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『ウルトラマンオーブ』感想・第15話

◆第15話「ネバー・セイ・ネバー」◆ (監督:アベユーイチ 脚本:小林弘利
「2種類の人間が居るんだよ、シンくん。他の連中が疑っているものを信じる奴と、他の連中が信じてるものを疑う奴。発明家はその両方でなくちゃいけねぇ。だから、無理にでも顔を上げて、前を見るんだよシンくん!」
車で移動しながら小舟社長がシンを励まし、それに応えて顔を上げると丁度トンネルを抜けるところ、というのは良い演出。
だが――トンネルを抜けた一行が目にしたのは、ジャスティスブレードにぐさっと刺された上に先輩達もタイムカード押して退社し、ぽいっと投げ捨てられるオーブの姿であった。
オーブを、わざわざトドメを刺すまでもない雑魚、この星の生き物でない奴はすみっこで体育座りしていろ扱いギャラクトロンは、地球上の食物連鎖という生態系システム自体が宇宙レベルにおいては異常であり、故に人類文明のみならず星のエネルギーを蝕む地球の全生命の完全抹殺を宣言。
「何勝手な事言ってんだよ?! おまえだって、キャップのこと利用してるじゃんか! 平和が望みなら、他の星の女の子を拉致ったりするなよぉ!」
ジェッタの正論に、ギャラクトロン、まさかの長考(笑)
正直な所、前編の時点ではギャラクトロンにあまりロボっぽさ……というか、今作における怪獣との差異を感じられなかったので、ここはロボットらしい反応で良かったです。
破滅への指し手が長考に入っている間に、昨夜集めたデータを元に打てる対策を必死に考えるシンと社長。一方、ガイはベリアルさんカードを手に取り苦悩していた。
「確かに俺には……あんたは制御できない。くっ……」
そうこうしている間に無情にも長考は終了し、キャップをそのコアに取り込んだまま、ギャラクトロンは地形が変わる威力のジャスティスダイナミックバスターにより、見える限りの地平を吹き飛ばす!
「やるしかねぇ!!」
無惨な破壊の光景を目にしたガイは、覚悟を決めてベリアルカードに手を伸ばす。
「ベリアルさん! ゾフィーさん!」
……基本的にその、見てない所では「あんた」呼ばわりなのに、力を借りる時だけ「さん付け」という態度が良くないと思うんですよ。
少年マンガ的時空に置き換えると、超強い不良の先輩に「いつかあんたを越えてやる!」とか突っかかっているけど、先輩が卑怯な罠にはまって一見ピンチになると、思わず「○○さん!」って応援してしまう鼻っ柱の強い一年坊主、みたいな位置づけと言えるかもしれませんが!(例えが長い)
「闇と光の力、お借りします」
掛け声も入り、今回は理性を保ったまま発動したかに見えたサンダーブレスターだったが……なんと、ギャラクトロンに向けて攻撃を仕掛けていたジェットビートルを、レッドファイトの邪魔だとばかりにはたき落として、撃墜。
そして目に入る物全てに牙を剥く圧倒的暴力は、レッドパンチの一撃でジャスティスバリアーを粉砕し、ギャラクトロンを地へと叩きつける!
