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『コンドールマン』感想14

◆第23話「大暴れ! ドラゴンコンドル」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:伊東恒久
不死身のモンスター3大幹部を倒す為、秘めたるドラゴンコンドルの力を引き出そうとするコンドールマンは、老師の教えに従い、勇躍、溶岩の中へとその身を翻す。
ナレーション「この世の愛と平和を守り、正義を貫く使命を全うする道は他にはない。果たして、コンドールマンは、生か死か」
ジュニア達はコンドールマンの無事を天に祈り、太陽の神に向けて呪文を捧げる老師。
「永遠なる太陽の神よ〜。この世にまことの正義をおこのうコンドールマンを、今一度、甦らせたまえ〜」
雷鳴轟く中、白根山の火口で爆発が起こり、今――コンドールマンの愛と覚悟、子供達の無垢なる祈り、老師の呪文による補佐、その3つが重なり、コンドールマンは4段階目の化身に成功する!
太陽、雷、溶岩、山岳、と、不死鳥ドラゴンコンドルの誕生は、自然界における神の象徴的なものを幾つも重ねたハイブリッド。
「ゆけ! 悪魔に苦しめられている人々の為に。そしていつかこの世が、まことの愛と、平和の楽土となる事を信じて」
老師は修行の完成を告げ、陸海空、阻むものなき力を手に入れたコンドールマンは、コンドールフライによりその姿のまま飛翔する!
物語の流れとしては、最強の姿ドラゴンコンドルへの化身が目玉なのですが、マントを広げて空を舞うコンドールフライの方が圧倒的にヒロイックで、本編この後の見せ方もそんな感じに(笑)
草津高原ホテルヴィレッジの看板を映さないといけない都合で一度ホテルへ戻るコンドールマンだが、そこではジュニア達が3大モンスターによってさらわれていた。クラスチェンジしたばかりでテンションの高いコンドールマンは、空からいきなりサンダーでモンスターのアジトを強襲すると、勢いをつけてドラゴンコンドルへと化身。
遂に披露されたその姿はやはりあの着ぐるみでしたが、さすがにあの姿のまま立ち回りはせず、ゴールデンコンドルと同様に造形物を飛ばす形となり、算を乱して逃げる3幹部を追撃すると、ドラゴンファイヤーによりゴミゴンをあっさり焼却。
逃げおおせたスモッグトンは、マッドサイエンダーの指示によりいよいよ日本人皆殺し作戦を発動し、水道管にヘドロスモッグをセット。これにより、蛇口をひねると猛毒スモッグが吹き出して犠牲者を溶かしてしまうという、阿鼻叫喚のバイオテロが決行される……!
てっきり設置前に阻止されるのかと思ったら、最終作戦としてインパクトを出したかったのか、白骨化した犠牲者が描写されるのがショッキング。これまで、餓死作戦、オイルショック作戦など、日本が諸外国からの輸入に頼っている資源などを狙っていたモンスター一族ですが、最終作戦で利用するのが、日本において豊富な水資源である、というのは、特に言及は無いのですが、国状を巧みに作戦に取り込むモンスター一族らしいものとなりました。
その頃、草津高原ホテルヴィレッジの看板を映さないといけない都合でホテルへやってきた堅介は、娘がモンスター一族に襲われて負傷した状況で正義のジャーナリスト魂はどこへやら、奥さんと客室ですっかりくつろいでいた。
……これが、正義も悪も等しく堕落させる、酒と温泉の魔力……!
