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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第30話&第31話

◆第30話「伝説の巨獣」◆ (監督:竹本昇 脚本:香村純子)
長らく先送りにされてきたセラ×サワオ回ですが…………二人揃って特に見せ場も無いまま、砂浜に打ち上げられてピクピクしている内に終わりました!
まあ、新アニマル登場と同時進行ですし、そんな事だと思ってましたよ、ええ、思っていましたとも……。
注目は、映像には映っているのに、マベちゃんの存在について一切触れずに進行するオープニングナレーション(笑)
そんなわけで、もしかしたら宇宙の海からやってきた面倒くさい海賊船長の力など借りずに自力で見つけだしたのかもしれない(歴史は常に勝者によって捏造されるのです)大王者の資格を手にした大和は、さっそくキューブホエールを呼び出そうとしてみるが、不発。
キューブホエールはいったい何処に居るのか……頭を悩ませるジュウオウジャーは、潮髭海岸で謎の巨大水柱が目撃されたというニュースを知り、向かってみる事に。いよいよ海ならば自分のターン、と探索を買って出るセラだが、ホエール召喚失敗の頃から妙に考え込んでいたさわおが、それを押しのける勢いで気合いの入ったアクアラング姿で登場。
「うるさい! 俺が、俺が俺が……キューブホエールを見つけてみせる」
「なんであいつが張り切ってんの?」
「わからない……」
ところがそこに、TVの取材クルーの記憶からこの水柱の情報を得たバングレイが乱入し、戦いに。テンションの有り余るサワオはいきなりの野生大解放を発動するもあっさり回避されたり、流れ弾を味方に当てたり、と散々な空回り。
大王者の資格は変身状態で手元に一発召喚できる事がわかり、イーグルがホエールに二段変身すると、それに反応するかのように海中から吹き上がる巨大な水柱。シャーク、バングレイ、ホエールは次々と海へ飛び込み、バングレイを妨害しようとふぃーーーーっしゅするサワオだが、見事にシャークを釣り上げてしまう。……このネタは、きっといつかやるだろうと思っていました(笑)
ここから愛が芽生えたりは…………しなさそうですが。
「巨大クジラちゃ〜ん、とっとと出ておいで〜」
日に日に言動の変態度が上がっていくバングレイを止めようとするホエールだが、姿を見せたキューブホエールに、尾びれの一撃で両者まとめて海岸まで吹き飛ばされてしまう。どうしたらキューブホエールに仲間だと認めてもらえるのか……セラがキューブシャークでの接触を提案し、やけに思い詰めた様子のさわおがワニで同行する事に。
……ジュウオウホエールとキューブホエールがホエール表記で被って書いていて面倒くさいのですが、以前にさやまきさんがコメントされていた「ジュウオウホエールの頭部がリーゼントに見える」というのが確かにその通りだと思ったら、腰回りのひらひらが段々長ランに見えてきたので、ジュウオウホエールは、ジュウオウ番長でいいか!(おぃ)
一方、バングレイの前にはクバルが姿を見せ、以前の戦いの折に、クバルはバングレイの目的を助け、代わりにバングレイはジニス打倒に手を貸す、と取引をしていた事が発覚。クバルはかつてブラッドゲームの被害者側であり、ジニスに対して二心あり、というのが明確に。アザルドの何も考えていない感が激しく加速しますが、ここに来て、デスガリアンサイドに波乱の種が立て続けに蒔かれたのは、終盤へ向けての良い布石だと思います。
シャークとクロコダイルは、クバルが海中に撒き散らした毒で大ピンチになり、ホエールの浮上を待つバングレイは、復刻怪人で地上に残ったジュウオウジャー4人を足止め。巨大三角怪人に対し、黄緑白は4356のジュウオウワイルド下駄バージョンを発動し、クマックスを追加投入。
「クマ! もっぺん根性見せてみろー!」
「頼む!」
「よっしゃ根性見せろー」
「クマさーん!」
クマがパンダに変わって大喜びする3人ですが、キューブ使用時にクリティカルが出るとパンダに強化されるとか、そういう仕組みだったのか(^^;
巨大三角はパンダアックスからワイルドパンチで撃破し、花怪人と大口怪人は番長が一人で粉砕するが、その時、海中にばらまかれた毒を浄化しながらキューブクジラが浮上。
「いいじゃん。バリバリ面白いじゃん! こりゃあ、予想以上の大物だぜー! ははは、そうでなくっちゃなぁ。覚悟しやがれ!」 
クジラに腹ビームを撃ち込み、それが弾かれると錨を振り回して海へ飛び込もうとするバングレイを止める番長。……というかバングレイ、生身でキューブホエールに立ち向かう気だったの?!
