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駆け足『仮面ライダーフォーゼ』感想3

〔GYAO!〕で1週間12話ずつ配信と思われる、『仮面ライダーフォーゼ』感想。
結局、見ると何か書きたくなる(病気)ので、タイトル通り駆け足気味にちょこちょこ触れていこうと思います。ボリュームは、その週の視聴ペースと、心身の余裕により増減予定。
◆第10話「月・下・激・突」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸
「正真正銘――月よりの使者、参上だ」 (如月弦太朗)
アルターゾディアーツの圧倒的な火力に押し負けるフォーゼ。先日は馬にも余裕かまして立ち去られましたが、各ゾディアーツの目的が仮面ライダーにない点(また、中身が一般学生なので怨恨は増大してもシビアになりきれない部分が残っている)が、この辺りは巧く利用されています。
“ここではない何処か”を望む友子の“変わりたい”という願望を知った弦太朗は、フォーゼに変身すると友子を月へと拉致。
「月に来たって……おまえはおまえだぞ、って」
無理に変身する必要は無いと告げるフォーゼと、仮面ライダー部員達の自分たちが如何に駄目なのか自慢を聞いた友子は、そこに自分の居場所を見つけると、アルターゾディアーツの儀式を妨害。
「月には……もう行ったから。何も無い、冷たい所だった! でも……暖かかった。私は……変わらない。変わらなくてもいい、初めて、そう言ってくれる人に出会えたから」
月(別世界)に行きたいという幻想に閉じこもる少女を、実際に月に連れて行くという力技で問題解決(笑)
作品の特色を大胆に活かしましたが、今作はどうも、相手の気持ちを変える弦太朗の存在に説得力が弱いのが難で、今ひとつこの瞬間の物語的快感が足りません。若い役者さんのはったり力の限界が出ている面もあるのですが、そこは脚本や演出で工夫してあげないといけない所なわけで(この辺り、メインライターである中島かずきが舞台脚本を主としてきた影響はあるのかもしれませんが)。
また友子に関しては、逃げ出す事ばかり考えないでまずは今の自分を肯定する所から始めよう、というのはわかるのですが、そこから「誰にだって欠点はある」と部員に振った結果、「自分の欠点を受け入れて開き直ろう」みたいな空気になってしまったのは首をひねります(^^;
「欠点もあるけど光る部分を認めよう」というのもわかるのですが、それと、「光る部分があるから欠点を変える必要はない」は、地球と月ぐらい距離が離れているような。
加えて部員達も、クイーン〔欠点の自覚と自己肯定が別次元で同居している〕、ジェイク〔スタンスを変える気は無い〕、ユウキ〔明らかに自分では別に欠点だと思っていない〕、キング〔むしろそんな自分をチェンジ中〕、賢吾〔そもそも俺に欠点などないから名前で呼ぶな!〕と温度差がだいぶあり、自分の短所の見つめ方がそれぞれ違う筈なのに、全員が弦太朗の主張に沿って「無理に変身しなくていいんだ」という意識を持っているように描かれてしまい、個々人の持っているテーマを無視して強引に一つにまとめてしまうという、雑な闇鍋みたいになってしまいました。
メンバー揃った所で一体感を出そうという意図だったのでしょうが、これは大失敗。
ラストワンしたアルターゾディアーツは学校を燃やし尽くそうとするが、台座ロボ大活躍でそれを阻止。賢吾は友子の直感にアドバイスを求め、アルターの炎を吸収した赤フォーゼは、ライダー爆熱シュートで逆に焼却。弦太朗の心の力がアストロスイッチを進化させたと、友子は呟くのであった……。
前後編で部員が1人増える、というゴールありきの作劇がもう一つ巧く回りきっていない立ち上がりでしたが、OPに並ぶ栄光の7人ライダー部員が揃った所で、次回、仮面ライダー部を襲う最大の危機。そして後回しになっていたユウキ回?


◆第11話「消・失・月・戸」◆ (監督:田崎竜太 脚本:中島かずき
「こんなに静かだったか……父さんは、ここで1人でフォーゼの開発を」 (歌星賢吾)
諸々のタイミングの悪さが重なり、ラビットハッチの入り口となっていたロッカーが廃品回収に出され、賢吾が1人、月に取り残されてしまう。原因を作ったユウキは自分をストーカーする天文部員の牧瀬に頼み、牧瀬が変身する羅針盤ゾディアーツ(虫系のデザインがなかなか格好いいのですが、ハンミョウのモチーフか?)の力でロッカーを探してもらう事に。ところが……
「僕が見たいのはね……君の泣き顔だから」
ユウキが弦太朗と一緒に歩いている姿を見ていた牧瀬は、一方的な憤りからユウキに興味を失い、発見したロッカーに刃を向ける。それを止めようとするフォーゼだが、羅針盤の物体操作能力により、なんとフォーゼミサイルがロッカーを爆発粉砕!
「俺はもう……月から帰れない」
月よ、俺のイケメンパワーを、恐れるがいい
(作品も台詞も違う)
生命の危機で口が軽くなった賢吾は、そもそもラビットハッチの入り口が放置された部室とロッカーである事について、1年前に届いた差出人不明のプレゼントに入っていた、アストロスイッチと手紙について語る。



