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『重甲ビーファイター』感想32

◆第37話「サギるな用心棒」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
何故かジャマールの戦闘機がゲートボール場を襲い、通りすがった舞は老人達を避難誘導。
「戦後50年……どうして今になって、こんな空襲を受けねばならんのだ!」
……のっけから、ちょっと不安なボールが(^^;
ジャマールの狙いは国立エネルギー研究所であり、ゲートボール場への攻撃は通り道の嫌がらせだった事が判明して、偉い人の考えた珍妙な作戦とかではなくホッとしました(笑)
「どうやらこの次元でも一稼ぎできそうだぜ」
研究所で繰り広げられる、ジェラとビーファイターの戦いに突如乱入したのは、ガンマンスタイルのさすらいの用心棒・ネロ。ビーファイターをグレネードで文字通りに煙に巻いたネロは、ジャマール要塞で報酬全額前払いを要求してブラックビートに難癖をつけられるが、逆にその実力を見せつける。
ところがネロは、ジャマールの懐に潜り込んで既にガオームの弱点を掴んでいる、と今度はビーファイターに対して売り込み。ネロを信用できない拓也と大作は突っぱねるが、老人達との触れ合いでジャマールに対する市民レベルの恐怖を肌で感じていた舞は、戦いが早く終わるなら誰がガオームを倒しても構わないと、ネロに報酬を支払う事を約束。
冒頭、戦争を思い出す老人達が描かれた時はどちらに転がっていくのだろうとヒヤヒヤしましたが、「戦いが続く限り、みんな安心して暮らすこと出来ないもん」という舞の反応に持っていく事で、上手く物語の視点を拡張。
ネロへの報酬を稼ぐ為にお約束のバイト三昧が始まり、バラード調のBGMで奮闘する舞をストーキングする拓也と大作。
3日後――舞が友人などからの前借りも含めてかき集めてきた金を受け取ったネロは、舞の真っ直ぐさに多少の後ろめたさを抱きながらも、ジャマールから受け取った前払い金と一緒にいただいてそのままトンズラを決め込もうとする。ブラックに目論見を気付かれるも「腕は一級だが、性格はクズか」と捨て置かれ、今回、ネロの実力をブラックビートが担保しているというのはポイント。
ところがネロは逃げおおせる前に舞に見つかってしまい、更にそこに監視役のジャマーも登場。とりあえずネロはジャマーを倒して舞と指切りの約束をかわすが、更にそこへジェラまでやってきてしまう。
(百戦錬磨の、ジェラと小娘一人……どっちにつくが得かは明白)
ジェラが業界では有名人な事がアピールされ、今度は舞を裏切ろうとするネロだが、そこへ拓也と大作が現れ、またもビーファイターに与そうとするネロはとうとう変わり身が限界に。
「わかったよ! ……返しゃいいんだろ? 返してやるよこんなものまとめてよ!」
ネロはとりあえず金を地面に叩きつけ、ジャマールの流通紙幣には、ガオーム様の肖像画が入っているのが細かい(笑)
「謝ってよ。私にじゃない。今まで騙してきた全ての人に!」
「俺は謝らねぇ……騙される方が、戦争やってる方が悪いんだ!」
振り払われてレッドルに変身した舞に向けられるネロの銃口だが、腕は一流、狙いは正確な筈なのにその弾丸は一つも当たらず、とうとうネロは裏切り者としてジャマーによって蜂の巣にされてしまう。
「戦争なんてのは愚かなだけよ。悲劇しか生まれやしねぇ。おりゃあ戦争がでぇ嫌いだ。嫌いだから、さんざん食い物にしてやったのよ」
「ネロ……」
「おまえらの戦いも、早く終わるといいな。早く終わらせなよ、早く。…………約束だぜ」
ネロは着ぐるみではなく、ごてごてした衣装に覆面で演者の目と口元を出すパターンなのですが、ここで緑の血を流しているのが、細かく秀逸。
「あんた、舞さんって言ったっけ。いい人だぁ……」
ネロは舞と指切りをかわすと、事切れ消滅。ビーファイターはとりあえずジェラに怒りを向けて重甲し、青の前にはじっと出番を窺っていた黒が現れてしばらく力の入ったバトルが展開……するが、絶対許せないハイパー化したブルービートの勇者キャノンを喰らったブラックは割と本気で死にそうになり、これも苦戦気味だったジェラと一緒にすごすご撤退(^^;
新装備キャンペーン真っ最中なので仕方ないのですが、存在の軽さが留まる所を知りません。
「わけのわかんねぇ野郎だったな」
「きっと、戦争でとっても悲しい思いした事あったんだよ」
「信じるのか。戦争を嫌いだって言った言葉」
「嘘じゃないよ」
ネロが用いていたのが、正確に狙えば狙うほど当たらない、銃身の歪んだ銃だった事を明かす舞。
「誰よりも戦争を嫌っていた。それだけは本当だったのよ」
