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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・最終話

◆最終話「地球は我が家さ」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 衝撃の、最終回まで「レッツ!どうぶつかくれんぼ」。
 宇宙に浮かんでいた弓矢基地を、凶器は地球で木っ端微塵に粉砕するジュウオウジャーだったが、それでもなおジニスは健在。
 「ここは地球! 俺達の庭だぁ!!」
 「おや? 私にとっても庭同然だよ。私はキューブホエールのデータを利用し、地球のパワーを取り込む事が出来るのだよ。ジュウオウジャー、この星を――舐めるなよ」
 決め台詞まで持っていき、とことんいやらしいジニス様。
 「……これが、最後の戦いだ。行くぞぉ!!」



多くの生命が生きる星、地球。
人間とジューマン――異なる種族が出会い、
一つの群れが生まれた。
この星を守る為に!


 クバルと愉快な仲間達戦に続き、今回もしっかり動くターンジニスは格闘戦を披露すると、6人を軽くあしらって謎のジニス空間の中へと取り込む。ジニスの攻撃を受けながら、突破口を見出そうとジューマン視力を発動したイーグルは、その空間を構成しているのが、無数の細かいメーバである事に気付く。
 ……つまりナノマシンなので、ジニス様はやっぱりターンタイプだったんだ!!
 「見たな……!」
 怒りのジニスはジュウオウジャーに絨毯爆撃を浴びせ、空間解除。そしてそこに、傷ついた体を引きずってナリアがやってくる……。
 「私の……私だけの秘密! 見てしまったのかぁ!!」
 「……ジニス様?!」
 「メーバの集合体……」
 「あれがジニスの、本当の姿だったんだ」
 「ちがぁう! あんな醜く、卑しい姿は本当の私ではない! 私は何よりも美しく、気高く、最強で最上の生物に生まれ変わったのだぁ!」
 ジニスの正体判明はやや急激になりましたが、初期の特徴付けであったジューマン能力を最終回まで活用してきたのは、非常に今作らしいところ。
 「そうか……俺が選ばれた理由が、やっとわかった」
 かつてジニスがさわおを改造した際の悪魔の囁き――それは必ずしもさわおの心を縛る為だけの甘い言葉だけではく、ジニスに関する少なからぬ真実を含んでいたのだった。
 「自分の事が大嫌いで、辛くて……俺が、ジニスと似ていたから」
 「似てない!! 全っ然、似てない」
 「君は人の痛みがわかるヤツだ」
 「自分の事しか見ていないジニスなんかとは全然違う」
 自己を否定する卑屈な魂……だが、他者と触れ合い、自分と向き合う事で、人は変わっていく事が出来る。

