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『アバタール・チューナー』クリア


 途切れる事なく水銀色の雨が降り続ける世界――ジャンクヤード。銀髪の青年サーフは、トライブ〔エンブリオン〕を率い、ジャンクヤードの覇者だけが到達できるとされる地〔ニルヴァーナ〕を目指し、カルマ協会の定めた掟に従い、他トライブといつ果てるともない抗争を繰り広げていた。そんなある日、抗争のさなかに突如出現した〔ツボミ〕から放たれた光に触れたサーフ達は、悪魔に変身する力〔アートマ〕に覚醒してしまう。悪魔となったサーフ達は、同じく悪魔となった敵を引き裂き喰らい、その変化がジャンクヤード全体に及んでいる事を知る。
 悪魔とは、アートマとはいったい何なのか。彼らを助けに来たと告げる黒髪の少女セラと出会ったサーフ達は、抗争の勝利、そして世界と自分たちに隠された謎の答を求め、激しい戦いに身を投じていく……。
2004年に発売された、アトラスのRPG。
同社の《女神転生》シリーズをベースに置きつつ、仲魔にした悪魔を召喚して戦うのではなく、自ら悪魔に変身して戦うというのが最大の特徴で、『真・女神転生3』における人修羅の設定を押し進めたものがコンセプトと思われます。
ゲームデザインも多くの部分で『真・女神転生3』を継承しており、ダンジョンはFPS視点ではなく主人公シンボルを移動させ、戦闘では金子悪魔がぐりぐり動き、属性攻撃が極めて重要になるプレスターンバトルは油断すれば即全滅と紙一重
今作と、正伝、ペルソナ、デビルサマナーなど当時のシリーズ諸作との最大の違いは、会話の余地が一切ない事。
出てきた敵とは、ひたすら戦って戦って戦い抜く、というゲームであり、その為、ひたすら戦って戦って戦う事が苦にならないプレイヤー向けになっています。
そういうのが苦手な方には、恐らく、単なる苦行(^^;
プレスターンバトル特有の「味方の先制」か「敵の先制」か二つに一つの戦闘システムですが、戦闘の難度事態は恐らく『真3』より抑えめで、一方的に殴り殺される率は低くなった気がします。任意でパーティーメンバーにスキルを修得させていける分、敵の弱点をしっかりと把握していれば、対応はしやすいですし。その分、敵の先制を受けると鬱陶しい感じが強いのですが、先制確率を上昇させるスキルがもう一つ役に立っていない気がするのが難(^^;
ダンジョン内のセーブポイントも多めで、不条理に全滅しやすい分、リカバリーのフォローは比較的丁寧。やり直しはやり直しですが、ボス前には大体警告がありますし、致命的に腹立たしい事態はありませんでした。
ひたすら戦闘を繰り返すゲームなので、戦闘開始/終了の際のローディングが全く気にならないレベルなのは、PS2のゲームとしては、高ポイント。
物語はいわゆるポストアポカリプス物めいた殺伐とした世界観で展開するのですが、OPムービーであまりにも無機質に喋る主人公達にぎょっとさせておいて、そこからアートマの力を得た主人公達が感情を得ていく姿を描き、しかしそれが、この世界では異常な事なのだと見せる、という異世界への導入が巧み。
同種の世界観との差別化を図るとともに、プレイヤーにセンスオブワンダーを感じさせ、そこから主人公達が人間らしい感情を取り戻していくにつれて世界そのものへの疑問を抱く、という流れが納得できるものになっており、プレイヤーの意識とストーリーの進行をうまく同調させています。
とにかく薄暗い物語ですが、テンポ良く進行。
……難点は、思いっきり続き物な事。
さすがに知っていて入手したので問題は無かったのですが、今作単独では、思いっきり投げっぱなしで次回へ続きます(^^;
クリア時のプレイ時間は約50時間。
ダンジョンの罠が地味に面倒くさいのと、全編、淡々と学習と繰り返しを要求されるので、向き不向きは非常に激しいと思いますが、十分に楽しめました。
基本パーティは、サーフ、アルジラ、ゲイルで進行。魔法防御が低いので後半に行くほど役立たずになっていくヒートが、物語の展開と合わせて、切ない……(涙)
横道の特殊ボスを倒せなかったり、エクストラ的なイベントがまだ一つ二つ残っているようなのですが、続きが気になるので、こだわらずに『2』に進む予定。