地球全土を壊滅させかねない史上最大の敵を相手に最強の力で立ち向かうヒーロー、という構図なのですが、BGM無しで勇壮さも爽快感も強調されず、オーブ雷の悪役レスラーのような笑い声だけが響き渡る、というヒーローの大逆転劇とは真逆の雰囲気で展開。
『オーブ』世界におけるビートル隊の存在感が薄いので、ジェットビートル撃墜の衝撃というのは個人的にはあまり無いのですが、サンダーブレスターをヒーローとして描かない、という演出はその意味が表せていて良かったです。
オーブ雷はギャラクトロンの後頭部から尻尾を引き抜き、その拍子に耳からケーブルが抜けて正気を取り戻すキャップ。だがオーブ雷は内部のキャップの事などまるで気にせずに暴力の化身として思うままに荒れ狂い、哀しいほど低いキャップのヒロイン力が全次元に曝されてしまう(涙)
……というかこれ、ガイさんの「この女面倒くさい」という闇の本音が増幅されているのでは。
マガオロチ戦では、敵が生物だったので頭部(脳)への執拗な打撃でしたが、今回は獲物がメカとみるや、部位破壊からコアへの集中攻撃に徹するサンダーブレスターは、まさにレッドファイトの申し子。
前回あれだけ無敵を誇ったギャラクトロンは、手も足も出ないまま流血を思わせるオイルまみれの無惨な姿になっていき、内部で悲鳴をあげ続けるキャップ、無力に打ちひしがれる地球人達……。
「ジェッタくん……オーブはもうすぐ消えてくれます」
通常ならピンチの象徴であるカラータイマーの赤い点滅が、キャップを巻き込んだ残虐ファイトの終焉になる、と逆転し、ここでもヒーローがヒーローではなくなった姿の表現が、印象的(カラータイマーは今作としてしっかり意味づけしてきていますし)。
ギャラクトロンに馬乗りになったオーブ雷は、とうとう敵の左腕を引きちぎると、そのままジャスティスブレード部分をコアに突き刺そうと振り上げ……
「キャップが本当に死んじゃう……やめろぉぉぉぉ!!」
ジェッタの叫びに動きを止める。
え。
囚われのキャップを助け出す事は出来るのか、と散々煽っていたのに、何故か、ジェッタのヒロイン力が、急・上・昇。
攻撃の手が止まった所にジャスティスビームで反撃を受けたオーブ雷は、怒りのレッドビームでギャラクトロンを完全破壊。その衝撃波はギャラクトロンを木っ端微塵にするだけでは飽き足らず周囲に破壊の暴風を撒き散らし、コアから放り出されるもキャップは意識不明の重体で病院へ。
変身の解けたガイは再び自らの手で作り出してしまった無惨な焼け野原の光景に愕然と佇み、元カノの幻影に苛まれる……。
「科学で平和は作れない……作れるのは暴走する怪物だけなんです。だから、リセットするしかないのかもしれません。命を奪い合う生態系は、確かに間違いなのかも」
自家製ブラックホールにどんどん沈み込んでいくシンに、食物連鎖の生態系は、争い合っているのではなく、支え合っているのだと語り、心の大切さを諭す小舟社長。
「決して争ってるんじゃねぇよ。この星は……バラバラに生きる道じゃなく、協力し合って、一つのでっかい命として生きる道を選んだんだ」
「星がまるごと、一つの命……」
「だからよシンくん……頭じゃなくハートで物事を見ろ。あのロボットには見えなかった世界を、見据え続けるんだ。な?」
最前、オーブ雷にジェッタの声が届いたのはジェッタがハートで訴えたから……という事のようですが、ではシンが、よくあるコンピューターの様な感情の薄い天才系キャラかといえば、前回だけ見ても未知のスーパーロボットにキラキラした視線を送るなど決してそういうわけでもないので、どうも描きたいテーマの為に割を食った感じに見えてしまいます(^^;
天才系キャラのフィーチャー回を「こんな事もあろうかと」という活躍ではなく、精神的どん底から再起へ、と使ってきたのは面白い構成ではありますが、ギャラクトロンの活動はシンの肩入れのあるなしが特に関係あったわけでもない為に、話の流れが綺麗に連結していないのは、物足りない部分。
まあ、サンダーブレスター発動に繋げる関係でギャラクトロンによる被害規模が甚大になる為、シンに責任が生じる形で描けなかったのでしょうが。今回を受けて今後のシンを描き分けできるのか、というのはちょっと期待したい点。
キャップが意識を取り戻す事を皆が祈る中、高速移動で病室へ駆けつけるガイ。
「俺は…………オーブを許せない」
ヒーロー自らによる、不甲斐ない己自身の否定は、なかなか強烈な台詞。奇跡的にキャップは無事でした、に済ませない展開で、かなりきつめのボールを投げ込んできました。
