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『FLASH』第16話「巻き戻せない時間」(「Rogue Time」)感想

リンダのいい女ゲージが上がった! 
バリーのいい男ゲージが激しく下がった! ↓↓↓
バリーの駄目男ゲージが凄まじく上がった! ↑↑↑↑↑
見るのに変な精神力を消費する回でした……。
砂浜を全力で往復ダッシュしていたら、時空連続体を引き裂いて1日前に戻ってしまったFLASH。端々の言動からバリーが過去に遡ってきた事に気付いたウェルズ博士は、以前の時間で起こった出来事を変えてはいけないと警告するが、警部の為、ジョーの為、バリーはFLASHとなって速攻でマーク・マードンを拉致ってパイプラインに閉じ込めてしまう。
タイムリープもののお約束として、前回の出来事を繰り返しつつちょこちょこ修正していくのかと思ったら、1時間(1話)丸ごと繰り返しはどうかと思ったのか、いきなりの大胆な修正。前回大暴れだった兄マードンは、特殊能力を見せる間もなくリタイア(^^;
「時間は必ずまた、違う悲劇を引き起こす。しかも、もっと悲惨な事をね」
時間変動の揺り戻しによる別の悲劇を危惧する博士だが、それは、マルコメブラザーズの帰還という思わぬ形でやってくる。
「おまえはトラブルメーカーで、トラブルは商売の邪魔だ」
あ、やっぱり、トラブルメーカーなのか(笑)
全てばっちり計算している風の割に毎度アクシデントが多い気がする氷のスナートと、その相棒・炎のミックは、自分たちを捕らえたマフィアのシマを力技で強奪。スナート妹の美人局に引っかかり、シスコ、別の死亡ルートへ。
「やっぱりだよ! 俺がこんなにツいてる筈ないんだ!」
不仲の兄を人質に取られたシスコは、やむなくコールドガンとヒートガン、そして妹の為に新兵器ゴールドガンを作る事に。
その場の素材だけで人を金属化する銃を作るとか、シスコ、無駄に天才で困ります。
……というかシスコ、間違いなくこういう変態武器のアイデアをストックしている。
その頃、友人の危機を知らないバリーは、見ている方の具合が悪くなってくるぐらいハイテンションだった。
前回の時間でアイリスの気持ちを知り、内心もやもやしながら過ごす事になるのかと思ったら、成層圏を突破する勢いのテンションのバリーにはブレーキもギアもなく、アイリスと約束を取り付けると自ら「僕は君の事がずっと好きなんだリンダとの関係は清算したし僕は君の事がずっと好きなんだ君も僕の事がずっと好きなんだ僕は君の事がずっと好きなんだ君の気持ちは全部わかっているから僕は君の事がずっと好きなんだイケメンマッチョを捨てて僕と二人で薔薇色の世界に踏みだそう踏み出すべき踏み出したい何故なら君も僕の事が好きだから」と熱烈なアタックを仕掛け、大爆死。
……うん、まあ、なんだ、ヴィンテージものの片思いを引きずり続けていた相手の好感度メーターが思わぬ形で視覚化されてしまって、勢い余ってヘアピンカーブから飛び降りてしまったのはわからないでもないでもないのですが、現在彼氏と同棲中の女性にかけるアプローチとしては、酷すぎると思うよバリー!!
