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『コンドールマン』感想3

◆第5話「紅コウモリ現わる」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:山崎晴哉)
コンドールマン、マッハコンドルで倉庫に突っ込む(笑)
三矢家の人々を救出したコンドールマンはサタンガメツクと対決し、ガメツクローでマントを縫い止められ、「奥の手だ!」と腹の口から飛び出した手に剣を掴んで迫るガメツクに対し、マントを脱ぎ捨てて大ジャンプ、コンドルカット!で腹の手を切断するとそれを逆に投げつけ、ガメツクは自らの剣に刺されて死亡、と壮絶なバトルで幹部を撃破。
そして……
ナレーション「サタンガメツクの霊を呼び出したキングモンスターは、コンドールマンの弱点が、空を飛べない事にあると知った」
数秒前に死んだ幹部の霊を呼び出してヒーローの弱点を聞く特撮は、(たぶん)『コンドールマン』だけ!
「このサタンガメツクも空さえ飛べたら、死なずに済んだものを。うらめしや〜」
それは単に、追い詰められても逃げられたというだけの話では?!
「ええーい、未練がましいぞ。仇は必ず取ってやるから、大人しく地獄の番人を勤めていろ」
「ハールマゲドン」
そして普通に挨拶して地獄へ帰っていくのは、(きっと)『コンドールマン』だけ!
モンスター一族としては比較的よくある事例なのか、何事もなかったかのように会議が続けられ、飛行能力を持つという事で白羽の矢を立てられた幹部候補生のレッドバットン(キング秘書の妹)が、総指揮官不在の日本へと飛ぶ。
部下につけられたモンスターGと反目し合いながらも日本餓死作戦を引き継いだレッドバットンは、買い占めた食料品の一部を小売店に販売した後、その帰路を襲撃して商品を強奪。踏んだり蹴ったりの小売店を買い占めの犯人とデマを流して精神的に追い詰めた上で、自らは義賊・紅コウモリを名乗って缶詰を1個ずつ家々のポストに入れて回り、正義の味方コンドールマンのお株を奪って賞賛を浴びる事で虚栄心を満たす、という一石二鳥の作戦を展開。
レッドバットンは2番手に登場した女性幹部(候補生)という事で、名前からも黒トカゲ的な「魔性の女」路線なのかと思っていたら、しゃがれた声で高笑いという化粧からKISSリスペクトだったのは、ビックリしました(笑) ……ただ調べたらKISSの米国でのブレイクが放映と同じ1975年だそうなのでタイミングとしては微妙で、単なる偶然の一致か、あるいは監督などに洋楽趣味の人が居たのか。
缶詰一つで懐柔され、易々と煽動される市民の描写が今回も痛烈で、またまたご近所から一方的に責められる三矢食料品店。
「ねえ一心、なんとかならないの?」
「おい民子、この一心さんはな、死んだ息子とは違うんだぞ。それを何かといやぁ一心一心って」
「ごめんなさいね、ほんとごめんなさい」
「いえ、僕は嬉しいです」
3−4話でやや曖昧になった一心/コンドールマン問題ですが、苗字は不明なものの、コンドールマン自ら「一心」と名乗っている事が判明(まことは「一心お兄ちゃん」、石松は「兄貴」と呼んでいるのも明確に)。
「やい一心! 俺達にはな、おまえと同じような気性の息子が出来たんだぞ。さびしかねえや!」
源太郎は仏壇に語りかけ、これが、コンドールマンが一心への恩返しとしてせめて息子代わりを演じようとしているなら少しはいい話なんですが、なにぶん一心に関する記憶は無い筈なので、視聴者が見たい物語の枠組みと、コンドールマンが持っている感覚がズレている、という仕掛けが地味に凶悪。
多分コンドールマン、人間社会に潜伏する為には人間の名前があった方が良い事に気付いて「偶然ですね……僕も一心ていうんです」ぐらいの勢いで適当に名乗った気がするのですが、一歩間違えると無神経な行動が、心を救う事に繋がっているので結果オーライという事でいいのか、どうなのか。コンドールマン自身に一心の記憶はないけれど、たまたま出会った心優しい人々の、大切な存在を失った傷を少しでも癒やせるなら嬉しい、と思っているだろう事がまた複雑。この辺りコンドールマンの精神性が、人の情と天の理の狭間で今後どう揺れ動いていくのか、というのは焦点を当ててくれるなら面白そうで、期待したい所ではあります。
まこと達を助けにレッドバットンが拠点とする船に乗り込んだコンドールマンはGと激突し、コンドール大開脚アタックから馬乗りパンチを決めるも、もろともに落下した船底に閉じ込められてしまう。紅コウモリはコンドールマンとGをまとめて消し飛ばそうと船に仕掛けた爆薬を起爆させると高笑いしながら飛び去っていき……果たしてコンドールマンの運命や如何に?!
サタンガメツク撃破〜会議までの導入は面白かったのですが、後半は今見ると間延びして見える70年代らしい展開が続き、いまいちの出来。
次回まさかの、出産?!