「自分の闇ってのはな、力尽くで消そうとしちゃいけねぇんだ。逆に抱きしめて、電球みたいに自分自身が光る。そうすりゃあ、ぐるっと360度……どこから見ても、闇は生まれねぇ」
オーブも科学も、強い力には暴走の危険が表裏一体である事について小舟社長が語り……今回だけで都合3回目の小舟社長の金言の時間で、さすがにこれはやり過ぎ。
前編におけるビートル隊にバネを提供した理由の話と合わせると、前後編で社長の教えタイムが4回、シンの過去についてのシーンを加えると、語りタイムが合計5回。いくら“若者に道を示す良き大人”ポジションとして配置したゲストにしても、これはあまりに偏り過ぎ、便利に使い過ぎで、いっそメタ的な存在に近づいてしまってキャラクターとしての厚みまで減じてしまう事に。
露骨すぎるここからは社長のターンなど、作劇も楽な方向に走ってしまって、全体の展開は面白かっただけに、道を示す言葉の入れ方に、もう一工夫が欲しかった部分です。
ガイに手を握られていたナオミが意識を取り戻し、ここで特に、光の戦士の奇跡の力で解決、としなかったのは良かった部分。
「俺は消える。……また逃げたんだと、思ってくれてもいい。今の俺は……あんたの側にはいられない」
第5話でキャップから、「風来坊とか逃げるの得意で責任取らない人なんでしょ?」という扱いを受けた件、やっぱり気にしていたのか。
(闇を抱きしめる……そんな強さを、俺は見つけられるのか)
病院を去ったガイは焼け野原と化した森でベリアルカードを拾い、再びホルダーに収めると、いずこかへ姿を消す……で、つづく。
正義と正義が衝突する話かと思いきや、正義を純粋な暴力が完全破壊し、ギャラクトロンを踏み台にして迷える戦士ガイの彷徨に繋げるという、ひねりを加えた展開。基本的にガイさん、思想的背景(究極的にはオーブとしての人格)が見えない人なので、理屈を振りかざしてくる敵とは相性が悪いのですが、まず黙らせて、それから悩むという事になりました。
オーブ雷に撃墜されたビートルの乗員は生存が報告され、世界を滅ぼす科学もあれば、人の命を救う科学もある、というテーマも合わせて描かれるのですが、これまでずっと物語のフレームの外にあったビートル隊をフレームの中に入れてまで描く要素だったのかというと、現時点ではやや首をひねります。
例えば今回、ジェットビートルは物語の中に明確に入ってきたものの、そのパイロットは“顔がない”ままであり、主観映像によるサンダーブレスター襲撃!のインパクトを優先したのかもしれませんが、舞台への上げ方を中途半端に感じてしまいました。
前回思ったように、後半戦少しずつ、SSP(オーブ)とビートル隊が同じ視点で物語の舞台に立つようになっていく、という構成なのかもしれませんが、今回打たれた諸々の布石と共に綺麗に収束してくれるのを期待したいです。
……なんとなく今作、そういう造りでは無さそうな雰囲気はあるのですが、個人的な好みの願望として。
破壊に破壊を重ね、勝利は収めるもガイに試練を与える、という展開そのものは面白かったのですが、今作の短所である、物語全体を貫く芯の弱さ、というのが前後編で色濃く出てしまった印象。複数の脚本家を入れた上でシリーズ構成の二人が全体を整える事で、バラエティ性と連続ストーリーのバランスを取ろうとしているようには見えるのですが、マガオロチ前後編のキャップ母のように、「そのエピソードのテーマ」に引きずられすぎて「物語との連動性」がしばしば損なわれているように感じます。
それは《ウルトラマン》シリーズらしさ、なのかもしれませんが、今作、『ウルトラマンオーブ』としてこれを描く! というのがどうも「ガイとジャグラーの関係」頼りになってしまって、例えば今回のギャラクトロンが示した問題に対しても『オーブ』としての解答というよりも、物語としての積み重ねを持たない小舟社長の持論しか出てこない、というのは気になってしまう部分。
勿論、その答は視聴者個々に委ねる、というのは一つの手法ですが、今作における主観的存在といえるSSPがSSPなりにその問題に向き合う姿、というのがもう少し必要なように思え、その部分を物語として有耶無耶にしてしまう為に、全体を貫く作品の芯、というのがぼやけているように感じます。
個人的な好みとしては、その芯がもう少し強く、見えてきてほしいな、と。
次回、傷心のガイの心の隙間に忍び込もうと迫るジャグラス・ジャグラー! 対する元カノ! 虎視眈々とヒロイン力を上昇させていくジェッタ! この果てしないレッドファイトの勝者は誰だ?!