 「おい、操。わかってんだろ?」
 「わかってるくせに。いつまで座ってんだ?」
 「変わりたい、じゃ、いつまでたっても変わらない。だろ?」
 「……うん!! 変わりたいじゃない……」
 「「「うん」」」
 「変わるんだっ!!」
 「ジニス……どんな理由があろうと、他の生き物を弄んでいい事にはならない!!」
 「黙りなさい!!」
 再び立ち上がるジュウオウジャーだったが、そこにナリアがひねりを入れながら華麗に乱入。
 「ジニス様を侮辱する者は、この私が許しません」
 ナリアはジニスの正体を知ってもなお忠誠を示し、秘密を共有した上で今のジニスの偉大さを認めると、ジュウオウジャー銃口を向ける――が、その背中を貫くジニスの刃。
 「私にとって最大の侮辱は……同情だ」
 「私は、ただ、あなたを……!」
 ジニスの正体が明かされてからここまで怒濤の展開で、何故、ジニスが他者を見下し玩具として扱うのか、というと、実はジニスは“そうでなくては自己を保てない存在”であった、と判明。自己の正体を誰よりも嫌悪し卑下するジニスにとって、他人に理解されてしまう事こそが最大の恥辱であり、故にジニスは、自分を決して他者と同じ舞台に置こうとしない。
 他者との関わりを否定し、自分自身と向き合う事に恐怖する。
 すなわち誰よりも尊大で誰よりも強大なジニスの本質とは――“己自身から目を逸らす脆弱な魂”であり、故にジニスは、最も忠誠を誓っていたナリアから最大の侮辱を受ける事になる。
 と、ここで、戦闘力ではない、ジニスの本質的な弱さが露呈し、前回尺の都合で雑にリタイアしたものとばかり思われたナリアが、ウルトラCの良い仕事。……まあやはり、レオとの絡みはあまり活きませんでしたが、ナリアの自己犠牲→私にはどうでもいい事だ→ジュウオウジャー激怒、みたいな定番を避けた上で、キーワードであった「侮辱」を非常に意外な形で拾ってきたのはお見事、さすがの『ジュウオウジャー』でした。
 「おまえはそうやって、寄り添ってくれる人も全部踏みにじってきたんだな!」
 「私の秘密を知る者は、この世でただ一人、私だけだ。貴様等は、存在してはいかんのだよ!」
 王者の資格が損傷し、生身の6人を激しく襲うジニスの攻撃。
 「さらばだジュウオウジャー! 今度生まれ変わる時は、もっと強い生物に生まれてくる事だ」
 非常に皮肉な言葉を口にするジニスですが、もう一つ、ジニスの正体の大きなポイントは、ジニスがメーバの集合体――すなわち“弱者の群れ”である事で、ジニスとは生き抜くために群体として強くなった結果、あらゆる他者との関係を切り離してしまった存在、つまりは“道を間違ったジュウオウジャーの成れの果て”といえます。
 中盤、繋がりを否定するバングレイがネガ風切大和として立ちはだかりましたが、真のラスボスであるジニスとは何かというと、全身それネガジュウオウジャーであり、どこまでも微に入り細に入り徹底した設定で、極めて几帳面に風呂敷を折りたたむ着地。
 そして今作における「王者」とは何か、というと、ジュウオウジャーとジニスの存在が対であり、ジュウオウジャーが前回自分たちを「王者の群れ」であると啖呵を切った事から辿り着けるのは、“自分自身を見つめられる強さ”こそが、王者の資格、であるのかなと。
 王者であろうとしなかった邪悪なる群れ――他者という鏡に自分を映す事を受け入れられない卑小な魂と、悪夢のごとき絶大な力を併せ持つ、最低最悪の生物であるジニスは勝利を確信するが、その攻撃に耐え抜く6人。
 「勝手に人の来世語ってんじゃないわよ!!」
 総合的にやや不遇だったセラですが、最終回にして、この台詞が妙にツボに入りました(笑) セラの名台詞といえば第24話の「笑ってんじゃないわよ!!」もありましたが、もっと思い切って、若干はすっぱな口調のスケバン路線にした方が良かったのかも……そういう台詞回し自体が、使いにくい御時世なのかもしれませんが。
 「俺達の世界は、まだ終わってない」
 「私たち、あんたを倒した後で、やる事いっぱいあるの!」
 「異なる種族を繋げたり、歴史を調べ直したり、盛り沢山だ!」
 歴史を見つめ直す、というのもまた自分(達)と向き合う事であり、やや踏み込み不足に終わったジューランド関係、不自然に隠されていた薄暗そうな過去についてなどの要素をうまく拾えて良かったです。
 後ホント、この最終盤、タスクにキーになる台詞がたくさん回ってくるのですが、愛か、愛なのか。
 「こんなとこでてめぇと遊んでる暇なんかねぇんだよ!」
 そんなタスクと、終盤に存在感を増したアムに押されて活躍の比率としてはやや扱いの下がったレオですが、取り立てて特徴のない台詞のようで、しっかり「遊ぶ」というキーが痛烈なジニスの否定になっているのが、今作らしい台詞の巧さ。
 「王者の資格が無くなっても、絶対守る!」
 マリオおじさん、バド&ラリー、大和父の姿が挟まれ、これがアニメだったらこれまでの関係者が大挙顔出しする所でしょうが、一挙登場、といかないのは実写の難しいところで、ここはやや、アニメ的な文法が入りすぎたか。前回で解決したから出番終了とせず、最終回も大和父を出してきたのは嬉しかったですが。
 「みんなが生きる、みんなの星を!!」
 果敢に生身で突撃する6人に地球の力が集まっていき、逆に地球から拒絶されて変調をきたしたジニスに真っ正面からのパンチが炸裂。地球パワーにより変身アイテムが復活し、サワオも公式から正式な王者の一人と認められ、恒例の顔出し変身で揃い踏み。
 「「「「「動物戦隊・ジュウオウジャー!!」」」」」」
 顔出しだと、サワオの変身ポーズの格好良さが映えます。
 「この私を舐めるなよ……」
 「おまえこそ……」
 「「「「「「この星を、舐めるなよ!!」」」」」」
 本日3度目の突撃からの最終決戦、開幕にイーグルが、受け身取れないの覚悟みたいな物凄い体当たり(^^;
 ジュウオウジャーは野生解放による連続攻撃を仕掛けるが、この期に及んでも押し負けないジニス様が、ラスボスとして恐るべき粘り腰を発揮。
 「例え地球のパワーがなくとも、貴様等ごときに!」
 だがその時、イーグルに集まっていく地球パワー。
 「野生大解放!!」