◆第6話「コンドール・ジュニア誕生」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:山崎晴哉)
衝撃のサブタイトルでしたが、先に書いておくと、「少年ライダー隊」的なあれでした。
貨物船の大爆発に巻き込まれるも九死に一生を得た一心は海岸に流れ着いていたが、どっこいGモンスターもその体にへばりついて助かっていた! 両者は再戦し、謎の青年(一心)=コンドールマン、という割と重要な情報を得て逃走するGだったが……頭が悪すぎて特に活用されず。
この後、戦闘員を相手にしても目の前で普通に化身するので、第4話までのすれ違いはたまたまで、一心の方に特に正体を隠そうという意図はないようですが(なお戦闘員は皆殺しにするので結果的にバレない)。
その頃、紅コウモリの正体を知った少年達は、徐々にカリスマアイドルになりつつあるまことの指導の下、コンドールマンシンパに鞍替え。その内の一人の妹が栄養不足で病気になってしまったと聞き、大事に隠していた食糧を各自が持ち寄る過程で、凄く嫌な映像でゴミ問題に思いを馳せるまこと。
妹の元に持って帰ろうとした食糧(すいとんや、芋粉の団子など)は、途中で出会ったGによってひっくり返されてしまい、地面にぶちまけられる食糧、それを必死に拾おうとする子供達、踏みにじられる食糧、が今回も執拗に描かれ、これが事前に示されたゴミ問題と繋げられて、日常生活の中で食べ物を粗末にしていないか? という風刺になっているのが今作らしい所。
石松と子供達は勇気を持ってモンスターに向かっていき、食糧問題が深刻化していく中で少しずつ伝わっていく、コンドールマンの正義の魂。
コンドールマンが駆けつけてGは飛んで逃げ、それを追って走り去るコンドールマンに声援を送ったまこと達は、少しずつでも自分たちの手で出来る事をしようと、G対策に街の美化運動を開始する。
「俺達モンスターと戦ってるんだ」
「モンスターを倒してくれるのは、コンドールマンだけど、私たちにだって、ゴミを綺麗にして、モンスターを出さないようにする事ぐらい、出来るはずよ」
ネガティブな描写が率直で厳しい分、こういったポジティブな描写が映え、子供達の想いがストレートに響きます。
一方、紅コウモリは缶詰を餌に市民を紅コウモリ団に勧誘して着々と団員を増やしていき、ますますその矮小な虚栄心を満たしていた。大群衆に讃えられるという妄想の中に、「だいとうりょー!」という声が入っているのが凄く謎(笑) それ、飲み会帰りの酔っ払いが混ざってますよ紅コウモリ!
娘に食べさせる缶詰の為にそんな紅コウモリ団に加わってしまった父親の後を追っていた子供達が捕まってしまい、団員として子供を撃てと命じられる父。他の子供を撃てば実の子供は助けてやると脅され、「僕は死んでもいいから他の子は撃っちゃ駄目だ!」と叫ぶ息子がやたら覚悟が決まっているのですが、他の子供達は「(自分たちを)撃たないでー!」と大合唱するので、正直だけどちょっぴり台無し(笑)
息子に拳銃を突きつけるGモンスターに脅されながらも遂に父は猟銃を投げ捨て、モンスターを生み出す醜く汚れた心にも、コンドールマン→子供達→その親、と正義の想いが連鎖していく姿が一縷の希望として輝いたその時、風を切るコンドルアロー!
「正義のシンボル、コンドールマン、そのような悪は断じて許さん!」
ここからは、正義の味方のターンだ!
それにしても高い所に現れるコンドールマンはホント、立ち姿が格好いい。
主題歌と共にコンドールマンvsGモンスターの3回戦が開始され、割と華麗に空を舞うGに有効打を与えられず苦戦するコンドールマン
(空さえ飛べたら……)
「くらえ目つぶしー!」
妙に可愛い叫び声で放たれた目つぶしを受けたコンドールマンは背後から首を絞められそうになるが、起死回生のコンドールカット!がクリティカルヒットし、哀れGモンスターは首ちょんぱで大爆死。意外な強敵でしたが、ただただ頭が悪すぎた……という事に(^^;
難敵を撃破し、コンドール・ジュニアを結成すると宣言した子供達と和気藹々とするコンドールマンだったが、大団円許すまじと迫り来るレッドバットンのバットタイフーンを受け、あわや崖から転落の危機に。果たしてコンドールマンは、空を飛べないという弱点を克服できるのか?!
第4話で、筋肉を鍛えれば精神も磨かかれるので空も飛べる筈、と明らかな布石が置かれるも、5−6話と立て続けに苦戦したまま弱点は解決されないで続く、というのが飢餓作戦ともども今作の独特な引っ張り構造になっており、今見ると逆に新鮮です。
コンドールマンと子供達との絆が描かれる事で今作の見せたい希望がわかりやすく打ち出され、ヒーロー登場のカタルシスも決まって気持ちの良いエピソードでした。