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駆け足『仮面ライダーフォーゼ』感想10

〔GYAO!〕で1週間12話ずつ配信されている、『仮面ライダーフォーゼ』感想。タイトル通り駆け足気味で、ボリュームは、その週の視聴ペースと、心身の余裕により増減予定。
◆第33話「古・都・騒・乱」◆ (監督:諸田敏 脚本:中島かずき
「俺はただ、我望様の意思を実行するだけだ」 (立神吼)
衝撃! 友子は2年生だったのか!!
……ずっと、弦太朗達と同学年だと思っていました(^^;
修学旅行で京都に行く天高3年生。賢吾が父の旧友だった江本教授を尋ねている間に班行動で観光する弦太朗達だったが、弦太朗に気のある高村優希奈の熱烈なアタックに振り回される事に。そんな中、何故か修学旅行についてきていた校長/リブラゾディアーツが、京都で暗躍を開始する。
実は京都上空にはコズミックエナジーが地上に降り注ぐポイント――<ザ・ホール>――が存在しており、古都の先人達は、四神相応の陣を持ってしてこのエネルギーを利用していた……現在の天文学にも通じる陰陽道占星術により、古代の人々も宇宙からの力を捉えていたのだ! とオカルトに進みそうになった所から科学に繋げたのは今作らしい展開。
リブラの目的は、フォーゼが放つコズミックエナジーに反応して姿を見せた、四神の石碑を破壊する事。存在の軽い校長が終始シリアスな一方、優希奈の猛烈アタック、弦太朗への恩返しと称してそれを妨害する流星、映画村でのコスプレなど、基本ドタバタ。虚構の仮面を外した流星が、友情バリケードモードで弦太朗に執着するようになったのは、悪い意味でのお約束になって、少々やりすぎ感。
諸田監督は『オーズ』『フォーゼ』と、前編ではコミカル成分増し、後編はシリアス成分増し、と色彩をハッキリさせた演出が多いのですが、どうも今作は、それが過剰になりすぎて見えます。
映画村で忍者軍団と戦うフォーゼ&メテオだが、その戦いの中、遂に理事長の腹心、存在の重々しいレオゾディアーツ(正体の立神吼役は、スーツアクターとして様々なヒーローなどを演じてきた横山一敏)が姿を見せる!
財団Xと、回想シーンで賢吾父・緑郎(風間トオル)が登場したのは、時期的に劇場版の関係?


◆第34話「天・穴・攻・防」◆ (監督:諸田敏 脚本:中島かずき
「あの石碑は壊させないぞ! それが俺の修学旅行だ!」 (如月弦太朗)
メテオストームとコズミックはレオにまとめて手玉にとられ、賢吾は映画村にあった四神の石碑が破壊されていた事に気付く。理事長の命を受けたリブラは、四神の石碑を破壊する事で、京都上空の<ザ・ホール>を消滅させようとしていた。弦太朗達は手分けして残り二つの石碑を守ろうとするが、優希奈の攻勢は留まるところを知らない。遂に弦太朗は優希奈の前でフォーゼに変身してみせるが、弦太朗をずっと見てきたという優希奈は、それを知っていた上でつきまとっているのだ、と告げる――
そう、すなわちこれは、友情ストーカーvs恋愛ストーカー頂上決戦!