てっきりチェンジ・ハンティングするのかと思っていた宇宙船はクバルにレンタルしてしまいましたし、いきなり自ら巨大化する様子も無いですし、体一つと武装だけで数々の巨獣に挑み続けてきた宇宙のハンターなのかと思ったら、初めてバングレイへの好感度が上がってしまいました(笑)
……いやまあ、実際の所は記憶実体化能力で色々出すのでしょうが。
ところがその時、襲来するデスガリアン戦闘機部隊。
「ふふふ、伝説の巨獣が居ると聞いたら、興味が湧いてねぇ。一体どれ程の力を持つのか」
ジニスがバングレイを泳がせていた理由……それは、バングレイが求める伝説の巨獣を横からかっさらう事にあった!
襲撃を受けたホエールは手当たり次第に周辺を爆撃し、デスガリアン戦闘機どころかワイルドキング、更には番長も巨獣ハンターも区別なく吹き飛ばすと、その巨体を見せつけながら空の向こうへ飛び去っていく……。
「いいねぇ……尊大で圧倒的なパワーだ。気に入った」
全編、キューブホエールの巨大さを見せつける演出が続き、劇中これまでの理屈を越えた存在としては、なかなかの迫力。
果たしてジュウオウジャーは、この伝説の存在と意思を交わす事が出来るのか。そして、砂浜でひくひくしている二人に友情は芽生えるのか。次回――夜空の星が輝く影で 悪の笑いが木霊する 星から星に泣く人の 涙背負って宇宙の始末 銀河旋風ブ○イガー お呼びとあらば即参上!


◆第31話「巨獣立つ時」◆ (監督:竹本昇 脚本:香村純子)
「どうして……。大王者の資格を持っているのに」
イーグルは姿を消したホエールを探し求め、一方、デスガリアンでは、前回ナリアが撃ち込んだ発信器の反応により、その所在を突き止めていた。
「バングレイも案外手こずっていたようだねぇ。毒で獲物を炙り出すとは、彼らしくないやり方だ。フフハハハ……だいぶ、焦れていたのかな?」
間接的にクバルを煽るジニス様が実に厭らしく、ブラッドゲームに獅子心中の虫が存在する事で、ジニス様の懐が広くなったのは、好材料。前半どうにも、出たとこ勝負感を井上和彦の演技で誤魔化していた部分が強かったジニス様ですが、ようやく余裕と貫目が釣り合ってきました。是非とも、わかった上でクバルを手元に置いている路線で行っていただきたい所。
大切なのは、スリルとロマン。
イーグルも山中の湖で休憩中のホエールを発見し、仲間達へ連絡。タスクの作った毒消しで治療中のセラとさわおを留守番に残し、黄緑白は現場へと向かい、その状況にますます沈み込むさわお
「俺だけジューランドに行った事も無いし、ジューランドの事もわからない。そんな俺に、おまえ達の仲間で居る資格はあるのか」
前回のさわおが普段以上に肩に力が入って空回りしていたのは、大王者の資格絡みであまり役に立てなかった事を気に病んでいたからであり(ゴーカイシルバーが戦ってあげていれば……)、その背景には、“ジューランドの歴史”に関わっていない自分が、この戦いに参加するのは筋違いではないのかという、引け目が存在していたと判明。
コラボSP前後編で、歴史の蓄積を重視したのを逆手に取り、その歴史に繋がっていない者が戦いの中の居場所を探す、という形で普段ギャグに用いている「俺には資格が無い」に重い意味を持たせたのは鮮やか。
「ごめん! 内緒にしてたわけじゃ……」
「違う! そうじゃない。俺が! もっと役に立ちたいんだ……生まれて初めて出来た…………友達の為に」
そして、内心では本当の理由(友達の為)がわかっていながら、客観的に自分を納得させられる理由(仲間で居る資格)を求めてしまうという、さわおの弱さと脆さの描き方もお見事。
メタ的な“追加戦士”の戦隊的意味づけも含めて、やりすぎによる破綻すれすれの所をきりもみ飛行で縫うさわおの造型は、本当に良く出来ています。
「それでやたら張り切ってたんだ。……あんたのそういうとこ、嫌いじゃないけどね」
「……え?」
「空回ってるし、面倒くさいけど、色々考えて努力してるのわかるもん。友達作りたくて、体鍛えたり、手芸頑張ったり、けっこう根性いるでしょ」
前後編という事でさすがにセラとさわおにもフォローが入り、空回りも面倒くさいのも否定しないし、多分ちょっとズレていると思っているけど、努力する根性は否定しない、というのがセラの立ち位置に。
「ちょっとわかるんだよね。私もずっと……もっと強くなりたい、認めてほしいって、じたばたしてるから」
さわおに対して理解と共感をもらすセラは、すっかり公式不憫キャラ的な扱いになってきました(笑) この、“強気な優等生の弱み”をなかなか同じジューマンには見せられない、という部分が終盤もう一跳ねしてくれると良いのですが。
「それで……強くなれたのか?」
「まだまだ。だから、みっともなくても、努力し続けるしかないんだよね。理想の自分に近づく為には」
