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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第6話

◆Space.6「はばたけ!ダンシングスター!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:毛利亘宏)
 悪い意味での見所は……皺。
 9人揃ってまずは地球解放を目指して活動する事になったキュウレンジャー。モアイ基地破壊の傍ら様々な形で悪代官に苦しめられている住民を解放する、という名目で、定番のフォーマット(個性的な能力を持った怪人を撃破して問題を解決する)が目標化。……良くも悪くも、人数以外は極めてノーマルな戦隊の定型に収まりましたが、折角の設定なので、何かしらひねりや波乱は持ち込んでくれるのを期待したい所です。
 「ね? リーダー決めない?」
 そんな中、今日も率先して運試し宣言するラッキーを窺いながら、おもむろに切り出すハミィ。
 「9人揃ったんだし、誰かリーダーが必要でしょ? わたし立候補!」
 「なーに言ってやがる。リーダーはラッキーに決まっとるけ」
 安定の、犬。
 これに対して特別嬉しそうなわけでもないラッキーですが、その内、「ガル! 飼い慣らされちまったお前には、キュウレンジャーの資格はねぇ!」とか戦力外通知がありそうでドキドキします。
 「ラッキーにチームをまとめるのは無理。私が適任だと思うけど」
 「だったら俺も立候補じゃのう。ハミィには荷が重い」
 売り言葉に買い言葉で、自分の発言内容を理解しないまま対抗心だけ燃やすガル、舎弟気質が留まる所を知りません。
 ショウ司令は、次の戦いで最も貢献度の高かったメンバーをリーダーにすると宣言し、出撃ルーレットで選ばれたのは赤青緑黄金。特に乗り気でない黄と金が選ばれ、争奪戦参加の意思を示した黒銀桃が、そもそもルーレットに選ばれなかったのでチャンス無しというのが実に冷徹。リーダーたるもの、ルーレットに選ばれる程度の運は必要ともいえますが、そのルーレットが明らかに司令の仕込みっぽい為、重ねて悪辣。
 住民を規律でがんじがらめにして自由を奪う悪代官と遭遇したキュウレンジャー、青と緑が手柄を我先にと争う中、赤が司令にアビリティキュータマを要請すると、やってきたのはペガサスキュータマ。赤がそれを発動すると馬の顔と翼があしらわれたブレストアーマーが装着され……そして、胸の馬が怪しいカンサイ弁で喋りだす、その名をペガさん。
 強化バージョンでしばしば用いられる胸アーマーがいきなり登場し、しかも意思を持っているという合わせ技なのですが、可動の都合で軟質パーツになっている翼部分に明らかに曲がり皺が見えて凄く気になります(^^; お陰でアーマーとしての効能はあまり感じられず、ただただ自由を奪われたレッドが跳ね回っている感じに。
 「集団行動が出来ぬ者に勝利はない!」
 規律を押しつける悪代官の、戦闘員と一般人を交えながらのフォーメーション攻撃はスピーディな映像にマスゲーム的な面白さが加わって楽しかったです。ただ、住人を解放するのも目的の筈のキュウレンジャーが、操られている住人達に対して、最後までノーコメント・ノーリアクションだったのは、一工夫欲しかった点(^^;
 悪代官はそのまま姿を消し、一度オリオン号に戻ったキュウレンジャーは、バラバラのチームを一つにする為に、司令の肝いりでダンス特訓を始める事に。変身を解除してもペガサスに呪われたままのラッキーは、その激しいホップステップジャンプに振り回されながらも、少しずつその動きに順応していく。
 「でも俺、すっげーーー楽しくなってきた! 絶対乗りこなしてみせる!」
 ギャグの世界(ダンス特訓)に参加する事を拒んだスティンガーは、地球に派遣された幕府の刺客(家老?)、イカ&タコと交戦して出番を確保。
 射手座家老に代わる幹部クラス新キャラの顔見せですが、サソリもイカ&タコもどちらもまだ格を下げられない為、お互い「やるな!」みたいな発言をするも、そもそも2対1だったり、あまりヒエラルキーをはっきりさせられない都合で映像的にもパッとしないしで、残念な出来。
 イカもタコもとりあえず口調で特徴付ける以外は、これといって面白くない初登場になってしまいました。
 オリオン号ではハミィがガルに、突然しゃしゃり出てきて運がいいだけで好き放題やっているように見えるラッキーが気に入らないという本音を語り、ハミィは忍びの血統に誇りを持つ努力家、と位置づけ。
 「ラッキーの事を勘違いしているようだね」
 そこに現れたショウ司令は、ハミィとガルに、ペガさんを乗りこなす為に、一人でずっと踊り続けていたラッキーの姿を見せる。
 「あのポジティブシンキングこそが、ラッキーの幸運を呼び込んでいる」
 ここで作品の側から、ラッキーの「よっしゃラッキー!」は、ただの強運体質ではなく、どんな状況でも前向きに捉えて可能性を捨てない精神性そのものである、と補強。
 好みとしてはここまでハッキリと言葉にしなくても良かったかなとは思いますが、作り手の物語に込めた意図を伝える為に、ラッキーの本質を早めにわかりやすく見せておきたかったという事でしょうか。
