーにより、今度はアンクがさらわれてしまう……。
すがる北村を振り払い、アンクを探す映司はバッタ缶を発見してその背後に滝の音を聞き取る。そこに車で北村が現れ、滝へ向けて案内する道中、高校時代、映司が繰り返しやってくるのが実は嫌でたまらなかった、と告げる。一方の映司も、あの頃の自分は思春期の万能感ともいえる傲岸さで、北村を一方的に助けようとしていたのだと告白。
「……俺、おまえに謝らなきゃいけない」
「え?」
「昔の俺、自分の力で世界が変えられると思ってた。みんなを助けて幸せに出来るって。でも……出来なかった」
ここで2人の抱えていた屈託が明かされたのは良かったのですが、ここに来るまでに、出没を繰り返して状況を引っかき回すとにかく気持ち悪い北村を中心に、色々とややこしくし過ぎた感じはあります。
「なんであの男を助ける。利用されてんじゃないのか?」
「誰かを助ける力が欲しいから、絶対に失いたくない。利用しているのは俺の方なんだ!」
善も悪も同じ欲望のメダルの裏表、というのは今作の根幹にあるテーゼですが、主人公に「利用している」と言わせる事で、それを補強。同時に映司は、“互いに利用し合っている”からこそ、アンクを信用できる――前編で北村が口にした「利害関係とか無しに、なんでも出来るのが本当の親友だろ?」ではなく、互いが互いの目的の為にイーブンな関係である事が、映司が求める“力”にとっては必要である、という事が示されているといえます。
何故なら、それなら、自分の手が届く範囲だから。
映司はアンクと互いに利用し合う関係で居る限り、オーズの力を心おきなく振るう事が出来る。
それが、アンクの我が儘に振り回されたり、アイス代を払わされたり、囮で海に放り込まれても、受け入れる事が出来る理由…………ってこれ、凄くマゾヒズムな気がしてきました(^^;
映司が序盤であっさり鴻上との取引に応じたのも、自分がオーズとして戦う事と鴻上ファウンデーションの助力を、力関係において妥当であるとみなしたのだと思えば、とても納得がいきます。
……明かされた映司の過去を考えるとこれも頷けるのですが、凄く、荒んでいるなぁ。
山中では子アンクが手乗りアンクを吸収合併しようとしていたが、ギリギリで駆けつける映司。
「出てきてくれ……俺に力を貸してくれ! ――変身!!」
映司は自らの意志でプトティラを発動し、カザリ・子アンク・シロフクロウヤミーを相手に大立ち回り。アンクファイヤーキックを背後から受けて倒れるが、カザリの「やったか?!」から、スモークを背後に斧を握って立ち上がる姿が、ある日山でレッドマンに出会ったばりのホラーで、カザリとアンクは撤退。
残ったシロフクロウは必殺ダイノガッツ砲の藻屑となり、その勢いで北村を消し飛ばそうとするプトティラの注意を引きつけるアンク。
「映司!! 俺はおまえがどうなろうと構わない……だがな! 俺は何があっても完全に復活を遂げる。その為に、おまえの力が必要だ! だから、だから手伝え!」
アンクは決死のダイブでプトティラの懐に飛び込むと、外部から変身を強制解除。
「……おまえなら、絶対……止められると思った……」
気を失った映司は崩れ落ち、膝抱きのサービスシーンで戦いはひとまず終わるのだった……。
終わってみれば映司とアンクの関係を中心としたエピソードでしたが、もう一つの大きなポイントが「出てきてくれ……俺に力を貸してくれ!」という映司のプトティラ変身。
これは、今回と同じ毛利脚本回である第21話の
「やっと、正義の力を手に入れたんだ。俺は、こいつの力を借りる」
を意識して繋げたのだと思われるのですが、続く第22話で映司自身が口にした「自分が出来る事以上の事は、出来ませんしね」という指針に抵触しているといえます。つまり、紫のコアメダルの「力を借りる」という事は、「こんぐらい」の範囲を超えた「身の丈以上の力」であり、『オーズ』のタブーを、映司自身が踏み越えている。
いっけん主人公の覚醒強化を描いたように見せながら、実は特大の毒針を仕込んだのは意図的なものだと思うので、今後この毒がどんな風に回るのか、ドキドキします。
エピソードとしては、上述もしましたが、後編後半に出てくるテーゼやテーマの見せ方は面白かったのですが、前編含めてそこに至るまでに蛇行しすぎた印象。もう少し、全体的にスッキリした構成で良かったような。
あ、結局バースに変身できなかった後藤さんは、代わりにスーパー後藤ターザンキックを決めました。植物園の窓ガラスを突き破るシロフクロウヤミーの吹っ飛び方が尋常ではなかったのですが、伊達さんに認められて、そんなにテンションゲージが上がってしまったのか。誰かに期待されるって、大事……!