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『ウルトラマンオーブ』感想・第8話&第9話

◆第8話「都会の半魚人」◆ (監督:市野龍一 脚本:小林弘利
立て続く怪獣の出現は地球環境のバランスが崩れている影響ではないか――と、アンバランスゾーン、というどこかで聞いたような名称を思いついて盛り上がるSSP。
一方ガイは、本来なら怪獣も、歩いているだけで攻撃を受けるような場所に出てきたくは無い筈だと呟き、野生の怪獣と人類、という割と地雷なテーマに踏み込んできましたが、個人的にはかなり不満のあるエピソード。
餌である魚を求めて陸地まで上がってきた怪獣グビラを、最終的にはオーブが球体に閉じ込めて海へと帰すのですが、なにぶん相手は近海の魚群を丸ごと平らげてしまうような大食らいなので、これ、問題を一時凌ぎで先送りにしているだけで、なんの解決にもなっていないと思うのですが(^^;
勿論、オーブが何もかも一朝一夕に解決できるわけではない(してもいけない)のですが、早晩同じ問題が繰り返されるのは明白であり、ではその問題に対して人間がどう向き合っていくのか? という所まで踏み込まなくては――少なくとも劇中で問いを提示しなければ――このテーマを持ち込んだ意味が薄いように思えます。
並行して描いていたラゴン親子と魚屋の交流と合わせて、野生の怪獣は人間とは違う種なだけであって“悪”ではない、と一見綺麗にまとめるのですが、だからこそ生じる対立があるのであって、自然と人間(文明)の衝突、という古今繰り返されてきたテーマを持ち込みながら、それを“見なかった事”にしてしまっているのが、非常に引っかかった所。何らかの事情と経緯があって魚屋に匿われていた筈のラゴン親子も、それが一切語られずに川に放流してめでたしめでたし、というのは舌足らずに過ぎますし。
まあグビラは、オーブが誰も見ていない海上で粉々に粉砕している可能性もありますが!
あと映像的に、ラゴン親子の区別がつきにくいのが凄く困った所でした。どちらでも話が成立してしまう為、倉庫に玩具を取りに戻ったのがどちらなのかとか、困惑しましたし。明らかに大きさを変えるか、体色を変えるとか出来なかったのか。


◆第9話「ニセモノのブルース」◆ (監督:冨田卓 脚本:中野貴雄
前回の秘密基地は諦めたようで、宇宙に浮かんだUFO内部で会合を開く惑星侵略連合。
ウルトラマンオーブが強い理由は何か。それは、人間達との絆の強さなのだよ。人々の希望が奴へ力を与えている」
え? いつ、そんな設定に(^^;
第7話でも、予知夢少女が「オーブは救世主」みたいな発言をしていて違和感を覚えたのですが、劇中でリアクションが描かれていない事が台詞だけで既成事実にされていて、ちょっと困った展開。オーブが人々の応援で力を得ているシーンとか、これでまで一つも無かった気がするのですが(第7話は、怪獣が弱った形ですし)。
そんなオーブと地球人の絆を壊す為、メフィラス星人ドン・ノストラは構成員のババルウ星人を呼び出すと、その変身能力を用いた偽ウルトラマンオーブ作戦を指令する。
SSP「ウルトラマンオーブ!」
ガイ「……え?」
は凄く良かったです(笑)
ガイが食事中に出現した偽オーブはドンの命令で街を破壊しようとするが、絶妙な間の悪さでそこに地底怪獣が出現し、成り行きで戦う羽目に。……導入はどうなる事かと思いましたが、この展開から一気に面白く。
怪獣を撃退して本来の任務に戻ろうとした所で変身能力が時間切れとなり、とりあえず姿を隠したババルウ星人だが、人間大になった所をジェッタに見つかり、オーブの正体と勘違いされてしまう。慌てて地球人の姿に変身した見た目金髪ヤンキーのババルウは、馬場竜次という仮名を名乗り、これは2人の秘密、とその場を誤魔化すのだが、後日再会したジェッタに「ウルトラマンオーブの正体」として子供達に引き合わされた事から、どんどん歯車が狂っていく事に……。
「あの……さ、一つ、聞いてもいいかな?」
「なんでしょう?」
「ヒーローってさ……そんなにいいもんなのか?」
「そりゃそうですよ! 僕なんて、子供の頃から、ずっと憧れてましたもん」
幼い頃の、父の言葉を思い出すジェッタ。
「なあジェッタ、ヒーローっていうのは、わざと危ない事をするもんじゃない。地味で目立たない事でも、誰かのために一生懸命頑張るのが、ヒーローなんだぞ」
