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『仮面ライダー555』感想11

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第19話「幸せの場所」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
ファイズとキノコの戦いにホースが乱入し、更にバイクロボも参戦。バイクロボは殴り合いでキノコを一蹴する相変わらずの強さで、スマートブレインはベルト回収するより、ロボット量産した方が戦力になるのでは。
キノコは退散し、ファイズはロボをバイクへと変形させると、おもむろに馬を轢きに行く(笑)
……いつも色々乱暴なファイズの戦い方ですが、今日はいつにも増して酷い。
馬はバイクアタックを回避すると、ケンタウロスモードで追撃。バイクと怪物のチェイスという変則バトルがしばらく描かれ、最後は鉄の馬と灰の馬がぶつかり合って両者相打ち。戦いは引き分けに終わる。
仮面ライダーとしてバイクに乗るファイズですが、ホースオルフェノクケンタウロス形態がそれと明確に対比され、なぜ勇治がホースオルフェノクなのかというと、仮面ライダーの対であった、というのは今更ながら成る程納得。
ここから先は、今作お得意の錯綜劇が展開。
キノコから逃げた少女は結花に出会ってマンションで手当を受け、魅力レベルを上げようとレモンパックをしていた海堂は似顔絵の代金500円を崩しに外へと走り、その間にクリーニング品の配達に来た真理は少女を発見。啓太郎もやってきて話し合い中にまたも飛び出してしまった少女は公園でジェイのチワワと出会い、ジェイは社長からファイズギア回収の催促を受ける。
「そろそろタイムアップですよ、ミスター・ジェイ」
社長は、人の動かし方がプレッシャーをかける一辺倒なのが、会社の代表としては不安(笑)
少女の本名は倉田恵子であり、添野刑事の電話に出てきた、ガス爆発事件に巻き込まれた後に行方不明になった少女だと判明。恵子は事故の際に頭を打って記憶喪失になった母親に自分の事を思い出して貰う為、似顔絵を描いて貯めた500円で誕生日プレゼントを買い直すのだが、混乱する母親から拒絶されてしまう。
伏線がさくさく繋がっていく中、恵子に襲いかかるキノコだけ最後まで謎に終わるのですが、これといって背景が語られないので映像的なインパクトを作る為にピエロにしたら、余計に意味がわからなくなった感(笑) 恐らく、九死に一生計画関連だったのかな、とは思われますが。
啓太郎が必死に恵子を守り、駆けつけたファイズは円錐キックでキノコを焼却するが、そこに納期に焦るジェイオルフェノクが登場。ジェイの猛攻を受け、円錐キックも弾き返されるファイズだったが、体勢を立て直して放ったダイビングファイズナックルで逆転勝利。ジェイオルフェノクは3つの命を使い果たし、燃え尽きるのであった……。
落下の加速を利用して敵を地面に叩きつけるというトドメのパンチは映像的には格好良かったのですが、とことん弱かったなジェイ……。もとよりカイザの踏み台であり、「ヤツは四天王で最弱……」はある種のお約束でありましょうが、ラッキークローバーの格と社長の「上の上」発言までまとめて下げてしまう事に。
巧の再起が描かれた後なので、強化アイテムではなく経験値と心身の成長で強敵を打ち破るという構図になっているといえばいえるのですが、エピソードの中心キャラですらなく、どさくさ紛れのような退場劇となってしまいました……特別強敵ライバルキャラという扱いでもなかったので、ジェイは残念だったけど、物語としては特に残念でもないうというのが、また哀れ(^^;
そんなジェイをわかりやすく印象づけるオプションだったチャコは、ふーふー社長がやたらに名前を出すので、ジェイの死後に社長にどんな酷い目に遭わされてしまうのだろうとドキドキしていたのですが、恵子に拾われるという形に。
主人を失ったチャコを抱きしめ、家族を失った恵子が泣きじゃくる姿を見て、みんなを幸せにする為に、必死に思いを巡らす啓太郎。
(まだ、ある筈だ、俺に出来る事が、何か……)
啓太郎は恵子と一緒に恵子母の病室から見える窓の外に白い洗濯物を広げ、その光景に娘との思い出が蘇った恵子母は記憶を取り戻すのであった……で、大団円。
「ねえ、心配ならもっと、素直に心配したらどうなの?」
「……いいだろ、別に」
子供ゲストをフル活用して、巧サイドと勇治サイドの柔らかい部分をそれぞれ引き出し、今作にしては最初から最後まで大人しめの内容なのは、子供ゲスト中心という事もあって、長石監督の方である程度セーブしてまとめたのか。
終わってみれば啓太郎の話でしたが、狂人まっしぐらだった啓太郎が、子供に振り回される事に嫌気が差して突き放してしまい、「みんなを幸せにする」筈の自分の器の限界を突きつけられて落胆。多少狂人路線から修正が図られた上で、そんな自分に出来る事を探して、最後は啓太郎らしい善性への信仰が大団円に結びつく、という着地は良かったと思います。