いつでもどこでも変身する弦太朗が、今回は旅行先で優希奈を巻き込まない為に(スイッチに絡んでいないので)フォーゼである事を隠していたようなのですが、その上でやろうとする事が宿に一人で置き去りなので、弦太朗の闇が大噴出(^^; 賢吾と流星(今回珍しく、二人だけの会話あり)は最初から目的の為に手段を選ばない側なので問題ないのですが、どう転んでも優希奈の旅行を台無しにするなら、最初から腹を割って話す方が弦太朗らしかったような。
「だって、いっつも戦ってるんだもん。修学旅行ぐらい楽しもうよ。あたしと一緒に。みんなと同じように。なんで弦太朗だけそれが出来ないの? 可哀想だよ。普通の高校生になろうよ」
「普通……? いや、普通って……んー……えー……?」
「やめちゃえばいいんだよ、仮面ライダーなんて!」
優希奈はまさかのドライバーにスティールアタックをクリティカル成功させ、慌てて追いかけようとした弦太朗とユウキはもつれて川に落ちる……シーン、ユウキの慌て方とか弦太朗の台詞が笑いそうになっているのとか、台本通りではなく素で落ちてませんか(笑)
北の石碑へ向かっていたメテオストームはレオに完敗し、ただでさえ地味な映像のメテオ独楽がさくっと弾かれて、涙も涸れるほど悲惨な扱い。……コズミックと合わせて、強化→敗北の間隔の短さは記録的では。
そして賢吾は、父と江本と理事長が、共同でコズミックエナジーの研究をしていた事を知る。
「賢吾くん……君のお父さんを殺したのは、私だ」
あくまでも、コズミックエナジーの研究を止めなかった事で結果的に殺したようなもの、と注釈を入れる理事長だが、賢吾はその姿に言い知れぬうすら寒さを感じるのだった……と繋がっていく過去の線。
なお今回、フォーゼの両手両足の△○□×は、そもそも、京都の石碑それぞれの形を元にしたもの、と由来が明かされるのですが、正体がわからないなりに当時の技術でコズミックエナジーを利用していた中世社会と、それを再発見して現代科学で分析した研究がフォーゼの起源、というネタの繋ぎ方は、けっこう好き。
今作のコンセプトを考えると、これもまた、過去・現在・そして未来へ……というテーゼと言えるでしょうか。
北の石碑は既に破壊されており、最後に残った東の石碑に辿り着いたリブラは、フォーゼドライバー抱えた優希奈とばったり遭遇。優希奈を追っていた弦太朗はリブラに跳び蹴りを決めると、級友を守る為、ゾディアーツの陰謀を砕く為、生身でリブラに立ち向かっていく。
「たとえフォーゼじゃなくても……弦ちゃんは一緒だよ。友達が危ない時は、体を張って助けてくれる。それが弦ちゃんの普通なの」
「弦太朗の、普通……」
「だからゾディアーツが出る限り、仮面ライダーになって戦うのが、弦ちゃんには普通なんだよ」
今作ここまで1ミリも存在していなかった「戦いの代償」的テーゼが突然飛び込んできてどうなる事かと思ったのですが、弦太朗にとっては、“仮面ライダーだからダチの為に戦うのではなく、ダチの為に戦う手段がたまたま仮面ライダーであった”――だから、仮面ライダーであってもなくても弦太朗のやる事は変わらないし、仮面ライダーとして戦うのもまた、弦太朗にとっては普通に青春の謳歌である、というのは今作の特性を活かし、「戦う理由」を巧く着地させました。
ただ弦太朗の場合、この「ダチの為に」が、平成ライダー的な個人の拠って立つ正義の背景になっているわけですが、肝心のその部分がややもすると曖昧で、説得力がもう一つ不足している、というのが今作の難点。
恐らく作り手の側としては、弦太朗はまだまだ未熟な若者なので志を貫徹できない部分がある、というつもりなのかもしれませんが、その“つもり”が適用される場所されない場所が、話の都合に振り回されすぎているかなーと。
今回の「戦う理由」の置き方は、よくあるパターンの逆を弦太朗が自然体で進んでいて良かったのですが。
ユウキの言葉に頷いた優希奈はドライバーを手に弦太朗に駆け寄り、リブラ、とうとう女子高生に突き飛ばされる。
「一つだけ約束して! この戦いが終わったら、一緒に写真を撮って。とびっきりの笑顔で!」
「ああ、任しとけ」
フォーゼはコズミックを発動すると、恋する女子高生よりヒエラルキーの下がったリブラを宇宙へ転送し、宇宙規模で馬に蹴られて死んじまえスラッシュで一刀両断。転送される直前に地上へ放った杖を利用してなんとか石碑の破壊には成功したリブラは、爆死寸前にレオかバルゴによって理事長の下へ回収されるも、この敗北で見切りを付けられ、遂にシベリア送りに――。
「やだぁ! 俺はやだぁ!!」
だがその寸前、必死の足掻きでリブラスイッチを押した校長は存在の危機から裏目エネルギーが反転、進化を起こし、新たな力――他人の星の定めを見極める<ラプラスの瞳>――に覚醒、理事長の体に重なる射手座の輝きを目にした事で、左遷を回避される。
良かった、校長、良かった。
それにしても、皆さんダークネビュラをやたらに恐れていますが、やはり12使徒に昇格すると最初の講習会で、ダークネビュラが如何に酷い場所か――ネットもマンガもTVもなく、1日16時間ひたすら、おっとっとの中のまんぼうをより分ける作業に従事させられる――を叩き込まれるのか。