「世の中には……弱い人や、困ってる人に? 手を、差し伸べてあげる存在が必要なんです。けど……僕には、馬場先輩みたいな事はできない。そんな時……奇跡のヒーローが目の前に現れた」
「そっか……」
「先輩……僕はそれをみんなに伝える事で、誰かの役に立てたらいいなって、そう思うんです」
自分なりにヒーローになれる方法を探している男、と微妙にジェッタが軌道修正されている気がしますが、良い話だからまあいいか(笑)
オーブとして戦った際に助けた子供達からのプレゼントをついつい受け取ってしまった馬場先輩は、それを見ながら満更でもなく、UFOに帰ると同僚のナックル星人に思わず人生相談。
「なあおい、人に憎まれるより、喜ばれる方が何倍も気持ちがいいもんだよな。…………そう思った事は、ないか?」
「何を言ってんのか、さっぱりわかんねぇな」
同僚の理解は得られずも、ジェッタと子供達のペースに巻き込まれている内に、地球ですっかり子供達の良いお兄さんと化していく馬場先輩。
(俺、このままウルトラマンオーブになるって人生もあるんじゃないのかな……)
だがしかし、偽りの平穏は長くは続かず、しびれを切らしたドンが、UFOを地上へと接近させる。
「もう待てんぞ。いつになったら破壊作戦が始まるのだ!」
ドン、予想外に短気。
前門のドン、後門の子供達の声援に切羽詰まった馬場先輩は、やむなく偽オーブに巨大化変身。
「まず手始めに、その子供達から踏みつぶせ!」
「出来ません……」
「なんだと……?」
「そんな事出来ません。俺は今、ウルトラマンオーブなんです」
「おまえは偽物だ! ババルウ星人だろ!」
「確かに俺は、悪の星の元に生まれた暗黒星人だと思ってました。……だけど、こいつらが教えてくれたんです。運命は変えられる。俺だって、ヒーローになれるって!」
どう生きるかを決めるのは、自分自身だ!(byジャンパーソン)
前回、野生の怪獣を人間の善悪で量ってはいけない、という話をしたと思ったら、その次で、悪の星に生まれた宇宙人は生まれながらの悪である、みたいなテーゼが持ち出されてしまったのですが、以前に「光の陣営」「光と闇のカード」という台詞があった事を考えると、野生に善悪は無いけど生まれた星による善悪の割り振りはある世界なのか。
最初に3D6振って下さいねー、えー、生まれ表の15は……はい、ナックル星なので、属性は〔闇〕です。常に レッドマン 光の戦士に命を狙われる事になりますが、《格闘》《射撃》ロールにボーナスがつきます。
みたいな残酷宇宙なのか。
というかこれ、過去に身内から犯罪者を出す(ウルトラ警備隊の抹殺対象にされる)と、星ごと(一族)まとめて〔闇の陣営〕認定されるのでは……。
状態を中立に戻すには、莫大な賠償金の支払いを完済する必要があります!
まあ最終的にはババルウ星人が新たな人生を始めるので、スラムの最底辺に生まれた俺達は一生ここから這い上がれやしないのさ……的なニュアンスかもしれませんが。
ジャグラー、奴を処刑しろ」
ドンの命令を受けたジャグラーが怪獣を召喚し、子供達を守る為に必死に立ち向かう偽オーブだが、怪獣の猛攻を受けて地面に倒れ、正体を露わにしてしまう。
「そうだ……俺はウルトラマンじゃねぇ。暗黒星人の、ババルウさ。お前達を騙していたんだ」
「そんな……」
「すまねぇ……しょせん俺は偽物だった」
――だが
「がんばれ、馬場竜さん!」
「頑張ってー!」
「「「がんばれー!」」」
子供達はそんなババルウを、例えオーブではなくても、“自分たちのヒーロー”と信じて声援を送る!
ここで、「馬場竜次」(仮名)→「馬場竜さん」(愛称)が、「ババルウ」とより重なっている事により、子供達と心から触れ合っていたからこそ、その声援がますます届くようになっている、というのは細かく秀逸(私の聞き取りの問題で、普通に「ババルウさん」と言っている可能性もありますが)。
「……そうだ、諦めるな馬場先輩! ……あなたが誰であろうと関係ない。子供達に言ってくれたじゃないですか! 夢を、追いかければ、いつかはヒーローになれるって! あなたが……あなたが僕たちに夢を見せてくれたんじゃないですか!」
「――そうだな。おまえの言う通りだ。こ・こ・で、諦めてたまるかぁーーーっ! よーし!! やってやるーーー!!」
ファイト一発、立ち上がった馬場先輩は、力を振り絞って再び怪獣に立ち向かう!