ところが猛毒スモッグの情報が臨時ニュースで流され、慌ててホテル内を駆けずり回り「水道を使ってはいけない」と叫ぶ堅介。アルコールで溶けそうになっていたジャーナリスト魂に火がついたのでしょうが、どう考えてもフロントに電話して館内放送をしてもらうべき案件であり、善意の筈がパニックを煽っているみたいな姿に(笑)
協賛の都合で仕方なかったのでしょうが、合間にまことが温泉プールで遊ぶ姿が挿入されたり、最終回直前にして、酷くテンポの悪いシーンを挟まざるをえなくなってしまったのは残念(^^;
モンスター一族の狙いに気付き、次々と地下に設置されたスモッグ発生装置を取り除いていくコンドールマンだが、それを察知されて罠を仕掛けられ、粘着スモッグとマグネット手枷により動きを封じられてしまう。
「この暗い地下道がおまえの墓場だ! ドブネズミのように死ぬんだなぁ!」
絶好調コンドールマンはドラゴンコンドルへの化身で雑にピンチを脱出しようとするが、MP不足でまさかの失敗(笑) 隔壁によって暗闇の中に閉じ込められ、至近距離から毒スモッグを浴びせられる絶体絶命のピンチの中、天井から垂れる水滴に気がついたコンドールマンは、珍しく高笑いでスモッグトンを煽るとパイプの火を落下する水滴で消してしまう事に成功。慌てたスモッグトンがライターで火をつけると、その光熱エネルギーを利用して、コンドールフライにより脱出する!
もうこの辺り、凄く投げやりな感じですが、脱出成功すると何故か、高速で飛行するスモッグトンを追いかけるシーンになっており、ここから最終回まで、前後の繋ぎが加速度的に崩壊していきます(^^;
ドラゴンファイアーを浴びせると煙になって逃亡するスモッグトンだが、コンドールマンはドラゴンアイによってフラスコの中に隠されたその核に気付くと、サンダーによりこれを爆破。かくしてモンスター一族のスモッグバイオテロを失敗に追い込むコンドールマンであったが、ヘドロンガーとマッドサイエンダーは未だ健在。果たして、キングモンスターはどのぐらいの出番を確保できるのか! 次回、最終回。


◆第24話「日本全滅?! キングモンスター」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:伊東恒久
ヘドロンガーのヘドロ作戦を支援するべく都心のビルに巨大な鬼火を映すという、マッドサイエンダーのファントム作戦を見破るコンドールマンだったが、マッドサイエンダーを追う内に、ヘドロ作戦が発動してしまう。
「オヤジさん、落ち着いて聞いて下さい」
押し寄せる猛毒ヘドロ津波に関する情報を源太郎に伝え、避難の支援を頼むコンドールマン
「おいどうだお民、聞いたか。俺のこと、オヤジさんだってよ」
「聞いたともさ。あたし達も命がけでやらなきゃ!」
「石松! お前の命、貰ったぞ!」
セミレギュラーキャラの出番を作りつつ、源太郎が亡き一心の誕生日プレゼントを買うなど、一心/コンドールマン問題も拾いに行く姿勢は見せるのですが、結局このプレゼントは出番無しと、掘り下げきれず。素体の姿だけを写して記憶も感情も受け継いでいないC一心と、一心の周りで遺された人々との関係性というのは面白い要素だったのですが、複雑化しすぎて内部崩壊を起こした末に、場外へ投げ飛ばす形になってしまったのは非常に残念。
「一心だけど一心ではない」という主人公を、ロボットなどではなく文字通りの超人であるけれど表向き人間、とした事で、周囲の人々の感情にさざ波が起こるという構造には色々な可能性があったと思うのですが、明らかに怪しいC一心に対する周囲の人々のリアクションが不安定になってしまい、ストーリー上の一貫性を保つ事が出来ませんでした。
C一心はC一心で、一心として振る舞う事で三矢家の人々の心の傷が癒やせるならそれで良い、以上の情動を持つに至らず、それ故に“正義のシンボル”として存在し続けられるのかもしれませんが、2クールの中でばっさりとしたヒーローからの変化が描かれなかったのは勿体なく感じた所です。
まあこれは例えば、主人公の内面的変化により焦点を置いていた『ロボット刑事』でも上手くやれなかった要素なので、70年代東映ヒーローの作劇では、なかなか難しいと思うほか無いのかもしれません。
マッド博士とコンバット部隊による砲撃と銃撃を受けたコンドールマンは、またもマッハコンドル空蝉の術を用いると、コンバット部隊を蹴散らして博士を追い、なんだか博士がラスボスのような展開に(笑)
博士を追い詰めるコンドールマンだがまたも罠にはまってしまい、迫り来る弾丸の雨。9−10話(魔界島)の使い回し映像などやたらに切り貼りが目立つのですが、草津に行って予算を使い果たしてしまったのか(^^;
パッチワークの都合でいまひとつシーンとシーンが繋がらない中、爆発した火山からヘドロ溶岩が噴出し、博士はコンドールサンダーで雑に撃破。ヘドロ溶岩はドラゴンタイフーンでも止まらず麓の家々を押し流してしまい、コンドールマンはやむなくドラゴンファイヤーを放つと、溶岩そのものと同化していたヘドロンガーが浄化され、被害を何とか最小限に抑える事に成功する。
だがその時、遂にモンスター一族の首領、キングモンスターが日本上空に姿を見せる!