ヒーローと悪の侵略者の戦いを戦争になぞらえるというのは、一歩間違えると見当外れになりかねない要素でしたが、冒頭のやりとりを軽い伏線とし、大規模な市街地被害が繰り返される今作の特性を踏まえる事で、正義の戦いも部外者から見れば全てひっくるめて愚かな戦争にすぎない、と持ってくる事でなんとか収めました。
ネロのキャラ付けはやや台詞先行になってしまったのですが、舞の重要エピソードであった第23話「怪人に花束を・・・」の構造とそのまま重ねる事で、戦いの中で荒んでしまった中年男の心を、戦場の中でも失われない舞の真っ直ぐさが揺り動かす、という流れに説得力を増させたのは良いアイデアだったと思います。
そういえば、転任した麗は「幼い頃に紛争地域での生活体験がある」という設定でしたが、ヒーローの戦いになぞらえて戦争の愚かしさを描くというテーマで、麗メインで構想していたプロットを舞なりの切り口にアレンジしたエピソードであったのかもしれません。
アースアカデミアへの帰路、ゲートボール場で助けた老夫婦の姿を見つける舞。
「あのお爺ちゃんとお婆ちゃんのとこに、春にはお孫さんが生まれるんだって」
「そうか。……終わらせなきゃな、それまでにジャマールとの戦い」
「生まれてくる、新しい命の為にも」
「そして……ネロとの約束の為にもね」
さすらいの用心棒が自分の目的の為に両陣営を引っかき回す、というアイデアはそれほど面白くは転がりませんでしたが、舞が再び変なおじさん傭兵と絡み、男二人が「ガオームを倒すのは使命」と言い出すのに対し、ビーファイターは何の為に戦っているのか? という足下を改めて見つめ直すというのは、最終クールを前に、いい広げ方でした。
また今作これまで、新しい命の誕生=兵力の増強、という世界観だったのが、それを平和の象徴へと移行したのも良かったと思います。
単品としてのキレは程々だったものの、作品全体として重要なポイントを押さえたエピソードで、これから終盤に意味が効いてきそう。
次回――今、向井の秘密兵器がベールを脱ぐ!


「なんだおまえは?!」
「ムカイダーK3!」
重甲ビーファイター』「博士!!愛の重甲」
「見ない人はお仕置きよ〜」


◆第38話「博士!!愛の重甲」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:浅香晶)
「家ではお孫さんも、待ってるんでしょ?」
「君達、儂を、とんでもなく年寄り扱いしてないか?」
今遂に明かされる衝撃の真実!!
「こう見えても、向井ケンゾウ43歳独身! 現役バリバリじゃ!」
「え?!」
「博士って?!」
「独身だったの?!」

「しかしなんというか、いつの時代も、親の心子知らずというか……儂にも、覚えがある。うんうん。本当は、期待しとるんだろ〜。カブトを、跡継ぎにと。んー?」
(第36話)
…………えー、2話前で老師グルと、既に子供が独立していて孫までいるみたいなやり取りをしたばかりなのですが、子供すら居ないのに、いったい何の覚えが。
まず間違いなくスタッフ間で食い違いが発生しているのですが、タイミング的に、第36話の完成台本より前に第38話の脚本があがっていた可能性が高く、脚本の責任というより、全体の調整ミスを強行突破した感じ(^^;
実際問題として、向井博士を演じる笹野高史は当時47歳であり、第36話時点で、もともとの博士の設定年齢を宮下さん(か監督か役者)が勢いで無視してしまった可能性もありますし、博士が自分の親との事を思い出しての言葉だったと強引に解釈できない事もないですが、明らかにグルへ向けていた共感は、割とその場の方便だったという事に。
エピソードとしては、老けて見えるけど実はそこまででもないという役者さんの実年齢も盛り込んだギャグのつもりなのでしょうが、そもそもこれまでの向井博士が、一人称が「儂」で語尾が「じゃ」であり、それは今回も通されている為、43歳として描かれていなかったキャラを話の都合で急に43歳と言い出した感が強く、今ひとつギャグとして成立していません。この後、回想シーンで鬘かぶった笹野氏に15年前の向井博士@28歳を演じさせるのも含めて(しかも一発ギャグではなく割と長い尺で複数回登場)、全体的に笑えない悪ノリになった印象。
その頃、ジャマールではブラックビートが、合成獣ラズベルガの性能試験に立ち会い、完敗していた(笑)
軽い、宿命のライバルの扱いが、非常に軽い……。
地上へ送り込まれたラズベルガの花粉を浴びて戦闘力が激減するビーファイターだが、向井博士はその戦いを見つめるかつての同僚、草薙サユリの姿を発見。サユリは15年前、新種の食虫植物を発見するも「食われそうになって命からがら逃げてきた」と宣った為に全く信用されず、当時勤めていた研究所を退職する羽目に陥っていたが、その後も自分の見つけた植物の研究を続けていた。そして合成獣ラズベルガこそ、その恐るべき食虫植物ラズベルの花を素体にしており、放たれる毒花粉には昆虫魂をマヒさせる力があるのだった!
