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『仮面ライダーオーズ』感想31

◆第47話「赤いヒビと満足と映司の器」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子
激突する、映司グリードvsアンクグリード。何の為かを忘れて、力だけを求めて暴走を続ける映司グリードはプトティラの姿になると斧を振るい、最大威力の火球を放とうとするアンクだが――
――ありがとう
火球はプトティラから大きく外れ、それを背後で冷静に見つめるドクター真木。
「なんで……なんでだ?!」
――おまえから貰ってたんだ
「ああ……渡すんじゃなかった。こんなやつに……こんな……。映司……力が欲しいなら、こんな程度で暴走してんな!」
アンクがカウンターで放ったバーンナックルで映司は気絶して人間の姿に戻り、飛び散るコアメダル。
「このバカが」
「アンクくん、やはり彼は消してしまいましょう」
映司に近づくアンクだが……
「一年分の、アイス…………今日の分」
どうやら記憶の混濁している映司に、この局面で、パンツに包んだ小銭を渡される羽目に(笑)
一歩間違えると、前回のクリティカルヒットが無かった事になりそうな勢い。
「では火野くん、良き終わりを」
だがアンクは、映司に対するドクターの攻撃を妨害する。
「何のつもりですか?」
「さあ……俺も何のつもりなんだか」
アンクの放った炎で人形が燃え、思わず海へ投げ込んでしまったドクターは、それを拾いに慌ててダイブ。アンクはその場を立ち去り、状況はよくわからないが映司を回収する里中。
ドクター真木が世界と向き合っていない象徴である人形が逆に、ドクター真木の最後に残った人間性の象徴(姉が居なくなった世界から目を背けている、という意識ゆえに)であり、どんなにグリード化が進んでも人形に対する態度が変わらないのが怖い、という重要性はわかるのですが、どうも人形周りの演出はやりすぎ感があってあまり好みではありません(^^; ここまで来たので、最後にどう使うかはちょっと楽しみではありますが。
その頃クスクシエでは比奈ちゃんが、知世子にこれまでの経緯を説明していた。
「不思議な事なんて、世界にはいっくらでもあるもの。メダルのお化け信じるぐらい、へでもないわよ。信じられないのは……比奈ちゃんの方」
「え?」
「アンクちゃんか、お兄ちゃんか、どっちかに決めなきゃとか。映司くんとアンクちゃんと、どっちかが戻ってくるなんて、そんなの認めちゃ駄目よ」
認めるという事は“諦める”という事だ、と教える知世子。
「でも……何もかも都合良くなんて、勝手なこと言っても、実際に戦ってる映司くんが辛いだけです」
「うーん……正しいのかもしれないけど、でも、そんなのつまんない。もっと欲張っていいじゃない」
優等生である比奈(泉兄妹)の、物わかりの良さに対し、知世子は敢えて、それを否定する。
その理由は……つまらないから。
今作は基本的に、フィクションの機能に懐疑的な作風といえるのですが、ここで、思いっきり斜め上段からテンプル狙いでぶちこまれるヒーローフィクションの理屈。
現実を受け入れ、傷つく人を残して、それでいいのか。
最後の最後まで、足掻いて、望み、現実を塗り替える――その願いの場所に、ヒーローは居る。
「映司くんも、アンクちゃんも、お兄さんもーって、ちゃんと欲張れるのは、比奈ちゃんだけよ」
「ちゃんと、欲張る……?」
では、それを身勝手な願いにしない為に出来る事はなんなのか。
ここで比奈ちゃんが、“願う為にちゃんと生きる”という役割を与えられたのは、綺麗に収まりました。


「欲しいって思うのは悪くない。大切なのは、その気持ちをどうするか。もうすがってるだけじゃ駄目なんだと思う。 ……ちゃんとしなくちゃ」
(第6話)
それは、願いを捨てて諦める事ではない。願いの為に、出来る限りの努力をする事。それでも駄目な時、手を伸ばしてくれるもの――今作におけるヒーローの居場所が、ここでやっと、定まったような気がします。
一方、アンクの前には人形の服を乾かし終えたドクターが姿を現す。
「アンクくん、君は人間に近付きすぎましたね。ある意味、君の欲望通りですか」
「はっ、どこがだ。俺は相変わらず、メダルの塊だ」
「君をメダルの器にするのは中止です」
ドクターのグリード神拳により、無情にもアンクのメダルにはヒビが入り、奪われるコアメダル。
