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『仮面ライダーエグゼイド』感想・第8話

先週分。
◆第8話「男たちよ、Fly high!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
全体の90%が苦行レベルだけど、残り10%は面白かったという、何とも困ったエピソード。
とりあえず見所1は、
「余計な事は考えるな」
とエムにばっさり切って捨てられる九条。
ホントこの主人公、患者以外との人間関係は二千円札みたいな扱いですね!
見所2は、

「花家大我も堕ちる所まで堕ちたな」
「おまえに、仮面ライダーの資格は無い」
「人の命すらも駒に使うとは……ゲームに取り憑かれた哀れな男め!」

鏡先生はDVDが出たら、第2話〜第7話までの自分の行動をよくよく確認した方がいい。
そして今回も、安定の真っ先にリタイア。
真面目な見所としては、飛行スナイプは割と格好良かったです。戦闘機アーマーを上から被せ、パイロットスーツをイメージした酸素マスクも顔に合っていましたし、脇の下から機関銃が2門出てくるという、メカメカしさも好み。
そんな大我の過去の一端が明かされ、
「医師免許を剥奪された君を、ここには置いておけない」
「バグスターが沈静化した途端、この扱いか!」
口封じか。
全てのガシャット手に入れようとする大我が、バグスターを人質に取る(患者の治療を不可能にする)事でエグゼイドとブレイブを決闘に引っ張り出す、という展開も大我の壊れっぷりが出ていて良かったです。
問題はその、患者の治療にまつわるドラマ部分で、前回の感想で触れましたが、人生の困難な局面に立たされている人に対して平気で「ゲーム病」という名称を持ち出すのは気が狂っているとしか思えませんし、百歩譲って気の狂った世界観だと受け入れたとしても、町工場の経営者が抱える社員達の将来や会社の問題に巻き込んだ事で娘に重荷を背負わせてしまっている事への悔恨や責任感もろもろを「ストレス(の原因)」の一言で片付けてしまう作劇はあまりに酷い。
エムは「患者に寄り添っている」のではなくて、「患者の人生」を「患者を治療する道具」に使っているだけで、一周回って鏡の態度の方が正しい気がしてきます。
そしてそんな家族と会社という他人の一生に関わる問題に介入して心を解かすエムとポピポピパの説得力が、水にふやけた段ボール以下の薄さ。
もしかしたら物凄く悲しい過去を背負っていたり、100年ぐらいネットで情報を集めて人生の酸いも甘みも噛み分けた存在なのかもしれませんが、蓋然性の高さで電脳生命体(仮)である所のプッピーポーンが複雑な親子の事情に対して説諭しているシーンなど、ほとんどギャグ(可能性が高いのは、それらしい事を言うカウンセリングアプリ機能)。
解決に至る展開も、若者の青臭い真っ直ぐさが他人の心を動かす、というのは定番ですし、ベタな展開を否定するわけではないのですが、ではそれを『エグゼイド』としてどう描くのか、という工夫が全く見えないので、ただのコピーの寄せ集めにしかなっていません。
『エグゼイド』としてどう描くのか、というのはつまり、その問題への関与がエム(達)にどのような影響を与えるのか、という事であり、その心的変化(成長、と同義ではない)の積み重ねこそが“物語”であるわけですが、わざわざ重い問題を持ち込みながら、“患者しか見ていない”エムは、背景にある問題の内容と関係なく第1話からと同じ反応を繰り返すだけなので、正直見ていて苦痛でした。
中澤監督も中澤監督で、この内容をまともにやると重苦しくなりすぎると考えたのか(それ自体は正しい判断だと思いますが)、途中途中でギャグを挟んだ事で、今作全体のどうしようもなく噛み合わない印象を加速させる事になってしまいました。
劇の構造的には、町工場の問題は結局ライダーバトルの動機付けとして処理されるだけであり、まさしく、ゲームをクリアする為の“障害”という扱いでそれ自体どうにも酷いのですが、個人的にようやく見えた気がする今作の根にある大きな問題点、それは主人公エムが、「患者の命を救う」マシーンと化している事。
一つの目的を追求する独善的な近視眼、他者からのフィードバックを受け付けない一方通行の問題解決法、一応の同僚に真っ正面から「あなたに患者は任せられない」と実質的な人格全否定に近い言葉を投げつける姿勢、相手の事情には頓着しないでばっさり切り捨てていく心理、と並べてくると、エムは患者以外の人間は皆、泥人形に見えているのではないか、と考えると結構納得できるわけなんですが……そんな事を思いついた所で今回クライマックス――エグゼイドとブレイブが飛行スナイプに惨敗してガシャットを奪われていた頃、自転車社長とバイク侍もまた激突し、互いの必殺技を繰り出して交錯していた。
「幻夢の社長が、なんでこんな真似してんだ」
「君と同じさ。――バグスターがこの世に生まれた原因を、突き止める為だ」
「はぁ?」
「その為に私は、ゲーマドライバーと、ライダーガシャットを開発した。ゲーマドライバーを使用する為には、適合手術を受けなければならない事は知ってるな。現に君も、私も、その手術を受けて、仮面ライダーとなった」
数話前から「適合者」「適合者」という単語が繰り返されていて気になってはいたのですが、ここでなんと、ゲームライダーは改造人間である、という大胆な要素が突っ込まれ、これはかなり刺激的な展開。
「それがなんだ?」
「どうやら一人だけ、適合手術を受けずに、仮面ライダーに変身できた者が居るようだ。不思議だと思わないか?」
「…………宝生、永夢」
主人公エムに思わぬ謎が浮上、そして大我が言い残した「ゲーマドライバーの適合者となって、ライダーガシャットを使い続ける事の真の意味」とは何か? 緑怪人が漆黒のプロトガシャットを入手した所で、続く。
結局ガシャットは呪いのアイテムなの?とか、凄い力の代わりに使い続けると危ないプロトガシャットとか、ギミックの出し方にはあまり魅力を感じないのですが、仮面ライダー=改造人間、という劇中位置づけは思い切ってきたので、これをどう転がしていくのかは興味を引かれる所です。
……しかしこれ、下手すると鏡は、適合手術が必要な事を知らない(いつの間にか手術された)のでは。
そして第1話の段階では、ピーピーパッパは独自に仮面ライダー候補者として「天才ゲーマーM」を捜していたという記憶なのですが、さすがに適合手術の事を知らないとは思えないし、とすると、天才ゲーマーM=適合手術をされている筈の人物、という事になり…………えー、もしかしてエム、ゲームが好きなのも、ゲームが巧いのも、全て少年の頃の手術の影響だったりしますか?
「はっはっは、今こそ真実を伝えよう! そうだ、君の心臓には、黄金のワンダースワンが埋まっている!! そしてハッキリ言おう。君の命はいつまで保つかわからん」
今まで色々と言ってきたけど、脳改造済みなのかもしれない、エム。
……まあ、天才ゲーマーMを見つけたら、その場で改造手術を施すつもりだった可能性もありますが。