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『超人バロム・1』感想2

◆第3話「恐怖の細菌魔人 イカゲルゲ」◆ (監督:折田至 脚本:伊上勝
「時間を守らないって、日本人の一番悪い点なのよ」
1972年って、世間的にそういう認識だったの……?!
今回は冒頭から悪のエージェント・イカゲルゲが登場し、山村にある新聞社の支局員を殺害。
「悪のエージェント・ドルゲマン3号、イカゲルゲ。この村にドルゲ基地を作るのだ」
この支局員から最後の電話を受けていたのが上司である白鳥デスク(健太郎父)であり、デスクから相談を受けた木戸刑事は現地の駐在を支局へ確認に向かわせる事に。
主人公が小学生二人である一方、いつも息子が何かとお世話になっておりますし大新聞のデスクさんの頼みともあれば今後の関係性からも断れませんねはははははああ奥さんお気遣いは無用ですこれにて失礼しますから、とどうしてこう、大人達のやり取りが妙にリアルなのか(笑)
くしくも、松五郎の引率でその村を経由するハイキングの予定だった健太郎達だが、突然ボップが鳴き声のような変な音を出すようになり、懸命に誤魔化す羽目になる健太郎
ナレーション「ボップと呼ばれる小型の機械は、宇宙の正義の支配者コプーが健太郎と猛に与えたものだ」
なんかいつの間にか、支配者になってるーーー!
ボップに導かれるように進んだ健太郎は、待ち合わせに遅れた猛が他校の番長に絡まれているのを見つけ、売り言葉に買い言葉でバロム・1について口を滑らせかけた所で、危うく仲裁に入る。
「このやろー! 俺を、俺とうとうキチガイ扱いにしてくれたな!」
「僕たちがバロム・1になることは、絶対秘密なんだ。コプーの言う事を忘れたのか!」
「ちくしょう……正義を守るって事は、辛い仕事なんだな」
BGMが主題歌の切ないギターアレンジで、妙にしみじみ(笑)
健太郎はそんな猛に、すぐに頭に血が上って危なっかしいからこれを持ってろ、とボップを押しつける(笑) ……さすが頭脳担当です。
ハイキング中、急な雨で村の支局に駆け込んだ子供達は、支局員(イカゲルゲ)に雨宿りをお願いするも嫌な顔をされるが、健太郎が「僕の父親は本社の偉い人なんですけど、あなた、そんな態度でいいんですか?」的なカードを切り、だからどうしてこう、あちこち世知辛いのか。
しかし村は既に、浴びせた者をドルゲマンの忠実な奴隷に変える神経ガスの効果によりドルゲ基地へと変貌しており、襲撃を受ける猛と健太郎。うら寂しい山村を舞台に、冒頭の殺人シーンや人気のない廃屋の映像などスリラー調の演出が続き、視聴者が自身を投影しやすそうな少年主人公2人の冒険活劇に、変身ヒーローの要素を組み合わせ、成る程これは人気が出るわけだ、と色々納得。
猛が口を滑らせかけたのを機転を利かせて助けた健太郎が、慣れないハイキングでは後れを取って「ガリ勉だけが人生じゃないんだぜ」とからかわれつつ気遣われるも、肝心な所でその猛が脚を怪我してしまうが、二人の知恵と勇気で切り抜ける、という2人の関係の回し方も上手く面白みになっています。
実写作品では色々とハードルが増えるので、“子供の為のヒーロー”から“守られていた子供達がいつかヒーローになっていく”というテーゼを引き出す形が定番の一つですが、“子供そのものがヒーロー”というのも、一つの正調ヒーロー活劇の形であるのだな、と。
