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『コンドールマン』感想1

◆第1話「コンドールマン誕生」◆ (監督:松島稔 脚本:伊東恒久
ポップなメロディと明るい児童合唱で歌い上げられるOPの歌詞が川内康範節全開でいきなり超凶悪ですが、
「どこのどこのどこの誰から頼まれた 命を懸ける価値も無い それほど汚れた日本の」
を少しマイルドにすると、
「自分だけ可愛いなら やがて終わるこの世界 育まれ生きる輩ども この大地を傷つける」
で、今更ですが、ゴセイナイトって、コンドールマン+ジャンパーソンだったのか。
ナレーション「今、地球は、その星に住む一部の人間達によって汚され続けている。光は陰り、大地は砕かれ、そして海は死んだ。これらは全て自分の利益だけを求める、人間達の仕業であった。そして、その人間の醜い欲望から、モンスター一族が生まれ出た」
ニューヨーク摩天楼の一室、大魔王の元に集うモンスター一族は、人類征服作戦を開始。
「我々は人類を征服する。だが、その前に思う存分痛めつけ、苦しめなければ楽しみがない」
欲望の権化たるモンスター達は、世界の不公平を進める事でアフリカの飢餓の原因なども作っていると語られ、アジアの重要ポイントである日本を標的とした作戦を活発化させる……。
比喩があまり比喩になっていないというかする気も無いというか、かなり直截的に現実の社会問題をなぞらえているモンスター一族ですが、シリアスな作風の中で一族同士が「ハールマゲドン」という挨拶をかわすのが、正統派悪の秘密結社やっていて、妙に面白ポイント。
その頃、暗殺された国連事務局次長の仇討ちの為に決死の追跡行に身を投じていた青年・三矢一心は、謎の老師タバと共に、殺し屋をネバダ州の死の谷に追い詰めていた。だが、あと一歩の所で殺し屋は裏で糸を引いていたモンスター一族の手により、口封じの為に新型爆弾によって抹殺されてしまう。辛うじて生き延びた一心は、爆発で傷を負った古代ムー帝国の守り神、幻の怪鳥・ドラゴンコンドル(見た目は麒麟)を発見。
……え、ここ、ネバダ州だったのでは(笑)
一切全く説明ないまま同行している見るからに怪しい老人タバも、この後唐突にナレーションで「古代ムーの呪術者」と紹介され、アメリカ大陸は、アトランティス大陸だったのか?!
モンスター刺客の追撃からドラゴンコンドルを守るも、身を挺してその卵をかばった事で、戦闘機の銃弾に倒れてしまう一心。
「残念だ……このままで死にたくない。初めて巨大な悪の一部を見たというのに、このまま何もしないで死ぬなんて。タバ…………残念だ……」
Aパートで衝撃の死亡。
一心が守り抜いた卵からはゴールデンコンドルが生まれ、その命を懸けた勇気に報いる為、一心の故郷である日本に恩返しをしたいというドラゴンコンドルの最期のメッセージを受け取ったタバは、呪術を開始。
ナレーション「タバは今、三矢一心の遺骨の一部を、祈りを込めて投じた」
……え、死体、損壊した?
70年代だと、一度死んだ主人公が一種の転生をしてヒーローになる、という事自体はそれほど珍しくないと思えますが、さらりと衝撃の展開が続きます。
そして――炎の中から誕生する、白タイツ。
「タバ、私の誕生に力を貸してくれてありがとう」
ナレーション「ここに誕生したコンドールマンとは、三矢一心の愛と正義の心、ドラゴンコンドルの鋼の体、ゴールデンコンドルの飽くなき闘志が、三位一体となった、正義を守る超人である」
ゴールデンコンドルが炎の中に突っ込むのはフェニックス(再生)のイメージが入っているのでしょうが、一方で「甦った」という表現は使われず、果たしてコンドールマンに、一心の意志(意識)がどれぐらい残っているのかは、気になるところ。あくまで三位一体の人知を越えた超人が誕生したというのなら、記憶はあっても一心とは別の存在ぽいですが。
通してテンポの速い展開の中、国連事務局次長を日本に呼ぶ行動力、その仇討ちの為に殺し屋を追い詰める義侠心と正義感、怪鳥の卵を守ろうとする勇気を持ち合わせた、ヒーローにふさわしい好漢、という主人公の見せ方は秀逸で、二枚目度も高いだけに、これからどういう扱いになっていくのかは気になる所です。
移り変わって舞台は日本――モンスター一族の策謀により砂糖が買い占められ、日本全国から姿を消す砂糖や甘味嗜好品。
「一心、わかったぜ。俺は今日から、おまえの志を継がせてもらうぞ」
食料品店を経営する一心の父・源太郎は、遺影に手を合わせた際に(どうやら、家族には死去が伝えられている模様)聞いた気がした、「(食糧危機が来た時に)同じ日本人同士が争い合うような事だけはしたくない。その為なら、俺は何でもする覚悟だ」という息子の言葉に突き動かされると、砂糖買い占めを行う金満商事の倉庫に丁稚の石松と共に潜入。
……善良そうな小売店の中年店主が、一瞬で、理想の為なら過程の是非を問わない活動家になったゾ(笑)
倉庫で発見した大量の砂糖の存在を世間に暴露しようとする源太郎と石松だが、モンスター一族の手先に捕まり、消されそうに。
「品不足を苦に食料品店主が自殺。ははは。毎日どっかでやってる事だ」
口封じの為の抹殺手段が列車による轢死、という社会派路線が非常にエグい(^^;
あわやバラバラ轢断死体寸前のその時、列車のポイントを切り替えるコンドルの羽!