有頂天で超へらへらへらへらしているバリーの演技は面白かったですが(ある意味、ラストの伏線に)。
どうしてバリーは、恋愛モードに入ると何かも駄目なのか(^^;
フラグスイッチ的に言うと、前回の時間では
〔メイソンがアイリスをつつく→アイリスがバリーをつつく→バリーがスターラボをつつく→シスコの疑念が深まる→ぐさっとな〕
だったのが、今回の時間ではテンション:鼻から唐辛子が生えそう、のバリーがメイソンとアイリスの会話の邪魔をした事で連鎖が発生しなくなっているので、シスコの死亡を回避(当面)したのは、バリーの駄目男レベルのお陰、という事になるわけですが(笑)
……やっぱり、大切なのは男の友情じゃないかな。
無惨に轟沈してスターラボに顔を出したバリーは、ジョーからの連絡でキャプテン・コールドの帰還を知り、一味が襲撃したカジノへ向かうが、そこでシスコが人質になっている事を知る。警察官として現場の検証中には、アイリスに粉をかけた事がばれてエディに殴られ、踏んだり蹴ったりで博士に愚痴るバリー。
「僕が、前に、最初のバージョンの今日を過ごした時には、シン警部が、酷い……怪我を負いました。ジョーには危険が迫り、アイリスは、僕への気持ちを打ち明けたんです」
博士(なあバリーくん、心の中にとどめておくが、最後のは凄く、私にとってどうでもいい情報なんだが)
「だが今回はシスコが危険にさらされ、アイリスには自覚がない」
「……でも、気持ちは、ある筈です。でしょ?」
博士(気にするのそっちか)
自分の事は棚上げして軽く引きながらもバリーのメンタルケアには熱心な博士は、最初の時間でのアイリスの告白は、潜在意識が吊り橋効果で表に出たのではないか、と解説。
人々の命を救ったつもりが、思わぬ形で“巻き戻せない時間”の存在を知るバリーだが…………アイリスの態度が変わったタイミングを考えると、導き出される結論は、〔先にリンダと別れてはいけなかった〕(継続的な揺さぶりダメージで吊り橋の共鳴効果を高めておく必要があった)なので、アイリスほんと外道。
またここでは、博士がFLASHが可能にした時間移動能力の危険性を重ねて説きつつも、バリーの母親を救いたいという気持ちは強硬に否定せず、15年前に戻るのは計画の内に入っているという事か。
その頃、囚われのシスコは仲の悪い兄から自分への劣等感や昔の彼女を掠奪愛した真相を明かされ、懺悔した兄は決死の覚悟で弟の為に立ち上がるが、脱出に失敗。流派スターラボで立ち向かうシスコも、あえなくYOU LOSE。兄を拷問されたシスコは、やむなくコールドにFLASHバリー・アレンだと明かし、解放される。
「愛する者を、どちらか一人選ぶのは、耐えがたい苦しみだったろう」
責任を取ってラボを出て行こうとするシスコを引き留める博士のこの言葉は、前回の今回という事もあってか(場所も同じシチュエーション)博士にしては珍しく、本心の一部が感じられます。ジョーの調査によると博士は15年前に恋人を失っているようですが、それが関係してくるのか。
「そして我々が、君に残ってほしいのは、愛しているからだ」
まあ、邪魔になったらさくっと殺すわけですが、今はまだ利用価値を見出している模様。
「私は、子供を持った事がない。だが、いろんな意味で、君は息子のような存在なんだ」
これも意図的に前回と重ねている台詞でしょうから非常に意味深ですが、いったい何が「いろんな意味」なのか、巧く興味を繋いできます。
コールド一味の真の狙いがカジノから金を運ぶ現金輸送車と判明し、シスコも流れでスターラボ復帰。FLASHは輸送車襲撃中のコールドをひっ捕まえ、マスクを外して対峙する。
問答無用で私設刑務所にぶちこむぞと脅すFLASHに対し、俺を捕まえれば即座に全世界にFLASHの正体を配信する、と引かないコールド。
「お前が俺達を追うのと同じ理由だ。アドレナリンが溢れ、スリルを味わえる。このゲームが好きだし、俺には、才能もあるんだ」
FLASHがヒーロー活動を生き甲斐とするならば、犯罪そのものが生き甲斐であると宣言するコールドと言う形で、ヒーローとヴィランが対比され、しばらく押し問答。
「おまえは僕には勝てない。僕の能力は知ってる筈だ。欲を張り続けたいなら好きにしろ。だがこの先、一人の死者も出すな。本当に才能があるなら、誰も殺さずに目的を果たせる筈だ」