まとまっているけれど大きく跳ねる事はなく、草加不在の間に啓太郎にスポットを当てる箸休め、といった感のエピソード。……箸休めの内にリタイアしたなんとかクローバーの一員さんには涙を禁じ得ませんが、チャコの扱いを軟着陸させる為に子供ゲスト回で丁度いいやと灰になったのでは疑惑さえ覚えます(笑)
ジェイのリタイアにより社長は冴子に出馬を要請。
次回――料理、Wデート、そしてポエム。


◆第20話「最底辺以下の男達」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
「うちはお金儲けの為にクリーニング屋やってるんじゃないんだからさ! 世のため人のためっていうか、だいたい儲けが少なくても俺たちが倍働けばいいじゃん!」
−−−
「うちは時給安いんだから!」
「安いって幾らなんだよ」
「幾らかな? 100円かな?」
−−−
啓太郎、洒落にならないよ色々……。
代金値下げで店が忙しさを増す中、近所のピザ屋が急にバイトが辞めてピンチになったと聞いた啓太郎はピザ屋を手伝いたいと言い出し、店の先行きを危惧する居候の二人(たぶん、家賃も光熱費も払っていない)。
一方勇治は、スマートブレインに対抗する仲間を集められないかと、オリジナルオルフェノクに繋がりそうな情報をネットで集めていた。
クリーニングの配達に来て風邪気味の結花を助けた真理はガールズトークで距離を縮め、道でガス欠の海堂を助けた啓太郎は、互いの恋の相手を告白。
「俺たち、良き協力関係を結べそうだな」
密約を結んだ二人はさっそくWデートを計画し、巧は啓太郎が長田さんを諦める為に真理に走ったと勘違い。海堂も結花をデートに誘ってぬか喜びさせ、相手の気持ちを知っているだけに最低具合が半端ありません。
なお啓太郎が本気で真理にアタックを仕掛けて仮に成功した場合、店に居づらくなるのではないか、巧。
デート当日、4人はピザ屋で合流し、
長田さんに惚けた視線を送る啓太郎→海堂の恋の相手が真理と知って憎しみの視線を向ける結花→真理の事しか目に入っていない海堂→自分がとんでもない窮地に追い込まれた事に気付く真理
という天国と地獄が混ざり合った混沌が完成……これでうまく行くと思っていた啓太郎と海堂の株がまとめて地の底に落ちて、悪のエージェントになりそうな勢いです。
結花の恋の相手を「言い寄ってくる馬鹿」呼ばわりしたという、かつてない死地を脱する為に真理は人手不足のピザ屋のバイトを買って出るが、これに海堂←結花←啓太郎が数珠つなぎに手を挙げ、4人は運命の最低な悪戯によりピザ屋で揃って働く事となる。
通常営業といえば通常営業なのですが、酷い展開の連続に、坂に空き缶転がしたりわざわざピザを食べながら喋らせたり、という石田監督の遊び心過剰の演出が重なり、前回とのギャップが激しくてクラクラします(^^; 真理に嫉妬の視線を向ける結花の表情などは、さすがにやりすぎた感。
ところがバイトに行く筈の日、結花から広がった風邪で、4人がまとめてダウン。代理を押しつけられた巧と勇治はそれぞれピザ屋へと向かうが、巧の前にはベルト奪還を狙う琢磨が、勇治の前には裏切り者抹殺を図る冴子がそれぞれ現れる!
「あなたにシャンパンは必要ないわね。まだお酒飲める歳じゃないもの」
……え? 勇治って、10代なの? 最低でも20代前半のイメージだったのですが……それとも、精神年齢をからかってる?
(※と思ったのですが聞き取り間違いで、「まだお酒の似合う歳じゃないもの」との事)
「その代わり、子守歌を歌ってあげる」
冴子はオルフェノクへ姿を変えると、フェンシングスタイルで馬を圧倒。一方、ムカデの体術に攻撃を軽く捌かれたファイズは、ムカデ剣でベルトとポインターを強奪されてしまう。変身中に外部からベルトを力技で外してしまう、というのは割と珍しい演出のような。
ダメージで変身が解除され、生身で冴子オルフェノクから逃走していた勇治は、ベルトを奪われてこれも生身となっていた巧が、壁を破って吹き飛んでくる姿を目撃。
そして二人の前で、琢磨はファイズへと変身する――!
怪人が仮面ライダーに変身する、という境界線の破壊は既に第4話で行われていますが、変身したファイズが生身の巧を踏みにつけにする、という倒錯極まれりな強烈な映像で、つづく。
本格的に活動開始した冴子は、セクシータッチで琢磨と仕事を交換、標的に高級シャンパンを送りつけてから、毒の酒で溶かして殺す、という能力を披露。ふーふー社長をくん付けで呼ぶなど、妖艶で謎めいた実力派の女幹部路線ですが、果たしてその余裕はいつまで保つのか! 琢磨が既に、冴子に手の上で転がされる初心な坊や状態なので、色々心配です!
というかあっちもこっちも、男性陣の女性耐性が低すぎるのでは。