「努力を続ける……そうか。そうだな……俺ももっと強くなって、みんなの役に立つ、ぞーーーーー!!」
「……いきなり空回ってる」
だが勢い良いさわおの動きで解毒が完了した事がわかり、仲間達を追いかける2人。
「行くよ操!」「ああ」
この2人は、距離が近づくほど、友情というより、姉御と子分の関係になっていきます。
湖付近では、ジニスの命令でクジラに迫るナリア一行と黄緑白が交戦し、ライオンが、ジャンプして木の腹を蹴った勢いで横に3回転ぐらいしながら受け身を取って転がるという、なんかまた凄い動きを。
一方、湖に降り立った大和はクジラに話しかけるも、キューブ状態に引きこもられていた。
「ケタスさんはどうやって仲良くなったんだろう…………違う」
そもそもキューブホエールはジュウオウホエールと共に生まれた対になる存在であり、初代ジュウオウホエールこそが唯一無二の存在であった事に思い至る大和。
「そっか……生まれた時から、相棒だったもんな。……大好きだったんですね、ケタスさんの事」
ホエールの心の糸口を掴む大和だがそこにバングレイが現れ、大和はイーグルに変身するとホエールを守る為に立ちふさがる。
「ごめんキューブホエール! 大王者の資格持ってるからって、いきなり同じように付き合えないよな! 大丈夫、一緒に戦おうなんて言わない! 俺達は、あなたを守りたいだけだ!」
資格はあくまで目覚めの入り口に過ぎず、そこから先で示す事を求められるのは、力でも絆でもなく、相手と一から向き合う事という流れが、つくづくコミュニケーションの物語。
今作の長所の一つはこの、物語の中で起こる様々なイベントに対し、その背骨として常に一つのテーマが貫かれて繋がっている事。エピソードとしてのテーマは他にあっても、物語全体として描こうとしているものがその時々で右に左に揺れ動くことなく、『動物戦隊ジュウオウジャー』はこういう物語である、という軸が非常にしっかりしています。
これは一歩間違えると物語の硬直化(同一メッセージの上昇の無い繰り返し)を生む危険性も孕んでいますが、今のところ上手く、劇中のエスカレートに重ね合わせた上昇曲線の構築にも成功しており、是非ともこのまま最後まで昇りきってほしい。
イーグルの隙をついて四角いクジラにと飛びかかるバングレイだが、そこに伸びた釣り糸が絡み、今度こそふぃーーーーーしゅ!
「やられっぱなしは耐えらんないのよ!」
「俺は何度でも立ち上がる! 俺が目指す、俺になる為に!」
セラの掘り下げと、さわおの成長も綺麗に重なり、ここは格好良かったです。
一同揃うジュウオウジャーだが、ナリアがジニスが作ったギフトカスタムを起動、搭乗してクジラを狙い、火力に溺れて楽しそうな事に。バングレイにはゴリラが立ち向かい、残りメンバーはサイキングを起動してギフトカスタム〔緑〕に立ち向かう。
これだけ分割展開を繰り返すと白けそうなものなのですが、キャラクター個々の蓄積が効いていて余り物感が薄いのと、全体のキーワードである「繋がり」の定期的な強調により、非常に一体感が強い戦隊である事、そして序盤から割とロボットが適当な扱い(最大3人乗りだけど2人で動かせる)なのであまり違和感がない、というのも巧く回っています。
「負けない……」
「あぁ? 巨大クジラちゃんが待ってんだ! 暇つぶしは用済みなんだよぉ!」
バングレイに押し込まれながらも四角いクジラを守り続け、バングレイの放つ衝撃波を二刀流で受け止めるイーグル。
「渡さない……。おまえにも! デスガリアンにも!」
ギフトカスタムに苦戦するサイキングのコックピットで、仲間達も声を合わせる。
「「「「「絶対に、負けない」」」」」
「キューブホエールが守れなくて、この星が守れるか!!」
目の前の目標にこだわりすぎて全体を見失う、という展開もしばしばありますが、ここで、なぜキューブホエールにこだわって守るのかというと、色々と過去の因縁もあるけれど、身内のしがらみだけでなく何よりそれは地球を守る行動の一つなんだ、と接続。同時に、新ロボ登場回において、力の為の力を手に入れるのではなく、守る為に戦った結果として力が手に入る、という流れも巧く成立しました。
スペシャル前後編に続いての新ロボ登場編において、全体テーマの貫徹と細かい所へ行き届いた意識という『ジュウオウジャー』の良い部分が鮮やかに縦糸と横糸を織り上げて、お見事。
バングレイの衝撃波を弾き飛ばしたイーグルの後ろ姿に、クジラ大王の面影を見たキューブホエールは目を開くと、イーグルへの助力として巨大な銛を与える(玩具的にはスピアーのようですが、クジラから出てきたし銛な気がこれ)。さすがに身長以上の銛は取り回しが大変そうで、体の周りをぐるぐる回しつつ、攻撃にエフェクト乗せてかなり派手に見せてはいるのですが、斬ったり刺したりしているというより、丸太で殴打を繰り返しているように見えます。
なんだろう……一人破城槌?