“食虫植物だから昆虫魂の天敵”だけど“その食虫植物は人間も襲う”という、根本の設定がわけのわからない事になっていますが、ギガロが細胞をキープしていた事を考えると、異次元原産の植物が、たまたま地球に根付いて発見された、という事でしょうか。
サユリが育てていた、ラズベルの花に対して毒性を持つ木の実を手に入れようとするビーファイターだが、緑と赤がラズベルガに食われ、青は崖落ち、サユリはギガロにさらわれてしまう。叩きのめされた向井博士は、サユリが落としたペンダントの中に、かつて恋人だった頃の写真が今も収められているのを目にし、甘い思い出の再来に胸のエンジンがヒートアップ。
「やるぞ〜。サユリさんは、儂の初恋の人なんじゃー!」
だから、どこが、43歳(笑)
博士は一度アースアカデミアへ戻ると秘密兵器を持ち出し、発信器の反応を頼りに囚われのサユリの元へ。
「なんじゃそれは?!」
突然現れた鋼鉄のメタルスーツを目にして、思わず声が裏返るギガロ(笑)
「ムカイダーK3!」
それは、かつて昆虫魂との融合によりインセクトアーマーへと進化したプロトアーマーを元に、選ばれた戦士以外でも着用できるように開発が続行されていた発展型プロトアーマーであった。K3はまさかの性能でジャマーを撃退し、割と凶悪な破壊力の銃器も使用。更には純粋メカゆえに花粉攻撃も無効という活躍を見せるが、反撃を受けて装甲が剥がれ、電流を浴びせられて一点大ピンチに。だが向井は、まさかの死んだフリからの反撃で油断して近づいたギガロを投げ飛ばすと、サユリを救出。そこへようやく崖を登ってきた青が復帰し、時間を稼いでいる内に、サユリが植えていたもう1つの木の実の回収に成功する。
博士達が木の実を取りに行っている間、ラズベルガに追い詰められていくブルービートだが、あわやの時、地平線の彼方から地響きと共に姿を見せるメガヘラクレス。向井博士が徹夜で進めていた強化計画とは、メガヘラクレスのオートパイロット機能だったのだ!
……と、ビーファイター抜きでメガヘラクレスが戦場に到着し、これまでの全てがどうでも良くなりました(^^;
一応、対抗手段である木の実を弾頭に詰めてメガヘラクレスから木の実爆弾を撃ち込み、弱らせる事で緑と赤を胃の中から救出するのですが、目の前で起きている事態と比べると、何もかも些事です。
さすがに声つきのメガヘラクレスのオートモードは浅香さんのアイデアというより全体の都合だとは思うのですが、それならここにエピソードの焦点を合わせるべきであり、ここまでの向井博士の過去と奮闘が、クライマックスと一切全く繋がっておらず(徹夜で強化計画を実行していたのは、このエピソードの外の出来事なので)、イデアを盛り込めば盛り込むほど脱線していくという、さすがの浅香脚本。
三ツ村監督も回想シーンやムカイダーなど悪ノリした感があってよろしくないのですが、道中9割とラスト1割が分断された上でお互いを相殺し合い、タチの悪いギャグの燃え滓だけが後に残る事に。
最終クールを前に向井博士に焦点を当てた事は良かったのですが、メガヘラクレスのオートモードをやるのであれば、事の重要性から言ってそれを中心に描いた方が良かったと思え、シンプルなプロットから物語を広げられないので、あれもこれもと付け足している内に迷子になる、という浅香さんの悪い所が見事に出たエピソード。……逆にオートモードが一発ネタだったとしたら、一発ネタでやってはいけないアイデアだと思いますし(^^;
弱った花は久々のドリルで撃破し、ギガロは帰宅。なんとなく良い雰囲気になった向井とサユリの姿を写真に収めて大団円。なお、宿命のライバルはずっとピクピクしていました。