「……確かにな」
「それに、おまえや、仲間の、悪党のローグ達が、もしまた僕の友人や家族に近づくなら、僕は世界に、正体を知られても構わない。それでもお前を倒す」
「……おまえの秘密が漏れる事は無い。FLASH。――今はな」
百戦錬磨の悪党と正面から堂々と対峙する迫力を見せたFLASH/バリーが精神的な成長を示し、脅しも含めてコールドにある種の条件を呑ませるのですが、弱みを握られたヒーローが、一線を守りつつも悪に譲歩を見せる、というのは予想外の決着。悪役を爆発させて解決というわけにはいかない物語の難しさを感じますが、悪党が部分的には勝利を収める、という形になったのは驚きました。途中の、「よそ行けよ!」は、よそならいいのか?! と思ったのですが、よそには背後から馬用の麻酔剤を矢でぶち込んでくる緑の覆面の人とか、もっと危ないヒーローが居るので、そういう人が始末してくれるのか。
「ローグか……いいね」
FLASHが去った後、キャプテン・コールドはニヤリと笑い、今回の原題サブタイトルは、1日巻き戻ったら「悪党の時間」に辿り着いた、という意味でした。「俺は最初のコールドガンを何度も分解して、構造を全て把握してる」とか、FLASHと引き分けに持ち込むとか、コールド格好いい祭でしたが、シーズン1での出番はまだあるのかなぁ……。ポジションが少し変化した状況で、もう一度ぐらい絡みが見たい。
キャプテン・コールドとの第3ラウンドが引き分けに終わり、いつものカフェへ寄ったバリーは、そこで出会ったエディにいきなり無言のハグを受ける。バリーがやらかした事を知った(アイリスから聞いた?)ケイトリンが、落雷精神疾患なる病気をでっちあげ、バリーのテンションがおかしかったり君の心が超能力でわかるとか譫言を言い出したのは全て落雷の後遺症で、スターラボでその治療をしているのだとエディとアイリスに嘘の説明をしてくれていたのだった。
ケイトリンが病気の説明をしている間、超心配そうな顔のエディが非常においしい(笑)
バリーはエディに、超高速で煩悩の数だけ土下座を繰り返すべき。
こうして腐れヒロイン問題にもひとまずの決着がつく、が……その頃、見ず知らずの部外者には仕事の邪魔をされ、後輩の新人記者には「今おまえの話を聞く気はない」と邪険な扱いを受け、一人寂しく夜のオフィスで仕事をしていたメイソンが、その集めたデータごと、ひっそりとリバースに始末されていた――。
「君はあまりにも多くを知りすぎた。ま、この時間では、だが」
以前の時間でも、遅かれ早かれ消されていた可能性の高いメイスンですが、ここでまた、リバースから思わせぶりな台詞。それにしても博士の超高速振動は、分身できたり、壁と人体を丸ごと貫けたり、ハードディスクを綺麗に掃除できたり、超便利。現状のFLASHの上を行く力の表現としても秀逸ですが、分子結合を破壊してその隙間に入り込めるとか、そういう感じの理屈なのかしら。
博士の関係者の処理もけっこう雑になっている感じですが、これは体調の問題なのか、計画の進行度の問題なのか。前の時間でのシスコに対する「君は賢いけど、それほどではない」みたいな台詞を「もっと賢い協力者が既に居る」と解釈するなら、腐れメガネとは裏で繋がってそうですし。……まあ、ゴリラ、という可能性もありますが。
幾つかの波乱を抱えながらも、表向きは落ち着きを取り戻した時間の流れ。だが……メイソン失踪の報道をバリーが知った事で、物語は大きく動き出す。
「バリー、どうした? こんな時間に呼び出すなんて」
「ウェルズ博士の事、多分ジョーの読み通りだ」
「……どの点だ?」
「何もかもさ」
上書きされた(或いは、枝分かれした?)時間がバリーという特異点を通して繋がり、とうとうバリーが博士に疑惑の眼差しを向けた所で、つづく。
テクニカルな構成から大きな転機に繋がった前後編ですが、こうなるとアイリスは、メイソンの隠しデータを見つける、みたいな役割になるのかなー。心配なのは、博士に対して疑いの目を向けつつも表面上はいつも通りに振る舞って情報を集める、みたいな器用な真似がバリーに出来るとはとても思えない事なのですが、一歩間違えると全滅エンドだぞ、大丈夫か、バリー!