そのスイッチが新たなる扉を開く。
自分の運命を知りたまえ。
パスワードはFOURZE。
その運命をつかむかどうかは
君次第だ。

スイッチを押した賢吾は突然現れたユウキに慌てて思わず諸々をロッカーに放り込んだ所、そこに月へのゲートが出来てしまったのだった(おぃ)
「そこで俺達は、恐ろしい真実と、フォーゼドライバーとに出会った」
以前、「1年前に見つけた」と物凄く適当な説明だったゲートとラビットハッチについて、賢吾とユウキの出会いに絡めて、しっかりとした由来が明かされました。ラビットハッチに残されたデータとフォーゼシステムを目にした賢吾は、亡き父の意志を継ぎ、アストロスイッチを悪用するゾディアーツを止める決意を固め……1年後、如月弦太朗と出会う事になる。
また、赤い目の男=天ノ川学園理事長=我望光明という名前と元宇宙飛行士で科学者という経歴、賢吾父は地球外文明の研究で著名だった、と周辺の背景が判明。
それにしても、流行しているのか、「バッドボーイ!」。


◆第12話「使・命・賢・命」◆ (監督:田崎竜太 脚本:中島かずき
「あいつには俺達がいる。あいつがどう思っていようと、俺達仮面ライダー部はあいつのダチだ」 (如月弦太朗)
羅針盤ゾディアーツに怒りを燃やすフォーゼ。
「貴様というヤツは……その性根、たたき直してやる!」
……あれ、ひねくれた所を受け入れて、ダチにならないの?
いやまあ、メタ的には“怪人扱い”なのでスルーという事なのでしょうが、正直、脇の甘さを感じます(^^;
羅針盤ゾディアーツが立ち去った後、とりあえずフォーゼを打ち上げてみるが月までは届かず、その様子に苛立ちを募らせる賢吾。
「出せよここから! 出してくれよ! 早く!」
もう少し強がるのかと思っていましたが、歌星賢吾さん、折れるの意外と早かった。
仮面ライダー部、ふざけるな!」
最近のストレスが暴発し、賢吾は大荒れ。
序盤の描写から少々マンガ的な英才・達観・クールキャラなのかと思っていた賢吾ですが、人生の危機に狼狽が表に出て周囲に当たり散らすなど、もう少し、未熟な学生らしさ、という方向へシフト。青春・学園という今作のコンセプトから云っても、通り一遍なクールキャラ寄りにするよりも、幅も出て良い判断だと思います。
「父さん……あなたはここで独りでフォーゼを造った。なんで、そんな事が出来たんです。怖くなかったんですか。僕は…………怖い。ここで死ぬのは嫌だ!!」
ここで賢吾の心情が出るのも演技を含めて良かったのですが、今作はホント、相手の本音を引き出す為にストレスをかけまくるみたいな展開が続くなぁ(^^;
友子は直感に従って行動を始め、ジェイクは牧瀬が目をつけていた女子生徒の何人かが姿を消している事を突き止め、ユウキは園田先生の仲介で理事長の下へ。初めて日常シーンに登場した理事長を相手に、ユウキ、愛読書トークで好感度をゲット(笑) そこからのエクストリーム土下座で理事長のコネで月に有人探査船を送り込んで欲しいと無茶を言い出したユウキはクイーンに連れ出されるが、そのクイーンは羅針盤の能力によりバス旅行にご招待されてしまう。
牧瀬/羅針盤ゾディアーツは、自分をフった女生徒達をバスに乗せて川へ落とし、流れ星へ変えてしまおうとしていたのだ!
またもお邪魔に出てきたサソリマントをファイアで撃退したフォーゼはバスを追い、間一髪、バスを止める台座ロボ。ゾディアーツを止める為に奮闘する皆の姿、その想いをラビットハッチの賢吾へと伝えるユウキ。
仮面ライダー部はごっこ遊びじゃない。みんな必死にやってる。賢吾くんが始めた事を、みんなが実行してる。凄いと思うよ、みんなも、賢吾くんも」
「……父さんは、このラビットハッチに独り残された。父さんはここで死んだ。でも、父さんは絶望しなかった。ここで独りでフォーゼシステムを作り上げた。その息子の俺が、ここでやけになってちゃ……笑われるな」
……ああなるほど、賢吾父は、第1話冒頭の爆発で月に取り残されて、無事だったラビットハッチでフォーゼシステムを造っていたという事なのか(少なくとも賢吾脳内では)。第1話の冒頭が、ミスディレクション狙いを思わせるような映像だった事もありちょっとわかりにくかったのですが、ようやく事情が繋がってくれました。
自分のやるべき事を見定めた賢吾は冷静にフォーゼに指示を出し、エレキと新モジュール・ステルスの合わせ技で羅針盤を撃破。……光学迷彩で5秒間、完全に姿を消せるって相当強い感じがありますか、大丈夫か。
「父さん、見えるかい。俺にも仲間が出来たよ。父さんの志を継いだ仲間が。これはその旗だ」
激昂に任せて一度は引きはがした仮面ライダー部の旗を、月面に立てる賢吾。だが地球にはどうやって帰ればいいのか……と打ちひしがれたその時、そこにフォーゼが姿を見せる。実は羅針盤が見つけたロッカーは、大杉がすり替えた物(前回、挙動不審の伏線あり)であり、本物のロッカーは無事だったのだ。友子の直感でそれが回収されてゲートが元に戻り、月面に集う仲間達。
「……大したものだよ。俺の……友達は」
……大丈夫か賢吾、次の次ぐらいで死なないか(笑)
そして賢吾はフォーゼと友情タッチ。
「よし! 学園と地球の自由と平和を守る仮面ライダー部、ここに正式スタートだ!」
あ、死線を越えて壊れた。
戦いの始まりが明かされると共に、揃った部員が賢吾の使命を助け、賢吾が友情と仮面ライダー部を認める、とここにヒーローチームが形になり、道中荒っぽい所はやや目立つものの、1クールを締めて構造としては綺麗にまとめてきました。ここから増えたキャラをどうさばいていくのかなど、2クール目の転がし方が楽しみです。
次回、帰ってきた三浦。そして、あ、あの人は……?!