現代ではキッスホビーアニメがこの系譜に近いのかなと思われますが、それらが身近なホビーから(作品によっては)大きな世界へ物語が広がっていく構造なのに比べると、いきなり宇宙的な正義と悪の抗争最前線に巻き込まれる、というのが特撮ヒーロー的というか、殺し合いの回避に配慮の見えない70年代前半の倫理観というかでありますが(笑)
級友達と合流しようとする猛と健太郎だが、いきなり巨大ドルゲ(イメージ映像と思われる)が現れ、既に村がドルゲの支配下にあると宣言。ドルゲとの顔合わせは初の筈ですが、これについては特にコメント無し。
「一緒にドルゲの仲間になりなさい」
既に神経ガスによって洗脳され、顔に吸盤マーク付きで迫り来る級友達が、そこはかとなく楽しそうです(笑)
「松おじ、みんなが助かる方法は、ただ一つ。全速力で走って、僕とぶつかって下さい」
健太郎は脚を怪我して走れない猛を背負う松五郎を巻き込んでバロムクロスを発動し、秘密云々に関しては早くも穴だらけもいい所ですが、「自分からバラさない」限りは大丈夫という屁理屈でいいのか(^^;
1−2話と戦闘シーンはさほど面白くありませんでしたが、今回の材木置き場でのバトルは、ロケーションを活かしてなかなかの面白さ。特に、左右に柱が並ぶ細い通路をバロム1が真っ直ぐ走ってくる、というシーンは格好良かったです。
バロムワンはジャイアントスイングの要領で放つバロムスイングでイカを力強く投げ飛ばすと、額の矢印が赤く輝いてパワーをチャージ、ダッシュからのショルダータックル・バロムブレイクでイカゲルゲを撃破する。
これにより洗脳は解除され、松五郎に対しては「夢でも見ていたのでは」とすっとぼけて雑に誤魔化し大団円。ドルゲ基地建設の野望は砕き、クラスメイト達は元に戻ったけれど、村人達も元に戻ったのか……?(^^; 明確にイカに襲われていた支局員と駐在が最後に出てくれば良かったのですが出てこない為、どうにも村は全滅したように見えて仕方ないのですが……。


◆第4話「吸血魔人 ケラゲルゲ」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
前回、猛に押しつけた筈のボップがまた健太郎の所に戻っているのですが、これはやはり、カテゴリ:呪いのベルトなのか。
乗客を乗せたまま暴走する路線バスが、トンネルに入った所で煙のように姿を消してしまう。ドルゲの地下帝国にさらわれた乗客達はケラゲルゲの爪を打ち込まれてドルゲの忠実な下僕として洗脳を受け、前回と作戦コンセプトが全く同じですよミスター・ドルゲ! ドルゲは乗客の一人ルミが猛と健太郎の同級生である事に気付くと、洗脳したルミを利用して離間の策を講じ、罠にはまったバロム・1は、ルミを人質に取ったケラゲルゲと対峙する事に。
「やるんだ猛!」
「駄目だ。俺にはできない」
「何を言うんだ。ケラゲルゲをやっつけておかないと、悪のドルゲは地球を荒らすぞ」
「そんなこと言ったって……ルミちゃんを助けなければ……俺はやだぁ!」
「ちぇっ、だらしがねぇ! 俺がケラゲルゲを倒す!」
巻き込まれた同級生の存在に一切惑わされない健太郎の姿は、ルミに気がある猛の迷いとの対比になっているのですが、ドライな判断が非情のライセンスすぎて、それどころではありません。
「だけど、ルミちゃんはどうするんだよ?!」
「仕方がないだろ」
バロムワン・フォー・ジャスティス!