『イーグル! ゴリラ! ホエール!』
イーゴ〜エール〜〜〜

 最終回にしてまさかの隠し弾で、ウィング×マッスル×ヒラヒラを併せ持つ、陸海空の王者・ジュウオウイゴエルが誕生。
 強大なパワーを示してか、やや前傾姿勢が別格の雰囲気を出すイゴエルは、主題歌2番をバックに、ターンジニスと凄絶な空中戦を展開。
 きみは知ってるかい? 遠いむかしには
 人も動物も 助け合い生きた

 ニンゲンと、ジューマンを繋ぐ象徴として、今、太陽の鳥が舞う!
 陸海空制覇 ジュウオウジャー
 強さと優しさ持つ
 心が 王者の資格だ

 おのーーーれーーー!
 イゴエルの攻撃を受けて叩き落とされたジニスはみんなで番長キャノンの直撃を受けて大爆発するが、しぶとく巨大化。
 「私はジニス。この世で最上最高の生物である」
 あくまで驕慢を貫くたった独りであろうとする群れだったが、繋がり続けようとする地球を守る群れは、その力を上回る――
 「今のあたし達はジューマンパワーと!」
 「地球のパワーと!」
 「人間のパワーと!」
 「キューブくん達のパワーと!」
 「熱い熱い友情パワーと!」
 「沢山の力を繋げて戦ってるんだ! 全てを踏みにじってきたお前なんかに、負ける筈ない!!」
 最大最強ジュウオウドデカグランドファイナルフィニッシュを受け、ジニス、完全消滅。
 (前略)デカキングは切り札系置物カテゴリでない事を考えると、アザルドに多少苦戦した以外は(それにしても超必殺一撃でしたし)、最後まで実に強いロボットだった印象。
 ジニスの正体をネガジュウオウジャー/ネガ地球として極めて綺麗に収め、その本質的な弱さを露わにする事でジュウオウジャーの勝利にしっかりと説得力を持たせた最終決戦でしたが、全体の印象がどうにも地球パワーごり押しになってしまったのは少々勿体なかった所。
 物語の積み重ねも、各要素も綺麗に拾っているのですが、綺麗であるがゆえに、爆発の為の最後のピースが何か1枚足りなかった感じで……敢えて不足をいえばやはり、ジューランド側の事情、という事になるでしょうか。中盤以降、テーマ性がサワオを中心に回っていく中でどうしても、ジューマンズを中心とした異文化交流の要素が薄くなってしまったのですが、その為に、そもそもジュウオウジャーに力を与えている地球パワーとは何か、という所が描ききれなかったように思えます。
 最終的に地球パワーが、なんか凄い、という以上のものにならなくて、そこはふわふわしたスーパーパワーという事でも成立する要素ではあるのですが、今作の完成度ならば、その一歩先へ踏み込んで地球パワーとジュウオウジャーの繋がり(ロボットの謎含む)に説得力を積んでほしかったかな、と(これはかなり贅沢な要求ですが)。
 一方でサワオを軸にしたテーマは非常に良い形で描き上げられたので、限られた話数の中で、どちらかを優先せざるを得ないトレードオフの関係であったならば、虻蜂取らずになるよりはこれで良かった、とは思えますが。
 また、大和のテーマ的成長を非常に地に足をつけた形で描いた関係でこの最終決戦との連動性がやや弱くなってしまい、イゴエル発動が物語の集約として美しくなりきれなかったのも惜しく感じた部分。若干のレッド偏重はやむを得ない所なのかもしれませんが、個人的にはもう少し、皆の力を合わせる形を見たかったです(ファイナル番長キャノンはいつもとあまり変わらないですし)。
 そういう点で、変わる事を選んだサワオが駆けつけて大逆転に繋がる、というテーマとバトルの融合が完璧だったvsクバル決戦回が全体の盛り上がりのピークになってしまった感はあり、ラスト2話は、とにかく“風呂敷を綺麗に畳むラスト2話”になったという印象。ただそれが悪かったのかといえば、凄かった! というのはやや弱いものの、ジワジワと美しさが心に染みてくる、そんな最終回になったとは思います。特にジニス様を、絞れるだけ油を搾り取るかのように、今作テーマのネガ存在として使い切ったのはお見事でした。
 「俺達、守り抜けたんだな……」
 「……まだだよ。これからもずっと守っていくんだ。この星に生きる、俺達みんなで」
