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『仮面ライダーエグゼイド』感想・第12話

◆第12話「狙われた白銀のXmas!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
ペッポコペンテンポン、突然の
「実は今まで黙ってたんだけど、私、『ドレミファビート』から生まれたバグスターなの!」
発言、からの
「そんなの知ってます」
という、エムと鏡の、何を今更言っているのか、という反応をどう理解していいのか本気でわからないのですが、特撮ヒーロー番組見ていて、目の前で起きている事態にここまで置き去りにされたのは、某『ブルースワット』にゴールドプラチナムが降臨した時以来です。
……えー……真剣に理解に苦しんでいるのですが、良い「バグスター」と悪い「バグスターウィルス」が居るという事なのでしょうか? それとも全て、ギャグという扱いで流しているの?
思わず停止ボタン押して、私の中の『エグゼイド』が最終回になりそうになったのですが。
あまりに困惑したので、ネタバレに気をつけつつ公式サイトを確認したのですが、東映公式サイトによると、


自分がドレミファビートから生まれたバグスターであることを大暴露したポッピー。しかし、すでに二人にはばれていたようで…。
で、ますます困惑。
遡って語句の設定も確認したのですが、ゲームウィルス=バグスターという事で間違いなく、という事はここまでの劇中のルールでいえば、ペポパピプーの実体化にともなって“人間が一人消えている”という事になるわけですが……えーとあれか、人間界にバグスターの脅威を伝えるためにやってきたバグスターの妖精みたいな扱いなのか。
とにかく「情報」の見せ方・使い方が下手な作品ですけれども、何を考えているとこんな出し方になるのか。
どうしてピプププペロンは扱いが違うのか、という点は今後明らかになるのだとは思いますが、そこに興味を誘導する為にも、ギャグなのかどうか判断に困るシーンで開くカードでは無いと思うのですが。
ドットズボンはサンタ仕様のエグゼイドとモヒカンに倒された塩怪人のデータを回収し、アジトへ帰還。
「心が躍るな。究極のゲーム――『仮面ライダークロニクル』」
今回の患者のストレスは、母子の想いの行き違いを自分の過去になぞらえつつエムが解決し、やはりエムの造形は子供ゲスト合わせだと思うので、毎度こういう方向性で良いと思うのですが……(勿論、たまに変化球があっても良いのですが、変化球を投げるなら、変化球を投げる意味が必要なわけで)。
CRでもクリスマスパーティが開かれ、前々回「スーパードクター鏡様にこのガシャットを提供します」と土下座外交を受けて会いに行ったら「ちょっとおだてたらホイホイ釣られてやんのばーかばーか」みたいな扱いをしてきた相手の居るパーティに出席する鏡は、医者としてはクズだけど、人間としては異常に度量が広いのか、或いはこれも改造手術の副作用なのか。
こういう諸々の細かい心の動きの部分を話の都合優先で雑に扱うから、キャラクターの全体像がどんどんどんどん歪んでいくわけなんですが。
一方、刑務所で服役中の幻夢の元社長……現社長の父である壇正宗と面会した九条は、大事な話があるとエム・鏡・大我に連絡を取るが、時同じくして大我の元を謎の少女が訪れ、ゲーマーMを倒してほしいと依頼。そして九条の元には、エム達よりも一足早く、社長が姿を見せる――。
「あんたと永夢、16年前に接点があったんだって? なんで永夢が適合手術を受けずに仮面ライダーに変身できたのか。その秘密は――」
思わせぶりに言葉を濁し、丁寧にフラグを立てていく九条に対し、社長は前回作り出した白いガシャットを交換条件に、秘密を口外しないようにと、取引を持ちかける。話に乗ったと白いガシャットを受け取る九条だが、振り向きざまに回し蹴りを一閃。ライダー全員と、ゼロデイで死んだ友人に懺悔して貰う、とレーザーに変身し、白いガシャットをドライバーに挿入する。
わざわざ全員に謝らせようとする辺り、九条、どうも本当に心の底からいい人のよう。
「じゃあさっそく、試し乗りを、と」
……しかし、いや、すみません、どうしてそんな不用意なの???