「君は他のグリードよりはマシかと思っていたんですがね。買い被りだったようです」
ドクターは歩み去り、セルメダルに埋もれながら木の根元に座り込むアンク。
「全くだな……。しかも馬鹿馬鹿しいのは、さっきからずっと――」
その口元には、しかし笑みが浮かぶ。
「――満足してるって事だ」
ここ数回のアンクは、凄く好み。
里中に回収された映司は鴻上さんちの地下保管庫に運び込まれている事がわかり、アンクが残していったメダルホルダーを手にクスクシエを出た比奈は、タカ缶を使って傷ついたアンクを発見。
「……この体はなんともないから、安心しろ」
比奈の表情を見て目が泳ぐアンク、思わずフォロー(笑)
「アンクの事、聞いたんだけど」
「……もうすぐ返す」
その頃、伊達と後藤は里中に預けられたキーで保管庫に入り込み、そこで映司と会長を発見。
「伊達さん、久しぶりなのに、すいません。俺思い出したんです。――俺の欲。力です。どんな場所にも、どんな人にも絶対に届く俺の手、力。俺はそれが欲しい」
「手に入るとも! 君の素晴らしく巨大な器に、欲望の結晶、その無限のセルメダルを呑み込みたまえ!」
鴻上会長は、これまで貯め込んでいた膨大なセルメダルをご開帳。
「欲望こそ命の源。欲望は生命の進化を起こす。君も全く新しい進化を果たす。真のオーズとして、800年前になしえなかった、神に等しい力を手に入れる! ……しかしその為には、紫のメダルがどーにも邪魔だ。このままじゃ、真のオーズどころか、真のグリードだよ」
伊達は会長から、映司が紫のメダルを捨てるように説得を頼まれるが、それを拒否。
「冗談じゃねぇ。真のオーズもグリードも願い下げだ!」
「火野帰るぞ。おまえおかしくなってるんだ。こんなメダル飲み込んでみろ、どんな事になるか」
後藤は映司を連れ出そうとするが、その手を振り払われる。
「俺の器なら、飲み込めますよ」
欲望に狂いだす映司だが、ドクターの気配に気付いて飛び出していき、対峙する2人。
「今度こそ最後にしましょう。君のメダルを貰います」
「貰うのは俺です。――変身」
紫のコアメダルの力を抑制しながら借りていた筈が、他者から更なる力を奪い取ろうと、明確に歯車のズレた映司は初手からプトティラに変身し、WバースもWぽきゅっとな。
「伊達くんですか。人生の終わりを逃したようですね」
「おかげさまでね。……あんたも随分変わっちまって」
「おかげさまで」
全方位砲撃型の伊達さんが、ここでドクターと会話があったのは良かった。
「このメダルは渡さない。手に入れた、俺の力!」
ドクターグリードは範囲攻撃で3ライダーを吹き飛ばし、紫のメダルを抜き取ろうとプトティラに重圧をかけるが、それに抵抗するオーズは、再びグリードの姿に変じてしまう。
「火野くん、完全な暴走も時間の問題ですね」
「世界の終末を止めなきゃ……俺は、この力で」
「馬鹿野郎!! その手見てみろ。そんな手で何掴むつもりだ。何を守る? どこに届く!」
「なんでも独りでやろうとするな、火野!」
「俺は欲しい……力が!!」
気付いた筈の積み重ねを否定し、独りだけの力を求め、止まらなくなっていく映司。この様子にドクターは変身を解くと、覗き見していたウヴァに緑のコアメダルをトスし、ヤクザグリーン、とうとう完全体に。
「器に使えるグリードは、もう彼のみ」
ドクターはそれは見下ろし、プトティラの斧さえ弾くウヴァ……あれ、強い?(笑)
Wバースが子供扱い……は、まあ仕様です。
「やっぱり要る。力が……力が欲しい」
映司は一度変身を解くと鴻上ファウンデーションの地下保管庫へと向かい、欲望を解放した映司の姿に興味を持った会長は、その求めるまままに膨大なセルメダルを大放出する……。
「……ああ、壊れるだろうな」
その頃、アンクは比奈に自分の消滅が近い事を告げていた。
「それって……死んじゃう、て事?」
「…………俺が死ぬと思うのか」
「だって、今そう言ったじゃない!」
比奈の言葉に、寂しそうな、なのに嬉しそうな、凄くいい笑顔を浮かべるアンク。今作ここまで屈指の、名シーンでした。
「ただのメダルの塊が、死ぬ……か」
「アンク、どこ行くの?!」
「戻る」
「え?」
「俺がついてないと相当やばいだろ。あの使える馬鹿は」
命を手に入れたアンクは、最後の炎で、歩きだす……使える馬鹿との、約束を果たす為に。次回――欲望をその手に掴むのは誰なのか。いよいよ最終回。