「何者だ?!」
「やめろモンスター! 正義を守るコンドールマンだ。人間の皮をかぶったモンスターども。太陽の神に代わって打ち砕いてやる!」
颯爽と登場したコンドールマンがコンドール・アイ!を使うとモンスター達が正体を現すのですが、「人間の皮を被ったモンスターども」という言葉がどこまでもストレートに、本当の悪はTVの中の奇想天外な怪物ではなく、TVの向こう側に人間の皮をかぶって存在しているのだ! と痛烈に突きつけてきます。
アクションはかなりスピーディに展開し、両脇の戦闘員の背中を支えにくるりと後方一回転し、後方の敵を蹴り飛ばすなどは、今見ても十分な格好良さ。1970年に結成されたJAC初の単独アクション担当作品にして金田治と山岡淳二がマッチアップする『ロボット刑事』(1973)が、後半かなり格闘アクション面で充実してくるのですが、今作、技斗に金田治さんの名前があり、その流れでしょうか。
毒液攻撃を仕掛けてくるモンスター怪人は、コンドール・ハリケーンで吹き飛ばすと、体内の毒を噴き出して死亡。救出した二人の無事を喜ぶコンドールマンだったが、その背後に新たなモンスターが迫る! で、つづく。
ナレーション「善良な人々が気付かないうちに、モンスター一族の悪巧みは進む。コンドールマンの使命は重い。だが、今この瞬間、コンドールマンの運命は?!」


◆第2話「吸血モンスターの挑戦」◆ (監督:松島稔 脚本:伊東恒久
コンドールマンはモンスターの火炎攻撃を防御技フェザーカーテンでからくも防ぎ、モンスター達は倉庫から砂糖を運び出すと時限爆弾を仕掛けて帰宅。そうとは知らずに再び倉庫に乗り込んだ源太郎達は、開始3分で今回は爆死しそうになるが、黄色い車で駆けつけたコンドールマンによって救出される。
命の恩人とはいえ謎の白タイツを平然と受け入れる源太郎の懐が日本海溝なみに深いのですが、一方のコンドールマンは源太郎に対して全く反応を見せず、もしや、一心の記憶も無いのか……?