マフィアの下っ端構成員が人の優しさに触れて良心に目覚める、というスタンダードなアウトラインから、クライマックスの展開そのものが冒頭で盛られた「ウルトラマンオーブが強い理由は何か。それは、人間達との絆の強さなのだよ。人々の希望が奴へ力を与えている」という設定を補完する構造になっており、1エピソードの内容とメインストーリーの連結がお見事。
…………というかあれ? 馬場先輩にエールを送るジェッタを、ガイが凄く難しい顔で見ているのですが、これもしかして、そもそもガイ(オーブ)が今回のババルウ星人と似たような経緯を辿って光の陣営に鞍替えした可能性も、ある?
第5話で、ゼットン星人が名を挙げる為にオーブを狙っていた事に若干の違和感があったのですが、闇の陣営の裏切り者として賞金首のような扱いになっていると想像すると、納得いきますし。失ったという「本来の力と姿」が、光のものとも限らないわけで(まあキャップの夢だと、「光の巨人」と言われていますが)。
かつて光ーグに居たジャグラーが、あまりにも強いオーブの闇に惹かれて闇リーグに移籍するも、当のオーブがFA宣言して光ーグに移ってしまい、その逆恨みで倒錯したストーキングを続けている、というのも割と腑に落ちるのですが、さてさて。
奮戦するも怪獣に敵わず、トドメの火球に焼き尽くされそうになる馬場先輩だが、そこでようやくガイがオーブ変身。
真打ち登場から主題歌、というのは素直に盛り上がったのですが、かなりギリギリまで助けに入らなかったのは、偽物に凄くイラッとしていたのか(笑) ガイさん(オーブ)明らかに、自分のイメージ意識してますからね! ……まあ闇リーグに対する不信感、みたいなものがあるのかもですが。
これが! 本物の! キレのいい俺だ! とオーブ嵐は竜巻で浮かせてからのエアリアルコンボで怪獣をざっくり滅殺。ランス連撃は2回とも空中で使っているのに、バンクの映像が思い切り地面を踏みしめている格好なのは、ちょっと勿体ない所。
「やっぱ……本物はすげぇや」
オーブの勝利を見届けた馬場先輩は人間大に戻ると、子供達の感謝の声に応えながらも、何処へともなく姿を消す……。
「馬場先輩!」
「行かせてやれよ。ヒーローってのは、風のように去っていくんだろ?」
これ以上、俺のイメージを、崩されると困るからな!
「ドン・ノストラ、あなたのやり方は、人間の心の善悪を問う昔ながらのやり方です。時代はもっと進んでるんです」
ジャグラーはドンに厭味を残してUFOを去り、後日――ジェッタと昼間から公園でフラフラしていた通報待ったなしの風来坊は、公園の清掃員として人間社会に溶け込んでいた馬場の姿を見つけ、笑顔になる。
「馬場先輩……どこ行っちゃったのかなぁ」
「さぁな。ヒーローってのは案外、その辺に居るんじゃないか?」
馬場先輩のその後を見せるか見せないかどちらが美しいのか、というのは好みの出る所かとは思いますが、今回に関しては、誰だってヒーローになれるから、ヒーローはいつだって近くにいるかもしれない、とエピソードのテーマと合わせた台詞でまとめたのがはまり、良い着地だったと思います。
そしてガイさんは、正体を明かしはしないけどさりげなくアピールはしたいお年頃。
好みのテーマだったのもありますが、流れも綺麗にまとまって、非常に面白かったです。ナオミとシンの出番を無理に作らず、ジェッタのエピソードにした判断も良かった。
ところで一つ気になった事として、ビートル隊は一般市民に対する職務質問どころか、問答無用で拘束して身体検査する権限を持っているのか……。かなり強権的かつ高圧的に見えますが、思えば割と気軽にミサイルぶっ放していましましたし、『オーブ』世界は度重なる侵略被害によって軍関係が強い発言力を持って割と殺伐としているのでしょうか。
当局に、誤認逮捕など存在しえない。何故なら、侵略宇宙人かもしれないと疑いを抱かせた時点で罪なのだ! 昔の偉い人は言いました。黒か白かは、撃ってみればわかる。 ※言ってません。
実際問題としては、馬場先輩は当時悪い宇宙人だったので、おじさんは物凄く優秀な隊員ではないか疑惑がますます募りますが。
次回――ジャグラー死す?!