 戦い終わり、ジューマン達は一度ジューランドへ帰る事になり、湿っぽい空気になった所で、後ろからレオが皆の背中を押して輪を作る、とキャラクターの動かし方に違和感のないバランスは最後まで非常に秀逸。
 大王者の資格と6つの王者の資格がはめこまれ、起動するリンクキューブ。ジューランドへのゲートが開く……筈が突然、ニンゲン界とジューランド、二つの世界が融合してしまう!
 「どうなってんだ、これは……」
 「いや、世界を繋げようとは言ったけど、こういう意味じゃ……てか、むしろこれ、重なってない?」
 大和くん、最終話にして地球パワーにさえ真人間ツッコミ。
 「全ての王者の資格が覚醒した事で、二つに分かれた世界を、再び一つにする事を望んだのかもな――この星が」
 「ま、いいんじゃない? 繋がっちゃったものはしょうがないし」
 「え?」
 そして、いざ尋常ではない事態になると、最後まで軽く引く(笑)
 「どんな理不尽な事が起きても、繋がっている事を、僕たちは望んだんじゃないのか、大和」
 傷つきたくないから関わりを否定するのも一つの生き方かもしれない――でもそれでは、変われないから。
 「……そうだね。それが俺達の、新しい未来だ」
 二つの世界にに関しては、俺達の未来はこれからだ! みたいなオチにするのかと思っていたら、大胆にパラダイムシフトしてきてビックリ。大人視点では色々と大変そうですが、子供視点では、融合した世界の未来を考える、というのが夢があって面白いのかも。新たな姿となった世界で、ジューマンズそれぞれの家族との再会が描かれたのはとても良かったです。
 「俺達は……きっと、共存できます」
 妄想フレンズの励ましを受けたさわおは力強く聴衆に語り、ブタの少年の手を引いた大和が、仲間達と合流しに走る姿から、ジュウオウダンスに繋がってエンド。ここで、ジューマンズが素顔である筈のジューマン顔ではなく、ニンゲンの顔なのは、最後に役者の顔を隠すわけにもいかない、という事情がちょっと難しくなってしまった感(^^;
 ラストのダンスは大和父やクジラ大王まで参戦の特別バージョンではあるのですが、近年の戦隊で、最終話スタッフロールの尺が物語部分に使われない、というのは珍しいでしょうか。最後のジュウオウダンスは二つの世界の融和の象徴として機能しているのですが、もしかしたら融合エンド自体が、諸般の都合で最終回もダンスを外せない事からの逆算であったのかもしれません。
 ……最後がクイズの解答なので、どうしてもメタな感じになってしまいましたが(^^;
 そこは何とかならなかったのかとは思いましたが、とにかく、今作のテーマを如何にまとめるか、に極めて誠実な最終回でした。
 自分を見つめ、他者と向き合い、良い方向に変わっていく事で、みんながきっと明日のヒーローになれる――。
 もちろん現実には、むしろ断ち切った方が良い関係性、というのも存在はするわけですが、他者との関係性、それによる変化を肯定的に捉える、今作としての一つのテーマを貫き切る形で良かったと思います。
 また、部分部分で言葉をうまく掛けて用いている作品ですが、全体としてはヒーローの「変身」と、個人の「変化」を掛けており、変身ヒーローというギミックを非常に巧く、作品テーマの象徴とする事に成功。
 そして個人の関係性の変化の先には、世界そのものの変身がある――。
 「変わりたいじゃない……変わるんだっ!!」
 というのが、ヒーローの魂を背景として、極めて前向きなメッセージにまとまりました。
 この、ギミックとテーマの相互補完は非常にお見事で、それが一つの台詞に綺麗に繋がっていくという構造は、実に香村脚本。
 あまりに綺麗に畳みすぎた為に、もっとあれもこれもと欲張りたくなる、という贅沢な問題点も生じましたが、美しい最終回だったと思います。1年間、非常に楽しい作品でした。
 難を言えばやはりジューマンズ関係でこぼれてしまった部分かなぁ……と思う所ですが、この辺りはいずれ、追記か総括で。
 大和くんの役者さんには、売れてほしいなぁ。
 以上、『動物戦隊ジュウオウジャー』感想、長々お付き合いありがとうございました。