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『ビーファイターカブト』感想4

◆第5話「大逆転去りゆく君へ」◆ (監督:石田秀範 脚本:扇澤延男)
「誰だ、目障りな人間どもをこの世から始末するのは……誰だ……」
マザーはやはり、蝶人類を特別敵視しているのか?
「俺は人間どもが憎い! 絶滅させられた者の、怨念がわかるか」
とアルケロンの化石から生まれたカメ怪人が発言しているので、超古代、超力文明人による乱獲があった可能性も日に日に高まっていますが。
食べれば健康になると巷で大人気の缶詰、ホネ元気。だがそれは、食べた人間をカルシウムの塊にしてしまうという、メルザード一族の恐るべき策謀であった。カルシウム化の原因は、カメ怪人の甲羅に含まれた成分……とかではなく、甲羅にこもった怨念パワー。
凄く、ネオギルド魂を感じます、メルザード一族。
この事件に幼なじみ達が巻き込まれて怒りの甲平だが、必殺のランス攻撃を防がれて大ピンチに。
規模の小さい作戦にシフトしたメルザードの動きを縦糸に、甲平とゲストヒロインの不器用な青春を横糸に展開し、社会人二人のキャラクター基盤が出来上がった所で甲平の掘り下げ、シリーズ史上最速の扇澤さん登板、予告の雰囲気からも期待していたのですが……残念回(^^;
昔は仲が良かった幼なじみの4人が今ではほとんど付き合いがなくなり、引っ越しをきっかけに甲平に秘めた想いを告げるゲストヒロイン・遠藤が、
「……いつの間にか、みんな変わったよな。戦わないですいすい調子よく生きる小器用な人間にさ」
と嘆息するのですが、変わってしまった幼なじみの表現として、不良グループで喫煙はともかく、中年男性にしなだれかかって物をねだる女子高生、となると幾ら何でもやりすぎ感(^^;
また遠藤も、大人びて冷めた少女、というわけでなく、気っ風のいい真っ直ぐな少女、といった描写なので、どうも台詞も噛み合いません。
劇中、甲平が遠藤の事を「とんがった」と評するのですが、それそのものが2016年現在の視点からピンと来ないのであって、90年代に、70〜80年代の不良少女の系譜として見ると、そこまで違和感はなかったのかもしれませんが。20年という時代のギャップなのか、そもそも脚本と演出段階で微妙に捉え方にズレがあったのか。
見所は、カメ怪人の甲羅にカブトンランサーを跳ね返され、対抗策を検討した末に出た結論。
「弱点は……お腹よ!」
違う! そういう事を聞いているのではない!!
挙げ句、ビートマシンの銃撃を甲羅で弾かれたカブトンが敢えてマシンから飛び降り、落下の勢いをつけた一撃で甲羅を貫いて撃破してしまい、対抗策そっちのけ。
一応、過去の遠藤の「諦めるなよ。諦めた時が負けなんだからよ」という台詞に励まされてと繋げてはいるのですが、そもそもカブトンがそこまで追い詰められているように描写されていなかった為(人体カルシウム化のタイムリミットなどがもっと煽られていれば良かったのですが)、流れが巧く集約されず、ただ単に作戦より根性に見えるという頓珍漢な事になってしまいました。
ラスト、駅での甲平と遠藤の別れのシーンは、石田監督の趣味っぽい叙情的な描写なのですが、お互いがお互いに子供の頃から変わらない真っ直ぐさを見ているけれど年月は二人も確実に変えているから二人の気持ちは噛み合わないまま別れの時を迎える……とか、投げっぱなし気味に見せられてもなぁ、というのが正直(^^;
あと、カルシウム化に苦しむ遠藤の気持ちを知り、それに今まで全く気付かなかった事を反省する甲平がせっかく健吾と一対一のシーンがあったのに、年上の健吾からこれといった言葉をかけるわけでなく、キャラの関係性の掘り下げが全く進まなかったのは、凄く残念でした。
次回――蘭、大食い大会へ。