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『超人バロム・1』感想1

◆第1話「悪魔の使い 深海魚人オコゼルゲ」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
魔人ゾルゲを ルロルロロ
やっつけるんだ ズババババーン
OPは、『鋼鉄ジーグ』主題歌と並ぶ、水木一郎二大スキャット主題歌(私調べ)ギュンギュギュン。

「バロムとは正義と友情のエネルギーを現し、ドルゲとは、地球の平和を乱す、悪をいう。超人バロム・1は、バロムクロスで変身するのだ」

田中信夫さんの声が若い。
大宇宙で、数千年に渡って争い続ける善と悪。悪の化身たるドルゲは地球に飛来すると地の底に密かにその根城を作り、ある日、地上に向けて行動を開始。
新宿の目を背景に、電話をかけていた女性を殺害すると、自ら電話帳をめくって悪のエージェントを選抜するドルゲ。
……この人本当に、宇宙的悪の存在なのか。
そんなドルゲの訪問を受けて、闇リーグへの転職を求められる須崎孝一郎さん(ごく普通の中年のおじさん)が物凄い被害者なのですが、いったい何を根拠に選ばれたのか……。恐らく宇宙的悪の直感が働いたのでしょうが、犯罪者でも格闘家でも天才博士でもなさそうな須崎は転職を拒否。ドルゲは須崎の娘を人質に取ろうとするが、父の部屋で怪物の姿を見た娘は外へと逃げ出すのであった……。
とりあえず第1話ぐらいは、と軽い気持ちで見始めたのですが、バロム・1に変身する小学生主人公の二人組、白鳥健太郎と木戸猛の描写がとにかく秀逸。
「殴りたかったら殴れよ。喧嘩に勝ったって、立派な男じゃないんだぞ!」
「よし、殴ってやらぁ!」
小柄な秀才肌の健太郎と、体格のいいガキ大将の猛はそりが合わないが、同級生である須崎娘がおかしな様子で走ってくると、即座に駆け寄って心配するのが熱い。二人の呼びかけが終始「須崎くん」なのも素敵。
「喧嘩は中止だ、来い!」
二人は娘から異変を聞き、笑い飛ばすのかと思いきや「おっもしれぇや!」と友人を信じる猛と、「須崎くん、どうかしてるんじゃないかい?」と頭から否定する健太郎の対比も鮮やかです。
登場シーンでは、腕力に物を言わせようとする猛に対して心の強さを見せる健太郎の方が格好良く描かれているのですが、その後すぐに、理性がかちすぎて頭でっかちの面がある健太郎に対して、好奇心もあるが情の厚いという猛の良い所を見せる流れが秀逸。
「秀才野郎がどうでも、俺は須崎くんを信じるぞ」
3人は娘を追ってきたアントマン(渦巻き模様の全身タイツを身につけたドルゲ配下の戦闘員)の襲撃を受け、とにかく須崎くんを優先して逃がす二人が、素晴らしい紳士度の高さ。
未来戦隊とか未来戦隊とか究極の救世主のメンバーは、そこに正座して各自、爪の垢を拝領するように。
須崎くんを逃がす事に成功するも、地割れに飲み込まれそうになった健太郎に猛は手を伸ばし、ここでも「俺に構わず先に行け」を連発する姿が熱い。猛は健太郎を引き上げようと懸命に腕を交差させ……
「地球の子らよ、我がコプーの力を与える。コプーーー!!」
それを見ていた、アスガルド辺りから来たような変な格好の老人が奇声をあげると、交差した腕を中心に回転する二人。