「やれないのか猛。猛の弱虫!」
「ちくしょー! 健太郎!」
猛が内部で健太郎にパンチを浴びせ、揉めている内にケラ爪ミサイル攻撃を受けたバロムワンは、ケラゲルゲを逃がした上に変身が強制解除されてしまう。
ナレーション「猛と健太郎の、友情が破れた時、2人は、ただの子供になるのだ」
「君の、君のせいでドルゲマンに逃げられたんだぞ」
絶対正義の使徒、悪のエージェントを追うハンターとして骨の髄までコプーの精神汚染を受けている健太郎は、袖で涙をぬぐう仕草を見せる悔しがりよう。だいぶ人の心が失われていて心配です。
「わかってくれよ健太郎、番長木戸猛にとって、あのルミちゃんは、女王様と同じなんだよ。な!」
猛も猛で、人質がルミで無かったら見捨てていそうな発言。
健太郎が頭脳/猛が筋力、であると同時に、健太郎が理/猛が情、であるという事は第1話から示されているのですが、“目の前で人質が殺される事よりも、ケラゲルゲを逃がして更なる被害がもたらされる方が重大である”と明確に優先順位がついている健太郎の理の勝ち方が強烈無比。
大事の前の小事は路傍の石に過ぎず、すなわちバロムワンのジャスティスとは、1人を殺して100人を助けられるなら躊躇無く1人を殺す事であり、悪のエージェントは自覚的に抹殺している事が実質的に判明。
倫理的にどうなのかと思われた劇中描写が、実は当人達はとっくに飲み込んでいた(或いは何も感じなくなるように処置されていた)という、思った以上に突き抜けた正義の使者である事が明らかになる衝撃の展開。
70年代というくくりで考えても、これを“ヒーロー”と呼んで良いのかには疑問も湧きますが、正義を為すとはどういう事か、というのを恐ろしいほど厳しく突きつけてきます。
ボップの反応したバスを追った2人は、中で倒れているルミを発見。ルミの救助を優先するか、ドルゲの計画打破を第一と考えるか、大の為に小を捨てていいのかで2人の意見は再び割れる。
「ケラゲルゲはいつでも殺れる。それより早く、ルミちゃんを手当しないと」
「ケラゲルゲを今やっつけておかないと、ドルゲバスはどんどん人間をさらってってしまうぞ」
「今ルミちゃんに死なれればどうなんだよ! ガリ勉だけで、人の心がわからないんだ。馬鹿野郎!」
これを見ていたミスター・ドルゲはアントマンとケラゲルゲを繰り出し、友情の熱量が下がった2人はバロムワンに変身できない大ピンチに。……ドルゲ、バロム1の正体が小学生2人とわかっている割には、遠回りな小細工ばかりして対抗手段が手ぬるいのですが、宇宙的な善と悪の代理戦争の構造なので、ドルゲは正義のエージェントに直接攻撃できず、悪のエージェントに倒させなければならない、というルールでもありそう。
今回もルミを見てすぐに、それが猛の思い人である事や、人質に使えば2人の間に対立を招ける事を即座に見抜いているので、綿密なリサーチはしているようですし。
オケラミサイルの標的になった2人は、命の前には好きも嫌いもないと再び友情を取り戻し、大事の前の小事もシビアなら、友情も現実的で実に世知辛い(笑)
幾らなんでも、という感じだったボップ→マッハロッドの登場演出がやや強化され、今回も激しいカーチェイスの末、前回みたいに体当たりで横転させてコマのように吹き飛ばしたらどうしようかと思いましたが、ジャンプで乗り込みルミの身柄を確保。逃げるオケラをバロム真空投げで仕留め、ドルゲバス計画は阻止されるのであった。
……一応、これで洗脳は解ける筈、と締められるのですが、ルミ以外の被害者の姿が全く描かれないので、本当に正気に戻って日常生活に復帰したのかはとても心配になります(^^;
ルミを利用して猛を捕らえるくだりや、仲違いした筈なのにBパートではにこやかになっている2人、意見の対立に関して特に結論は出ないなど、話の流れはかなり雑で面白いとは言いがたかったのですが、「私に人質は通用しない。何故なら私の行動が正義だからだ」というバロムワンの姿勢が明らかになり、思わぬ角度で強烈なエピソードでした(^^;
現代の視点から今作の世界観をスムーズに受け止めるには、60年代の少年向け作品の流れを把握していないといけないのではという気もしてきましたが、1972年にして、なのか、1972年ゆえに、なのか、火薬庫すぎます『バロム・1』。ジャンパーソンの前身であるMX−A1の「1」は、バロム・1の「1」ではないのか……!
次回――またもグロテスク路線の怪人登場、「発狂魔人 ミイラルゲ」。……この時点でヤバすぎてどうすればいいのか。