「この日本など、俺様の力だけで木っ端微塵にしてくれるわ。ぬははははははは、それ!」
キングモンスターは虚空に静止して微動だにしないし、映像は第7話の使い回しだしで、どうにも盛り上がらないラスボス降臨。とにかく、カットとカットが明らかに繋がっていない為、見ていて冷めてしまいます。
ゴールデンコンドルに化身してビームを繰り出すコンドールマンだったが、通用せずに墜落。
「大丈夫、コンドールマンが死ぬもんですか。私達が正義を信じる限りは。ね?」
出番のあったさゆりはまことを励まし、改めてドラゴンコンドルがファイヤーを放つも、反射されてまたも墜落。
……大丈夫、墜落には慣れているのでダメージは最小限です。
コンドールマン、よくも我がモンスター一族を討ち滅ぼしてくれたな。今こそ全ての恨みを込めて、おまえと、おまえ達平和を愛する人間どもを、地獄に送り届けてやる。それぃ!」
マントを一振りすると市街各所で次々と爆発が起こり、広範囲の破壊能力でラスボスとしての貫禄を見せつけるキングモンスター。
「ふふははははははは……! くたばれコンドールマン貴様がやった事は、無駄な事だ。なぜならば、人間どもから欲望というヤツは永遠になくならん。とすれば、我らモンスター一族も、永遠に滅びる事はないのだ。もはや、どんな超能力を持つおまえでも、このキングモンスターにかかってはお終いなのだ」
キングは改めて、モンスターとは何か、を語って正義の前に立ちはだかり、その長口舌の間に飛び上がったコンドールマン肉弾ダイブで大逆転?! ……と思ったら、か ら ぶ り(笑)
いや絶対、傲慢から油断を見せた悪に、決死の一撃が炸裂して起死回生だと思っていたので、ショッキングSEで攻撃ミス、というのは驚きでした。
街では総理大臣から避難命令が出て大パニックが起きており、何とかそれをコントロールしようとする、正義の魂を持った人々。そして一心母は、一心の遺影に祈り続けていた。
「いいんだよ、いいんだよあんたは早くお逃げ。あたしは一心と一緒にここに居るんだから」
「私も、一心さんの側に居させて下さい」
まことを先に避難させたというさゆりもやってきて、ここでコンドールマンの起点となる、亡き三矢一心の存在に触れてくれたのは良かったのですが、ここも、それ以上には深まらず惜しい。
コンドールマンに声援を送るジュニア達がサークルを作り、その光を受けるコンドールマン
(そうだ……タバ老人は言った。全ての修行は終わった。後は思いのままだと)
魂や志で奇跡を起こすのは世界観としてはおかしくないのですが、どうしてそこで後押しするのが、老師のアドバイスになったのか(^^; コンドールサークルも特に顧みられずまことちゃんが正ヒロインの座から転がり落ち、最初から最後まで謎だらけの問題児として完全燃焼した老師の言葉を胸に、コンドールフライで天高く飛翔したコンドールマンは、キングモンスターへ向けて空を切り裂くと、額の羽飾りを外してその手に握りしめる!