今最も悪の元凶に近い位置に居る相手が出してきたマジックアイテムを、丁度いいから使っちゃおーというセンスはさすがに頭悪すぎてどんないい人でもフォロー不能
以前にちらっと書きましたが、九条のリタイアに関しては昨年末に予想外の場所(ヤフーのトップ)でネタバレにぶつかってしまっていたのですが、死因の8割は自業自得というのは、凄い衝撃でした(^^;
なおこれは他の3人にも言え(大我は若干訳知りっぽいですが)、社長が開発したゲーマドライバーもガシャットも怪しすぎるけど、患者を救う為には他に方法がないんだ! といった類いの葛藤が一切描かれないので、平気な顔でこれまでと同じように変身するライダー達が、揃いも揃って脳死状態に見えます。
例えば「医者として覚悟完了しているから、今更そんな事で四の五の言わないんだ!」というなら、それはそれでその姿が描かれて然るべきですし、それこそ丸々衛生省から疑ってかかるべき状況なのですが、皆、手術の際に脳のどこかを切除されているのか。
「君は知りすぎた――」
新ガシャット『デンジャラスゾンビ』を差し込んだ結果、ライダーゲージがあっという間に残り2まで減ってしまい、膝を付いて苦しむレーザーの顔面に社長が綺麗な膝蹴りをぶち込んだのは良かったです。社長のアクション歴は知りませんが、LV1ライダーは、アクション慣れしていない人にも、比較的アタックしやすそう。
白ガシャットを奪い返した社長は、これまでになくシンプルなベルトを腰に巻くと以前は腕につけてた暗紫色のドライバーをそれに填め込み、ガシャットを挿入――新たな姿へと変身する。
「私は、仮面ライダー幻夢、レベルテン」
白黒のデスメタルゾンビはザベル(ゲーム『ヴァンパイア』)を思い起こしますが、エグゼイド顔の人相の悪さが活かされ、なかなかはまったデザイン。脊椎のラインを見せるのは割と格好良くなる定番ですが、ゾンビではあるものの、配色など全体的にスカルの意匠が強いのは、今作の『仮面ライダー本歌取りへの意識が出た部分でしょうか。
「真実とともに、闇に追放してやる」
必死に立ち向かうバイク侍だったが、ゾンビ縦回転キックを食らってライダーゲージが0になり、強制変身解除。展開したゲームフィールドでゾンビ軍団を蹴散らしながら駆けつけたエム達の前で、倒れ伏す九条の体は消滅していく……。
「少し悪ノリが過ぎたみたいだ……」
「しっかりして下さい!」
「俺達に話したい事があるんだろ!」
「エム……世界の……人類の運命は任せたぜ」
いきなり話が大きくなった!
「忘れんなよ。おまえが笑顔で居る限り、おまえはおまえだ」
突然の、親しげな精神論!
「おまえの運命は……エム……おまえが変えろ!」
なにやらエム自身に非常に大きな秘密があるらしい、とほのめかすだけほのめかし、九条貴利矢……ゲームオーバー。
最後にひたすらエムを心配して消滅する、という姿からも本当にとことんいい人だったようですが、どうにも見ている側に親切な解釈を要求しすぎで、物語の描写としてもう二押しぐらいは欲しかった所。今作の詰め込みの忙しさとそれにともなう雑さの犠牲になった感。
なんだかんだこれまではじゃれ合いの範疇だったライダーバトルが、明確に死と隣り合わせである事が嫌でも実感される事になる、という劇中人物と視聴者にとっての大きなスプリングボードとして、極めて効果的な手段を苛烈に取ってきましたが、その為にメイン4人の中では最もまともそうな人格だった九条が生け贄に捧げられる事に(^^; やはり戦場では、いいヤツから死んでいって、生き残るのは狂ったヤツだけなのか。
予告によるとどうも、衛生省の方針転換により『エグゼイド』世界そのものが変化していく……という事になっていくようですが、このスプリングボードが機能するのかどうか、まずは放送に追いつけるようにしたいと思います。