「バローム」 「クロス!」
「バローーム!」

「猛……!?」
健太郎……!?」
「……俺たち」
「「入れ替わってるー?!」」 
……すみません、時流に乗らずにはいられませんでした。
「二人が一人になったかも」
「物凄い力が湧いてくるぞ!」
ここに友情のエネルギーを宿す正義のエージェント、超人バロム・1が誕生する!
バロム1はアントマンを蹴散らし、戦いを終えて気絶した二人は、喧嘩を心配して駆けつけた家族(健太郎母、猛兄&姉)に拾われ、そのまま病院へ。二人を心配する母兄姉に対して、後からやってきた両家の父(健太郎の父は新聞社のデスク、猛父は刑事)は、大騒ぎするほどの事ではない、と仕事人間のような描写でやや家族の温度差が盛り込まれているのは微妙に面白いところ。あと、互いの仕事と息子を誉め合う二人の社交辞令の応酬がリアルで怖い(笑) なお、猛父を演じるのは現在では声優として著名な小林清志で、声の存在感が強力です。
猛と健太郎が気絶したまま病院に泊まる事になったその夜、一度は立ち去ったドルゲは再び須崎の元を訪れていた。
「何度でも私は来る」
マメだ……。
度重なる安眠妨害にたまりかね、音をあげた須崎はとうとうドルゲの勧誘を承諾。
「聞く……なんでも言うことを聞く」
「悪のエージェントになるというのだな」
「…………なる」
「よし! お前は、今から深海に棲む醜い魚オコゼのように、悪のエージェント・オコゼルゲになるのだ」
ひ ど す ぎ る(笑)
そういう悪の存在なのでしょうが、自分から熱心に勧誘しておいて、どうして醜いのを強調するのか!
存在自体が悪のガン細胞とでもいうべきドルゲの支配下に入った人間は、心身を汚染されて悪のエージェントと化してしまい、須崎父は巨大な目玉がグロテスクさを強調するオコゼの怪人に。
一方、猛と健太郎夢遊病のようにふらふらと身を起こして病室を後にし……こっちもこっちで操られていた。
「段々思い出したぞ……コプーは正義!」
寝ている間にすっかり洗脳されてしまっていた。
「ドルゲは悪。そして俺達に戦えって」
もそもそと着替えながら、思い出した状況を整理していく二人。
「わかった! 俺の力と、おまえの頭を使えって事だ」
「君の力と、俺の頭を使ったって、大した事にはなりゃしないよ。まだまだ子供さ」
バディ関係を示しつつ、健太郎の妙にドライな反応が面白い(笑)
知らない間に変な発信器まで服に仕込まれていた二人だが、そこに須崎父が現れて姿を変え、バロム1の抹殺を指示されたオコゼルゲとアントマン軍団の襲撃を受ける事に。
「僕には無理だ。一人だけでも逃げてくれ!」
「馬鹿野郎。おまえ一人残して逃げたんじゃ、猛番長の名がすたらぁ、行け!」
自分を見捨てても構わないという健太郎を逃がす猛、猛を犠牲には出来ないと戻ってくる健太郎の姿がそれぞれ熱く、二人が交差して偶然バロムクロスが発動。しばらく格闘アクションと、発信器が巨大化変形した車でのカーチェイスとなり、最後は、ビルの上からオコゼルゲを思い切り投擲。
(オコゼルゲの姿が、須崎に戻っていく……)
猛兄と須崎娘が駆けつけると、地面に大の字に倒れている須崎父を二人がばつの悪そうな顔で見つめているので、第1話にして小学生にキルマークがついたのかと動悸が激しくなりましたが、須崎父は無事で、良かった、本当に良かった……。
またも操られていた二人は、無言のままその場をふらふらを離れた所で正気を取り戻し、コプーと接触
「おまえ達は、生まれ変わったのだ」
勝手に生まれ変わらせたの間違いでは。
「おまえ達は、正義の為に戦うのだ。私の命も尽きた。だが二人とも、お前達が、バロム・1である事を、誰にも喋るな。喋れば、ただちに、災いが……」
「「災い?!」」
「その、災いとは……」
エネルギー切れで爆死(笑)
大宇宙の正義なるものを自称するコプー、どうやら寿命が尽きかけていたので、やむなく目に付いた小学生二人を正義のエージェントに仕立て上げたと理由は付けられましたが、驚愕の外道ぶり。
一応、ドルゲの行動が明確に悪なので、それに対抗するコプーの正義が担保されているのですが、ホント、正義の為なら、人間はどこまでも残酷になれますね。まあ宇宙的存在なので、地球人類の年齢など誤差の範囲で気にとめていない、という可能性が高そうですが、連綿と今も継承され続ける、東映ヒーロー伝統の暗黒メンター成分が濃縮されていて、凄まじい破壊力でした。
正直、爆死が全く信用できません。
アクションシーンはそれほど面白くなく、設定上、生身の殺陣が期待できないのは今後の不安点ですが、ドルゲとコプーのインパクトに加えて、何より健太郎と猛の描写が秀逸で、かなり面白い第1話でした。振り返ったら第1話が一番面白かった……という可能性もありそうですが、続けて見てみようと思います。
次回――
「強盗殺人犯が醜い電気怪人、フランケルゲに、なるんだよ〜」
予想外の軽さ(笑)
「ゆけ、バロム・1! ぶっとばせ、マッハロッド! ミスター・ドルゲも、出るぞ〜。次回、「呪いの怪人フランケルゲ」。みんなで呼ぼう、バローム・1! かっこいー!」
本編は割とシリアスなトーンなのに、予告ナレーションが物凄く脳天気でクラクラ(笑)