「正義の光を受けてみろ!」
まさかのコンドルフェザーアタックがキングモンスターの額の目に直撃して大爆発……と思ったら、何故か途中で停止する爆発の映像。
「ははははははは! コンドールマン、まだまだその程度の力では、このキングモンスターを倒すことは出来ぬ! よいか! 改めてモンスター一族を引き連れ、貴様を叩き潰してやるわ! それまで、首を洗って待ってるが良い。はーっはははははははは……」
そして高い所から引きでコンドールマンを映したカットに強引に切り替わり、そこに台詞を被せてそのまま姿を消してしまうキングモンスター。
せめて派手な爆発ぐらいしても良かったと思うのですが、非常に中途半端な演出で、カタルシス皆無のままラスボス撤退。善と悪の戦いは終わらないにしても、もう少し見せ方があったのでは。
「来るなら来てみろ。しかし決して負けはしない! 私には超能力だけではない……たくさんの正義の人々が居る」
コンドールマンは空を見上げ……まさかの未・完。
テーマを考えれば、モンスターを根絶して世界は愛と平和と正義で満たされました、という“嘘はつかない”のは今作の誠意ではありましょうが、コンドールマンがキングモンスターに面と向かって言い返すシーンがあるわけでなく、キングに完全に言い逃げされてしまっており、一時的勝利という雰囲気も感じにくい決着になってしまいました。
明らかに撃破条件を満たさないままラスボスに辿り着いてしまったのですが(満たしていたら多分、途中の肉弾ダイブがクリティカルヒットしていた)、いったいどこで必須クエストを達成し損ねたのか。
−−−
「空を飛ぶ事なんか出来はしない! タバ老師の嘘つき!」
「儂は嘘はつかぬ」
→無言で帰る
−−−
が正解のルートだったのでは。
最後は、佇むコンドールマンに声援を送りながら、どういうわけか、白根山火口湖(想定)に集う人々。構図自体は最終回でままあるシーンなのですが、どうして草津の山の上。草津ロケ編は、打ち上げ慰労旅行を兼ねていたのか。

ナレーション「人間の、醜い欲望から生まれたモンスターは、ことごとくその野望とともに砕け散り、街には平和が甦った。それは、コンドールマンと、正義を信じる人々の不屈の勇気がもたらした勝利であった。――そして、またいつの日か、人々が欲望に負け、愛と正義の心を見失った時、正義のシンボル・コンドールマンは、光の中から現れるのだ。人の愛と、平和を守り、正義を貫く為に」

集合場所の脈絡はもはや完全に吹っ飛んだままナレーションが力技でまとめ、太陽へ向かって飛んでいくコンドールマンを皆が見送ってエンド。
最終的に、C一心の存在は全く顧みられませんでした(^^;
そして最後の最後も、みんなでコンドールマンの歌を唄って、美しい日本を守ろう!
途中で強引にフェードアウトしましたが(^^;
最終回、ストーリーどうこうというより、パッチワークの繋ぎが雑すぎて、1エピソードとして映像が崩壊気味だったのは残念。収束は出来なかったものの、拾える要素を出来る限り拾ってくれたのは嬉しかったのですが、掘り下げられなかった要素の勿体なさも募る形となりました。
結末は、悪の首領の典型的な捨て台詞ではあるけれど、最期が明確に描かれないのでスッキリしないという中途半端なものになってしまいましたが、どうしてあんな半端な爆発シーンになったのか。最終決戦そのものの雑さも惜しまれる所です。
コンドールマンの真の勝利は、全ての人々が正義を宿した時にこそ達成される、という物語のテーマが貫かれてはいるのですが、テーマを守りつつのカタルシスの見せ方には最後だけにサービスが欲しかった部分。
全体としては、明確な作品構造とテーマ、それを表現する為の徹底した描写、世相と視聴者の心の裡を抉ってくる物語、今見ると新鮮な連続活劇スタイル、予想外に切れ味のいいアクションシーン、など刺激的で随所に見応えのある作品でした。
今作を先に見ていたら、『仮面ライダーオーズ』と『コンクリート・レボルティオ』の感想に影響があったかも、と思うそんな一作。
コンドーーールアイ!