 合わせて司令も、軽薄なようで物事の本質を見極めている人物、というのが終始真面目な語りで明確に描かれましたが、真面目すぎてしまって、司令に関してはもう少しおふざけを交えて、つかみ所のない人物として引っ張っても良かったような。
 もっと言えば、ラッキーを軸にして、接点の薄かったハミィとガルを絡めて二人の関係性を構築しつつ、それぞれの視点からラッキーを掘り下げていく、という見せ方は良かっただけに、出来れば司令の介入無しでの問題解決を見たかった所です。
 今回ガルはハミィの過去を多少なりとも知るのですが、ガルが折角「ラッキーは、運だけの男じゃないけ」と口にするも、その具体的な内容をガルの言葉で語る前に、司令に持って行かれてしまうので(^^;
 ガルの場合、第1話の恩もあるし、ラッキーに関しては“俺の認めた男”というスタンスなのでしょうが、その“俺”が弱い為に、男と男の絆というより、主人と犬の上下関係に見えてしまうわけで、ガルとは如何なる侠客であるのか、というエピソードが早めに欲しいところです。そこでガルを一廉の人物と描いてこそ、そのガルが認めるラッキーの格も上がるのですが、現状、小娘と同レベルで張り合う鉄砲玉でしかないので。
 もふもふヤクザなので、あまり多くを語らない、みたいなキャラ付けもされているのでしょうが、現状それが上手く回っていないように思えます。
 困難を楽しみ、苦境の中に幸運という名の活路を見出すその姿に、ハミィはラッキーがただ運だけの男でない事を認め、ダンシングコンビネーションを身につけたキュウレンジャーは、再び地球へ。
 「ダンシングスター・ペガサスシシレッド!」
 わざわざオリジナルで名乗りを決めるも、ペガサスアーマー自体にあまり強化の雰囲気が見えなかったのは、終始残念だった部分。まあ今回のオチを考えると、ペガさんは強化装備ではなく、司令の思惑の協力者だった可能性が高そうですが。
 ダンスに乗せた戦いでキュウレンジャー幕府軍と一般市民の混成攻撃を上手く退け、追い詰められた悪代官は基地ロボを起動。……代官はどうして、プラネジウムを吸い上げたモアイ基地を守るのが最優先と言いながら、自分が巨大化して時間を稼いでいる間にモアイ基地を発射して逃がす(第2話)のではなく、大事な基地をロボットにして突撃してくるのか(^^;
 合体したキュウレンオーは、カメレオンとオオカミの足技から、ペガサスブレイクで基地ロボを粉砕。ペガさんはラッキーの事を認め、「またいつか、時が来たらな」とキュータマに戻るのであった……。
 ペガサスアーマーは強化装備かと思いきや、しばらくお休み宣言で姿を消しましたが(しれっと3話後ぐらいに出てくるかもですが)、司令とペガサスは旧知の関係だと語られており、要するに今回の顛末全て、ショウ司令がラッキーという男を見極める為の悪辣な仕込みか。
 ペガさん乗りこなすのに失敗していたら、「中途半端な運と行動力は、革命にとってむしろ障害なのだよラッキー」とか言って消されていたかも! 多分アントン博士も(以下略)
 最後は、
 「キュウレンジャーにリーダーはいらねぇよ。みんな一人一人が、スターなんだからな」
 と、ラッキーは最初から、これといってリーダーになりたそうなわけでもなかったので、今作のコンセプトと合わせて納得の着地。……まあラッキーの場合、誰がリーダーだろうがお構いなしに、革命の為に自分が最適だと思う行動に命を懸ける訳なんですが!
 今回の代官が住人の自由を奪って好きに踊らせていたのに対して、ペガサスの呪いで我が身の自由を奪われたラッキーが自らそれを克服する、という展開は、ラッキーとは如何なる主人公なのか、について象徴的な描写であったと思います。
 ところでこのオチ、個人的に思い入れが深いという事もあり、『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014)を思い出さずにはいられなかったのですが、


 「もういいよ、そういうの。影のリーダーが居るなら、サポートが得意なリーダーも居て、そん時そん時で必要なやつが、リーダーになればいいんじゃないの?」
 「必要なやつが?」
 「俺たち全員がリーダーってこと」
 (第6駅「探し物はなんですか」)
 意識はあったのかなかったのか(毛利さんは『鎧武』コラボSPで脚本参加)。
 まあ『トッキュウ』の場合は、ここだけ抜き取ると良い話なんですけれど、その実態は「そっか……あの話、続いてたんだ」という、面倒くさいからリーダーとか誰でもいいよ、という話なんですが!
 ……もう少し真面目な話としては、“ごっこ遊びの延長線上のヒーロー”であるトッキュウジャーにおいては、誰でもリーダーになれるし、誰でも1号になれる、というのが重要なテーゼであり、ラッキーが言った「一人一人がスター」というのは、この思想性との繋がりを感じる部分です。
 考えてみると、“既に悪の怪人(相当)に支配された地域を解放していく”というフォーマットは『トッキュウジャー』と同様であり、もしかしたらこの世界の根底にはイマジネーションが流れているのかも……。
 ペガサスの造形に始まり、要所要所の痒い所に手が届かない具合がどうにも物足りない出来でしたが、とにかくラッキーに関しては一貫性があるので、少しずつ戦隊メンバーの関係性が立体的になっていく事を期待したいです。
 次回――最近、顔芸で司令にツッコむだけの役と化しているナーガに光が当たるバランス回? て、今年の設定でもやるのかコラボ。