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『ウルトラマンオーブ』感想・第19話

◆第19話「私の中の鬼」◆ (監督:武居正能 脚本:三浦有為子)
親友の結婚式の前夜祭に出席するナオミだが、ホテルで働く事に夢を持っていた筈の親友が、結婚を機に仕事を辞めると知り、思わず突っかかってしまう。級友達の口さがない態度にもその場に居づらくなったナオミは、帰路の成り行きで、願いを叶えてくれるといわれる想い石に、噂通りに靴を供えてしまう……。
いくら仕事が好きでも、結婚相手が勤め先の大手会社の社長令息となったら、それは仕事を辞めさせられるというか、社長の後継者夫人と一緒に働かされる同僚の心境が厳しすぎると思われるのですが、親友にもそういう葛藤と選択があったであろう事を全く考慮しないキャップが、最初から凄く嫌な感じに(^^;
その上で、それらの経緯に関して一切相談された形跡のないキャップは本当に「親友」なのだろうか、という疑念が募り、キャップへの好感度ゲージが高めでないと、色々と厳しいエピソード。
なお私のキャップへの好感度ゲージは、+でも−でもなく0です。
久々に古文書が登場して、シンの追跡調査により想い石は古代の怨霊を封じた石ではないかとわかり、夜の街を歩く赤い甲冑に身を包んだ巨大な鬼の姿を見たキャップは、慌てて想い石の元へと向かうが、そこでは石とキャップの靴が消えていた……。
「眠っていた怨霊を目覚めさせるとはな」
標的を変えたのか、通りすがりの嫌がらせか、ナオミの心の闇を煽るジャグラーだが、そこにガイが登場。
「誰の心にも闇はある。闇があるからこそ、光もある。闇を抱えていない人間に、世界を照らす事はできない」
トラウマを乗り越えたガイは、自己肯定力を身につけていた!
「まあいいや。……お前もいずれ、現実に打ちのめされる事になる。地獄からの誘いに身を委ねろ」
「ガイさん、あたし……」
「あいつ、珍しくいい事言ってたな。人生には思いも寄らない事が起こる。ナオミが本当に望めば、未来を変えられる。そういう事じゃないのか?」
ここで、中途半端な内容のイメージだった第7話「「霧の中の明日」を拾って、最終盤に向けてこれまでの物語を連結していっているのは良かったです。
翌日、結婚式場に避難を呼びかけるナオミだが、それを受け入れられる前にホテルへと迫り来る鬼。ガイはオーブ嵐へと変身してランスも復活するが、所詮ランスなのであっさり回避されてしまい、カリバー発動。
一方、その戦いを見つめながら、迫り来る鬼の原因は自分だと告白するキャップ。
「私の心の奥深くにある、小さな嫉みが、あの怨霊を甦らせてしまったの」
……この女、罪を告白すると同時に、自己弁護を始めたのですが。
カリバーを振り回すオーブは鬼の剣技に苦戦し、宇宙的に、
嫉妬の力 > 光の力
であると証明されてしまう。
今回一番どうかと思ったのはここで、登場3話目にしてオーブオリジン実質敗北はどうなのか。SSPの機転自体は悪くないのですが、オリジンがオリジンだけに、もう少し配慮と工夫が欲しかったです。
オーブを切り払った鬼はホテルを一刀両断しようと近づくが、それを止めようと屋上に立つキャップ。
「私なんかのちっぽけな想いに惑わされないで! お願い!」
この期に及んでさりげなく自己弁護を交えつつ、SSPは、想い石の力で幸せになったカップルの映像と音声を鬼へと伝える事で鬼の持つ和魂の面に呼びかけ、荒魂を鎮める事に成功。自ら刀を下ろした鬼は、立ち上がったオーブの俺の必殺技・ウォーターにより消滅するのであった。
親友はナオミに、自分との結婚を反対された御曹司がホテルの経営から外されてしまった事、その為に、自分も東都ホテルで仕事を続けられなくなった、という真相を語る。
「でも私たちにはこのホテルがあるもの。全財産を投資した。ゼロからのスタートよ」
え。
ここで、結婚式の会場であったホテルは、御曹司の会社のホテルではなく、二人のホテルであった事が判明し、周囲に何もないロケーションはともかく、見るからにいわゆるグランドホテルなのですが、御曹司は実家への復讐が望みなのか。
以前のノウハウとコネクションを活かせる仕事という事だったのかもしれませんが、実質的に勘当されたとおぼしい実家と同じ業界に全財産を賭けて殴り込むって、戦争の匂いしかしないんですが。
つい先ほど、荒魂を鎮めたばかりのに、どうしてそんな事に。
ホテル戦争待った無しの現状への不安、誰かを羨ましいと感じる気持ちを親友も語り、改めて互いを理解しあったナオミは、友人への祝福を口にする――。
どんな人間も他者への羨望に囚われる闇を抱えており、そこでただ不幸を嘆くのか、自ら未来を変えていくのか、今居る環境をどう捉えていくのか、「自分の幸せを決めるのは自分」であるというテーマを、二面性を持った鬼の存在と繋げたの仕掛けは悪くなかったです。
ただ、肝心のキャップ個人の「幸せ」観が物語の中から見えて来ない為に、キャップの語りは全体的に宙ぶらりん。スタッフがどう思っているかは知りませんが、キャップそれほど、“仕事に生きる女”として描写が蓄積されているとは思えませんし、今回の限りでは“親の反対を押し切って仕事を選んだ友人”に自己投影をしていただけに見え、SSP側の芯の弱さが物語に厚みを与えきれないのが『オーブ』の惜しい所というか、広げたい枝葉に対して根の長さと幹の太さが足りていないと感じる部分。
そして親友の爆弾発言で色々と吹き飛びました。
次回――帰ってきた惑星侵略連合!
ラウンドランチャーが火をふくぞ(という予告のあおりが一番面白かった)