なお、「一心の遺体は俺がこの目で確かめた」という台詞が源太郎にあり、やはり老師、死体の一部を損壊して火にくべた疑惑(^^;
なにぶんムーの呪術者なのでタブーに対する感覚も違うのでしょうが、前回今回で作品としてはここが一番衝撃的(コンドールマン誕生の経緯が不死鳥を想起させる事を考えると、本来は「遺灰」としたかったのが、今回と明確な矛盾を避ける為に「遺骨の一部」という曖昧な表現にされた可能性はありそうですが)。
モンスター一族の次なる一手により今度は市場から肉と魚が消え失せ、前回今回と、好きな物を食べられなくて子供が悲しむ姿を描き、社会問題を身近で共感しやすい表現にも落とし込んでいるのは手堅く巧い。
人間としては一心の姿を取るコンドールマンは、モンスター捜索中に弟分であった丁稚の石松と、源太郎の孫娘のまこと(一心の姉の娘)と出会うが、「俺は君を知らん。人違いだ」と無造作に振り払い、すがりつかれても無表情で、一心としての記憶は存在しない事が明確に。
「違う。一心お兄ちゃんじゃない」
なにかを敏感に感じ取った少女の言葉に、肉親を失った事情を知ると、にこやかに目線を合わせる一心。石松には冷たいけど、子供には優しさを見せるのが素敵(笑)
「君は?」
「三矢まこと」
「三矢……」
果たしてその名前に聞き覚えがあったのか無かったのか、二人に連れられた一心は三矢家を訪れる……
ナレーション「三矢家の人々の驚きは、コンドールマンにさえも痛々しく感じられた。我が子と瓜二つの人間が、まったく別人であろうとは。家族、とりわけ母親・民子にとっては、この上もない残酷な事実であった」
死んだと思われていた主人公の家族との再会が描かれるが、しかし主人公は全く別の存在に成り果てており、そこに生まれる感情は肉親としての親愛ではなく、他人ゆえの「痛々しさ」であるという、非常に痛切な展開。
一心が実に好青年然とした爽やかな二枚目なので、その真摯さと笑顔が悲劇に拍車をかけます。
「おじさんおばさん、僕には父も母もいません。まだ日本へも来たばかりで。でも……こうして親切にしていただいて、嬉しく思います」
「あたし達お友達よ!」
「うん。もし御迷惑でなかったら、時々寄らせて下さい。お世話してもらったアパートの近くですし」
一心は倒れた民子を気遣い、まるで本物の一心が戻ってきたように喜ぶ三矢家の人々……精一杯の歩み寄りを見せるコンドールマンですが、これはどうやら、一心を素体にした記憶すら無いのか……?
仮にその記憶があれば、そもそも三矢家に来ないか、来たら来たで一心の遺影に対して思うところありそうですがそんな素振りは微塵も見せませんし、もし、そこはわかっている上でこうまで平静に別人であると断言しているなら、それはそれで、その精神がまさに異形。
どちらに転んでも、人間の感情は理解できてもやはり人間ではなく、しかし死んだ青年の恩義に報いる為に「どこの誰にも頼まれていない」のに、「命を懸ける価値も無い」者達の為に戦う、という凄まじいヒーロー像です。
そうであるからこそ、太陽の神に代わって欲望から生まれた悪徳を打ち砕く、正義のシンボルとなれるのでありましょうが。
(暖かい人達……あの人達がかりそめにも不幸な目に遭うような事があってはならない。その為にも、モンスター一族を倒さなくては)
街では肉と魚の買い占めが続いて店頭から姿を消し、人々は缶詰を買い求めに殺到。第一次オイルショック(1973)の記憶も鮮やかな頃でしょうが、これといってコミカルにせず、人間の欲望を炙り出すシーンは非常にストレートな表現。
今度こそ金満商事の尻尾を掴もうと探りを入れる源太郎達だが、それが原因で直接襲撃を受けてしまう三矢食料品店。チンピラ(モンスター戦闘員)による実力行使のみならず、肉や魚の買い占め犯人呼ばわりして大衆煽動のおまけをつけるのが、実に脂っこくて、天丼の上にカツ丼が特盛りです。
また、主人公が(あの人達がかりそめにも不幸な目に遭うような事があってはならない)と決意した直後に一家が袋だたきに遭う、という展開は、どんなに力と志があっても全ての社会悪には抗しきれない、というヒーロー個人の限界を第2話にしてえぐり出してしまい、天丼の上のカツ丼の上に中華丼まで特盛りです。
鳥たちの声?から助けを求めるまことの叫びを知った一心は変身を初披露。コンドールマンが真の姿だとすると、普段は一心に「化身」している、というのがふさわしいのでしょうが。
近くのアパートを世話してもらった筈なのに、黄色い車でえらく遠回りして、食料品店を見下ろす道路に回り込んで駆けつけるコンドールマンですが、片足を車体に、前に踏み出したもう片足をガードレールに乗せて眼下を見下ろすという、立ち方が滅茶苦茶格好いい。
コンドールアイ!によってモンスター一族はけっこうな衆人環視の中で正体をさらすと、波止場に移動して戦闘に。モンスターの炎攻撃に苦戦するコンドールマンだが、懐に入って火炎放射フォークを破壊すると、続けて繰り出される飛び道具もかわし、最後はマントで敵の視界を奪ってからの跳び蹴りを炸裂させると怪人は丸焼きになって死亡。
だが日本餓死作戦を主導するサタンガメツクは、石松とまことを人質に取り、処刑台にかけられるコンドールマン。あわや銃殺の危機! と今回もクリフハンガー形式で、つづく。
ちょっと面白かったポイントは、上司に作戦の進行をせっつかれ、通信が切れた途端に酒をグラスに注ぐサタンガメツク(笑) 人間の欲望から生まれただけあって、実に人間くさい。