丸太必殺城門砕きを受けてバングレイは森の彼方へと吹っ飛び、イーグルが勢いで投げつけた銛は見る見るうちに巨大化するとギフトカスタムにダメージを与えた後、クジラの頭部に戻ってホエール再起動。大王者の資格が反応し、ジュウオウ番長が乗り込むと、「動物変形!」により、単独で人型ロボットへと変形する!
「完成、ドデカイオー!」
本体といい銛といい、キューブホエールのセールスポイントは「デカい」という事になるようですが、それに「海」がかかっている名称は、行き着くところまで行った感がありつつ、何となく巧く言われた感があってそこはかなとなく悔しい(笑)
しかしどうして、顔がブライガー
どデカい王は、サイキングが手も足も出なかったギフトカスタムを圧倒すると、最後は銛を連続で叩きつけるドデカイオーシャンスプラッシュにより撃破。ジニスの為の勝利にこだわるナリアだが、そのジニスの命令により、メモリーバイスを取り出すと本拠へと帰還し、コインワープ、便利。
「ありがとう、キューブホエール。俺達、少しだけ認めてもらえたのかな」
こうしてジュウオウジャーは、初代と共に戦った伝説の力を得、ホエールも小さくなってアニマル軍団に参加。引き続き距離感の読めないさわおがホエールに頬ずりして逃げられる一幕もあったものの、ひとまずバングレイの凶手からホエールを守る事に成功するのであった。
そのバングレイは、てっきり新装備か新ロボの踏み台になるのかと思っていたら、まさかの生存。吹っ飛ばされた森でよろよろしているシーンが入ったので、これはクバルに刺されるパターンかと思ったら……それも無し。一人破城槌の登場で赤との格付けもほぼ付いていましたし、率直にかなり意外な展開なのですが、いったいどんな波乱分子になるのか、楽しみにしたいと思います。
そしてジニスは、この戦いにおいて、キューブホエールのデータを入手。
「さぁて、どうやって遊ぼうかな。ふふはははは」
オーナーが、久々に、立った!
細かい所では、メモリーバイスが三角形、というのは小道具として宇宙感があって素敵です。
組み替えロボ1→組み替えロボ2→組み替えロボ全合体→実質的2号ロボ→全合体ロボ→単独変形3号ロボ、と来ましたが、初登場補正ありとはいえ、〔サイキング<<<ギフトカスタム<<<<<<<ドデカイオー〕の戦力差が随分派手な事に。ジニスがそのドデカイオーのデータを入手したので、それに対抗する為にもう一段階何かあるのでしょうが、さて、どんな事になるのやら。また、赤が更なる専用武器?を入手した事で、ジューマンズとの戦力格差が更に開いてしまい、軽い……ジューマンズの戦力的価値が、ダークネビュラに送られそうなぐらい軽い……ので、合わせて早めに次のステップを期待したい所です。物語としてきちっと段階を踏んでいるので嫌な感じは無いのですが、さすがに、レッドとジューマンズの戦闘能力格差は開きすぎのような(^^;
ところでドデカイオーの玩具、お腹に巨大な穴が空いているけど、それでいいのか。
あと本編と全く関係ない点で一つ気になったのですが、マリオおじさんの髭が立派になってきているのは、夜に隠密をやっている関係なのか。